- 業種専門サービス
- 事業内容中小企業向け経営コンサルティング
- 社員数13名
- ビジネスB2B、B2C
- 設立2014年
- URLhttps://www.comrade-firm.co.jp/
DX(デジタルトランスフォーメーション)など、助成金による支援施策をはじめ、国としてもIT化を積極的に進めている。また、新型コロナウィルスによるビジネスへの影響もあり、“従来のビジネスを変えていかなければならない”、 つまり事業変革が必要な状況にある企業も多くある。しかし、助成金があってもITをどのように活用できるのか、また、どのようなことに取り組んだら良いのかわからない企業も多いのが実態だ。実際、危機意識を持つ企業から、事業変革についての相談が増え、同じ業種や他社の事例を紹介することが多くなったと株式会社コムラッドファームジャパン 平阪氏は語る。
株式会社コムラッドファームジャパン(以下「CFJ」)は、中小企業診断士の有資格者による「経営支援のスペシャリスト集団」として、中小企業・小規模事業者向けにコンサルティングサービスを提供している。助成金について相談を寄せる企業に、何が使えて、どうやったらできるのか、“わかる言葉”で伝えることを大切に支援をしている。
代表取締役の平阪 靖規氏は、大手システムインテグレーターにて約10年間勤務したのち、中小企業診断士として独立。2014年10月のCFJ 設立時から顧客管理・営業支援ツール「Zoho CRM」を導入し、その他のZoho ツールも積極的に活用してきた。
現在は、45以上のツールを利用可能な統合パッケージ「Zoho One」で、社内業務のいっそうの効率化を図る平阪氏に、Zoho サービス活用の工夫やメリットなどについて聞いた。
「当社にとってZoho 製品は、攻めの部分、つまり、顧客を獲得して成果を出していく、ところで特に重要な位置付けとなっています。」
株式会社コムラッドファームジャパン
代表取締役 平阪 靖規氏
顧客管理のCRMを軸に、他のツールも活用すべくパッケージ製品を契約
ーーCFJ のビジネスモデルについて教えてください。
CFJでは、経営革新など、認定支援機関として中小企業向けの経営コンサルティングサービスを提供しています。具体的には、売り上げアップ支援、中小企業施策支援、創業支援サービスなどで、「マーケティング」「IT活用」「ファイナンス」「M&A」など、事業者さまの抱える経営課題に対応しています。
企業と成長していく、自らも学んでいくという、“ともに学び、ともに創る”を、モットーに活動しています。事業者様にとって「結果を出してくれる」と安心・信頼してもらえる存在として、年間150社を超える支援実績があります。
当社のパートナーから事業者様を紹介していただき、中小企業にサービスを提供するケースも多くあります。機械メーカーやITベンダー・士業の方など、中小企業と関わりのある方々が、例えばIT補助金申請などの案件を紹介するケースが全体の3~4割ほどを占めています。
ーー2014年の創業時、Zoho CRM を導入されたきっかけについて。
また、当時比較したサービスの中から、Zoho に決定した理由もあわせて教えてください。
元々私自身と、当時の社員がIT分野出身者ということもあり、パートナーや事業者様の管理はスプレッドシートではなく、きちんとしたツールが必要だ、と考えていました。そこで、ネットでリサーチした際、クラウド型のCRM を提供しているZoho を知りました。
創業間近だったので、何百万単位の投資やコンサルティングが必要なものは考えていませんでした。そこで、まずは無料お試しでZoho CRM を使ってみました。
2014年当時、Zoho CRM はローカライズがイマイチという印象がありましたが、コストパフォーマンスが高いことが魅力でした。また、クラウドサービスのため、今後ローカライズやUI(ユーザーインターフェース)などが改善されることを期待して、Zoho CRM の利用を開始しました。
ーー導入当初のZoho CRM とその他Zoho ツールの活用方法について教えてください。
Zoho CRM は、顧客を管理するために利用し、案件があれば、必ずCRM に入力するようにしています。また、メールマガジンを配信したいと考えていたため、Zoho Campaigns も導入しました。また、Webサイトにタグを入れて訪問履歴を残せるようにと、Zoho SalesIQ も個別に契約しました。
ーーその後、どのような理由でパッケージ製品に契約を変更されたのでしょうか?
個別で利用していたアプリが1契約で利用可能になること、統合管理画面が使いやすそうということもあり、Zoho CRM Plus に契約を変更しました。 また、2018年には、Zoho 40以上(導入当時)のツールが利用できるZoho One がリリースされたので、もっと使ってみたいと考え、Zoho One に契約を変更しました。
CFJ で利用しているZoho アプリケーション
ノーコード/ローコードのアプリを活用して、業務工数を次々に削減
ーー中核となる、Zoho CRM の活用について教えてください。
名刺を交換した人はどういう属性であれ、いったんZoho CRM に見込み客として登録しています。CRM はBtoB とBtoCで使う項目が異なるため、顧客区分を追加するカスタマイズをしました。また、当社ではパートナー紹介案件が全体の3〜4割を占めることもあり、そのためには新たなパートナーを獲得することも重要視しています。そこで、まだ顧客になっていないパートナーについては、通常の見込み客タブで管理するのではなく、パートナータブを新たに作成し、特有の登録情報を登録できるようにしています。パートナーの情報を商談情報と関連づけることで、どのパートナーがどの商談を担当しているかがすぐにわかるようになり、パートナー管理が効率化されました。
ーーZoho CRM を使って効率化された業務について教えてください。
見込み客がお客さまを紹介してくれるパートナーになる際、パートナータブへ手入力で移すのは面倒なので、パートナーに自動で変換されるしくみを作りました。チェックボックスにチェックが入ると、情報がパートナーのタブへ転記されます。これにより、手作業で行う場合と比較すると、工数が8割程度削減されています。
また、事前にCRMで設定した定期レポートをメールで受け取れるようにして、定例会でチェックするようにしています。個々の仕事のボリュームや売上、案件などを見える化できるので、わざわざ集計する必要がなく効率的です。
さらに、サービス連携・自動化システム Zoho Flow を利用して、Zoho CRM の中で特定のアクションをトリガーに別のタブに情報を流し込む処理を行っています。別で管理した方が良いものをわけ、そこに自動で情報を関連付けすることで、情報を手動で突き合わせる手間や人的ミスがなくなりました。また、必要な情報同士が関連付けられることで管理がしやすくなりました。
また、近年で導入効果が大きいと感じたのは、契約書を電子化し紙でのやりとりをなくしたことです。
ーー契約書の電子化について、詳しく教えてください。
Zoho CRM と、電子署名ができるZoho Sign を連携させています。 顧客も、コロナということもあって、電子化への障壁が低くなり、受け入れてくれやすくなりました。紙で契約書を締結しようとすると、印刷して、製本して、印鑑を私から受け取って、……といった対応が必要です。当社のメンバーがオフィスにほとんど出社していない中で、こうした運用ではまわらなくなります。業務自体で一杯一杯な中では、契約が後回しになってしまうこともありました。
しかし、Zoho Sign を利用すれば、差し込み文書を作っておいてCRM のお客さま情報を入れると、ボタンを何回か押すだけで契約書を作成し、送付できます。紙だと1契約に対して、15分から20分ほどかかってしまう作業が、1分もかからずにできます。
業務フローも、データを入力して、商談を登録し、契約書を送付する、という流れができ、漏れやミスがなくなりました。
ーー電子署名を受け入れる顧客はどのくらいでしょうか?また、工夫されていることはありますか?
当社所定のフォーマットを提示して「電子契約でお願いします」と伝えた際に「いや、紙で」とおっしゃる方は、20社にお願いしたとしてせいぜい1社、つまり5%といったところでしょうか。ほとんどの場合、ご快諾いただけます。
しかし実際、半数は電子契約の取り交わしに慣れていないため、「この操作をしてください」「この件名でメールが飛びますので確認をお願いします」など、使い方を丁寧に説明するようにしています。
顧客情報がZoho CRM にきちんと蓄積されていれば、情報を入力する必要がなくZoho Sign で契約締結を進められます。1点、工夫したポイントは、Zoho CRM の項目に代表者の肩書きと名前を記入する項目を設置した点です。ふだんやりとりしている方は代表権のある方ではないことも多く、担当者のお名前をそのまま契約書に転記すると支障が出ます。こうして、Zoho CRM に契約者の情報を記録することで、Zoho Sign に自動で差し込まれるようにしています。
ーー現状は平阪さまがひとりでカスタマイズ・連携を行っているのでしょうか?
深いところまで自分で作り込むのは大変ですか?
はい。自分が作って社員に使わせています。
もともと私はIT系のエンジニアではありましたが、それほどプログラミングは得意なほうではありません。私が連携や自動化の設定で使用しているZoho Flow 自体は、プログラムをガチャガチャと打つのではなく、要素を選択してゆけば出来上がるいわゆるローコード/ノーコードのツールです。手探りの部分もありますが、実はそこまで手間をかけていません。アプリケーション作成ツール Zoho Creator で、決算書を入力するカスタムアプリを作ってみようとしたこともありましたが、まだ、やりたいようにはできておらず、道半ばです。Zoho One を契約しているので、このように気になったツールを気軽に試せることは嬉しいですね。
費用対効果が相当高いマーケティング・オートメーション。
言語の壁はそれほど問題とならない
ーー数多くのZoho ツールを利用されていますが、データの取り込みや連携はどのようにされていますか?
見込み客の獲得や採用の応募など、データを取り込む登録フォームを一元管理しています。アプリごとにフォームが作れますが、バラバラに作ると管理が面倒になるので、登録フォームはすべてZoho Forms で作成しています。
見込み客の獲得フォームからはZoho CRM とZoho Marketing Automation に、採用応募フォームからはZoho Recruit にというように、各ツールを連携させることで、自動でデータを取り込めるようにしています。各ツールとのデータ連携は、簡単に設定できました。
ーーZoho Marketing Automation の活用について、詳しく教えてください。
低コストで高機能なマーケティング・オートメーション(MA)として活用しています。Zoho の他ツールとの連携もスムーズで、費用対効果が相当高いツールだと思います。フォームから登録した方へステップメールを送信するなど、顧客とのメールでのやりとりを自動化できて使いやすいです。
ネックは、UI(ユーザーインターフェース)が英語で、サポートも日本の窓口で対応していないことです。英語が苦手な場合は使いづらいところはありますが、Google Chrome など、ブラウザの翻訳機能があれば結構使えます。サポートも英語でお願いする必要がありますが、これもGoogle 翻訳レベルでもやりとりできました。
現代のテクノロジーを使えば、言語の壁はそれほど問題ではないと感じました。ですので、英語が苦手な場合でもMAを導入したい方にはおすすめです。もちろん、MAを使いこなす知識は必要ですが、勉強しながら使っても、気にならないほど低コストです。
ステップメールの設定画面
自社で使えるZoho One のツールをどんどん使う
ーーお問い合わせの管理はどのようにされていますか?
Web サイトの問い合わせフォームはZoho Forms で作成して、そこから受けた問い合わせはすべてZoho Desk に飛ばしています。返信はDesk から行うため、社員の誰でも対応ができます。メールだと誰が返したか、誰が対応すべきかなどを別に管理しないといけなかったのですが、いまはアサイン(担当者の割り当て)さえしておけば、漏れなく対応できます。また、CRM と連携することで、その履歴がCRM に記録されます。そのため、重要なメールの文面をCRM のメモに貼り付ける手間がなくなりました。
Zoho Desk でのお問い合わせ管理画面
ーー人事系のサービスは、どのように利用されていますか?
現在、Zoho People に社員の情報を格納して、必要に応じて参照する程度の使い方をしています。社員がPeople から何かを行うような使い方(目標管理等)まではまだ至っていません。
採用では、Zoho Recruit を利用しています。特別な使い方ではなく、Forms で作った採用フォームから応募が来たら、候補者の情報がZoho Recruit に格納されるようにしました。Zoho CRM の採用版みたいな感じで、採用関連の情報はすべてZoho Recruit に格納して管理しています。
ーークローズドSNSを使っているとのことですが、どのようなものでしょうか?
Zoho Connect を使うと、社内のコニュニケーションだけでなく、独自ドメインでクローズドSNSも構築できます。外部のネットワークを追加で契約し、社外の方とコミュニケーションをとっています。テーマごとにグループを作って参加してもらったり、何かチームを組んでやりましょう、といった時にディスカションをするなど、中小企業診断士コミュニティとして活用しています。また、経営のコンサルタントを志望されている方に対するサービスの提供も行なっています。有益なコンテンツの提供や資格更新のサポートを行なっています。
Zoho Connect を利用したクローズドSNS
ーー CFJにとってZoho ツールはどのような存在ですか?
CFJでは、創業時よりZoho ツールを活用していますが、特に攻めの部分、つまり、お客さまを獲得して成果を出していく点で、重要な位置付けになっています。Zoho CRM はカスタマイズ性がかなり高く、自分たちのやりたいことがやれる、という印象があります。今後もビジネスの軸として活用していくことは変わらず、現在でも想定の80%くらいのことが実現できているかなと思っています。
ーー すでにたくさんのツールを活用されていますが、Zoho One の活用における今後の展望をお聞かせください。
Zoho CRM のポータル機能を使って、パートナーへの情報共有をスムーズに行うことを考えています。忙しくなってくると、どうしてもステータス等をこまめにお知らせすることが難しいため、残してあるメモをパートナーが直接参照できるようにしたいと考えています。また、他社のクラウドサービスとも連携できるので、Zoho Flow をハブとして使って、今後も業務効率を上げる効果的な連携を実現できればと思っています。
ーー最後に、 Zoho ツールの活用を検討されている方にメッセージをお願いします。
新しいツールの導入は敷居が高い、また、結果が出るまでには時間がかかるように思うかもしれませんが、導入してしまうと慣れていくものです。Zoho ツールであれば、コストメリットが大きく、導入の敷居を下げられると思います。必ず効率が良くなったり、売り上げに貢献する結果につながると思うので、まずはツールを入れて活用してみることが大事だと思います。現在ではIT導入補助金など、国からの助成金もあるので、うまく活用されることをおすすめします。
コムラッドファームジャパンの皆さま