メルマガの作成 - コンテンツを用意する

このレッスンでは、BtoBビジネスのメルマガの作成手順のうち、コンテンツの作成について解説します。コンテンツは、メルマガの目的を踏まえながら「質」「見せ方」「量(ネタ)」を工夫しながら作成する必要があります。サンプルを通して、コンテンツ作成のポイントを理解しましょう。

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メルマガの作成 - コンテンツを用意する
目次

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内容・テーマを決める

コンテンツの作成に当たり、内容・テーマを選びましょう。Lesson 2で整理した目的に応じて、自社でどのようなコンテンツを用意するか検討します。

カスタマージャーニーマップの分類

認知

訴求

調査

行動

推奨

目的

知ってもらう

いいなと思ってもらう

比較検討してもらう

購入・契約してもらう

購入・契約し続けてもらう、他者に薦めてもらう

配信対象の例

見込み客

見込み客

見込み客

具体的なアクションがある見込み客

購入・契約者

内容・テーマの例

業界最新事情、カンファレンス誘致、展示会誘致

eBook紹介、事例紹介、新機能リリース告知

セミナー誘致、事例紹介、トライアル誘致、新機能リリース告知

商談会誘致、キャンペーン

新機能リリース告知、事例紹介

頻度の例

定期的(頻度高)

定期的(頻度高)

定期的(頻度中)

不定期

定期的(頻度中)

目標(KPI)の例

配信数、純粋想起率、ブランドワード検索ボリューム

開封率、クリック率、CV率

開封率、CV率

CV率

配信停止率、解約率、NPS

担当部署の例

マーケティング部(ブランド担当)

マーケティング部(リード獲得担当)

マーケティング部(リード獲得担当)

営業部

カスタマーサクセス部

コンテンツを作ってみる

決めたテーマでコンテンツをまず作ってみましょう。その後、「質」、「見せ方」で工夫できないか考えましょう。以下は、「訴求」を目的として、新しいeBookが完成したことを告知するメルマガを生成AIが作成したものです。いかがでしょうか?「ダウンロードしたい」とはあまり思わなかったのではないでしょうか?これを魅力的にするために質、見せ方で抑えるべきポイントがあります。

生成AIが作成したメルマガのコンテンツ大枠

**Subject: 新しいeBookが完成しました!**

みなさま、こんにちは!

弊社より嬉しいお知らせがございます。新しいeBookがついに完成しました!このeBookでは、[トピックや内容の簡単な説明]について深く掘り下げ、[読者に提供するメリットや情報の価値]をお届けしています。

**eBookの特長:**

- [特長1]
- [特長2]
- [特長3]

是非、お時間のある際にダウンロードしていただき、ご覧いただければと思います。[ダウンロードリンク]

[ダウンロードページへのリンク]

また、ご意見やフィードバックもお待ちしております。ご感想をお聞かせいただければ、今後のコンテンツ制作にも活かしてまいります。

是非、新しいeBookをお楽しみください!

[お問い合わせ先やフォローアップの案内など]

どうぞよろしくお願いいたします。

質を検討する

BtoBのメルマガの受信者は、あらゆる企業からのメルマガを受け取っているため、よほど魅力的でないと読み飛ばされてしまいます。そのためには質が重要です。質を高めるのは「今、ここでしか得られない情報か」どうか、です。生成AIが作成した大枠が魅力的でないのは、この点が欠けているためです。質の確認に役立つ以下の手法・フレームワークを使いながら、「今、ここでしか得られない情報か」理由をコンテンツに含めましょう。

イベント告知の場合は、イベントの開催日が自然と理由になりますが、eBook紹介やトライアル誘致などは説得力が薄くなりがちです。理由がない場合、理由を加えることも担当者の役割です。生成AI作成のメルマガに「今、ここでしか得られない情報か」という点を加えるならば「○月○日までダウンロードした方には○○資料もプレゼント」「弁護士の○○氏が業界の○○を解説」などという言及ができると良いでしょう。

質の確認に役立つ手法・フレームワーク

5W1H

「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」。過不足無い情報の要素。

戦略BASiCS

マーケティングコンサルタント佐藤義典氏の理論。5つの要素が満たされればお客様に選ばれる。2~4を意識することはメルマガの質向上に役立つ

  1. 戦場・競合
  2. 独自資源=競合がまねできない点
  3. 強み=競合に無い魅力
  4. 顧客=ターゲット(受信者)
  5. メッセージ=上記を反映した刺さるコピー

「営業の4つの不」=「不信・不要・不適・不急」

顧客の心理的な壁。

  1. 不信=信用できない
  2. 不要=必要だと思わない
  3. 不適=自分には合わない、活用できない
  4. 不急=今である必要がない

見せ方を検討する

質が高まったら、見せ方を工夫します。具体的には、件名とファーストビュー(アイキャッチ)です。どんなに魅力的な内容であっても、開封してもらい、視覚的にも引きつけないとメルマガの目的は達成されません。

件名にもファーストビュー(アイキャッチ)にも、「今、ここでしか得られない情報か」という要素を入れましょう。質、見せ方の双方を踏まえて生成AIのコンテンツ大枠を更新したものは次のとおりです。

更新したメルマガのコンテンツ大枠の例

**Subject: 【X月X日まで特典】法務担当必見XXX法対応術eBook・弁護士監修**

メールマガジンのファーストビュー例

XXX法施行まであと1年となりました。法務担当者の皆さま、対応は万全でしょうか?

さてこの度、法務部門の皆さま向けにXXX法の○○対応術について解説したeBookをリリースしました。XXX法の専門家として知られる▲▲弁護士が監修し、XXX法の背景や法務部門が対応すべきこと、従業員や株主に説明すべきことなどあらゆる側面から20ページで解説しています。XXX法施行までのタイムスケジュールについても掲載しているため、視覚的にポイントが把握できます。

さらに!X月X日までにダウンロードいただいた方には、対応術のチェックリストをプレゼントいたします。

**eBook「法務のための○対応術eBook」の特長:**

- [特長1]XXX法の背景と法務部門が対応すべきこと
- [特長2]従業員や株主向けの準備
- [特長3]分かりやすいタイムスケジュール付き

[ダウンロードページへのリンク]

ぜひこの機会にダウンロードください。

いかがでしょうか?件名には、ただeBookが完成したことだけでなく、誰向けのどんなeBookで、しかも特定の日までに特典があることが言及されていて詳細を知りたくなったのではないでしょうか?さらに、開封後のファーストビュー(アイキャッチ)には、人間の顔が登場し、目線の先にはCTAボタンがあります。これは、人間が人間の顔を認識しやすく、さらに視線があればその先を見てしまう、という心理学的な背景を応用しています。

本文については、質を上げるために必要な要素を簡潔に書いています。

この件名やクリエイティブが必ずしも正しいわけではありませんが、少なくとも意図が明確なメルマガであれば、効果が悪かった時に原因が絞りやすい状態のため、効果測定にも貢献します。

量(ネタ)を確保する

コンテンツを1つ作ってみて、さらにそれを毎週続けるとなったとき、ネタ切れが心配になるかもしれません。他部署にネタを協力してもらうことも大切ですが、1つのネタについてさまざまな切り口を用意する工夫も必要です。

例示した新eBookのダウンロードのメルマガについて、同じeBookのダウンロードを目的としながらも、9つの別の切り口を表に作成してみました。これらは、メルマガ担当者レベルで完結できる切り口です。1回目で反応してくれなかったメルマガ受信者も、切り口を変えることで反応してくれる可能性を増やすことができます。

1つのeBookから広がるメルマガのネタの例

  • eBookコンテンツを特別に一部紹介
  • XXX法対応術クイズ。答えはeBookに
  • 新eBookと合わせて読みたい法務向けeBook紹介
  • ダウンロード特典締切まであと1週間
  • ダウンロード特典きょう締切
  • 人気につきダウンロード特典延長
  • 新eBookをお読みいただいた読者レビュー紹介
  • ダウンロード特典きょう締切
  • XXX法施行まで半年。いま一度チェック

メルマガ担当者レベルで完結できる部分でもこのようにさまざまな切り口があり、他部署や外部を巻き込めば、監修した弁護士へのインタビューや、eBookと同じテーマのセミナー開催などさらにバリエーションが広がります。

「同じようなテーマで送り続けたら飽きられるのでは?」と心配になるかもしれません。ただ、考えてみてください。あなたは、同じ会社からどれくらいの頻度で同じテーマのメルマガが送られているか、把握していますか?おそらく把握していないでしょう。読者も同じで、毎日大量のよく似たメルマガを受け取っているので、よほど毎日送り続けない限りは意識さえしてもらえません。認知や訴求といった目的の場合は、知ってもらう、いいなと思ってもらうことが第一です。迷った時は、メルマガの目的に立ち返って考えましょう。

メルマガのよくある課題は質、見せ方、量で分類して解決する

「開封率が上がらない」「コンバージョンを獲得できない」など、メルマガ担当者はさまざまな悩みを抱えています。そして、それを解決できるコンテンツを作成したいと思っています。ただ、さまざまな課題について、それがそもそもコンテンツで解決できるものかを見極める必要があります。その上でコンテンツが課題となったら、「質」「見せ方」「量」のいずれの問題なのか、アクションしていく力がなければコンテンツで解決できません。

よくある課題を分類した上でアクションを検討しましょう。

メルマガのよくある課題

課題の分類

アクション

購読者が増えない

コンテンツ以外

メルマガ購読告知の手段を増やす。メルマガ購読フォームの増設はもちろん、展示会リードなど確度の浅いリードを購読者リストに加えるなど仕組みで解決する。

購読者が減っている

コンテンツ以外

不適切なターゲットを送信対象に含めていないか確認する。配信頻度が少なすぎないか(購読するメリットを感じてもらえていない)、配信頻度が多すぎないか(頻度に対して質が伴っていない)を仮説を持って検証する。

ターゲットが好む内容か、フレームワークに照らして抜け漏れがないか再確認する。

見せ方

ターゲットが好む見せ方か。A/Bテストなどして検証する。

開封率が上がらない

コンテンツ以外

不適切なターゲットを送信対象に含めていないか確認する。

ターゲットが好む内容か。フレームワークに照らして抜け漏れがないか再確認する。

見せ方

件名に「今、ここでしか得られない情報か」という要素を含められているか確認する。

クリック率が上がらない

目的に対して本当に意味のある内容になっているか。フレームワークに照らして抜け漏れがないか再確認する。

見せ方

「今、ここでしか得られない情報か」という要素を含められているか確認する。CTAに問題ないかA/Bテストして検証する。

コンバージョンにつながらない

コンテンツ以外

リンクが適切か、遷移先の読み込みスピードやコンバージョン獲得のフォームに問題がないか、計測環境に問題がないか確認する。

目的に対して本当に意味のある内容になっているか。フレームワークに照らして抜け漏れがないか再確認する。

見せ方

「今、ここでしか得られない情報か」という要素を含められているか確認する。CTAに問題ないかA/Bテストして検証する。

最適な文字数が分からない

メルマガの目的に対して、それを充足する内容の質が確保できているか確認する。質が確保するのに過不足ない分量かがポイント。

文章作成に時間がかかる

コンテンツ以外

生成AIや他部署の協力を得て作成する。ただし、目的とそれに応じた質の観点を押さえていないと、量産できても結果が伴わないメルマガになる。

ネタ切れする

コンテンツ以外

生成AIや他部署の協力を得て作成する。ただし、目的とそれに応じた質の観点を押さえていないと、量産できても結果が伴わないメルマガになる。

同じネタでもさまざまな切り口を用意できるよう工夫する。