kintoneは、ドラッグ&ドロップ操作でデータベース(アプリ)を構築できるサービスです。アプリへのデータは、「フォーム」からの登録やエクセルファイルのインポートによって取り込まれ、一覧表示やグラフとして可視化されます。kintone はこうしたアプリをだれでも簡単に作れる優れたサービスです。
そんな便利なkintoneですが、その活用の幅を広げるために、プラグイン(拡張機能)とともに利用されることが多くあります。ここでは、kintoneに蓄積されたデータを有効活用する方法として、kintone プラグインに加えてZoho CRM との連携を紹介します。なぜ、Zoho CRM が、kintoneプラグインの代替案になり得るのか、kintoneプラグインの導入をご検討されている方は、ぜひご覧ください。
kintoneのプラグインとは
kintoneには、多くの企業から数えきれないほどのプラグイン(拡張機能)が提供されています。サイボウズは、「プラグイン」を以下のように定義しています。
“設定画面用のHTML・JavaScript・CSSファイルがパッケージングされたものです。
kintoneにプラグインを適用することで、アプリの機能を拡張できます。"
出典:kintone ヘルプ
(プラグインイメージ図)
3種類の拡張機能
kintoneでは、拡張機能を「キントーン専用拡張機能サービス」「外部サービス連携」「業種業務アプリパッケージ」の3つにカテゴリー分けしています。どれもkintoneの機能を簡単に拡張できる便利なものです。これらの拡張機能を総称として「プラグイン」と呼びます。
拡張機能その1:キントーン専用拡張機能サービス
スケジュール管理、帳票作成、データバックアップサービスなど、多岐にわたる便利機能がこのカテゴリーでは提供されています。これらのプラグインをアプリに追加することで、アプリの用途が広がります。
拡張機能その2:外部サービス連携
会計システムや電子サインシステムといった第三者が提供している既存のクラウドサービスとの連携を可能にします。アプリにあるデータをあらためて手入力する必要がなく自動連携できるのが最大の利点です。
拡張機能その3:業種業務アプリパッケージ
契約関連のアプリや販売管理用のアプリなど、特定の業務に特化したアプリを複数パッケージングして提供しているのがアプリパッケージです。すぐに利用できる「アプリのセット」です。
プラグインの種類は無限大
kintoneのWebサイト上には、拡張機能紹介ページには、200を超える製品が掲載されています。以下の表はkintoneの拡張機能紹介ページに掲載されている拡張機能の一覧です。
これ以外にも、各社が独自に開発提供している拡張機能もあり、有料・無料含めて市場には数えきれないほどのkintoneのプラグインが存在しています。
帳票出力・見積作成 |
営業・顧客管理 |
メール・ビジネスチャット |
電話・FAX・CTI |
ファイル管理・バックアップ |
スケジュール・カレンダー |
Webフォーム・マーケティング支援(MA) |
電子契約 |
経費精算・会計・請求管理 |
ワークフロー |
バーコード読み取り・在庫管理 |
kintone開発効率化 |
AI・IoT・RPA |
スマートフォン・タブレット活用 |
ID管理・セキュリティ |
外部サービス連携ツール |
給与・勤怠管理 |
出典:kintone 拡張機能
なぜkintoneにはブラグインがこんなにあるのか
kintoneユーザーであれば、一度は、プラグインを探したことがあるのではないでしょうか。そして、その数の多さに驚かれたことと思います。なぜ、kintoneにはこんなにプラグインがあるのでしょうか?
kintoneのアプリを有効活用するには、プラグインが簡単で便利
kintoneでは、アプリの開発は比較的容易ですが、それらを連携させるには一定レベルのスキルが必要となります。「アプリを作ったはいいけれど、それだけでは機能が十分ではなかった」、あるいは「あれもやりたい、これもやりたいといった要望がでてくる」といったことは、実際にkintoneを使い始めてみるとよくあります。
このような場合の対応として考えられるのは、自社でプラグイン相当の機能を開発する、あるいは市販のプラグインを利用する、のいずれかでしょう。前者の場合、外に出ていくコストはありませんが、開発要件をまとめて、プログラミンができる開発者が必要で、かつ開発時間もかかります。後者の場合は、ものによってはプラグインの購入コストやサブスクリプションコストなどがかかりますが、容易に導入でき短期間で利用を開始できます。
現状では、後者を選択する人が圧倒的に多く、その需要に応えるべく各社がkintoneプラグインの開発・提供を行っています。
カレンダーも使いたい!レポートも欲しい!最善策は複数のプラグイン導入?
kintone用のプラグインには、前述のように、使い勝手の良い便利なものが多くあります。でも、ひとつのアプリ上でいくつものプラグインを使いたい場合には、プラグインの動作する順番が問題になったり、いつの間にかプラグインの数が増えて管理が追い付かない、コストがかかりすぎるといったことも起こります。
ここで、具体的に「顧客管理」アプリを例にとって考えてみましょう。「顧客管理」アプリの主要なユーザーは営業部でしょう。営業部員が、「顧客管理」アプリと一緒に使いたいプラグインとしては、どのようなものがあるでしょうか?以下に例をあげてみました。
- Webフォーム連携
- 見積書、請求書、契約書などの文書作成
- メールやチャット連携:顧客とのメールの送受信やその履歴管理
- 電話連携
- スケジュール管理・タスク管理
- ワークフロー
- 名刺スキャン
- レポート作成:売上報告書
どれも、顧客管理アプリと一緒に使うとアプリの活用の幅が広がる便利なものですし、すでにkintone プラグインとしても提供されています。でも、これだけのプラグインを導入するとなると、ちゃんと動作するのか、コストはいくらかかるのかなど、事前に十分な確認が必要です。
代替案としての、Zoho CRM 連携
そこでお勧めしたいのが、代替案としての Zoho CRM です。Zoho CRM とは、見込み客の獲得から商談、受注、既存顧客との関係構築まで、事業の収益につながるビジネス基幹を一元管理するクラウド型顧客管理(CRM)システムです。
実は、これまでにあげた顧客管理アプリと一緒に使いたい機能のすべてが Zoho CRM には標準で搭載されています。これがZoho CRM をkintoneプラグインの代替案として紹介するひとつの理由です。
Zoho CRM はCRMシステムなので、現在行っているkintoneでの「顧客管理」自体もZoho CRM で行うことはできますが、ここでは「顧客管理」は今まで通り、kintoneアプリで行うという前提で、「複数プラグインの導入」と「Zoho CRM 連携」との比較をしてみたいと思います。
Zoho CRM 連携のメリット
Zoho CRM は、ひとつのパッケージとして複数の機能が提供されているので、機能間の連携や実行順序を考慮する必要はなく、プラグインの管理も不要です。
複数会社から提供されたプラグインを利用するとなると、ユーザーインターフェースもバラバラで、それぞれの使い方を学ばなければなりません。一方、Zoho CRM はひとつの製品ですので、ユーザーインターフェースも統一されており、使い勝手の面でも混乱が生じにくいでしょう。
これがZoho CRM をkintoneプラグインの代替案として紹介するさらなる理由です。
さらに、コスト面もみてみましょう。プラグインは、ひとつあたり数千円から導入できるものが多いですが、複数のプラグインを導入するとなるとそれなりにコストもかさみます。たとえば、前述の機能を利用した場合の Zoho CRM のコストは、月額¥2,760円/ユーザー(*月額換算)です。前述のすべてのプラグインを導入した場合のコストと比較してみてください。
以上のように、機能の豊富さ、プラグイン管理や連携の心配が不要、ユーザーインターフェースが統一されている(コスト面の優位性)など、Zoho CRM とkintoneの連携にはメリットが多くあります。
kintoneとZoho CRM の連携方法
Zoho CRM をkintoneプラグインの代替案として紹介する理由はご理解いただけたかと思います。ただ、Zoho CRM は、kintoneのプラグインではないので、連携の方法が異なります。少し技術的な話も含まれますが、次に、具体的な連携方法を紹介します。
【CSVによるエクスポート・インポート】
これがもっとも単純で簡単な連携方法です。
ただし、kintoneと Zoho CRM では、データの持ち方が違うので、エクスポートやインポートの前に、ちょっとした準備が必要です。
kintoneアプリのデータは、住所情報、姓名なども一行となっていることがほとんどなので、Zoho CRM にインポートする場合にこれらのデータの扱いをどのようにすべきかをあらかじめ検討し、データの分離を行うなどの対応が必要となります。
kintone | Zoho CRM | 事前準備 | |
---|---|---|---|
数値 | 数値 | 固定小数点 | |
日付 | 日付 | 無し(日時) | 属性を日時に変更 |
選択リスト | 1(チェック) | 項目の値 |
「CSVによるエクスポート・インポート」は簡単な方法ではありますが、手作業での処理となり、かつリアルタイムにはデータが反映されません。
【APIで繋ぐ】
kintoneもZoho CRM も、それぞれのAPIを公開しているので、コードを書くことで、APIでの連携が可能です。
kintoneはアプリサーバーを持たないので、標準機能としてはクライアントのWebブラウザー上で実行します。このため、kintoneアプリのAPI発行上限数を超えないように留意する必要があります。
月次や年次などAPIの発行が集中するような処理ではAmazon Lambda などのサーバーレス環境で連携ロジックを実行させるなどの検討が必要になります。
なお、kintoneのAPIはCybozu Developer Networkに詳細情報があります。
【iPaaSサービスを使う】
iPaaS(Integration Platform as a Service)サービスは増えてきていますが、Zoho CRM とkintoneを連携させるのであれば、コストと容易さから「Zapier」と「Zoho Flow」をお勧めします。以下、それぞれの連携方法について紹介します。
Zapierを使う場合
Zapier にはkintoneのコネクターとZoho CRM のコネクターが用意されています。このコネクターを利用して、Zoho CRM からkintone、kintoneからZoho CRM への両方向のデータ連携を実装できます。
Zoho Flow を使う場合
(1)kintoneからZoho CRM を起動しデータの追加・更新を行いたい
kintoneからのWebhookによってZoho Flow を起動させることができます。Zoho Flow はKintoneからのWebhook をうけて、Zoho CRM の処理を自動で実施させることができます。この機能を使ってZoho CRM の追加・更新を行います。
(2)Zoho CRM からkintoneを起動しデータの追加・更新を行いたい
Zoho Flowにkintone用のアクティビティを作成してDelugeでkintoneのAPIを呼び出します。
※注意 Zoho Flow はUS版kintone用コネクターが用意されていますが、これは日本版
kintoneとは繋がりません。
【まとめ】kintoneプラグイン導入の前に、Zoho CRM 連携との比較検討を
ここまで、kintoneプラグインの代替案としての Zoho CRM をご紹介しました。
特に、複数のkintoneプラグイン導入をお考えの方は、是非、Zoho CRM の機能を確認していただき、必要な機能が Zoho CRM に含まれているのであれば、Zoho CRM との連携もあわせてご検討されることをお勧めします。
また、Zoho CRM は本来、それ自体が優れたCRMシステムですので、すべてを Zoho CRM に乗せ換えるという選択肢もあるでしょう。もし、kintoneで「顧客管理」、「案件管理」、「タスク管理」、「問い合わせ管理」などを別アプリで行っている場合は、こういった機能が標準機能として搭載されている Zoho CRM のような製品を使ったほうが、アプリを個別に作って、それぞれにプラグインを導入したりアプリ連携を行うよりも便利かもしれません。
※本資料は各社製品ページの情報(1)をもとに作成しています。なお、製品の実際と異なる場合においても、弊社では責任を負いかねます。
(1)
https://kintone-sol.cybozu.co.jp/integrate/search/
※掲載情報は2022年6月29日時点のものです。最新情報につきましては、必ず各社にお問い合わせのうえご確認ください。
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