カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客が製品を知ってから購買に至るまでの過程のことです。それは複数のプロセスに分けられ、自社の商品やブランドに合わせて整理することで顧客体験の全体像を捉えることができます。

カスタマージャーニーを整理するメリット

カスタマージャーニーを整理するメリットを4点紹介します。

  • 顧客理解が深まる

    カスタマージャーニーを整理することで、企業は顧客が商品やサービスに出会うまでのプロセスを改めて理解することができます。これにより、顧客の状況に応じて本当に必要な情報を提供することができ、顧客との関係を強化することができます。

  • 社内の認識を統一

    カスタマージャーニーを整理することで、企業内で顧客に対する認識が統一されます。これにより、マーケティング、営業、カスタマーサポートなどプロセスに応じた施策の統率が取れ、より戦略的に施策に取り組むことができます。

  • 課題や施策の優先順位を明確化

    カスタマージャーニーを整理することで、どの段階の顧客がどのような行動や感情を持つか明確になります。特にマーケティング部門は、ジャーニーの多くのプロセスに関わるため、整理で見えた課題を洗い出し、優先順位を明確にして施策を展開できます。

  • 顧客体験の向上

    カスタマージャーニーを整理することで、顧客がどのような体験を求めているかを把握し、その対策を打つことができます。これにより、顧客のロイヤルティを高められます。顧客が抱える問題に対して素早く対応でき、顧客満足度の向上につながります。

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、カスタマージャーニーを可視化したものです。さまざまなフレームワークがありますが、
「近代マーケティングの父」などと呼ばれる経営学の権威、フィリップ・コトラーの『マーケティング4.0』で提唱された、
接続性の時代(顧客がネットに繋がっている時代)におけるカスタマージャーニーマップの考え方は、従来から大きく変わりました。
従来は、左から右へと、ろうと(ファネル)のようにすぼまっていくものでしたが、現代ではプロセスの途中から出たり入ったり
プロセスを飛び越えたり、どのようなカスタマージャーニーもあり得ることが示されました。

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップを自社向けにどうアレンジするか、作り方は以下の通りです。

  • ペルソナを設定する1

    施策をより具体化するために、
    商品やブランドのペルソナ(典型的なユーザ像)を設定しましょう。

  • 顧客の行動を整理する2

    ペルソナを思い浮かべながら、「認知」
    「訴求」「調査」「行動」「推奨」の各プロセスでの顧客の行動を書き出しましょう。

  • タッチポイントを整理する3

    顧客の行動をもとに、どのような接点(タッチポイント)が自社であるか書き出しましょう。

  • 顧客の感想を整理する4

    タッチポイントを経て、顧客がどのような感情になるか書き出しましょう。

  • マッピングする5

    これらの要素を1つのマップにまとめましょう。

 認知Aware訴求Appeal調査Ask行動Act推奨Advocate
顧客の
行動
過去の経験、マーケティングのコミュニケーション、他者の推奨によって商品やブランドを知る認知した数ある情報の中から、検討の対象にする商品やブランドに惹きつけられる特に魅力を感じたものを積極的に追加情報を得ようとする商品やブランドを購入や契約、申し込む。
さらに利用、サポートなどを通して深く体験する
強いロイヤルティが醸成され、契約更新や再購入する。
商品やブランドを自発的に他者に推奨する
タッチ
ポイント
  • 過去の経験を思い出す
  • たまたま商品や
    ブランドの広告を見る
  • 他者から商品や
    ブランドのことを
    聞かされる
  • 検討対象にする一部の
    商品やブランドを選ぶ
  • 口コミサイトや
    比較サイトを検索する
  • 他者に商品やブランド
    について尋ねる
  • 提供企業へ直接
    問い合わせる
  • 店舗やオンラインで
    購入する
  • 商品やブランドを使う
  • サービスを受ける
  • 商品やブランドを
    継続利用する
  • 契約更新やリピート
    購入する
  • 他者に推奨する
顧客の
感想
知っている好感を持っている良いと確信している購入するつもりだ推奨するつもりだ
フィリップ・コトラー『マーケティング4.0』の図を基に当社で作成

カスタマージャーニーマップの活用法

マップを作成して施策にどう落とし込むか、活用法の例を挙げます。

不足するタッチポイントを用意

顧客の行動に合わせ、書き出したタッチポイントを基に、不足しているタッチポイントを増やします。例えば、「行動」の段階で商品を実店舗でしか販売していない場合は、オンラインショップを開店するのも選択肢でしょう。

マーケティング施策の改善 

タッチポイントにも関連しますが、「認知」「訴求」「調査」はマーケティング領域で施策が多いです。タッチポイントと感情を細かく分類すれば、特定の顧客にキャンペーン金額を大きくする、1 to1マーケティングも可能で他社との差別化に役立ちます。

プロセスごとのKPIを
設定し可視化

プロセスを分けることで、企業の成長に貢献するドライバが各プロセスで判明するでしょう。それをKPI(Key Performance Indicator; 重要業績評価指標)と設定すれば、その可視化、イコール成長の可視化、とすることができます。

KPIとは?詳細はこちら

営業プロセスの改善

「調査」「行動」には営業部門が関わります。顧客に必要な情報をどの段階で提供するか、さらには使い続けてもらうためにどのようなコミュニケーションが必要か、全体を俯瞰しながら営業プロセスを改善できます。

俯瞰してPDCAを回す

経営層はもちろん、現場の部門もマップを俯瞰し、全体のプロセスがどうなっているかを考えながらPDCAを回すことで戦略をより洗練させていくことができます。

カスタマージャーニーの可視化と
顧客体験の最大化ならMA/SFA/CRMツール

カスタマージャーニーは、顧客が製品を知ってから購買に至るまでの過程のことです。
感覚でなく、このプロセスを数値化し可視化するには大量のデータを処理できる
ITツールが便利です。代表的な3ツール、MA(マーケティング活動自動化; Marketing Automation)、
SFA(営業支援; Sales Force Automation)、CRM(顧客管理; Customer Relationship Management)、でできることを紹介します。

  • MAツールができること

    マーケティング活動の自動化を目指すツールで、多くはメールアドレスをキーとして、自動メール送信機能を備えています。顧客ごとにサイトのポップアップを変えたり、顧客の購入確度を行動で分類するスコアリング機能を備えているものもあります。一方、顧客化した後のプロセスは主要な守備範囲ではないです。

    MAとは?詳細はこちら
  • SFAツールができること

    営業支援、という観点で、営業のプロセスの管理や可視化機能を備えています。顧客の購入確度に応じ営業担当者に対して架電や訪問のアラートを出すなどです。営業支援を主眼としたツールのため、顧客視点、というより企業視点であることが強みです。

    SFAとは?詳細はこちら
  • CRMツールができること

    顧客情報の管理、という観点で氏名、メールアドレス、住所などを保存します。さらに顧客データを企業活動に活かすことを主眼としているツールのため、MAやSFAツールをはじめさまざまなツールと連携できる場合があります。さらに、CRMツール内にMAやSFA機能を持っていることもあります。

    CRMとは?詳細はこちら

カスタマージャーニーの全てを網羅できるZoho CRM

企業向けのITツールを提供しているゾーホーのクラウド型CRMツール「Zoho CRM 」は、MA、SFA、CRM全ての機能を
持っています。このため、顧客のどのプロセスも管理、可視化できます。世界180か国、25万社以上が導入しているツールです。

顧客が商品を知ってから購買後まで顧客情報で一元管理

CRMツールの基幹機能です。Zoho CRMで管理する顧客情報は、
「見込み客」、「取引先」、「連絡先」の3つに分類されます。つまり、
カスタマージャーニー全ての情報が一元管理できます。

見込み客:まだ購入には至っていないが、今後購買につながる可能性のある顧客
取引先:商談が開始された、またはすでに購買に至った取引先の企業
連絡先:取引先企業の連絡担当者のこと。連絡先は取引先の企業情報に関連

フォームから自動登録

MAツール的な機能です。サイトに設置されたWebフォームや利用中の他サービスに登録されたリード情報をCRMに自動的に取り込むめます。リードの獲得経路や問い合わせ商品など、データの登録経路をもとに自動的に補足情報を登録することもできます。

Zoho CRM のフォーム機能について詳細はこちら

カスタマージャーニーを
マーケティングプロセスに落とし込み

MAツール的機能です。収集したリード(見込み客)にルールを決めて分類し、マーケティングプロセスに落とし込みます。分類はタグとして一目でわかります。また、育成(ナーチャリング)の自動メールもツール上で設定できます。

Zoho CRM のリードの分類機能とは?詳細はこちらZoho CRM のリードナーチャリング機能とは?詳細はこちら

カスタマージャーニーを営業
プロセスに落とし込み

SFAツール的機能です。自社の営業プロセスをまず設計図(ブループリント)で定義します。それに基づき一定のステージに顧客を滞留させないように、アラートを出したりタスクとして担当者に表示させたりできます。

Zoho CRM のブループリント機能とは?詳細はこちら

全体の進捗状況を可視化

取り込んだ顧客情報を分類し、それを営業プロセスにどう進めるかルールを整理したら、その大量のデータがプロセスごとにどのくらいあるのか、ダッシューボード機能で可視化できます。どのプロセスに課題があるのか一目瞭然です。

Zoho CRM のダッシュボード機能とは?詳細はこちら

さまざまなツールと連携し接点情報を一元管理

拡張的な機能です。顧客の全プロセスに関わる活動は、企業の活動そのもの、といっても過言ではありません。すでに企業によって別のツールを使っていても、Zoho CRM に連携できます。
例えば、顧客の問い合わせを管理するヘルプデスクツールと連携し、問い合わせの詳細をCRMツールに登録することもできます。

Zoho CRM と連携できるアプリについて詳細はこちら