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MAにおけるシナリオとは?手順や設計のコツ、事例も紹介

公開日:

2023年7月6日

この記事は11分で読めます

執筆者 Zoho マーケティングブログ 編集部

MAにおけるシナリオとは?手順や設計のコツ、事例も紹介

マーケティング・オートメーション(MA)の中で、リード(見込み顧客)に対してパーソナライズされたアプローチを仕掛け、商品の購入や商談創出、成約へと至るプロセスを作り、そのフローを自動化するために重要な役割を果たすのが「シナリオ」です。この記事では、MAにおけるシナリオとはどのような意味を持つのか、シナリオはどんな手順で作成し、より良いシナリオを作るためのコツがあるのかなどを、実際の事例も交えながら解説します。

MAにおけるシナリオとは?

MAにおけるシナリオとは、リードや顧客が購入や成約に至るまでのプロセスを予測し、そのプロセスの中で効果的な施策やアプローチを行うことで、想定した結果に導くための計画のことです。

例えば、メールマーケティングにはステップメールと呼ばれる手法があります。ウェブサイトからあるサービスに関する資料をダウンロードしたリードに対して、以下のようなステップメールのシナリオを作って、サービスの購入・利用を促すことができます。

<ステップメールのシナリオ例>

  1. ダウンロードのお礼のメールを送る
  2. 数日後にサービスのメリットについてのメールを送付
  3. 1週間後にサービスの導入事例のメールを送付
  4. 3週間後にサービスの割引キャンペーンのお知らせメールを送付

こうした、あらかじめ考えたフローの設定がシナリオにあたります。MAを使うと、このように作成したシナリオを自動実行することができるようになるのです。
【関連記事】ステップメールの作り方とは?効果的に運用する方法も解説

シナリオを使ってできる4つのこと

では、MAのシナリオを使うと何ができるようになって、どんな効果が得られるのでしょうか。以下で、シナリオを使ってできることについて説明します。

One to Oneマーケティング

MAのシナリオを使ってできることとしてまず挙げられるのが、One to Oneマーケティングです。One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりの属性や行動、興味・関心に合わせて展開するアプローチ方法のことです。

そもそもMAは、リードに対して、パーソナライズされた情報やコンテンツを提供して満足度やロイヤルティを向上させ、購入や成約へと結びつけることを目的としています。

シナリオは、その目的を達成するために役立ちます。リードの属性や行動に応じて、リードが求める情報を、最適なタイミングで提供するのがシナリオの役割です。リードの行動にマッチしたシナリオであればあるほど、リードに対して訴求効果の高いアプローチができるでしょう。

リードナーチャリング

リードナーチャリングも、MAのシナリオによって実行できることのひとつです。リードナーチャリングとは、リードに対して段階的に情報やコンテンツを提供することにより自社の商品やサービスについての興味・関心のレベルを引き上げ、最終的に購入や成約に導いていく顧客育成のことです。

育成といっても情報を押しつけて強制的に購入をすすめるのではなく、あくまで顧客主体の考えにもとづいて、リードが顕在的・潜在的に求めている情報を示し、良好な関係を構築して購入へと誘導することを目的とします。

ほかに、新規リードに対するウェルカムシナリオ、特定の行動をトリガーとして新たな情報提供やキャンペーン案内をするシナリオ、休眠顧客に対して再エンゲージメントを促すシナリオなどが考えられます。

機会損失対策

MAのシナリオは、機会損失対策として活用することもできます。MAツールを使ってリードの行動を追跡し、特定の行動をトリガーとしてメッセージを送るシナリオを自動実行すれば、リードが関心を示したタイミングで的確なアプローチをすることができます。また、リードと継続的にコンタクトを取ったり、リピート購入を促したりすることも可能です。

リードの動きをモニタリングして、購入や成約への可能性が高くなったタイミングをキャッチする仕組みがあれば、より戦略的にシナリオを活用できるでしょう。

効率の向上

マーケティング活動の効率向上も、MAのシナリオの効用のひとつです。MAツールでは、リードの行動を詳細に追跡できます。そのため、シナリオを組んでおけば、特定の行動に対して企業側がどのようなアプローチを行うかをコントロールすることが可能となります。しかもMAツールのワークフローと呼ばれるような機能とシナリオを組み合わせれば、このプロセスを自動化することができるのです。

この自動化を進めていくと、リードとの関係構築やゴールへの到達に必要な時間と労力を大幅に節約できるようになるでしょう。効果測定を繰り返しながらシナリオを改善し、最適化すれば、効率をさらに向上させることも可能となります。

【活用例】メールマーケティングの自動化シナリオ

MAシナリオ設計の7つの手順

MAのシナリオは、デジタルマーケティングを成功させるカギです。では、MAのシナリオはどのように作るのか、一般的なシナリオ設計の手順を以下で説明します。

1 ゴール設定

まず、シナリオの具体的なゴール(目標)を明確化します。リードの獲得、既存顧客とのエンゲージメント強化、特定商品の購入、カゴ落ち(ECサイトで商品をカートのカゴに入れたものの、購入には至らなかったケース)の減少といったゴールが考えられます。

2 ターゲット設定

次に、ターゲットとなるリードや顧客を特定します。その行動を予測するために、ライフスタイルや趣味嗜好、価値観などのディテールを作り込んだペルソナ(商品やサービスの典型的な仮想ユーザー像)を設定することもあります。

3 カスタマージャーニー作成

ターゲットを設定したら、次はカスタマージャーニーを作成します。カスタマージャーニーとは、ターゲットが商品やサービスを認識し、検討・購入するまでの一連の経験や接触点(タッチポイント)をマッピングしたものです。ここでは、ゴールに沿ったターゲットの行動プロセスをマッピングして、各段階で必要なアプローチやメッセージの内容を決めていきます。

4 シナリオ作成

上記を踏まえて、特定の行動・条件にもとづいたゴールへのシナリオを作成します。ターゲットのどのような行動をトリガーとして、どんなアクションを設定するか、どんな条件に従ってどのようにシナリオを分岐させていくか、などを決めていきましょう。

5 コンテンツの作成

作成したシナリオ中に必要となるコンテンツを作成・選定します。コンテンツの内容は商品やサービスについての詳細説明資料、導入事例集、ホワイトペーパー、ブログ記事、セミナーやウェビナー、無料デモ体験などが考えられます。

6 シナリオのテスト

シナリオが想定どおり動作するかをテストします。個々のメッセージやコンテンツの効果、全体フローのスムーズさなどもチェックしましょう。

7 実装

テストでシナリオが問題なく動作しているのを確認したら、シナリオを実装し、運用します。運用する中で、データ分析の結果によってシナリオの改善も続けていきましょう。

シナリオ運用の5つのコツ

続いて、MAのシナリオを上手に運用するコツを紹介します。MAのシナリオを設計する際に参考にしてください。

シンプルなシナリオから始める

最初からシナリオで高度で複雑なことを実現しようとすると、問題が発生する可能性が高くなります。最初は分岐の少ないシンプルなシナリオを作成して運用するのがおすすめです。そこから必要に応じて徐々に複雑な分岐を作る、あるいはほかのシナリオと組み合わせる、などを考えていきましょう。

MAツールによっては各種のテンプレートシナリオが用意されているので、最初はそれをアレンジしてシナリオを作成することもできます。

シームレスな顧客体験を提供する

シナリオ運用のコツは、ターゲットがスムーズに購買や成約にたどり着けるシームレスな顧客体験を意識して作成することです。途中で障壁を感じさせるような流れはできるだけ排除するべきです。提供するコンテンツも1つに絞るなどの工夫が必要です。

スコアリングを活用する

スコアリングとは、リードや顧客の行動にもとづいてポイントを加算し、ランク付けをする機能です。シナリオのターゲットを絞るときや分岐を作るときには、このスコアリングを活用しましょう。

例えば、スコアが高いリードに対してはより積極的なセールスアプローチを行い、スコアが低いリードに対してはより情報提供に重点を置くといった調整をし、シナリオの効果を高めることもできます。また、リードのスコアが一定以上に上がったら、そのリードを営業部門に受け渡すというシナリオも効果的です。

成果の高いコンテンツを用意する

ターゲットのニーズに応える、「刺さるコンテンツ」を用意することも重要です。過去の実績などからキラーコンテンツを見つけましょう。既存のコンテンツをブラッシュアップするのも有効かもしれません。

データを分析してシナリオの有効性を上げていく

シナリオ実装後、さまざまな角度からデータを分析し、効果を評価して改善を続けることもシナリオ運用のコツです。さまざまな状況の変化によってターゲットのニーズも変わっていくため、シナリオを常に改善し、最適化する作業を続けていきましょう。

MAを使ったシナリオ事例

最後に、MAを使ったシンプルなシナリオの事例を紹介します。以下は、メルマガ配信・一斉メール配信をシンプルに低コストで行えるツール「Zoho Campaigns」のワークフロー機能を使って作成することができるシナリオ例です。

Zoho Campaigns には、登録後のフォローアップや10日間のステップメール、ナーチャリング、カートのカゴ落ち対策など、さまざまな目的別のテンプレートが用意されています。これらをカスタマイズすれば、自社が求めるシナリオを作成し、それを自動実行するワークフローを作ることができます。

シナリオ例:資料請求後のフォローとスコア更新

資料請求を行ったリードに対するフォローアップ、ナーチャリングのために、リードのスコアリングを行ってステージを更新するためのシナリオです。送信した全3通のメールに対するリアクションによってリードのスコアリングを実施、その結果から各リードのステージ情報を自動更新します。

シナリオ例:再購入の促進(掘り起こし)

既存顧客を対象に、商品やサービスの再購入を促すメッセージを配信して、開封などのアクションに対して適切なアプローチをするためのシナリオです。条件分岐により異なる施策を行ったり、あるいはリードをグループ分けしたりします。

シナリオをかんたん作成できるMAならZoho CRMPlus

MAツールを使えば、リードの行動に合わせたマーケティングアプローチを自動化することができます。ただし、その自動実行する内容が適切なものか、成果に結びつくものかどうかは、作成するシナリオのクオリティにかかっています。より精度の高いシナリオを作り上げるには、リードや顧客に対する理解と、使いやすく高機能なMAツールが必要です。

Zoho が提供する統合パッケージ「Zoho CRM Plus」には、CRM・SFAツールの機能に加えて、メール配信やWeb訪問者のトラッキングなどMA機能が搭載されています。「Zoho CRM Plus」であれば、配信ターゲットのセグメントやスコアリングも活用できます。ワークフローの作成もテンプレートを使用したり、自社用にカスタマイズしたシナリオをかんたんに作成することができます。これからMAツールを導入を検討されている方も、現在すでにMAツールを導入されている方も圧倒的コストパフォーマンスで利用可能な「Zoho CRM Plus」をぜひご検討ください。

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