CRM/SFA用語集 ERP

公開日:

2023年2月22日

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執筆者 菊池 紗矢香

ERP

ERP(Enterprise Resource Planning)とは

ERPとは、作業効率や意思決定を改善することを目的として、組織のオペレーションを統合的に管理するソフトウェアのことです。ERPは、リアルタイム、正確かつ関連性の高い情報へのアクセスを提供し、会計、人事、在庫管理など、さまざまなビジネスの管理と自動化を支援します。

ERPという言葉は1990年代にガートナーグループによって作られましたが、ERPの概念が生まれたのは、製造業者が在庫管理をより効率的に行う方法を模索していた、1960年代までさかのぼります。その後、1980年代から1990年代にかけて、オラクルやJDエドワーズなどの企業が入手しやすい価格での基幹システムを開発・販売したことで一般化し、企業はERPシステムを独自に構築することなく利用できるようになりました。

ERPの台頭とその普及

ERPシステムと、インダストリー4.0(第4次産業革命とも呼ばれる)は、密接な関係にあります。ERPシステムは、IoTデバイスを含むさまざまなソースからデータを収集し、情報に基づいた意思決定と業務改善を行う機能を組織に提供します。ERPシステムとIoT技術の統合により、リアルタイムのデータ収集とビジネスプロセスの自動化が可能になり、効率性の向上とコスト削減が実現します。インダストリー4.0においてERPシステムは、さまざまなデータソースから収集したデータを管理する集中プラットフォームを提供し、企業のデジタル変革(DX)を支えてきました。
ERPシステムは急速に変化するビジネス環境において、スピーディーな対応と競争力の強化を実現します。

ERP市場のシェア状況

日本でも、ERPシステムの重要は高く、ERPシステムパッケージのライセンス売上高は、2021年に1,278億円、2024年には1,470億円を超えると予測されています。

*"Sales value of the enterprise resource planning (ERP) solution package license market in Japan from 2017 to 2021 with a forecast until 2024" statista の調査より

この伸びは、ERPシステムの需要が高まっている世界的なトレンドとも一致。
アメリカの有力ビジネス誌FORTUNEは、2022年の492億8000万米ドルから2029年には906億3000万米ドル、年平均成長率(CAGR)9.1%で成長すると予測しています。ERPは、ビジネスプロセスを自動化・統合するだけでなく、リアルタイムのデータや正確な意思決定を得ることができるため、市場での競争力強化に役立ちます。

中小企業・中堅企業向けERP

近年はERPシステムを採用・導入する中小企業が拡大。しかし、中小企業がERPシステムを導入するには、コスト、複雑さ、データ移行、トレーニング&サポートなどの課題も残ります。

それでもERPを採用する中小企業や中堅企業が増え続けているのは、その多くが限られたリソースで業務を運用しており、複数のシステムやプロセスを管理することが困難なことが主な理由。中小企業や中堅企業こそ、業務管理や効率化を強く期待していることが伺えます。
ERPシステムは、財務、人事、サプライチェーンなどの様々なビジネス機能を管理する単一プラットフォームを提供。データの正確性を向上させ、プロセスを合理化します。ERPシステムの導入は、リアルタイムのデータの可視性と、より多くの情報に基づいた意思決定を可能にし、今日の急速に変化するビジネス環境に負けない競争力を維持。中小企業・中堅企業の事業展開を支援します。

さらに、初期投資やあらゆるランニングコストを抑えられるクラウド型のERPシステムは、中小企業や中堅企業にとって費用対効果が高くかつ拡張性の高いソリューションであり、ERPの導入・活用ハードルを引き下げられます。

ERPの種類と違い

ERPシステムには、主にオンプレミス型、クラウド型、ハイブリッド型の3つの種類があります。

オンプレミス型ERP
  • 独自サーバーにインストールして実行します。
  • 組織がデータを完全に制御し、独自のニーズを満たすためにカスタマイズすることができます。
  • ハードウェアとITインフラに多大な投資を必要とし、他の導入モデルと比較して維持費が高くなる可能性があります。
クラウド型ERP
  • ソフトウェアベンダーによって提供され、インターネットを介してアクセスします。
  • ハードウェアとITインフラへの投資を必要とせず、アクセスしやすく、拡張性にも優れています。
  • オンプレミス型ERPシステムと比較して、一般的に費用対効果が高く、メンテナンスが少なくなります。
ハイブリッド型ERP
  • オンプレミス型とクラウド型のERPシステムを組み合わせたものです。
  • 柔軟性の向上やデータの管理など、オンプレミスとクラウドの両方のERPシステムの利点を組織に提供します。
  • ハイブリッドERP型システムでは、機密データをオンプレミスに保管しながら、非機密データについてはクラウドに保管して利用できます。

最終的に、クラウド型とオンプレミス型のERPのどちらを採用するべきかは、ビジネスの特定のニーズやリソースに依存します。クラウドベースのERPシステムは、より費用対効果が高く柔軟性があり、オンプレミスのERPシステムは、より多くの制御とカスタマイズを提供します。

ERPのメリット

  1. 効率性と生産性の向上:ERPシステムはビジネスプロセスを自動化し、正確で適切な情報へのリアルタイムなアクセスを提供します。
  2. 意思決定の最適化:ERPシステムは組織のオペレーションを統合した単一プラットフォームを提供。情報に基づくより適切な意思決定に役立ちます。
  3. コスト削減:ERPシステムによって、多くの手動で行われていた業務が自動化します。コストを削減し、効率を向上します。
  4. 顧客サービスの向上:ERPシステムは顧客情報や販売状況へのリアルタイムアクセスを提供。顧客のニーズを判別したり、円滑なコミュニケーションが提供できるプラットフォームとして機能します。
  5. データセキュリティの向上:多くのERPシステムが機密性の高いビジネスデータや顧客データを保護するため、セキュリティ性が向上します。

ERPのデメリット

  1. 複雑さ:ERPシステムは複雑で、セットアップやカスタマイズが困難。ITリソースが限られている企業にとっては課題となる場合があります。
  2. データの移行:既存システムからERPシステムへのデータ移行は、時間がかかり、困難なプロセスとなる可能性があります。
  3. 技術的な依存:ERPシステムは、技術的な問題やシステム障害に弱く、業務に支障をきたす可能性があります。
  4. メンテナンスコスト:ERPシステムは、継続的なメンテナンスとアップデートが必要。クラウドベースのERPシステムなら、メンテナンスコストを削減することができます。
  5. ベンダーロックインのリスク:ERPシステムの中には、独自システムを採用しているものもあり、ベンダーの変更や別システムへの移行が困難になる場合があります。

ERPと基幹システムの違い

基幹システムとは、組織に必要不可欠な、技術的かつ重要なシステムのことです。通常、メインフレーム、ネットワークインフラ、データベース、その他基盤となる技術的な要素が含まれます。ERPシステムは、組織全体のデータとプロセスを統一したプラットフォームを提供するために、中核となるシステムと他の業務アプリケーションと連携されています。

つまり、基幹システムは、組織の技術的なインフラ構造を形成しており、ERPシステムは、ビジネスプロセスを管理し、自動化するためのソリューションを提供します。

ERPとCRMの違い

ERPとCRM(Customer Relationship Management)は、業務上の目的が異なる2つのシステムです。

Zoho CRM について詳しく知りたい方はこちら

ERPCRM
利用目的財務、サプライチェーン、人事などの内部プロセスの管理顧客とのやり取りや情報の管理
管理するデータ業務に関連するデータを管理連絡先、購入履歴、通信履歴など、顧客情報に特化したデータを管理
利用者組織内のさまざまな部門、主に在庫管理およびサプライチェーンのチーム営業チームやマーケティングチーム
必要な連携他の社内システムとの連携ソーシャルメディアやマーケティングオートメーションツールなどの外部システムとの連携
作成されるレポート業務や財務に関するレポート作成顧客の行動や販売実績に関するレポート
利用技術データベース技術を使用しており、順次先進技術に適応しているクラウドコンピューティングやAI(人工知能)など、先進技術が使われている

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