エクセルなどによるアナログな管理手法から脱却し、業務効率の向上が期待できるサービスとして有名な「kintone (キントーン)」 。この記事では、kintone の特徴や機能、料金、評判などを紹介します。
kintone とは?
kintone (キントーン)とは、サイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務アプリケーション構築サービスのことです。
kintone を利用すると、あらゆる業務に合わせたアプリケーションを簡単に作成することが可能です。これにより、今までExcel や紙で保管していたデータをクラウド上で一元管理でき、社内の情報共有に役立ちます。kintone は、プログラミングの知識が無くてもシステム開発ができる「ノーコード開発」という手法を採用しているので、ITの知識や経験のない方でも作成できる点が、多くのユーザーから評価されています。
kintone の特徴
kintone の特徴について、紹介します。
サンプルアプリが豊富
kintone は、業務や業種、利用シーンに応じたサンプルアプリが豊富に準備されています。そのままの状態で利用することもできますし、サンプルアプリを自社の業務に合った形に改良して利用することも可能です。
kintone を導入した初期段階では、プログラミングの知識が不要とはいえ、アプリケーションの作成に手間取ることが考えられるでしょう。そのような場合、サンプルアプリを使用することですぐにkintone を業務に活用することが可能です。
デバイスを選ばない
kintone はマルチデバイスに対応しているので、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでもアプリケーションを利用することが可能です。そのため、外出先からkintone にアクセスしてアプリケーションを利用したり、情報をアップロードしたりすることができます。
社内に戻らなくても業務を行えるため、業務効率の向上が期待できます。
外部サービスと連携ができる
kintone は、Google カレンダー などの外部サービスと連携することが可能です。そのため、社内ですでに利用中のアプリケーションがある場合でも、kintone と連携しているサービスであれば、データを同期することができます。
例えば、Googleカレンダーと連携することで、kintone の予定とGoogleカレンダーの予定を同期できます。またLINEWORKS との連携も可能です。LINEWORKS と連携することで、kintone のデータを更新した際にLINEWORKS に通知することができます。重要な通知のみ受け取るように設定の変更も可能です。
高度なセキュリティ
kintone はデータを保護するためのバックアップやデータの暗号化、第三者機関による脆弱性対策、アクティビティログによる不正ログイン対策、アクセス制限、2要素認証などの高度なセキュリティ対策が施されています。
またkintone は、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」において、政府が求めるセキュリティ要求を満たしているサービスであると認定され、ISMAPクラウドサービスリストに登録されています。これにより、行政機関においても安心して導入できるサービスであると言えるでしょう。
社内の円滑なコミュニケーションが可能
kintone には、スペースと呼ばれる特定のメンバーだけがアクセスできるコミュニケーション空間があります。部署単位やチーム単位、プロジェクト単位など、さまざまなまとまりでスペースを作ることが可能です。スペース内では情報共有や参加者同士で議論することができます。またスペース内にアプリを追加し、情報や文章の管理をすることも可能です。スペースはメンバーを特定せずに、誰でもアクセスできるように設定することもできます。
kintone の主な機能
kintone には、アプリケーションの作成やデータ入力、データ集計など、さまざまな機能が用意されています。以下は主な機能についての説明です。
業務アプリケーションの作成
kintone ではプログラミングの知識が無くても、業務アプリケーションを作成することが可能です。日報の入力フォームや案件ごとの管理、客先からの問い合わせ管理、採用面接の進捗管理、交通費の申請など、あらゆる業務で利用できるアプリケーションが作成できます。
アプリケーションを作成する際は、画面上で管理を行いたい項目を選択しドラッグ&ドロップで入力フォームを作っていきます。このようにkintone では、あらかじめ準備されている部品を配置していくだけで入力画面を作成することが可能です。
拡張機能
kintone の拡張機能は、「プラグイン」でCSSファイルやJavaScriptを読み込みkintone のカスタマイズができたり、「外部サービス連携」で外部サービスとAPIを利用してkintone を連携させたりすることができます。これらはプログラミングの知識を必要としないため、開発コストを抑えることができるでしょう。
例えば、kintone に登録されたデータを帳票として出力したり、Webへ出力したりすることが可能です。またMAツールや営業管理システム、名刺管理システムなどとデータ連携を行い、kintone をさらに活用できるように。
データの集計・可視化
kintone では、データを集計して見える化することが可能です。例えば売上データをグラフ化すれば、月次・週次の推移をひと目で把握できます。
必要なデータを抽出したり絞り込んだりしてグラフ化し、チーム内で共有することが可能です。
また予測の計算式を設定しておくことで売上予測を簡単に出力することもできます。
kintone の料金プラン
kintone の料金プランは2つのコースから選ぶことができます。
項目 | ライトコース | スタンダードコース |
---|---|---|
料金 | 1ユーザーあたり 月額 780円 | 1ユーザーあたり 月額 1,500円 |
初期費用 | 0円 | 0円 |
契約更新間隔 | 1ヵ月 | 1ヵ月 |
外部サービスとの連携、プラグイン、拡張機能 | 不可 | 可能 |
作成できるアプリケーション数 | 最大200個 | 最大1000個 |
スペース数 | 最大100個 | 最大500個 |
ディスクの容量 | 5GB × ユーザー数 | 5GB × ユーザー数 |
サポート | メール、電話によるサポートあり | メール、電話によるサポートあり |
言語 | 日本語、英語、中国語(簡体、繁体) | 日本語、英語、中国語(簡体、繁体) |
スマートフォン対応アプリ | あり | あり |
ゲストユーザー料金 | 1ユーザーあたり 月額 580円 | 1ユーザーあたり 月額 1,200円 |
ゲストスペース数 | 最大100個 | 最大500個 |
セキュアアクセス | 1ユーザーあたり 月額 250円 | 1ユーザーあたり 月額 250円 |
ディスク増設 | 10GBあたり 月額 1,000円 | 10GBあたり 月額 1,000円 |
※2023年3月時点
kintone のサポート体制
kintone は導入に関するサポートと、導入後のサポートを用意しています。
導入前は、メールや電話、個別相談会、セミナーなどの、導入に関する相談が可能です。
導入後は、メールや電話、チャットでのサポートを提供しています。障害が発生した場合や、サービスのメンテナンスが発生した場合は、情報公開サイトと呼ばれるWebサイト上に通知されるため、迅速に情報を把握することが可能です。情報公開サイトでは、障害やメンテナンス、セキュリティに関しての情報を入手やサービスの契約情報を確認もできます。
kintone のメリット・デメリット
業務を効率的に遂行するためのアプリケーションを簡単に作成できるkintonですが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここでは、それぞれについて紹介します。
メリット
- スマートフォンやタブレットでアクセスできるため、外出先からでもデータの閲覧や結果の報告ができる
- チーム内で議論や情報共有が簡単に行えるため、コミュニケーションが活発になる
- 業務に合わせたアプリケーションが作成できるため、作業の効率アップにつながる
- 同じデータを複数のアプリケーション間で共有できるため、データの重複や二重入力を防ぐことができる
- プログラミングの知識がなくてもアプリケーションの作成でき、すぐに使えるテンプレートも豊富に用意されているため、アプリケーション構築にかかる工数を大幅に削減できる
デメリット
- 簡単にアプリケーションが作成できるが、実用的でないものが作られる場合がある
- 作成するアプリケーションを統制していないと、同じような機能のアプリケーションを作ってしまう
- kintone のバージョンアップで外部サービスと連携できなくなる場合がある
- 膨大なデータ量になると処理が遅くなる
kintone の導入実績
実際にkintone を導入した企業は、業務がどのように変わったのでしょうか。ここでは導入実績を紹介します。
株式会社資生堂
株式会社資生堂は、ヘルスケアや化粧品の開発、製造、販売を行っている企業です。グローバル展開を想定し他社ツールからの移行を実現しています。
抱えていた課題
株式会社資生堂では、2つの課題を抱えていた。1つ目の課題はIBM Notesの利用に関してだ。IBM Notesは、カスタマイズやメンテナンスを実施する場合、専門的な知識が必要となっている。しかし対応できる技術者が不足しており、カスタマイズやメンテナンスが困難な状況となっていた。
2つ目の課題はExcelでの研究テーマの管理に関してである。各チームがそれぞれExcelで研究テーマを管理しており、全体を集計する場合は全てのファイルを参照して情報を抽出する必要があった。
選定理由
IBM Notesからの移行がすぐにでき、低コスト、サポート体制の充実という面で選定サービスの検討を開始した。また研究テーマの管理に関しては、クラウド上で管理し関係者全員が閲覧できる環境が必要である。
以上のことが実現可能なサービスを選定したところ、kintone に決定した。
導入効果
IBM Notesからkintone に移行したことで、以前はNotesのクライアントアプリケーションのインストールが必須だったところが不要となり、環境設定が簡単になった。またデータにアクセスしたIPアドレスがログに残るため、アクセス管理もできるようになっている。
研究テーマに関しては、すべてkintone に登録するように移行した。その結果、必要データの抽出に以前は30時間ほど費やしていたのが、現在ではほぼ0時間となっており、作業が大幅に軽減されている。
出典:資生堂 - kintone(キントーン)導入実績20,000社 - 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム
パーソルキャリア株式会社
パーソルキャリア株式会社は、労働者の派遣、職業紹介などを行っている企業です。IT統括部門でプロジェクトのスムーズな遂行を実現しています。
抱えていた課題
パーソナルキャリア株式会社では、2つの課題を抱えていた。1つ目の課題はメールで送られてくる申請書類が膨大となっており、管理が困難になっていることである。開発業務の申請手続きが終わらない状態で、開発が開始されそうになる場合もあった。
2つ目の課題は専門知識の属人化だ。有益となる知識や情報がチーム外に公開されることが少なく、特定の人物に知識が偏っていた。
選定理由
申請手続きの効率化と、有益な知識や情報であるナレッジの一元管理、閲覧のしやすさを重視し、kintone を選定した。
導入効果
kintone を導入し、業務に沿ったアプリケーションを3つ構築しました。1つ目は「プロジェクト管理アプリ」だ。開発プロジェクトの実績や結果、評価、承認などを記録することを目的としている。
このアプリによって過去の事例を誰でも参照することができるようになり、ナレッジを社内で共有することが可能となった。
2つ目は「IT審議アプリ」だ。IT投資する際の稟議を申請することが可能となった。従来は膨大な申請をメールでやり取りしていましたが、このアプリによって申請を一元管理することができる。
3つ目は「発注アプリ」だ。稟議が承認された後、案件を発注する際に使用する。
kintone により、プロジェクトのナレッジの閲覧や共有が可能となった。またプロジェクトに関する申請や審議、発注なども一元管理され、滞りなく進めることができている。
kintone の口コミ・評判
kintone の口コミや評判はどうなのでしょうか。実際に利用している人の意見を紹介します。
良い口コミ・評判
簡単にアプリケーションが作成できる
テンプレートの種類がたくさんあり、目的に合ったものが見つけやすいです。またフォームも簡単な操作で作成可能となっています。JavaScriptでのカスタマイズ例も豊富に準備されており、簡単にプログラミングで作成することが可能です。
またリアルタイムに情報共有ができるため、日報や勤怠、報告書などに利用しています。
出典URL:https://www.itreview.jp/products/kintone/reviews/55461
直感的な操作が可能
営業の商談記録や進捗管理など、業務全般で活用しています。直感的な操作でアプリケーションが30分ほどで作成可能です。マウスだけで項目の配置が変更できるため、使用時に使いづらくなっても簡単に変更ができます。
別々のアプリ間を1つのキーワードで検索できる機能が便利です。例えば営業先管理アプリと商談履歴アプリそれぞれに記録している同じ客先に関して、情報を紐づけして表示することができます。
出典URL:安価でUIが使いやすく導入を迷ってる方は是非 - kintoneのレビュー
プログラム開発が不要
プログラミングしなくても、フィールドの配置だけで画面を作成することができます。入力項目の位置変更や追加、削除なども簡単に素早く対応が可能です。プログラミング未経験者でも画面作成ができます。
紙による各種申請書類をkintone に変更しました。申請書類の回覧や押印、承認などが承認フローで回すことができ停滞することが無くなっています。
悪い口コミ・評判
操作に慣れない
kintone の操作に慣れません。直感的で操作しやすいと言われてますが、使いにくいです。以前はExcelを利用していたのですが、そちらの方がスムーズで簡単に操作ができました。また文字が小さく尺度が変更できないため、見づらいという印象です。
出典URL:使いやすいとは思えない - kintoneのレビュー
権限に制限がかかっている
元請けからの指示通りに作業を行ったのですが、権限に引っかかり実務には使用できませんでした。次月以降の案件情報などを知ることができるため、情報共有という面では便利だと思っています。
出典URL:期待度が高いのですが - kintoneのレビュー
思っていたよりも操作が簡単ではない
さまざまな設定ができ便利になっている反面、直感的な操作がやりづらくなっています。画面も分かりづらいです。同じアプリケーションを高頻度で使用するのであればすぐに覚えられますが、月に1回程度に使用するアプリケーションだと操作を忘れてしまいます。画面の絞り込みや一覧表示、詳細画面設定など、ボタンが散らばっていて使いづらい状態です。アイコンに文字がないので、目的のボタンをいちいち探しながら作業しています。
出典URL:思ったよりも簡単になんでもできない - kintoneのレビュー
kintone が向いている企業
kintone は、業務を一元管理したり、承認フローを作成したりすることができます。そのため、人数の少ないスタートアップ企業や中小企業などに向いています。社員が複数の業務を兼務している場合にも利用することが可能です。kintone では部署を超えて情報共有が可能となっています。
また初期費用がかからず、ランニングコストも節約しながら情報共有や業務の効率化を進めることが可能です。
他ツールが向いている企業
営業部門でCRMやSFAといった営業ツールの代わりとしてkintone を利用する場合は、顧客管理、案件管理、在庫管理などのアプリを一つずつ作成する必要があります。その際に、データの二重入力を避けるためにアプリ間を連携する必要がありますが、項目の関連付けやデータの紐付けといったデータ設計を自社で行う必要があるため、難易度が高くなります。
一方、CRMやSFAツールの場合、顧客管理や案件管理といった営業に必要な機能が予め搭載されているため、営業部門での利用を検討している際は、上記の懸念事項も踏まえた上でツールを選定するといいでしょう。
はじめてのSFA導入ならZoho CRM もおすすめ
今回は業務改善が行えるクラウドサービスのkintone に関して、特徴や機能、料金、評判などを紹介しました。kintone はプログラミングの知識がなくても業務アプリケーションを作成することができ、社内の情報共有に役立つサービスです。
一方、営業部門で顧客管理や案件管理としての利用を検討している場合は、CRM/SFAツール 「Zoho CRM 」もおすすめです。Zoho CRM は、顧客管理や営業支援が可能なクラウド型のサービスで、データ設計は完結した状態でリリースされていとなります。そのためデータの重複や矛盾によって、破損や消えてしまうことはありません。またカスタマイズ性の高さ、機能性、低コストが評価されており、世界企業25万社が利用している実績があります。特徴として挙げられるのは、次の3つです。
- 営業・マーケティング・カスタマーサポートで使える機能が豊富
見込み客/顧客管理、案件管理や見積書・請求書の作成、メールの一括送信など、営業・マーケティング部門で使える機能が豊富に搭載されています。また、データを自動で集計し、レポート化・グラフ化できるほか、データの関連付けや紐付けも追加の設定を行うことなく利用できます。
- カスタマイズが自在
項目の追加や削除などのカスタマイズは、kintone 同様にドラッグアンドドロップ操作で行えるので、自社の業務フローに合わせて使いやすくカスタマイズすることが可能です。
- 低コスト
他社のSFAツール相場と比較すると、導入時は低コストとなります。スタンダードプランでは「月額¥1,680円」から始めることができ、1ユーザーから利用することが可能です。月単位で契約可能なため、もし自社に合わないと判断した場合は翌月から契約を中止することが可能となります。
15日間無料で使える試用版も提供されているため、はじめてSFAを導入する方はZoho CRM も検討してみても良いでしょう。
CRM/SFAツールの決定版!「Zoho CRM 」 製品サイトはこちら
※本資料は各社製品ページの情報(1)をもとに作成しています。なお、製品の実際と異なる場合においても、弊社では責任を負いかねます。
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https://kintone.cybozu.co.jp/
※掲載情報は2023年4月26日時点のものです。最新情報につきましては、必ず各社にお問い合わせのうえご確認ください。
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