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リードクオリフィケーションとは?
リードクオリフィケーション(Lead-Qualification:顧客選別)とは、リード管理のプロセスの一つで、獲得したリードから、受注確度の高い見込み顧客を絞り込んでいくことを指します。
マーケティング部門から営業部門へ受け渡すリードを選別する役割であるため、リードクオリフィケーションの精度は営業の勝率、ひいては売上に関わる重要な要素といえます。
リードジェネレーションやリードナーチャリングとの違い
「リードジェネレーション(創出)」「リードナーチャリング(育成)」「リードクオリフィケーション(分類)」はいずれもリード管理のプロセスの一つです。
リード管理では、消費者行動の各段階(「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」)に合わせた活動を実施します。
どの段階の消費者にどのような施策を行うかをまとめたものを「マーケティングファネル」といい、以下の図のようになります。
それぞれ、ターゲットとする見込み客の状態が違うので、実施する目的も異なります。
- リードジェネレーション(Lead Generatio:創出)
リードの獲得を目指し、広告や展示会などを実施する。 - リードナーチャリング(Lead Nurturing:育成)
セミナーや電話、メールによって獲得したリードの関心を高めること目指す。 - リードクオリフィケーション(Lead Qualification:分類)
確度の高いリードを営業部門に受け渡すために、育成したリードを選別する。
そして、リードクオリフィケーションを経て絞り込まれたリードは営業プロセスに受け渡されます。
リードクオリフィケーションのメリット
同じリード管理のプロセスである「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」と比べて「リードクオリフィケーション」は取り組みを明確に行っていない企業が多い傾向があります。「リードクオリフィケーション」は以下のようなメリットを持つ重要なプロセスです。
リードクオリフィケーションのメリット
- 営業活動の効率が上がる
- リードの掘り起こしができる
営業活動の効率が上がる
リードクオリフィケーションを行うことで営業担当者の受注率を上げることができます。
マーケティング活動で集めたリードは、自社や製品への関心や検討度合いにばらつきがあります。
獲得経路や顧客の属性に合わせたナーチャリング施策を実施しても、すべてのリードの検討度合いが一様に高まっていくわけではありません。
大量にリードがあっても受注確度の低いリードが混ざっている以上、そのすべてに営業担当者がアプローチをかけるのは効率的ではありません。リードの数によっては漏れなくアプローチすること自体が物理的に不可能な場合もあります。
BtoBマーケティング担当者の61%が絞り込み前の全リードリストをそのまま営業部門に渡しているものの、その中で実際に受注に繋がる可能性が見込めるのはたった27%であるという調査もあります。
出典:15 Need-To-Know Lead Qualification Stats for B2B Marketers(Business 2 Community)
営業担当者のリソースは限られているため、成約率が高いリードに絞ってアプローチしなければ、時間を無駄にしてしまうことになります。
そこでリードクオリフィケーションによって事前に絞り込んだリードリストを営業部門に受け渡すことで、営業部門の効率は大きく向上します。
リードの掘り起こしができる
リードクオリフィケーションは、過去に失注したあるいは商談に至らなかったリードの関心が再び高まったタイミングを察知することにもつながります。
マーケティング活動に力を入れるよと獲得するリードの数が増えるため、商談化しなかったリードや、見積もり提出まで至らないリードも大量にストックされるようになります。
多くの場合、こうしたリードのフォローは営業に一任されますが、一般的に営業担当者の意識は「すぐに売れるリード」へのアプローチに向いており、放置される傾向があります。
そこで、獲得したリードの掘り起こしを営業任せにせず、活用するために注目されたのがリードナーチャリングです。
リードナーチャリングは、リードへ定期的にアプローチをかけることで購買意欲を高めて商談につなげるのに役立ちますが、ナーチャリング施策を行っていても、リードの温度感に関わらずすべてのリードを営業部門に回していたのでは意味がありません。
リードナーチャリングの効果を発揮させるためには、リードの関心が高まったタイミングを見逃さずに営業担当者へ受け渡してアプローチを促すことが重要です。
そのタイミングを見極めるのも、リードクオリフィケーションの役割です。
リードクオリフィケーションでは、ナーチャリング対象リードの温度感の変化も計測するため、リードの掘り起こしも効率的に行えるようになります。
リードクオリフィケーションの手順
リードクオリフィケーションは以下の手順で行われます。
- カスタマージャーニーマップを作成する
- スコアリングシナリオを設計する
- スコアリングを実施し営業部門へ引き渡す
- データを分析しシナリオ・スコアリング設計を改善する
(1)カスタマージャーニーマップを作成する
まずはカスタマージャーニーマップを作成します。
カスタマージャーニーマップとは、リードが商品やサービスの存在を知ってから成約に至るまでのプロセスを時系列でまとめたものです。
カスタマージャーニーマップによってリードの行動をある程度想定することで、スコアリング精度が高まります。
できるだけ具体的に「顧客がどのように自社の商材と接点を持ち、いつどこに関心を持ち、成約に至るのか」という成約までの流れを定義しておきましょう。
(2)スコアリングシナリオを設計する
カスタマージャーニーマップを設計したら、次はスコアリングシナリオを設計します。
スコアリングシナリオの設計では「リードがどのような行動をとったら何点のスコアを付与するか」を設定します。
カスタマージャーニーをもとに、リードのどのような行動が検討度合いの変化を反映しているか、それがどの程度重要な変化なのか、という観点で分析を行い、スコア付与のポイントを見極めていきましょう。
属性情報 | スコア例 | 行動情報 | スコア例 |
業種・業態 | ◯◯業界なら+10点 | Webサイトへのアクセス | 1週間以内のアクセスで+5点 |
スコアリング基準にこだわれば、かなり複雑な設計も可能です。
しかしスコアリングシナリオは妥当性の判断が難しく、継続的に運用する中で何度も見直しをして改善していくものであり、最初から細かく設定しないように注意してください。
(3)スコアリングを実施し営業部門へ引き渡す
スコアリングシナリオが設計できたら、運用を開始します。
リードの行動ごとに実際に点数つけて集計し、一定以上の点数に達したリードを営業部門に引き渡します。
営業部門との連携手段や実施頻度をあらかじめ決めておくことで、よりスムーズに運用することができます。
ただ、リードの見込み度が高まったタイミングは、他社の製品も検討している可能性も十分にあります。
営業フォローアップの実施頻度が低いと、せっかく見込み度が高まったリードを他社に流してしまうことになります。可能な限りマーケティングと営業の連携を強め、リードの変化を営業部門に素早く伝えられる体制を構築することが理想です。
(4)データを分析しスコアリング設計を改善する
設計したスコアリングシナリオが適切かは運用してみて初めて分かることが多いです。
営業担当に引き渡した後の商談化率や受注率を計測して、シナリオの改善点がないかを探します。
例えば、「セミナー参加」に一律で高い点数を付与していたが、実施してみると成約率が高くなかったということがあります。また更に、分析してみるとセミナーの内容によって成約率に大きく差があるかもしれません。
そうした場合には、セミナーの種類別にスコアリング設定を変更するといった対応を行います。
リードクオリフィケーションの運用課題
スコア集計の煩雑さ
リードクオリフィケーションは膨大な数のリードに対応するために、一人ひとりの行動を追跡し、タイムリーにスコアを付与しく必要がありますが、これは簡単なことではありません。
担当者による人力での集計は現実的でなく、専用のシステムを導入することが一般的です。
マーケティング部門と営業部門の連携
ホットリードを営業担当者に受け渡すまでがリードクオリフィケーションの役割ですが、この「受け渡し」をどれだけタイムリーに実施できるかが課題です。
行動が変化するリードを常時観察して、スコアが一定水準に達した瞬間に営業とコミュニケーションする、といった業務は専任の担当者を配置したとしても実現は困難です。そのため、この受け渡し処理が機械的に実現されるような仕組み化が必要です。
また、商談後に受注に至らなかったリードは再度ナーチャリングリストに戻し、リードクオリフィケーションの対象としなければなりません。そのため、「マーケティング→営業」の連携だけでなく「営業→マーケティング」の連携も整備する必要があります。
リードクオリフィケーションの運用課題を解決する、MA + CRM/SFA
リードクオリフィケーションの運用課題を解決するために、「MA(マーケティングオートメーション)」や「CRM(顧客関係管理システム)/SFA(営業支援ツール)」といったシステムによって、リードクオリフィケーションを低コストに自動化することを検討することが有効です。
マーケティングオートメーション(MA:Marketing Automation)ツールとは、見込み客(リード)の獲得や育成をはじめとした「マーケティング活動の自動化」のためのツールを指します。
MAツールの代表的な機能は「リードの自動取り込み機能」「リードの管理機能」「メールへの反応計測機能」「リードスコアリング機能」「Webサイト訪問記録機能」などがあります。
リードクオリフィケーションの実施において最も重要にのは「リードスコアリング機能」です。
スコアリング機能を用いることで、一貫した基準をもとに公平にリードを評価することができます。
また、リードの行動をリアルタイムに評価に反映させることができるので、リードの検討度が高まったタイミングを逃しません。
ただ、リードのスコアリングをリアルタイムで行っても、営業部門へのデータ反映にラグがあれば、効果は下がります。リードの検討度が最も高まっているタイミングを逃さないためには、リードクオリフィケーションで分類したリードをいち早く営業部門に共有する必要があります。
それを実現するのがMA機能を備えたCRM/SFAです。
マーケティング部門と営業部門が共通のツールで顧客の情報を管理することで情報共有をリアルタイムに行うことができるようになります。例えば、スコアが一定水準以上に達したリードの営業担当者に対して「今すぐ架電してください」といったアラートをあげる、といった処理もMAとCRM/SFAの組み合わせなら簡単に実現します。
近年は営業部門とマーケティング部門のスムーズな連携を実現するためにCRM/SFAとMAどちらの機能も備えたツールが増えています。クラウドベースのシステムであればリードクオリフィケーション用のシステムを自社開発するよりもはるかに低コストで運用を開始できます。
リードクオリフィケーションにMAを活用する際の注意点
一方で、BowNowが実施したアンケート調査によると「MAの使いこなせていない機能」の最上位にシナリオ・スコアリング設計があります。
それぞれ約25%の回答者が「難しい、使いこなせていない機能」として回答しており、MAを用いてもなお、リードクオリフィケーションは難しい活動だということがわかります。
だからこそ、ツールを選定する際は、リードクオリフィケーション機能が扱いやすいものを選ぶ必要があります。
具体的には
- スコアリングルールを管理する画面UIがわかりやすいか
- 部門や商材別にスコアモデルを設定できるか
- ホットリードに対するアラートやアプローチタスクの追加が自動化できるか
- ホットリードリストが簡単に閲覧できるか
といった点を基準にしてください。