Twitter やFacebook など、新たなコミュニケーションツールが続々と登場する中、今もなお顧客とのコミュニケーションに多くの人が利用する「メール」。
揺るがぬ存在である理由が、メールが持つ高い販促効果。驚くべきことにFacebookとTwitterをを合計しても、なおメールの方が40%以上、新規リードの獲得に与える効果は優れていると言われています。
このように高い効果を持つメールを、より効果的に働かせるために不可欠なのが「メールの到達率」を上げること。顧客の迷惑メールフォルダへの振り分けを未然に防げれば、成約率はさらに改善できるはずです。
そこで本記事では、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられることを防ぐために具体的に何をすべきかについて解説します。
ステップ1:プロトコルを設定
「プロトコル」とは、メールドメインを認証するためのIDの一種。メールを送信する前に、以下のプロトコルが設定されていることを確認してください。
a) SPF(Sender Policy Framework)
メールの送信元ドメインが偽証されていないかを検証するための仕組みです。
b) DKIM(DomainKeys Identified Mail)
電子署名を用いた送信ドメイン認証。受信者は、送られてきたメールがドメインの所有者によって承認・送信されたメールであると確認できます。
c) DMARC(Domain-Based Message Authentication, Reporting, and Conformance)
ドメイン名の不正使用を防ぎます。
メール認証プロトコルの設定方法はこちらです。
(Tips)PHPメール機能
WordPress のような、PHPで開発されたホスティングプロバイダーの多くは、メールの送信機能がありません。そのため、メールを送信するためにはスクリプトを使わなければなりませんが、受信者が送信元を特定できない可能性があります。
この場合、電子メールプロトコルであるSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使うことで、この問題を解決することができます。
ステップ2:送信レピュテーションを確認
「送信レピュテーション」とは、送信元のメールサーバーをどれだけ信頼できるかを示すスコアのこと。このスコアは、お客様のドメインとメールホストのレピュテーションにも依存します。もし、あなたのメールのスコアが一定の値を下回ると、そのメールは迷惑メールに振り分けられます。
関連性のあるメールのみを送信し、返信してくれた人から優先的にフォローを行い、購読を解除した人には連絡しないようにすることで、良い評価を得ることができます。コンタクトリストがあなたを信頼するようになれば、あなたのスコアは上昇します。
反対に、スパムとしてマーク・報告されたり、知らないユーザーにメールを送ったり、業界やドメインのブラックリストに登録されたりするとメールのスコアは下がります。
送信者スコアはこちらより確認ください。
ステップ3:メールリストを購入しない
メールアドレスのリストを安易に購入しないようにしましょう。
リストの中に一人くらいは貴重なリードがいるかもしれませんが、大多数の受信者にとってはただの“迷惑メール”。信頼を失ってしまっては元も子もありません。
また、メールリストを購入すると、スパムトラップ(ハニーポット)にメールを送信してしまうリスクも…。スパムトラップにメールを送ると、迷惑メール検知サービスにあなたのドメインがブロックされるだけでなく、IPアドレスやドメインがブラックリストに登録されてしまう可能性もあります。
メールを送信する際は送信ボタンを押す前に、メールを希望していない送信先が含まれていないかどうか、必ず確認してください。
なお、Zoho CRM などのソフトウェア企業は、IPアドレスをホワイトリストに登録し、かつブラックリストに登録されたIPアドレスを解除するための措置を講じることもできます。
ステップ4:興味・関心の低いリードは深追いしない
メールの文中に、配信停止のリンクは設置されていますか?
もしリンクが設置されていない場合、配信停止の方法が分からず迷惑メールとして登録され、受信拒否されてしまいます。同様に、配信停止方法が分かりづらい場合も、購読者は不信感を募らせます。メールには配信停止のリンクを設置し、 配信停止リクエストを送信した人は、すぐに配信先のリストから削除するようにしましょう。
ステップ5:メールの配信内容を見直す
- 件名
メールが開封されない原因の大半は、件名にあります。
事実、「69%ものメールが件名だけでスパムメールと判断されている」という報告もあるほどです。したがって、件名には、売り込み文句や誇大広告と受け取れる内容、メールの中身が有益であると感じさせない内容を含まないようにしましょう。また、「英語の全角文字使用」や「不必要な句読点の配置」、「同一件名メールの複数送信」、「絵文字の多用」、「『緊急』など煽情的なワードを含むクリックベイト」、「誤字脱字」、「長文(41文字以上)」などは不適切です。スパムとしてマークされないために避けるべきキーワードが100以上リスト化されています。リストはこちらをご確認ください。
- メールテンプレート
大半の人は、画像が読み込まれる前にメールを閉じてしまいます。凝ったデザインのメールテンプレートを使うこと自体は問題ありませんが、読み込みに時間がかかりすぎる場合は注意が必要です。
- コンテンツのパーソナライズ化
パーソナライズされたメールは、一斉配信されたメールと比較して開封率・クリック率が大きく向上します。具体的には、件名がパーソナライズされている場合は開封率が26%、メール本文がパーソナライズされている場合はクリック率が14%向上します。
メールをパーソナライズする簡単な方法は、メール本文や件名に受信者の名前を含めることです。具体的な方法は、こちらの記事でご確認ください。(参照元:Campaign Monitor)
ちなみに、最も開封された営業メールは件名に「Re:」が含まれているそうです。ただし、「Re:」を誤用すると読者は不信感を募らせるため、注意が必要です。
ステップ6: 配信リストのセグメント化
MailChimp の調査によると、セグメント化されたメールは、セグメント化されていないメールと比較して開封率が14%、クリック率が100%以上向上しています。配信リストの全員に同じ内容のメールを送るのではなく、属性に応じてリストを細分化しターゲットを絞ることで、より多くの反応を得られます。
「地域」や「関心度」、「購入製品」や「購入時期」等、さまざまな属性でリストをセグメントしましょう。
(注意点)
受信者がメールを開く時間帯に合わせてメールを送信しましょう。ほとんどのメール配信ツールでは、受信者のIPアドレスに基づいてメールの予約配信を行えます。また、過去の履歴から傾向を分析し、連絡を取るのに最適な時間帯を算出してくれるツールもあります。
ステップ7:メール配信の結果を数値で確認
メールキャンペーン配信後は、結果を確認し、どうすれば開封率やクリック率を改善できるかを分析しましょう。開封率が低い場合は、件名を変更することで改善が見込めます。一方、開封率は高いのにクリック率が低い場合は、受信者に適切なCTA(Call To Action)を提供できていない可能性も。バウンスメールが多い場合は、ステップ1に戻りましょう。
Tips
- メールを送信する前に、必ず自分自身にテストメールを送り、最終チェックをしましょう。
- 受信者への質問や明確なCTAのあるメールは、それらがないメールと比べてより高いエンゲージメントを獲得できます。
- 無料の迷惑メール度判定ツールを使って、送信メールをチェックできます。
(迷惑メール度判定ツールの例)