この記事を読んでいるみなさんにとって、パーソナライズドセールスが何か、改めて説明する必要はないでしょう。仕事の場面以外では、みなさんもまた、製品やサービスの消費者です。お店や企業から個別の配慮や対応を受ければ、もっと買いたくなりますし、他の人にもおすすめしたくなりますよね。
では、営業担当者としてのあなたは、どのくらいパーソナライズした営業活動をしていますか?そこに改善の余地はありませんか?
業界、地域、文化などに応じた顧客中心主義になることで、営業活動やマーケティングにまったく新しいチャンスが生まれます。ここでは、あらゆるビジネスで生涯顧客を獲得するために利用できる、5つのステップを紹介します。
まずは、顧客と製品に関連性を持たせる
顧客情報を収集することで得られる最大の利点は、顧客と製品の間に関連性を維持できることでしょう。顧客のニーズや好みを推測して、顧客を適切にセグメントすることができます。特定の顧客に関連する製品をおすすめすれば、購入の可能性が高くなります。以下にいくつかの例を挙げます。
食料品店
常連客の中に、肉類を一切買わない人がいたら、その人はベジタリアンやビーガンの可能性があります。その場合は、ベジタリアンのためのメーリングリストを作り、毎月、毎シーズンごとにニュースレターを送ったり、ベジタリアン向けの商品だけを集めた新入荷のお知らせを送ると、購入の可能性が上がることでしょう。
服飾系のオンラインショップ
新規ユーザーとして登録してもらう際に、性別と年齢を尋ねましょう。20代の女性であれば、メンズやキッズの商品はレコメンドリストから切り捨てることができますね。そして、大学生くらいの若い女性に向けたファストファッションを紹介するのが無難です。
プロフィールを把握し、ペルソナを分類
顧客のペルソナ(詳細に設定した架空のターゲット像)を定義することで、理想的な顧客を改めて理解し、どのようなパーソナライゼーションが彼らにとって魅力的なのかを検討することができます。各顧客の閲覧履歴、購入履歴、カートに入れている商品のパターンなどをトラッキングし、それらを比較・検討して、ペルソナのプロフィールを作成する枠組みを確立します。この作業には大量のデータが必要なため、CRMなどのシステム導入が不可欠となるでしょう。
車のショールームを例にして、考えてみましょう。例えば30~40代くらいの男性が、娘と思われる小さな女の子と一緒に小型のSUVを求めてショールームに入ってきたとします。このとき、営業担当者はこの顧客にどのような仮説を立てられるでしょうか。 ”彼は4人家族かもしれないので、車のスペース・大きさが重要です。燃費が悪いと困るので、小型のSUVを検討しています。また、子供たちも乗せることになるので、安全性にも関心があるでしょう。子供自身も気に入るかを確かめたいので、自身の娘を連れてきたのかも知れません。”
さまざまな背景を持つ顧客がショールームに足を運べば、彼らを分類するのに必要な情報を手に入れることができます。また、ショールームでの体験を最初から最後までパーソナライズすることができます。セールストークをカスタマイズしたり、適した営業担当者を配置したりすることも可能です。
コンテキストを利用したクロスセルとアップセル
ペルソナのモデル化のほか、顧客の行動パターンを特定することは、クロスセルやアップセルに役立ちます。例えば、Netflixはどのようにしておすすめのタイトルを表示しているのでしょうか?あなたの視聴履歴を世界中の視聴者と比較し、類似した視聴パターンを特定して、あなたが興味を持ちそうなタイトルを提案しているのです。このロジックは、他業界の営業活動にも応用できます。
インターネットサービス
例えばインターネットサービス。月200GBのプランを購入した新規顧客が、わずか10日間で60%のデータを使い切ってしまったとしたら、それは彼らがインターネットをどれくらい利用するかの判断を大きく誤っていることになりますね。これは、アップセルのチャンスです。プロバイダーは、過去のデータからどの顧客がより大きなプランに移行する可能性があるか、その使用量に基づいて判断し、提案することができます。
ピザレストラン
ピザのみを購入する顧客は稀です。ピザと一緒に購入されることが多い商品と合わせてセット注文されることがほとんどです。お客様の購買傾向から、相性の良い料理の組み合わせを知ることで、商品のクロスセルに結びつけることができます。
あらゆるチャネル間で、情報の一貫性を維持
今日の顧客は、オンラインで製品を調べ、企業サイトのチャットボットにほしいものを相談したり、電話で問い合わせたり、実店舗で製品を購入して、ソーシャルメディアで製品の感想なども投稿できます。顧客はいつでも最高の体験だけを期待します。
例えば旅行会社。旅行代理店には、ウェブサイト、各国に存在する店舗、ソーシャルメディアアカウント、そして豊富な知識と経験を持った販売員がいます。ここで、複数のチャネルを介してやりとりしたとき、同じ体験が得られるでしょうか?あなたがマイページのウォッチリストに追加したものを販売員が把握していなければ、または、あなたが販売員と話した目的地がマイページに記録されていなければ、そこに矛盾が生じることになります。
オムニチャネルの実現は、最高の顧客体験を提供するためにも必要不可欠。メールや電話番号のような基本的なチャネルから、顧客情報や、オンライン上もしくは販売員とのやりとりの履歴も把握しておかなければいけません。非常に大変なように感じますが、顧客関係管理システムを導入すれば、実現可能です。
顧客ロイヤリティプログラムの構築
パーソナライゼーション戦略は、1回限りの購入ではなく、長期的なビジネスを目的としています。顧客が何度も足を運ぶような体験を提供し、生涯にわたって顧客を維持することが目標です。しかし、リピート購入してもらうにはインセンティブが必要です。そこで、ロイヤリティプログラムです。
ロイヤリティの高い顧客は、より多くのお金を使うようになります。また、新規顧客よりも、既存の顧客に販売する方が簡単です。既存顧客はコンバージョン率が高いので、特典や割引で還元するプログラムは、長期的に見ると有益な施策です。
スーパーマーケットが良い例です。彼らは、購入金額に応じて報酬を与え、一回の買い物で、より多く消費するように促進します。また、一定回数の来店や購入後に報酬を与えることで、再来店を促すという手法もあります。 これはWin-Winのプログラムで、お店の口コミや紹介につながります。
顧客満足の向上は組織全体の理念であるべき
営業担当者は、自社のビジネスで良質な顧客体験を提供するためにさまざまな戦略を考え、工夫することができますが、営業活動は顧客のライフサイクルの一部にすぎません。生涯顧客を獲得するためには、パーソナライゼーションがフロントオフィス、バックオフィスを問わず、組織全体のワークカルチャーの一部であるべきです。
これは、マーケター、サポート担当者、開発者、販売者だけに当てはまることではありません。顧客を出迎える店舗の警備員、配達員、清掃員、ウェイター、受付などにも当てはまります。お客様の幸福に責任を持つあらゆる職種が、自分たちの影響力を考える必要があります。
顧客との関係をパーソナライズするためのソリューションをお探しでしたら、まずはZoho CRM をチェックしてみてはいかがでしょうか。