顧客情報の一元管理で消費者ニーズを把握
業務の効率化とファンづくり活動の高度化を実現
- 朝日酒造株式会社
- 所在地新潟県長岡市朝日880-1
- 創業1830年
- 業種酒類製造業
- 社員数169名(2021年9月現在)
- ビジネスB2B、B2C
- https://www.asahi-shuzo.co.jp/
「顧客ニーズの把握」はあらゆる企業にとって重要課題の一つ。しかし、卸売販売や代理店販売により流通する商材の場合、メーカーがエンドユーザーである一般消費者と接点を持ち、そのニーズを把握するのはなかなか難しい。
「久保田」「朝日山」などの日本酒ブランドを展開する酒造メーカー・朝日酒造株式会社は、長くおつきあいいただけるお客さま(ファン)をつくるため、Zoho CRM Plus を活用。同社は一般消費者向けのECサイトの顧客情報や顧客の行動履歴を一元管理し、顧客の属性や購買行動などの可視化・分析を実現。ファンをつくる一連のプロセスの中で、メルマガやアンケートなど、さまざまなマーケティング活動にZoho CRM Plus を活用している。
同社におけるZoho CRM Plus の導入経緯や活用方法、導入後の効果、導入サポートを担当したZoho 認定パートナー・カイト合同会社の評価などについて、マーケティング部 部長 渡邉大輔氏に話を聞いた。
朝日酒造の代表的なブランド「久保田」
Zoho CRM Plus は、お客さまを知り、適切なアプローチをとるために必要なツールがすべて揃っています。
朝日酒造株式会社
マーケティング部 部長 渡邉大輔氏
―朝日酒造の事業概要を教えてください。
渡邉氏: 弊社は1830年(天保元年)創業の酒造メーカーです。新潟県長岡市に本拠を置き、主に日本酒を製造・販売してきました。代表的なブランドは「久保田」、新潟県内では「朝日山」がよく知られています。また、近年では、新規顧客層の開拓を目指し、「久保田 スパークリング」、日本酒ベースの「久保田 ゆずリキュール」、「久保田 こうじあまざけ」など、新商品の開発にも積極的に取り組んでいます。
販路としては、全国各地の酒販店や百貨店などへの卸売販売が主軸です。一方で、新たなお客さまとの接点を確立するため、2020年からは一般消費者向けのECサイトをスタート。今後は、ECサイト事業も強化し、B2B、B2Cの両輪での事業拡大を目指しています。
バラバラだった顧客情報を一元管理し、真の顧客ニーズをつかむため、Zoho CRM Plus の導入を決定
―Zoho CRM Plus を導入する以前、どのような課題がありましたか。
渡邉氏:「一般消費者のニーズの把握」が課題でした。弊社は長年、卸売販売を主軸事業としていたため、一般のお客さまと接する機会が少なく、弊社の商品をどのような方が飲んでいて、何を望んでいるのかといったことを把握できずにいました。2020年にECサイトをスタートして以降は、一般のお客さまとの接点は徐々に増えていきましたが、顧客管理の方法が確立されていなかったために、ニーズの明確化や掘り下げができない状況が続きました。お客さまに弊社のファンになっていただき、末長くお付き合いいただくためには、お客さまの声を拾い上げ、戦略や施策に反映していく必要があります。一元的な顧客管理を実現し、一般のお客さまのニーズを明確化するのが、Zoho CRM Plus 導入の目的でした。
―以前はどのような方法で顧客管理を行なっていたのでしょうか。
渡邉氏: 担当者ごとに、バラバラで顧客管理を行なっていました。例えば、ECサイトの顧客情報はECサイトの専用システムで管理し、メルマガ会員の顧客情報はメルマガの担当者がエクセルシートで管理し、イベント参加者の情報はイベント担当者がさらに別のエクセルシートで管理し、といった具合です。この管理方法では、購買行動などの分析をするにしても、情報の収集や集計に多大な手間がかかってしまいます。そのため、Zoho CRM Plus の導入では、これらの顧客情報を一元化し、お客さまの履歴などを瞬時に可視化できる体制を目指しました。
―数あるツールのなかから、Zoho CRM Plus を選定した理由を教えてください。
渡邉氏: まずは、導入以前に行なっていた顧客管理やメルマガ配信、ECサイトの受注分析、SNS運用、データ分析などの業務すべてを行える機能が備わっていたことです。弊社にとって「今すぐ必要なアプリ」がバンドルされていました。事実、選定時には、15種類のツールの機能を比較検討しましたが、最も評価が高かったのがZoho CRM Plus でした。
また、その後、15種類から選抜された5製品で最終的な検討を行っていますが、そのなかでもZoho CRM Plus の費用の安さは際立っていました。ランニングコストを抑制でき、かつ、高い効果が期待できるZoho CRM Plus はまさに理想的でした。
―最初にZoho ツールを見た時はどのような印象がありましたか?
渡邉氏:「Zoho すごい」と思いました。IT部門でない私でもこんなことができるんだと、ワクワクしました。UI(ユーザーインターフェース)は慣れないといけないけど効率的だな、と感じました。
導入後は「顧客の動きが見える」ようになり、数値に裏付けされたマーケティング施策が可能になった
―現在、Zoho CRM Plus をどのようにお使いでしょうか。
渡邉氏:現在、主に業務で利用しているのはZoho CRM、Zoho Campaigns、Zoho Survey、Zoho Desk、Zoho Analytics の5つです。
まず、Zoho CRM では2つのタブを利用して顧客管理を行なっています。「久保田」のメルマガサービスの登録者様を管理する「見込み客タブ」と、ECサイトの会員様を管理する「連絡先タブ」の2つです。両者の会員の性質が大きく異なることから、分割して管理しています。現在、見込み客タブではメルマガ配信への反応履歴などを管理し、連絡先タブではECサイト会員様の購買履歴などを管理しています。また、カスタムタブを設定し、ECサイトの受注データの取り込みと顧客情報を関連付けています。さらに、Zoho CRM のレポート機能を使ってECサイトでの購入商品・購入者に関するレポートを作成しています。
Zoho CRM で蓄積した顧客情報をZoho Campaigns に連携し、「久保田」のメルマガやECサイト会員様向けメルマガの配信に利用しています。CRM上では誰が、いつ、どの商品を購入したか、また、最終購入日などがわかるようにデータを関連付けているため、ECサイト会員様向けには購入履歴やパターンに基づいてメールを配信しています。また、週1回メルマガを配信し、未開封の方へメールを再送するなど、一部メールの自動配信機能を活用して、自動化することで業務効率を上げています。
また、特に、ECサイト会員様向けは、売上に直結することもあって、メールの開封率はとても重要です。A/Bテスト機能を活用して、開封率向上の取り組みを行い、「開封されやすい件名の付け方」など、メルマガ配信に関するナレッジも蓄積しています。さらに、「久保田」のメルマガには、Zoho Survey で作成したアンケートフォームを組み込み、嗜好や要望のリサーチを行なっています。
このほか、Zoho Survey 単体としても、イベント後のアンケートや応募フォームなどアドホックにさまざまな目的に応じて活用しています。Zoho Survey のレポート機能では、全体集計やクロス集計もすぐに行えるので助かっています。これまでエクセルのピボットテーブルで工数をかけて準備していたレポートも、Zoho Survey では画面上ですぐに作成でき、会議中にその場でレポートを出して共有したりしています。
アンケート付きのメルマガ
―Zoho Desk やZoho Analytics の活用についても教えていただけますか?
渡邉氏:ECサイトでのお問い合わせ対応としてZoho Desk を活用しています。お問い合わせを振り分けできて便利ですし、対応のステータスなどが管理できるのでもれなく対応できています。
また、Zoho CRM Plus に蓄積したデータを分析・報告するため、また、マーケティング活動のさまざまな分析のために、Zoho Analytics を利用しています。「久保田」のメルマガ会員様の属性を集計したり、Zoho Campaigns で過去配信した全メール未開封者の絞り込みをしてECサイト会員様にアナログのDMを送ったり、といった施策も行っています。
朝日酒造でのZoho CRM Plus 活用概要
目的 | 活用製品 | 運用 |
---|---|---|
顧客情報の一元管理 - 顧客管理、反応履歴の管理、個別メール対応 - ECサイトの受注データを顧客ごとに関連付け - ECサイトでの購入商品・購入者に関するレポート作成 | CRM | ・「久保田」のメルマガ会員を管理するタブとECサイト会員を管理するタブを分けて管理 ・ECサイト会員には購入履歴管理、購入パターンに基づく自動メール配信 ・カスタムタブを設定し、ECサイトの受注データの取り込みと顧客情報を関連付け ・レポートタブで各種集計 |
メルマガ配信 | Campaigns | ・「久保田」のメルマガ会員、ECサイト会員の2つの連絡先をCampaigns に同期させ、配信リストを作成。各リスト内でもセグメントを設定 ・一部メルマガを自動配信 ・Survey と連携させて、アンケートを実施 ・A/Bテストを実装し、開封率向上を推進 |
アンケート | Survey | ・アドホックにさまざまな目的に応じて活用 ・販促物のQRコードから誘導することもある ・レポート機能の活用 |
ECサイトでのお問い合わせの対応 | Desk | ・お問い合わせへの対応 ・対応ステイタスの管理 |
マーケティング活動のさまざまな分析 | Analytics | ・Campaigns で過去配信した全メール未開封者の絞り込み ・見込み客の属性の集計 ・ECサイトの売上/購入回数構成比の集計 など |
―Zoho CRM Plus の活用によって、どのような効果が得られていますか?
渡邉氏:まず、「顧客情報を一元管理したことでお客さまの情報が一目で分かるようになった」のはとても大きいですね。これまで分かれていたデータをひとつにまとめられるので、集計やレポートの時間もかなり短縮できています。
渡邉氏:まず、「顧客情報を一元管理したことでお客さまの情報が一目で分かるようになった」のはとても大きいですね。これまで分かれていたデータをひとつにまとめられるので、集計やレポートの時間もかなり短縮できています。
また、顧客情報に履歴を関連付けて管理できるようになったことで、お客さま一人ひとりにきめ細やかに対応できます。例えば、問い合わせのメールを返信する際にも「先日の○○にご参加いただきありがとうございました」「先日は○○のお買い上げありがとうございました」といったように、履歴にあわせて文面を調整できます。こうしたきめ細やかな対応は「ファンづくり」の観点でも有効だと考えています。
さらに、「一般消費者の動きが見えるようになった」ことです。以前は把握が難しかった、お客さまの属性やECサイトの売上構成比、購入回数構成比などがリアルタイムに把握できるようになりました。これにより、どこに施策を打つべきか、また、どこにリソースを割くべきかなど、数値的な根拠をもとに、マーケティング施策の計画や実施が可能になっています。
また、マーケティング部門の立場からすれば、「報告に要していた手間や工数が大幅に削減された」のがうれしかったですね。以前のような、複数のデータソースをエクセルで集計し、パワーポイントにまとめるといった作業は一切不要になり、Zoho Analytics のダッシュボード画面を共有するだけで報告ができます。現在は、会議中に求められたデータを、その場で回答することも可能になりました。
―Zoho CRM Plus を利用されている現場の社員の方はいかがでしょうか?
渡邉氏:想定していた業務の効率化は、ツールの習熟度と比例して実現できているようです。他の仕事にも手が回るようになりました。また、ツールにある自動化の機能などを活用して、工数を削減したり、ツールを使うことで新しいことができるようにもなりました。
今後もアンケートを活用して、お客さまからの声の活用を広げてゆくと思います。
丁寧な仮説検証のプロセスが、Zoho CRM Plus のポテンシャルを最大限に引き出す
―Zoho CRM Plus の導入を担当した認定パートナー・カイト合同会社(以下、カイト社)のサポートはいかがでしたか。
渡邉氏:弊社のビジネスを理解したうえで最適な運用方法を提案してくれました。効果的に運用するためには、タブをどのように設定するかなど、初期設定が重要になると思いますし、そのためにはパートナーに自社のビジネスを理解していただく必要があります。その点、カイト社は導入前にはヒアリングの機会を設け、その後は初期設定の方針を示したうえで導入を進めてくれました。現在の運用体制を確立するうえで、カイト社のサポートは欠かせなかったと思います。
また、最近でも、運用方法や設定への質問に回答してもらうなど、継続的にサポートを受けています。ツールの運用が定着してくると、質問の粒度が細かくなり、問い合わせの内容も高度化してくるのですが、そうした内容にも素早くご回答いただいています。Zoho 認定パートナーの豊富な知識は非常に頼りになります。
―最後にZoho CRM Plus の導入を検討している企業へメッセージをお願いします。
渡邉氏:弊社はCRMツール導入が初めてだったため、当初は「導入すれば、いろいろな課題が解決されるに違いない」と期待していました。しかし、当然ですが、CRMツールを導入しただけではビジネスの課題は解決されません。課題解決のための仮説シナリオを描き、そのシナリオに基づいて、Zoho CRM Plus を利用していくというアプローチが必要不可欠です。そのため、これから導入をされる方には、CRMツールの導入を最終目的地にするのではなく、課題解決を見据えた運用をお勧めします。
一方で、これは「適切な仮説シナリオを描くことができれば、高い効果が得られる」ということでもあると思います。弊社のようにCRMツール導入が初めてだったり、ITやシステムになじみの薄い企業であったりしても、適切な導入サポートを受け、丁寧に仮説検証を繰り返していけば、成果を生むことができるのではないでしょうか。
朝日酒造株式会社
- 所在地:新潟県長岡市朝日880-1
- 業種:酒類製造業
- 社員数:169名(2021年9月現在)
- ビジネス:B2B、B2C
- 事業内容:酒類の製造及び販売
- 創業:1830年
- URL :https://www.asahi-shuzo.co.jp/
導入支援パートナーについて
カイト合同会社(KITE, LLC)
Zoho CRM を中心としたクラウドテクノロジーの活用を通じ、クライアント各社のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。
提供サービスは全て「生産性向上のための仕組みづくり」を主眼として設計されており、2014年の創業以来、延べ100社以上の企業様にご利用いただいております。
- 本社所在地:東京都千代田区一番町13−2 2F
- 設立:2014年
- 従業員数:5名(契約社員含む)
- 業種:コンサルティング
- パートナー認定:プレミアムパートナー
- ビデオ会議対応:可
- 対応地域:全国
- 対応サービス:全サービス
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