CRM/SFA 導入事例顧客管理ツールのリプレイスで、運用コストを
約80%削減。エクセルによる案件管理からの
脱却にも成功。
- 株式会社バイオクロマト
- 所在地神奈川県藤沢市本町1-12-19
- 業種製造業
- 設立1987年(昭和62年)2月
- 従業員数15名 (2019年1月現在)
- ビジネスBtoB
研究機関や大学、メーカーなどに向けて、研究の効率化支援に関わる商品の開発、販売を行う株式会社バイオクロマト(以下、バイオクロマト)。同社は、年間約130万円かかっていた顧客管理ツールのコスト削減を目的にZoho CRM にリプレイス。Zoho CRM の導入により、年間の運用コストを約80%削減させた。さらに、Webサイト強化も並行して行ったことで、顧客からの問い合わせ数が約10倍に増え、使い勝手の悪かったエクセルによる案件管理からの脱却も実現している。
同社でZoho CRM の導入・運用を担当した太田 翔氏は「Zoho CRM はとにかくユーザーインターフェース(UI)が優れています。管理者向けトレーニングを活用することで、ITに関する知識が少なくても簡単に設定や運用ができます。目当ての情報にすぐにたどり着くことができるので、顧客データベースとして非常に価値の高い製品です」と、Zoho CRM を高く評価する。
太田氏「Zoho CRM は操作性に優れています。導入を検討されている方は、まずは導入してみて、使いながら操作を覚えることをお勧めします」
株式会社バイオクロマトDIVISION6 VFP営業部 太田翔氏
― バイオクロマトの事業内容について教えてください。
太田氏:バイオクロマトは、化学実験などに用いられる研究機器・装置を開発・製造・販売しています。主なお客さまは、国立の研究所などの研究機関、大学、素材や化粧品などの国内大手メーカーなどになります。理化学業界では一定のシェアを有しており、お客さまからも機器・装置のクオリティに高い評価を受けています。
― 特に、評価の高い機器・装置を教えてください。
太田氏:生体試料や化合物サンプルの溶媒を除去する濃縮装置です。濃縮装置とは、例えば、ある試料の成分分析を行う際に、溶媒(液体)が多く含まれていると成分を検出しづらくなり、機器を用いた分析が妨げられてしまいます。そこで、濃縮装置を用いて溶媒を除去することで、効率的な分析が可能になります。特に、バイオクロマトの濃縮装置「コンビニ・エバポ」は、ジメチルスルホキシド(DMSO)やジメチルホルムアミド(DMF)など、従来、濃縮が難しいとされてきた溶媒の除去も可能なため、多くの研究員の方々から高い支持を得ています。
メール配信を強化するほどコストが増大に。
大幅なコスト削減を目的にZoho CRM を導入
― Zoho CRM 導入以前の課題を教えてください。
太田氏:最も大きな課題は、当時利用していた販売促進・営業支援ツールの運用コストでした。
2016年頃、バイオクロマトでは製造業向け販売促進・営業支援ツールを利用し、顧客管理とメール配信を行っていました。しかし、メールの配信数に上限があり、上限を超えた場合は従量課金で使用料が上乗せされていく料金体系でした。そのため運用費がかさみ、年間130万円ほどに膨らんでいました。
バイオクロマトは、展示会などで獲得したリードに対してメールを配信し、電話でアプローチを行う営業手法を取り入れています。しかし、配信すればするほど費用がかさむため配信数を増やすことができず、大きなジレンマを抱えていました。
また、エクセルで行っていた案件管理にも課題がありました。提案内容や進捗状況をエクセルで管理し、社内サーバー上でファイルを共有していました。しかし、一つのファイルを複数名で共有しているため、「誰かが案件管理表を開いていると、自分は利用できない」不便さがありました。また、当時の案件数は2000件を超えていたため、データが重すぎて思うように動作しなかったり、目当ての情報になかなか辿り着けない、などの使い勝手の悪さも感じていました。
― Zoho CRM を導入した経緯をお聞かせください。
太田氏:Zoho CRM の導入を発案したのは、代表の木下でした。2016年7月ごろ、木下は関係先から「Zoho CRM という、安価ながら多種多様な機能を備えているツールがある」という噂を聞きつけ、私にZoho CRM のリサーチを指示します。そこで、Zoho CRM について調査をすすめる中で、Zoho には、CRM以外にもメルマガ配信ツール「Zoho Campaigns」もあることを知りました。CRM は顧客管理・案件管理として利用できますが、CRMの顧客データベースを利用してZoho Campaignsからメルマガ配信を行えば、販売促進・営業支援ツールで行っていた運用をそのまま再現でき、かつ費用は年間30万円程度ということで、大幅なコスト削減が期待できました。
そのことを代表に報告したところ「まずは無料で使ってみて、使い勝手を確認してみよう」という返答を得たため、他製品と比較検討することなく検証を行い、そのまま導入に進みました。
利便性の低かったエクセルの案件管理表を廃止し、Zoho CRMに統合。
運用を通じて、案件管理の細密化を推進
― 導入の決定からカットオーバーまでの流れを教えてください。
太田氏: 2016年7月末に導入を決定し、顧客情報などをCSVでインポートし、リプレイスが完了。同年9月から、本格的な運用を開始しています。
― 導入にあたり工夫された点があればお聞かせください。
太田氏:案件管理には工夫を凝らしました。運用開始当初は、エクセルの案件管理表とZoho CRM を併用していたのですが、しばらくすると、社内のメンバーから「Zoho CRM に案件管理を集約できないか」という要望が出るようになりました。そこで、案件管理表に記録していた項目を、Zoho CRM の案件管理の項目でも再現し、案件の通し番号や販売金額など、エクセルの案件管理表には設けていなかった項目を追加する、といった工夫をしながら、案件管理をより細密化していきました。
― 現在、Zoho CRM をどのように活用されていますか。
太田氏:エクセルの案件管理表は廃止され、案件管理はすべてZoho CRM に統合されました。営業会議では、メンバーそれぞれがZoho CRM の案件情報を見ながら、情報共有や進捗報告を行っています。
また、メール配信のデータベースとしても活用しています。開封状況や、どのコンテンツをクリックしているか、といった情報をCRM上で把握できるため、営業担当者はお客さまの検討状況などをある程度把握した上で電話アプローチできます。
運用費が約80%減少した一方で、Web経由の問い合わせ数は約10倍に。
営業担当者のコミュニケーションが促進され、高額製品の成約率が向上
― Zoho CRM の導入効果を教えてください。
太田氏:まずは、大幅なコスト削減です。Zoho CRM を含む3サービスを導入したにも関わらず、年間の運用費は約30万円程度。その後、2020年にアカウントをZoho のオールインワンパッケージである「Zoho One」に切り替え、現在では、財務管理ツール「Zoho Books」など、何種類ものZoho サービスを利用していますが、それでも年間の運用費は約75万円です。販売促進・営業支援ツール のころには顧客管理とメール配信のためだけに、年間130万円を費やしていたことを考えると、コスト削減の効果は驚異的です。
Zoho CRM による案件管理は、営業担当者同士のコミュニケーションの質を変え、チーム営業を可能にしました。
エクセルで案件管理を行っていた頃は、複数のメンバーで同時に案件情報を確認するのが難しく、特定の案件についてチーム全体で改善策を考えるような取り組みはできていませんでした。
しかし、Zoho CRM の場合、これまでの提案内容や進捗状況などの案件情報が一覧できるほか、その画面を複数のメンバーで共有できるため、営業担当者同士のディスカッションが生まれやすくなります。事実、バイオクロマトでは、Zoho CRM の導入以降、高額製品の成約率が向上しています。これは、営業担当者がチームで改善策を考案する機会が増え、より高度な提案が可能になった結果だと考えています。
さらに、Webサイトの改修やZoho Campaigns と連携したメール配信の強化も並行して行ったことで、Web経由の問い合わせ数も急増しています。Zoho CRM の導入以前、Web経由の問い合わせは、1か月平均1、2件ほどでしたが、現在では10件前後にまで増えています。メール配信は、お客さまに会社や製品のことを想起してもらうきっかけになります。メール配信を強化したことで、お客さまがWebサイトを訪問するきっかけとなり、結果としてWeb経由の問い合わせ増加にもつながっています。
今後は、ダッシュボード機能の活用により、利益率向上などの経営指標改善を狙う
― Zoho CRM への評価をお聞かせください。
太田氏:最も評価するポイントは「使いやすさ」です。Zoho CRM の導入・運用は私が担当していますが、私は現在も、いち営業担当者で、プログラミングや開発のスキルを有しているわけではありません。しかし、それでも簡単に設定や運用ができてしまいますし、社内のメンバーも操作に困っている様子はありません。ある営業アシスタントが、Zoho CRM の検索機能に舌を巻いて「この子、賢いですね」と言っていたのですが、ユーザーがツールを使いやすくしていける工夫が、あちこちに施されているのが、Zoho CRM の特徴なのだと思います。
― Zoho CRM の活用について、今後の展望をお聞かせください。
太田氏:ダッシュボード機能を活用して、さまざまな指標の見える化を図りたいです。例えば、現在の提案数や見積金額、各製品の平均リードタイムなどのデータを組み合わせれば、売上予測が可能になります。3年ほど先の売上予測ができれば、生産計画の最適化が可能になり、利益率などの経営指標改善にもつながると思うので、今後もZoho CRM の活用を続け、より高度な運用体制を構築していきたいですね。
株式会社バイオクロマト
- 所在地:神奈川県藤沢市本町1-12-19
- 業種:製造業
- 従業員数:15名 (2019年1月現在)
- ビジネス:BtoB
- 事業内容:研究の効率化支援に関わる商品の開発・販売、
研究支援に関わる機器・消耗品の販売 - 設立:1987年(昭和62年)2月
- URL :https://www.bicr.co.jp/