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展示会とは
展示会とは、「商品・サービス・情報などを展示、宣伝するためのイベント(ただし、フリーマーケットや路上販売は含まない)」です。日本では、国際標準化機構(ISO)の「ISO25639」に準拠する形で、定義付けられています(出典:経済産業省『展示会産業概論』)。
通常、展示会は特定の業界やテーマに焦点を当てて開催され、出展企業は会場内に魅力的なブースを構築し、製品やサービスを効果的に展示します。
出展企業にとっての最大のメリットは、数日間で多くの見込み客と直接交流できることです。新商品の反響やプロモーション効果を即座に確認でき、市場調査にも有益です。
企業が自社の最新技術を紹介して販路を開拓する機会というイメージが強い展示会ですが、経済産業省の『展示会産業概論』ではそれ以外にもさまざまな意義があると紹介されています。
展示会開催の意義 | 出典:経済産業省『展示会産業概論』 |
1)出展者の販路開拓やマーケティングの場:マーケティング・ツールとして | |
2)「ヒト」「モノ」「情報」の交流促進:マーケティング・コミュニケーションとして | |
3)産業全体の活性化:ビジネス・イノベーションとして | |
4)地域資源及び地域魅力の対外発信力の向上:インフォメーションとして | |
5)地域への経済効果の波及:ディスティネーション・マーケティングとして | |
6)外国からの顧客獲得の手段:ホスピタリティとして |
見本市との違い
日本貿易振興機構(JETRO)が掲載している国際標準化機構(ISO)の定義によれば、展示会と見本市の違いは次の通りです。
展示会(Exhibition/Show/Fair)
- ・普及を目的に、製品やサービスないし情報等を展示する催し
見本市(Trade Exhibition)
- 商談のために開催される催しで、主としてビジネス目的の来場者を対象とするもの
- 特定の期間、一般公開も可
出典:日本貿易振興機構『見本市と展示会の話 (改訂版)』
つまり、展示会は製品やサービスの展示がメインのイベントであり、一方で見本市は商談や販売が主要な目的のイベントです。
しかし、厳密に言葉の意味や定義を使い分けているイベント主催者は少ないようです。
例えば、ITソリューションやSaaSなどのBtoB向けのイベントは一般的に「展示会」と呼ばれ、一方で美術品やアパレル製品などのBtoC関連のイベントは「見本市」と称されることが一般的です。
日本においては、両者の垣根は曖昧なものとなりつつあり、イベントの特徴によって呼称が異なることが一般的です。
日本と海外との違い
日本と海外の展示会は少し位置付けが異なります。JETROのまとめによると、「欧米では、一般に、年間あるいは春季、秋季などの季間の仕入れのほとんどが、見本市の場で行われる」「専門見本市では、購買権限を持った人が商談を行うため来場」と言われています。
ビジネスパーソンが参加する日本の展示会の多くは、企業の担当者が情報収集のために来場する、という場合が多いです。一方海外の展示会は、バイヤーや企業の決済者が商談相手を探しに来るケースが多く見られます。世界の主要な展示会主催者、展示場保有者、展示会産業組合、展示会産業パートナー等が加盟する団体である「世界見本市連盟(UFI)」の2022年の調査によると、ヨーロッパが世界で最も多くの展示会場を抱えています。日本を含む国内外の展示会情報については、JETROのサイト、J-messeに詳しく掲載されていますので、出展の際の参考にするとよいでしょう。
企業が展示会に出展する理由
新規顧客の獲得
展示会は多くの来場者が一堂に会する場であり、企業は自社の製品やサービスを広くアピールすることで新規の顧客を獲得できます。
既存顧客との交流
既存の顧客との直接の対話や交流の場として展示会が活用されます。展示会に出展することで、顧客関係の強化や新しいビジネスチャンスの発見が期待されます。
市場調査
展示会では競合他社の製品やサービスも一堂に展示されます。これを活用して市場のトレンドや競合状況を把握し、戦略の見直しや製品の改善に生かすことができます。
製品やサービスのプロモーション
展示会は製品やサービスの効果的なプロモーションの場でもあります。来場者に直接製品を見せることで認知度の向上や購買意欲の喚起が期待できます。
業界内のコネクション構築
展示会は業界関係者が一堂に会し、ビジネスのコネクション構築に最適な場です。新しい取引先やパートナーシップの形成が頻繁に行われます。
メディアへの露出
大規模な展示会はメディアの注目を集めやすく、企業は取材や報道を通じて広報活動を展開することができます。これにより、企業の知名度向上が期待されます。
展示会の種類
合同展示会(ビジネスショー)
合同展示会とは、特定のテーマに基づいて集められた関連企業が出展する、主にBtoB向けのイベントです。
これらの展示会は一般的に東京ビッグサイトや幕張メッセなどの大型展示場で開催され、数百社が出展する大規模なイベントが多いため、大量の新規リード獲得を見込めるのが特徴です。
大規模なイベントなので、当然ながら自社以外の企業や事業者も多数参加します。業界内の参加企業が多いことから、競合他社の展示物やプレゼンテーションを通じて市場動向を把握し、競合分析を行う機会にもなり得ます。
競合他社の情報調査は、戦略の立案やマーケティング活動の向上に重要な役割を果たします。展示会は単なる商談の場だけでなく、業界全体の発展と共有の場としても重要な位置を占めています。
動員催事・セール展示即売会
動員催事・セール展示即売会は、単なる展示だけでなく、その場での売買や契約が活発に行われていることが特徴で、主にBtoC企業の出展が中心となっています。
この展示会は、購買意欲の高い参加者が多く集まり、商品に自信を持つ企業や即決がしやすい価格帯の商材を扱う企業にとっては非常に適したイベントです。参加企業は商品を直接販売し、顧客とのリアルタイムな対話を通じて効果的な販売促進活動が行えます。
パブリックショー
パブリックショーとは、「パブリック(public)」という言葉が示すように、一般の来場客を対象に公開される展示会です。
「ジャパンモビリティショー」や「コミックマーケット」などはパブリックショーの一例で、取扱商材の多くは一般消費者向けに販売されているものが多いです。
パブリックショーの中にはBtoB向けのビジネスデイや、BtoC向けの一般公開日といったように、日程を分けて開催されることもあります。このスタイルにより、企業は異なる視点から展示会を活用することができ、商談や販売促進活動をより効果的に展開できます。
他の展示会とは異なり、一般来場者が支払う入場料も主催者の収入となる特徴もあります。これにより、主催者はさまざまな企画やサービスを提供し、来場者により魅力的なイベントを提供することが期待されます。
プライベートショー
プライベートショーは、他の展示会とは異なり、1社または複数の企業グループが自社の技術やサービス、メッセージをアピールする展示会です。来場者も主催企業がPRや招待状などで集客を行います。
プライベートショーのほとんどは一般には公開されず、自社内で開催される場合もあれば、取引先企業で開催される場合もあります。この形式は、一般の来場者よりも特定のターゲットに焦点を当て、より密接な商談や関係構築を可能にします。
招待客の多くはロイヤルカスタマーであるため、PR目的だけでなく、優良顧客とのさらなる関係構築を目的として活用されます。特にアパレルメーカーは毎年定期的にプライベートショーを開催し、最新のコレクションや製品ラインを重要な顧客層に紹介する機会としています。
国内の代表的な展示会と来場者の属性
日本では、自動車メーカーなどが最新技術を発表する「JAPAN MOBILITY SHOW(旧東京モーターショー)」から、愛好家が自身の作品を展示販売する「コミックマーケット」まで多彩です。来場者についても、バイヤーをはじめとした法人の場合もあれば、個人の場合もあります。日本国内で開かれる主要な展示会とその概要を紹介します。
名称 | 主催 | 主要な出展者 | 来場者 |
一般社団法人 日本自動車工業会 | 国内外の自動車メーカー、部品メーカー、エネルギー関連会社 | 国内外のメーカー各担当者、バイヤー、個人の愛好家、メディア | |
コンピュータエンターテインメント協会 | 国内外のゲームメーカー、関連商品メーカー | ゲーム会社関係者、メディア、個人の愛好家 | |
RX Japan株式会社 | SaaS/IT企業、マーケティング会社 | 企業・官公庁・団体の情報システム担当者、経営、開発、マーケティング部門の各担当者 | |
コミックマーケット準備会 | アニメ・コミックなどの愛好家 | アニメ・コミックなどの愛好家 |
JAPAN MOBILITY SHOW(旧:東京モーターショー)
JAPAN MOBILITY SHOWは、世界5大モーターショーのひとつに数えられる自動車の展示会です。
2023年から「東京モーターショー」から「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」に名称が変更されています。
コロナ禍の影響で約4年ぶりの開催となった2023年開催は、10月28日に一般公開がスタートし11月5日までの9日間で延べ111万2,000人が来場しました。
会場の東京ビッグサイトは国内最大の国際展示場としても有名です。
東京ゲームショウ
東京ゲームショウは、2023年は総来場者数が約24万人にも上るアジア最大規模かつ世界有数のゲームイベントです。
ゲーム産業の最新技術やトレンドを展示し、国内外から多くのゲームファンや業界関係者が来場します。毎年、数々の大手ゲームメーカーや開発者が最新のゲームタイトルや技術革新を披露しています。
イベント期間中は、プレイアブルなデモンストレーションや新作発表、コスプレイヤーたちによる個性豊かな衣装が見どころの一つです。
Japan IT Week
Japan IT Weekは、最新のIT製品/サービスが一堂に集まる、日本最大のIT展示会です。
日本を代表する情報技術(IT)イベントであり、国内外から数多くの企業や専門家が集結します。IT分野における最新の製品やサービス、ソリューションが一堂に会し、参加者に幅広い知識とビジネスの機会を提供しています。
セキュリティ、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能など、様々なテーマに焦点を当てた専門的なセッションや展示が行われ、来場者は最先端のテクノロジーに触れることができます。
コミックマーケット
コミックマーケット(通称、コミケ)は、日本最大級の同人誌即売会であり、同人文化の中心的なイベントです。
毎年夏と冬に東京ビッグサイトで開催され、2023年夏のコミケでは参加者数26万人を記録しました。
個人やサークルが制作した同人誌や二次創作物が数多く販売され、アニメ、マンガ、ゲーム、小説など幅広いジャンルが網羅されています。
また、コスプレエリアも用意されており、参加者は自らの好きなキャラクターに扮して会場を彩ります。コミックマーケットは、創造力とファンコミュニケーションが交わる場として、日本のオタク文化の重要な一翼を担っています。
展示会出展の流れ
1 目的と目標、予算を決定する
まずは、展示会に出展する目的をはっきりと定め、達成基準となる数値目標を具体的に設定しましょう。
目的は事業フェーズや商品、イベントによって異なりますが、「ブランド認知拡大」「新規リード獲得」「既存顧客との関係強化」などが一般的な考えられる目的です。
具体的なKPI(重要業績評価指標)としては、「ブース来場者数」「商談化数」「契約数」「アンケート獲得数」「受注額」などを検討しましょう。
たとえば、新製品がリリースされたばかりでリードのリストがほとんどないのであれば、「新規リードの獲得」を目的とし、具体的な目標値として「リード登録数」を設定するのが妥当です。
注意点として、「名刺獲得数」を目標にすることはお勧めしません。自社のターゲットにならない方のリードばかりになり得ますし、名刺だけですと展示会後のフォロー精度が下がります。スタッフが名刺だけを追い求めることがないように、「アンケート数」や「商談化数」など、より具体的な指標をKPIとして採用しましょう。
展示会のKPI例 | 売上に対する距離 |
年間出展回数 | 遠い |
リード(見込み客)獲得数 | |
ブース来場者数 | |
ノベルティ(サンプル)配布数 | |
名刺獲得数 | |
商談獲得数 | 近い |
※KPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略で、業務のパフォーマンスを計測・監視するために設定する指標です。一般的に、目標達成のために最も影響度が高く、なおかつ定量的に測定できる中間指標がKPIとして採用されます。
次に目的・目標に基づいて予算を決定しましょう。目標の設定によっては、普段の広告キャンペーンなどでの見込み客獲得単価から予算を算出することができます。
たとえば、「新規リードの獲得」が目的で、獲得数の目標を200件に設定した場合、従来チャネルでの見込み客獲得単価が¥15,000であれば、¥3,000,000が予算の目安となります。
2 出展する展示会を選ぶ
展示会への出展計画を立てる際には、出展料、ブース設営費用、販促物の印刷費、人件費などのコストを検討し、予算内で展示できるイベントを選定しましょう。
特に留意すべきなのは「コマ数」と「ブース設営費」です。
出展費用はコマ数によって大きく変動し、コマ数を広く確保すればするほどブース設営費用も上昇します。一方で、小規模なブースは来場者の目に止まりにくく、大量のリード獲得は見込みにくいです。また注意が必要なのは、ほとんどの展示会で最終日の撤去が義務付けられていることです。撤去にかかるコストや手間も事前に考慮しましょう。
展示会の内容や過去の集客実績、参加企業数などを総合的に評価し、目的や目標を達成できるかどうかを判断します。開催時期や場所も重要な要素であり、地方で開催される展示会は地方の企業との交流の機会を提供する一方で、都市圏の展示会よりも出展コストが低いことが魅力です。ただし、スタッフの移動や宿泊費、機材の持ち込み料なども考慮して判断する必要があります。展示会の選定は慎重な検討が必要であり、戦略的な視点から判断することが成功の鍵となります。
3 展示会の事前準備
展示会は事前準備が展示会の成功可否を決めると言っても過言ではありません。
準備にあったての必須事項は以下の通りです。
- 各部門の責任者・担当者を決める
誰が統括し、配布物等の準備は誰が行うのか、当日会場に必要なのは何名か、後日のフォローアップ業務はどの部門が担当するかなどを明確にしましょう。 - ブースを設計・デザインする
出展目的に合わせたブース設計を行います。
商品展示やソフトウェアの実演など、少しでも足を止めてもらえるような工夫を凝らしましょう。
商談獲得が目標なら商談ブースを多く設置し、アメニティや商談者特典(その場での簡易分析など)をフックに来場者を誘導します。ミニセミナーを実施する場合はスペースや導線、音響に関する配慮も必要です。
多くの企業は展示会ブース設計の経験豊富な企業にアウトソースすることになります。 - 当日スタッフのオペレーションを決定する
スムーズな運営のために、展示会当日のスタッフ配置やオペレーションを計画します。
呼び込みや検討者との対応に関するオペレーションをマニュアル化してください。
呼び込みにあたっては単に「アンケートのご協力を」といっても誰も振り向いてはくれないので、ノベルティや資料の配布も検討しましょう。ただし、ノベルティに関しては受け取るだけが目当てでターゲットにならない方の名刺ばかり集まることも多いので注意が必要です。多くの展示会では来場者の職務や職責ごとに来場章が色分けされていることが一般的です。それを使用して「来場章が青と赤の方に特に声かけをお願いします」といった指示をスタッフに周知しておくと効果的です。
また、収集した名刺データのリスト登録を誰がどのように実施するか(スムーズなフォローのために当日会場でどんどんリスト登録した方が良いです)もここで決定しておきましょう。 - アンケートシート(ヒアリングシート)を作成する
来場者の情報収集に活かすアンケートシートを事前に用意します。自由記述の項目はできるだけ減らして、簡潔に記入できる形式としておきましょう。 - リストのデータフォーマットを用意する
展示会で収集したリードを商談化するためのリストデータのフォーマットを準備します。
担当者やイベントによって情報に違いが生じないよう、統一されたフォーマットを用意しましょう。 - フォローシナリオを作成する
来場者の属性に基づき、全体的なフォローシナリオを設計します。誰が、いつ、どのようなフォローアップを行うかを明確にします。 - 関係部署とフォローアップ方法の認識合わせを行う
開催後のフォローアップに関するスピード感を確保するため、関係部署間での役割分担を確認しておきます。
フォローの全体像(シナリオ)に基づいて、フォロー電話やフォローメールについて、インサイドセールス部門やマーケティング部門の間でどのように分担するのか、事前に役割を確認して準備おきましょう。 - 来場お礼メールを作成する
すぐにフォローを開始できるよう、リードに送付するお礼メールをあらかじめ用意しておきます。紹介したい製品・サービスの特長と、製品ページへのリンクも添えましょう。
基本的にお礼メールは読まれないという前提で、開封を促す件名に力を入れましょう。 - シナリオメールを作成する
来場者の興味・関心に合わせたシナリオメールを用意します。メールの内容は、読者が課題解決を期待できる内容にします。 - コールスクリプトを作成する
架電する場合の台本(スクリプト)を用意します。台本には、来場時に収集したアンケート項目や更なる質問に基づく確認を含めましょう。ベテランでも新人でも話せるよう、分かりやすく誰でも話しやすいスクリプトを目指しましょう。最後に改めて当日のオペレーションとフォローアップ方法の擦り合わせを行い、会期中から展示会後までの活動を滞りなく行えるようにしておきましょう。
4 会期中の動き
展示会中は、ブースを通りかかる方に自然な声かけを心がけ、来場者とのコミュニケーションを積極的にとるようにします。
ノベルティやサンプルの配布条件として、名刺交換(できればアンケートへの協力も含む)を必須とします。
スタッフがヒアリングしてアンケートシートを代筆すれば、情報収集率が向上します。アンケートの情報は事後のフォローに大変有益です。
会話の内容や名刺の所属部署から見込み度が高いと判断される来場者に対しては、商談ブースに誘導し、営業担当者に引き継ぎます。イベントによってはブースの事前予約機能があり、システムを活用して情報を取得できます。予算に余裕があればこの機能を検討してみると良いでしょう。
5 展示会後のフォロー
展示会後は、迅速に来場者全員に感謝の意を込めたメールを送信しましょう。来場者は多くのブースを回っていますので、展示ブースの外観写真や特徴を添え、少しでも自社ブースでの記憶を呼び起こしていただけるようにします。
その後は、事前に用意したフォローアップシナリオに基づいて、電話やシナリオメールを使ったフォローアップ活動を実施します。見込み度が高いリードには競合他社も積極的にアプローチしますので、スピードが勝負の鍵となります。展示会の成功は、このフォローアップにかかっていると言っても過言ではありません。
展示会を成功に導く最大のポイントは「フォロー」
展示会フォローの重要性
展示会に来場する顧客の多くは、主に情報収集が目的であり、即座に契約や商談につながるケースは稀です。このような状況で展示会を通じて得られるリードを有効に商談に結び付けるためには、展示会後のアプローチが非常に重要です。
成功するための鍵は、「見込み客それぞれの状況に合わせた適切なコミュニケーション」です。
例えば、「来期に向けて情報収集に来た」「展示会場で特に会話をしていない」といった段階の見込み客には、架電しても有効な反応が得られることは難しいでしょう。見込み度が低い場合でも、シナリオメールなどを使用してしっかりとフォローすることがとても大切です。
逆に、「すでに検討段階で製品を比較検討している」「展示会場で営業担当者と会話して課題を聞き出せた」といった見込み客に対しては、会場での印象が鮮明なうちに迅速に架電し、商談を進める必要があります。
展示会終了後には多くの名刺が集まりますが、これらに適切な優先順位をつけることが重要です。展示会はかなりの投資がかかるイベントであり、フォローの方針や施策を慎重に策定することで、費用対効果を最大化できるでしょう。
展示会フォローのポイント
展示会フォローは、来場者の興味が薄れる前にアプローチすることが不可欠です。
フォローアップは来場者の確度によって異なる効果的な手法が求められるため、事前に3段階の確度ごとに最適なアプローチを準備することが重要です。
「今すぐ客」には「電話」
前向きに検討している「今すぐ客」には、電話が最適です。来場者に電話をかけるメリットは2点あります。
1つ目のメリットは、来場者の課題を明確にすることです。電話であらためて話すことで、課題やその原因が正確にわかり、商談のイメージを正確に膨らませることができます。
2つ目のメリットは、展示会場のスタッフとの認識のズレを正せることです。営業担当者と展示会場の応対者が異なる場合、ヒアリングした内容が正確か電話を通じて確認することで認識違いを避けられます。
「お悩み客」には「シナリオメール」
検討に進む可能性がある「お悩み客」には、シナリオメールが最適です。シナリオメールとは、来場者の「条件」に基づいたストーリー性のある自動メールのことを指します。「条件」には、企業規模、業界、興味関心の対象などが含まれます。来場者がそれぞれ関心を持ちそうなストーリーのコンテンツを展示会開催前に用意し、来場者の条件ごとに自動送信する仕組みを整えておきます。こうすることで、最も工数がかかる電話フォローを、「今すぐ客」に割くことができます。
「まだまだ客」には「メルマガ」
検討を急いでいない「まだまだ客」には、メルマガが最適です。展示会会場には、そもそも自社の製品・サービスに関心が薄かったり、会場でスタッフが詳しく会話できなかったりする場合もあるでしょう。ただ、そのような場合でも定期的にメルマガで長期的に情報を発信することでいざ検討という段階になったときに思い出してもらえる可能性が高まります。
メルマガの具体例 | |
BtoBビジネスの場合 | BtoCビジネスの場合 |
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