世界中でビジネス環境が大きく変化してから1年以上が経過し、今では会議室が自宅のリビングに、休憩室はキッチンへと変わりました。想定外に始まったこのリモートワークは、もちろん今までとは違いますが、概ねうまくいっているようです。
しかし、パンデミックとそれに伴う緊急事態宣言が与えたビジネスへの衝撃は著しく、企業の組織運営や働き方に大きな変化をもたらしました。今後もさらに、営業やマーケティングのトレンドが変化を続け、消費者の行動傾向やオフィス文化にも影響を与え続けるでしょう。
Zoho CRM モバイルアプリから見える行動変容
この1年間でZoho CRM モバイルアプリの利用状況にも大きな変化が見られました。この利用状況の変化から読み取ることのできる5つのトレンドをレポートします。
1.「地図」と「チェックイン」の利用減少
Zoho CRMのモバイルアプリに搭載された機能の中で、これまで特に利用されることの多かったチェックイン機能(訪問先に到着したことを記録する機能)と地図(訪問先の所在地とルートを確認する機能)の利用頻度に大きな変化が見られました。
緊急事態宣言下では、モバイルアプリからのチェックイン回数が73%以上、地図の利用回数が60%、それぞれ減少しました。ここから、営業が客先訪問を行わなくなったことが読み取れます。
オンラインミーティングツール(Zoom、Zoho Meetingなど)の利用が進み、対面にこだわらないコミュニケーションが一般化しました。これに伴い物理的コミュニケーションを好まない人が急増しました。緊急事態宣言が解除されてもなお、オンライン対話が求められるでしょう。
例えば不動産業界など、物理的コミュニケーションが必須とされる業種でも、オンライン内覧をはじめとしたさまざまな取り組みがなされています。企業は、緊急事態宣言の発令・解除に関わらず、営業コミュニケーション手法の見直しが迫られています。
2.「活動」と「メモ」の利用増加
リモート勤務やオンライン商談によって営業の移動時間が大幅に短縮されました。一方、Zoho CRM の活動機能(タスク・予定を登録、管理する機能)の利用頻度は22%も増加しました。このことから、移動時間の短縮により生まれた時間がさまざまな活動に利用され、生産性が向上していることが窺えます。
さらに、商談時のヒアリング事項を記載する「メモ」の作成数が29%以上も増加しました。これは、パンデミック下でも商談を通じて顧客との関係構築が進んでいること、そして、多くの営業担当者が「面倒」だと敬遠するデータ入力に時間を割くようになったことが窺えます。
3.メールの利用減少と電話の利用増加
緊急事態宣言下では、電話の利用回数が55%以上も増加する一方、メールマグネット(メールで行われたコミュニケーションを該当する顧客・商談情報に関連付けて管理する機能)の利用が68%減少しました。ここから、オンラインコミュニケーションの多様性と利便性が向上したことで、メールの利用頻度が低下している傾向が見受けられます。
特に、クラウド型のCRM(顧客管理)、SFA(営業支援)を備えたZoho CRMを利用しているユーザーは、リモートでの営業へいち早く、スムーズに移行しました。こうしたニューノーマルによって、Zoho CRM ユーザーの中でも、顧客や社内メンバーとのコミュニケーションには、メールよりも電話やチャットの方がはるかにスムーズであると察知し移行した人が多かったことが窺えます。
4.「承認申請」の利用減少
上記の通り、活動や電話が増加した一方で、承認申請の利用件数が16%減少しました。承認申請とは、見積書の値引きや文書の確認申請などについて、上司へ承認を申請する機能です。
この承認申請の利用減少は、セールスファネルに入っている商談の数が減ったことと、営業チームがマネージャーとのつながりを深めたことに起因する可能性があります。商談に関するコミュニケーションがオンラインでリアリタイムにモニタリングできるようになったことで、形式的な申請処理を別途行う必要がなくなったことも大きいでしょう。
一方リモートセールスは、上司に判断をすぐに仰げない状況であると同時に、顧客の判断スピードがオフラインに比べ早くなる傾向にあります。
そのため、営業担当者によるより柔軟な対応が求められ、実際にそれに取り組んだ企業が多かったことが窺えます。
5.データの新規作成数の減少とデータ更新数の増加
Zoho CRM を利用するユーザーは、新たなビジネスや顧客を創出する度にデータを新規作成し、その詳細情報を記載します。この作成数が28%減少しており、いかに多くのビジネス機会がパンデミックによって奪われたかが窺えます。
「経済に与える影響はリーマン・ショックを超える。先行きがまったく見えない」(日立製作所 東原 敏昭 社長 兼 CEO)「(SVFが出資する)88社のうち、15社くらいは倒産するのではないか」(ソフトバンクグループ 孫 正義 会長 兼 社長)と、日本を牽引する経営トップたちがこの状況に危機感をあらわにしています。このように先行きの見えない中では、大きな投資が控えられるため、特にB2B企業にとっては厳しい状況です。
新規データの作成数が1/4以上減少する一方、データの更新数は増加していました。ここから、企業が「一人ひとりの顧客」によりフォーカスしはじめたことが窺えます。今は企業同士で団結し、危機を乗り越えるために互いに助け合う時です。顧客とより良い関係を構築できれば、将来なんらかの形で収益化につながるでしょう。
リモートセールスのためのZoho CRM モバイルアプリ
パンデミックの中で、Zoho CRM モバイルアプリの平均セッション数とトータルセッション時間は全体的に増加しました。モバイルアプリの利用が全体的に増加したことからは、リモートセースルへの考え方が世界的に変わり始めたことが窺えます。
Zoho CRMのモバイルアプリは、Google Play StoreやiOS App Storeで高い評価を受けています。リモートでの営業が進むにつれ、CRMアプリの重要性は益々高まることでしょう。 Zoho CRM モバイルアプリの詳細はこちらを参照ください。