CRM/SFA 導入事例経営全体を見える化し、赤字経営から脱却。
戦略的営業と経営改善により利益率1.5倍増を実現
- 株式会社デジタル・クリエイティブ・ネット
- 所在地東京都中央区月島1-14-7
- 業種映像・音声制作 撮影・レンタルスタジオ
- 設立1999年1月29日
- 従業員数4名
- ビジネスBtoB,BtoC
東京都・月島でレンタルスタジオ事業などを展開する株式会社デジタル・クリエイティブ・ネット(以下、DCN)。2016年ごろ、経営の危機に直面していた同社は、経営改善を実現するツールとして「Zoho CRM」を導入。顧客管理、案件管理、財務管理、マーケティングなど、自社の経営全体を見える化して、財務の健全化や利益率の向上を推進した。その結果、経営は黒字に転じ、2017年以降から現在まで右肩上がりの業績アップを実現している。
DCN の代表取締役 草間拓生氏は、「Zoho CRM の活用で、バックオフィス業務は、ほぼ私1人で完結できています。事務職などを雇用する必要もなくなり、このコスト削減効果は驚異的です」と、Zoho CRM を高く評価する。さらに、草間拓生氏の実娘でありZoho CRM の導入を主導した草間千恵氏は、「Zoho CRM は拡張性が非常に高く、他サービスとの連携を進めれば、あらゆる経営課題を解決できるシステムに育てることが可能です」と太鼓判を押す。
― DCNの企業概要や事業内容について教えてください。
草間拓生氏:DCN が展開している事業は主に2つです。1つがレンタルスタジオ事業で、私がプロカメラマンとして利用していたプライベートスタジオを2015年にリニューアルし、レンタルスタジオとして貸し出しています。特に人気が高いのは、キッチンスタジオとしてのご利用です。スタジオには業務用キッチンや 500種類以上の調理備品を用意しており、料理番組やコマーシャル、雑誌の料理撮影にも対応可能です。プロカメラマンとしての私の経験を生かした、きめ細やかなサポートや環境づくりが強みとなっています。
草間千恵氏:もう1つが、バックオフィス業務の自動化を支援するシステムアドバイザリー事業です。以前、私が連結会計システムベンダーやECベンダーで勤務していた経験を生かし、ITツールのシステム選定から導入、社内向け運用教育までをご案内しています。システムを現場で使ってもらえるように、実務レベルまで落とし込んだ構築を強みとしています。また、私はZoho認定パートナーでもあり、Zoho CRM を始めとするZohoサービスを活用した事業再生/再建も数多く手がけています。
経営改善の切り札として、Zoho CRM を導入。
経営全体の見える化を通じて、財務の健全化や利益率向上に着手
― Zoho CRM を導入された経緯を教えてください。
草間拓生氏: Zoho CRM を導入した目的は、経営を立て直すためでした。2016年ごろ、DCN は経営の危機に直面していました。赤字が続き、負債が積み重なり、会社を畳むことも検討せざるを得ない状況でした。外部のコンサルタントに頼ったこともありましたが、うまくいかず、後がない状況のなかで、会計とITに知見の深い娘が事業再生に奮起したのが、Zoho CRM 導入のきっかけでした。
草間千恵氏:当時のDCN の課題は、顧客管理や財務状況などの経営管理が不十分で、財務数値も把握できていないことでした。エクセルでかろうじて顧客や案件などを管理していましたが、その他の領域では管理が行き届いていませんでした。特に、財務に関しては、外部の税理士の方にほぼ任せている状態で、月間の固定費がいくらなのかといった基本的な情報も把握できていませんでした。そこで、Zoho CRMを導入して、顧客や案件、財務、マーケティングなど、経営全体を見える化し、それをもとに経営改善にのぞむことにしました。
― Zoho CRM を選定した理由は何でしょうか。
草間千恵氏:過去にDCN で物販事業を手掛けていた際に、受発注や問い合わせ対応などECのバックエンド業務を構築するためにZoho CRM を導入しました。Zoho CRM を活用することで、受発注管理から問い合わせ管理、マーケティング、売上管理、売上予測、財務分析など、物販事業に必要な業務を一貫して管理でき手応えを感じていました。このツールをレンタルスタジオ事業に展開すれば、経営全体の見える化を実現できると考え、Zoho CRM を選定しました。
― 導入の過程について教えてください。
草間千恵氏:導入期間は約3日間です。1日目に支払い関連、2日目に売上関連、3日目に案件管理といった順に、データ入力やダッシュボード作成を急ピッチで進めました。すると、固定費や変動費といった月間の支払いが明らかになり、コスト削減に着手できるようになりました。機材や備品などの契約内容を見直すことで固定費の削減を進め、そのほかの変動費も抑制し、月間の支払いを50%以上削減しました。
また、月間の固定費が明らかになれば、売上の目標も立てられますし、請求書のデータを活用すれば各月の売上の達成度も明らかになります。こうして、Zoho CRM を活用することで、さまざまな経営上の数値がどんどん見える化されていきました。あとは各数値を注視しながら、コストカットや利益率の向上を目指せば良いという状況が出来上がりました。
導入から約1年で黒字転換。
売上高2倍増、利益率1.5倍増を実現し、業績を改善
― Zoho CRM をどのように活用されていますか。
草間拓生氏:財務管理、顧客管理、案件管理、マーケティングなど、DCNの主要な業務をZoho CRM上で行っています。例えば、問い合わせから見積書作成・発送、案件入力、スケジュール管理、請求書発行までの一連のお客さま対応は、すべてZoho CRM上で完結しています。これによる業務効率化の効果は驚異的です。以前は、お客さまから問い合わせの電話を受けると、その内容を事務所のPCでエクセルの案件管理表や見積書のテンプレートに入力するといった作業が必要で、見積書作成までに半日を要することも珍しくありませんでした。しかし現在では、お客さまから電話を受けると、会社や自宅のノートPCですぐにZoho CRM を開き、案件入力や見積書作成・発送が可能です。
草間千恵氏:高度な分析レポートが作成できる「Zoho Analytics」と連携し、マーケティング指標と財務指標を統合した分析を行っています。具体的には、HPの月間アクセス数から売上高、請求額、入金額などの指標を統合したダッシュボードをZoho Analytics で作成し、分析に用いています。これにより、今月のKPI達成には、Webマーケティングを強化すれば良いのか、売上の転換率を向上させればよいのか、売上の回収が遅れているのか、といった経営のボトルネックが精緻に見える化されるため、適切な対応が可能になります。
そのほか、Zoho CRM はWebマーケティング施策の立案にも大きな役割を果たしています。Zoho CRM で詳細な顧客管理が行われるようになり、DCNにマッチした顧客セグメントやニーズが明らかになりました。その内容をWebサイト構築サービスの「Zoho Sites」を活用して自社HPに盛り込むことで、アクセス数向上や離脱率低減を図っています。実際に、現在、HPのトップに掲げている「幅8m×高さ4.7m白ホリゾント」「車両が入る広々搬入口」といったコピーは、Zoho CRM での分析により明らかになったお客さまのニーズを反映したものです。
― Zoho CRM を導入したことで、どのような効果を得られていますか。
草間拓生氏:Zoho CRM を導入後、DCN は業績の改善を実現しました。導入の1年後には、長年の赤字を脱却し、黒字への転換を果たしています。その後、売上高や利益率も向上し続け、2016年から現在までに、売上高は約2倍、利益率は約1.5倍の成長を実現しています。
業績の改善には、レンタルスタジオ事業の事務処理を、ほぼ私1人で完結できるようになったことも大きく貢献しています。以前は、事務処理を担当する正社員を雇用し、財務書類などを作成するために外部の税理士に委託料を支払っていました。現在は、Zoho CRM と会計ソフトのfreee を連携させ、請求書や見積書の作成はもちろん、財務諸表の作成などもほぼ私1人で対応できています。これまで支払っていた正社員1人分の給与や社会保険料、税理士への委託料などを考えると、年間で数百万円の経費が削減されています。
草間千恵氏:事務処理の作業を削減できたのは、私としても非常に嬉しく思っています。父はもともとプロのカメラマンであり、クリエイターです。しかし、以前は、「事務処理8割:クリエイティブ2割」といえるほど、事務処理に圧迫されて、疲弊していました。それが現在では、事務処理の作業時間を削減できたことで、「事務処理2割:クリエイティブ8割」とクリエイティブの仕事に多くの時間を割けるようになりました。父が生き生きと仕事をする姿を見られるようになったのは、一番の収穫かもしれません。
「経営者本来の力」を引き出すZoho CRM のポテンシャル
― Zoho CRM に対する評価をお聞かせください。
草間千恵氏:「経営者本来の力を発揮させられるツール」だと思います。私自身、ITツールの導入支援事業などを通じて、経営者の方と接するなかで強く実感するのが、多くの経営者の方々は、非常に優れた力を持っているということです。しかし、それでも経営不振に陥ってしまうのは、経営者本来の力を発揮するための「土台」が準備されていないからです。事実、父も、財務や売上高のダッシュボードが整えられてからは、すぐに利益率の計算や予測ができるようになりました。Zoho CRM は、顧客や案件、財務、マーケティングなど、経営に関するあらゆる状況を見える化して、経営者の本来の力を引き出す土台づくりを実現します。
― DCN の今後の事業の展望をお聞かせください。
草間拓生氏:DCN の社名には、「デジタル上でクリエイティブなネットワークを形成し、一丸となって世の中の課題を解決しよう」という意味が込められています。現在、レンタルスタジオ事業は、数多くのフリーランスのパートナーとのネットワークにより、安定した運営ができています。こうした現在を送れているのも、Zoho CRM を導入したことで、経営の改善が実現したからです。今後もZoho CRMの力を活用しながら、クリエイターのネットワークを生かし、より良い仕事を発信していきたいですね。
株式会社デジタル・クリエイティブ・ネット
- 所在地:東京都中央区月島1-14-7
- 業種:映像・音声制作 撮影・レンタルスタジオ
- 従業員数:4名
- ビジネス:BtoB, BtoC
- 事業内容:レンタルスタジオ、ITアドバイザリーサービス等
- 設立:1999年1月29日
- URL :https://www.rental-studio.tokyo/