セールスクオリファイドリード(SQL)とは?営業とマーケティングで成果を引き出す活用法
セールスクオリファイドリード(SQL)とは?
セールスクオリファイドリード(SQL)とは、営業部門が優先的にアプローチするべきリード(見込み客)を指す言葉です。Sales Qualified Leadの略で、営業活動の対象として選定された見込み客を意味します。
SQLは営業の主な焦点であり、営業リソースを効果的に配分しアプローチすることで成約に繋がる可能性が高まります。現代の営業では、リードの獲得はマーケティング部門が担当し、SQLに対する商談やフォローアップは営業部門が行うことが一般的です。この分業により、リードの購買意欲に応じたリソースの最適配分が可能になりますが、両部門間の連携不足が課題となることもあります。SQLの基本的な定義や重要性を理解し、マーティングクオリファイドリード(MQL)など他のリードとの違いを明確にします。営業現場でSQLをどのように活用し、成約率を向上させるための具体的な方法を学びましょう。
SQLの基本定義と役割
SQLとは、営業部門が「このリードは成約する可能性が高い」と判断し、商談や成約に向けたアプローチを行う対象のリードを指します。リードを選別する主な理由は、営業活動の効率化と成約率の向上です。
リードを段階的に分類することで、営業部門は購買意欲の高いリードに優先的にアプローチできるようになり、リソースを効率的に配分できます。もしリードを購買段階に応じて選別せず、一様にアプローチした場合、購買意欲の低いリードに対して多くのリソースが浪費され、成約率が低下する可能性があります。例えば、情報収集段階のリードに早期に強引な営業を行うと、リードは離れてしまうでしょう。逆に、購買意欲の高いリードに対するフォローが不十分だと、成約のチャンスを逃す恐れがあります。SQLを正しく定義することで、営業部門はリード全体の中から成約見込みの高いリードに集中し、無駄を省きつつ、営業活動を最大限に効率化できます。
デマンドウォーターフォールとマーケティングファネルにおけるSQL
SQLを理解するために、デマンドウォーターフォールとマーケティングファネルの概念を確認しておきましょう。
デマンドウォーターフォール
デマンドウォーターフォールは、リード(見込み客)が興味を持った段階から成約に至るまでのプロセスを段階的に表したモデルで、BtoBマーケティングと営業の連携を強化するために用いられます。
各段階は以下の通りです。
- Inquiry(問い合わせ): リードが初めて興味を示し、コンテンツをダウンロードまたは問い合わせを行う段階。
- MQL(マーケティングクオリファイドリード):マーケティング活動によって育成(ナーチャリング)され、購買意欲があると判断されたリード。
- SAL(セールスアクセプテッドリード): 営業部門が承認し、商談へ進む準備が整ったリード。
- SQL(セールスクオリファイドリード):営業部門が商談を進められる、もしくは成約の見込みが高いと判断したリード。
- Closed(商談成立): 成約に至ったリード。
企業や業態によっては、これらの段階がカスタマイズされることもあります。リードの選別は、マーケティング部門と営業部門が連携し、自社の状況に合わせて行うことが重要です。
マーケティングファネル
マーケティングファネルは、リードが最初の認知段階から最終的な成約までのプロセスを示す視覚的モデルです。ファネル(漏斗)の形状のように、多くのリードが段階を進むごとに絞り込まれていきます。
各段階の定義は企業や業界などによって様々ですが、一般的には以下のように分類されます。
- トップ・オブ・ファネル(TOFU) – 認知段階
リードはまだ製品やサービスについてよく知らず、情報収集を始めたば段階。具体的な購買意思を持っていません。企業は、製品やサービスの認知度を高め、興味を持ってもらう活動に注力します。広告、ブログ、SNSなどがこの段階の主要なマーケティング手法であり、営業部門にとっては力を入れてアプローチする前段階といえるでしょう。 - ミドル・オブ・ファネル(MOFU) – 興味・関心・比較・検討段階
リードは製品やサービスに興味を持ち、具体的な課題解決策を探し、製品やサービスの比較や調査を行い、選択肢を絞り始めます。企業はリードに対して、より具体的な情報を提供し、購買意欲を高める段階です。ホワイトペーパー、メールキャンペーン、ウェビナーなど、詳しい情報を提供し、リードにとっての魅力を伝えます。 - ボトム・オブ・ファネル(BOFU) – 購入段階
リードは購買意思を固め、最終的に購買を決定するために詳細な情報やサポートを求めています。この段階では、リードは営業と価格交渉を進めます。
ここでリードはSQLと認識され、成約に向けたアプローチが強化されます。
デモンストレーションやトライアル、営業との商談が行われ、最終的な意思決定を促す段階です。
デマンドウォーターフォールとマーケティングファネルの理解を深めることで、リードの購買段階を正確に把握し、適切なアプローチを行うことで、成約率を向上させることが可能になります。
MQL(マーケティングクオリファイドリード)との違い
MQLは、主にマーケティング部門が育成したリードであり、購買意欲が高まりつつありますが、まだ営業部門がアプローチするには十分な段階に達していないリードを指します。例えば、ホワイトペーパーのダウンロードやウェブサイトへの定期的な訪問といった行動が見られるリードはMQLとして分類されます。この段階では、リードを育成し続け、購買意欲をさらに高める必要があります。一方、SQLはMQLから移行し、営業部門がそのリードに積極的にアプローチする準備が整った状態です。営業部門は、成約を目指した具体的な営業活動を行います。
MQL(マーケティングクオリファイドリード) | SQL(セールスクオリファイドリード) | |
判断者 | マーケティング部門 | 営業部門 |
進捗状況 | 興味・関心高まっているが、さらなる育成が必要 | 成約の可能性が高く、商談に進む準備が整っている |
アプローチ | 興味をさらに深め、購買の準備を促進する | 積極的にアプローチし、成約を目指す |
MQLはまだマーケティングの管理下にあります。リードをMQLからSQLに移行させるためには、マーケティング部門が購買意欲をさらに高め、リードが営業部門のアプローチに応じる準備が整うようにするプロセスが重要です。具体的には、リードスコアリングやターゲットコンテンツの提供、適切なタイミングでのフォローアップなどが効果的です。営業部門とマーケティング部門が適切に連携し、このプロセスを効率的に進めることで、成約率を向上させることが可能です。
TQL、SGL、SALとの違い
SQLやMQLの他にも、TQL(テレマーケティングクオリファイドリード)、SGL(セールスジェネレイテッドリード)、SAL(セールスアクセプテッドリード)といった関連するリード区分があります。それぞれのリードは異なるプロセスや段階に位置しており、営業部門に引き渡されるタイミングやアプローチの方法も異なります。
TQL(テレマーケティングクオリファイドリード)
TQLは、テレマーケティングやインサイドセールスを通じて獲得・育成されたリードです。MQLの次の段階に位置することが多く、マーケティング部門と営業部門の中間に位置し、さらなるナーチャリングが必要です。この段階では、まだ営業部門が積極的にアプローチする前の準備段階にあります。
SGL(セールスジェネレイテッドリード)
SGLは、営業部門が自らの活動を通じて獲得したリードです。営業担当者が直接訪問やイベント、セミナーでの名刺交換などを通じて関係を築いたリードがこれに該当します。SGLはマーケティングやインサイドセールスを経ずに営業部門が管理しているため、より密接な関係を構築しやすいという特徴があります。営業部門は、リードの反応や関係性に基づいて適切にアプローチし、SQLへと移行させることが目標です。
SAL(セールスアクセプテッドリード)
SALは、営業部門がリードを承認し、商談に進む可能性がある段階です。SALに至ったリードは、営業がさらにフォローし、適切なタイミングでアプローチを行います。しかし、リードが商談に進む準備が整っていない場合、マーケティングやインサイドセールスに戻されることもあります。SALがSQLに進むためには、リードのニーズが明確化し、意思決定者との接触があることが重要です。この段階に達することで、営業部門は成約に向けた活動を強化します。
MQLからSQLへの移行プロセス
MQLからSQLにリードを移行させるためのプロセスについて、リードジェネレーション(獲得)から始まり、ナーチャリング(育成)を経て、リードがSQLに至るまでのステップを具体的に見ていきます。
ステップ1: リードナーチャリング
MQL(マーケティングクオリファイドリード)は、製品やサービスに興味を持ち始めた段階で、丁寧なナーチャリングを必要とします。ナーチャリングとは、リードの関心を深め、購買意欲を高めるために行うマーケティング活動です。このプロセスを通じてリードは次のステップに進む準備が整います。MQLに対するナーチャリングの具体例触れるフォローメールを送信する。
コンテンツマーケティング
ホワイトペーパーやウェビナーなどの価値あるコンテンツを提供し、リードが抱える課題を解決に導く情報を提供します。ウェビナー後には、関連する製品やサービスの無料体験を案内するコミュニティに招待するなど、リードの関心を維持する施策が有効です。
メールマーケティング
リードの関心に応じたリード一人ひとりに最適化されたコンテンツをメールで送付します。例えば、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードに対し、数日後により詳細な関連情報を提供するフォローメールを送ることで、リードの購買意欲をさらに引き出します。
定期的なフォローアップ
インサイドセールスやマーケティング担当者が定期的にリードの状況を確認し、適切なタイミングで次のアクションを提案します。電話で課題や検討状況をヒアリングし、リードが次に進むために必要な情報を提供します。例えば、新しい製品や成功事例を紹介し、リードの関心を強化します。
ナーチャリングの目的は、リードの関心をさらに深め、購買意欲が高まった状態で営業部門に引き渡すことです。適切なナーチャリングにより、MQLからSQLへの転換率が大幅に向上します。また、ナーチャリングの効果を測るために、メールの開封率やウェビナー参加率などの指標を追跡することが重要です。
ステップ2: リードをSQLへと移行させる基準を設定する(リードスコアリングの活用)
次のステップでは、リードスコアリングを活用して、MQLをSQLに移行させるための基準を設定します。リードスコアリングは、リードの行動や属性に基づいてスコアを付け、どのリードがSQLに進むべきかを判断するための手法です。リードスコアリングの基準は、リードの行動・属性・エンゲージメントなどによって設定します。
行動に基づくスコア
リードがウェブサイトを訪問した回数、資料をダウンロードした回数、メールを開封した回数、リンクをクリックした回数など、具体的な行動に基づいてスコアが設定されます。購入意欲が強いと判断できる行動に高いスコアを設定することが一般的です。例えば、無料体験の申し込みやホワイトペーパーのダウンロード、価格ページの閲覧といった行動は、高いスコアが付けられる代表的な行動です。行動スコアを設定する際には、自社の業界やリードの購買サイクルに応じて適切な基準を設け、カスタマイズすることが重要です。
行動スコアの例:
行動 | スコア |
製品デモリクエスト | 9~10点 |
価格ページの閲覧 | 8~9点 |
問い合わせフォームの送信 | 7~8点 |
資料(ホワイトペーパーやeブック)のダウンロード | 6~7点 |
ウェブサイトの頻繁な訪問 | 4~6点 |
ブログ記事の閲覧 | 3~5点 |
メールの開封 | 2~4点 |
ウェブサイト初回訪問 | 1~3点 |
スコアの基準例
- 高スコア(8~10点): 購買意欲が非常に高く、商談が具体化しやすい行動。たとえば、製品デモリクエストや価格ページの閲覧は、リードが具体的な購買判断をする準備ができている可能性が高いです。
- 中スコア(4~7点): 購買意欲があるが、まだ決定段階に進んでいない行動。資料ダウンロードやウェブサイトの頻繁な訪問など、リードが情報収集を続けている段階です。
- 低スコア(1~3点): 関心はあるが、購買に対する具体的な意欲はまだ見られない行動。初回訪問やブログ記事の閲覧は、関心を持ち始めた段階を示しています。
スコアリングを通じて、リードの購買意欲を可視化し、高スコアのリードには積極的に営業部門がアプローチ、中・低スコアのリードにはさらなるナーチャリングを行うことで、効率的なリード管理が可能になります。
属性に基づくスコア
リードの企業規模、業種、役職、地域などの属性に基づいてスコアを設定します。自社のターゲット顧客に合致するリードには高いスコアを設定し、ターゲットから外れるリードには低いスコアを付けます。例えば、 クラウド型CRMシステムを販売するSaaS提供企業にとって、高スコアを付けるリード属性として以下のような特徴が挙げられます。
- 業種:製造業、金融業、ITサービス業など複雑な営業プロセスを持つ業種。
- 規模:従業員500人以上の中規模・大規模企業。
- 役職:営業部長、ITマネージャー、CIOなどの意思決定者層。
- 地域:首都圏や大都市圏に本社を持つ企業。
- 売上規模:年商50億円以上の企業。
属性スコアの例
属性 | 高スコアの例 | スコア | 低スコアの例 | スコア |
業種 | 製造業、金融業、IT業 | 8~10点 | 小売業、飲食業 | 1~3点 |
企業規模 | 従業員500人以上 | 8~10点 | 従業員50人未満 | 1~3点 |
役職 | 営業部長、ITマネージャー、CIO | 7~9点 | 営業担当者、アシスタント | 1~3点 |
地域 | 首都圏や大都市圏 | 6~8点 | 地方の中小企業 | 1~3点 |
売上規模 | 年商50億円以上の企業 | 8~10点 | 年商数千万円規模の企業 | 1~3点 |
属性スコアを作成する際は、自社のターゲット顧客像に基づいてリードを評価し、理想の顧客に近いほど高いスコアを付けます。これにより、営業リソースを優先すべきリードを明確にし、効率的な営業活動を行うことが可能です。スコアリング後は、高スコアのリードには積極的に営業アプローチを行い、低スコアのリードには引き続きナーチャリングを行うなど、適切なアクションを設定します。
エンゲージメントのスコア
エンゲージメントとは、リードが企業や製品、サービス、ブランドとどれだけ積極的に関与しているかを示す指標です。ウェブサイト訪問、イベントやウェビナーへの参加、メールの開封率など、リードの行動に基づいてスコアを付けます。エンゲージメントスコアが高いリードは購買意欲が高く、SQLへ移行する可能性が高いとされています。
エンゲージメントスコアの例
エンゲージメント行動 | 説明 | スコア |
SNSでの積極的な反応(シェア、コメント) | 製品やサービスに関する投稿をシェア、コメントするなど積極的な反応を示す | 9~10点 |
複数回のウェビナー参加 | 同じ企業の複数のウェビナーに参加するリードは、強い関心を持っている | 8~9点 |
フォローアップの問い合わせに対して返答がある | メールや電話でのフォローアップに積極的に返答し、疑問を解消しようとする | 7~8点 |
ブランドに関するコンテンツのシェア | ブランドに関するブログや記事をシェアする行動 | 6~7点 |
メールやニュースレターの開封率が高い | 頻繁にメールを開封し、コンテンツに関心を持っている | 5~6点 |
ウェビナーやイベントの登録のみ(未参加) | 登録はしたが、実際には参加していない場合 | 3~4点 |
コンテンツを一度だけダウンロード | 一度だけ資料をダウンロードし、その後の行動がない | 2~3点 |
SNSでの無反応 | SNS投稿に対して無反応である場合 | 1~2点 |
スコアの基準例
- 高スコア(8~10点):リードが企業や製品やサービスに強く関与し、購買意欲が高い状態。SNSでの積極的な反応や複数回のウェビナー参加など。
- 中スコア(5~7点): 一定の関心を持ち続けているが、まだ具体的な行動には至っていないリード。メールの開封やコンテンツのシェアなど。
- 低スコア(1~4点): 興味はあるものの、関与が少なく、まだ購買意欲が低いリード。登録のみやSNSでの無反応など。
リードスコアリングは、リードのエンゲージメントを可視化し、営業部門が成約の可能性が高いリードに優先的にアプローチできるようにするためのツールです。高スコアのリードはSQLとして営業部門へ引き渡され、営業活動に集中されるべき対象となります。逆に、低スコアのリードにはさらなるナーチャリングが必要です。また、エンゲージメントのスコアは時間とともに変わるため、定期的にスコアを見直し、リードの状態に応じた調整を行うことが重要です。
ステップ3: SQLへの移行判断と営業部門への引き渡し
リードスコアリングに基づいて、リードをSQLに移行するかどうかを判断するステップです。この段階では、リードがSQLとして適格かどうかを慎重に評価し、営業部門が積極的にアプローチを開始するタイミングを決定します。以下の具体的なアクションを確認しましょう。
スコアの再確認
リードがSQLに進む基準となるスコアを再確認し、スコアが十分に高いリードのみをSQLとして承認します。具体的には、リードの最近の行動や関与度(ウェビナー参加、問い合わせフォームの送信など)を再確認し、スコアが最新の状態かどうかをチェックします。スコアが低い場合は、引き続き丁寧なナーチャリングが必要です。
判断を誤ってしまうと、成約率の高いリードに対してアプローチできず競合他社に奪われたり、購買意欲のないリードに対して無駄なリソースを配分して浪費したりするなどの悪循環が生まれます。PDCAサイクルを回しながら継続的に移行基準を見直し、適切な移行判断が可能なスキームを構築します。
営業部門への引き渡し
リードがSQLとして承認された時点で、営業部門に引き渡されます。この際、マーケティング部門と営業部門が連携し、リードのナーチャリング履歴を共有します。引き渡しミーティングでは、次のような内容をカバーすることが推奨されます。
- これまでのリードの行動履歴(ウェビナー参加、ダウンロードした資料など
- リードの関心領域と課題
- どのようなナーチャリングを経てSQLに至ったか
情報を適切に共有することで、営業部門は適切なアプローチを取ることができ、商談の成功確率が高まります。
リードの継続的なフォローアップ
SQLに進まなかったリードに対しては、引き続きナーチャリングを行います。スコアを定期的に見直し、リードがSQLに移行する条件が整った時点で再度移行判断を行います。また、営業部門に引き渡されたSQLが成約に至らず、再びマーケティング部門に戻されるケースもあります。この場合、営業部門からのフィードバックを元に、リードの再スコアリングを行い、適切なアプローチを調整します。
このような継続的なフォローアップにより、リードが再びSQLへ移行する可能性が高まり、最終的に成約へと結びつけることができます。
SQLに効果的にアプローチするためのポイント
SQLを適切に管理し効果的なアプローチを行うためには、営業部門とマーケティング部門の連携が不可欠です。コミュニケーションの強化、CRMツールやMAツールの活用、リード一人ひとりに最適化されたアプローチを駆使して、SQLの管理を最適化しましょう。
営業とマーケティングの連携
営業部門とマーケティング部門が適切に連携し、リードの状況や進捗を共有することで、SQLへの移行がスムーズに行われます。適切なSQLへの移行判断は、営業部門が最大の成果を得るために非常に重要です。以下のポイントに注意して連携を強化しましょう。
定期的なコミュニケーション
リードの状態を正確に把握し、SQLへの移行判断を行うために、定期的なミーティングや情報共有が不可欠です。
例えば、週次ミーティングを実施し、営業部門とマーケティング部門で定期的な進捗確認ミーティングを設定します。両部門間でリードの状況や最新のナーチャリング活動を共有することが重要です。
また、CRMツールを活用し、リアルタイムでリード情報を共有できる環境を整え用、両部門でリードの進捗を把握できるようにします。 マーケティング部門が収集したリードの行動履歴、興味・関心、属性などの情報は、営業部門にとって不可欠なデータです。一貫した情報を共有することで、SQLに対して最適なアプローチを行います。
戦略的なアプローチとリードの育成
SQLに移行する前のリードナーチャリングは、マーケティング部門やインサイドセールスが担当しますが、営業部門とマーケティング部門の密接な連携が重要です。
営業部門は、どのようなリードが商談に進む価値があるかを基に、リードナーチャリングの基準をマーケティング部門に明確に伝える必要があります。営業部門がどのリード行動に注目し、何を優先するかを共有することで、ナーチャリングが営業活動に沿った形で進められるようになります。結果として、SQLに移行するリードの質が向上し、成約率の向上にもつながります。
共通のKPIを設定
営業とマーケティングが独立した目標を持つと、部門間に摩擦が生じやすくなります。共通のKPIを設定することで、両部門が協力して同じ目標に向かうことができます。以下のKPI例を参考に、両部門が協力して成果を上げるための基準を設定しましょう。
例えば、SQLとして移行したリード数、SQLから成約に至る転換率、SQLに移行してから営業部門がアプローチを開始するまでの時間などを共通のKPIとして設定することで、SQLへの効果的なアプローチが可能となり、最終的な成果を最大化できます。
MAツールやCRMの活用による効率化
MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRMツールを活用することで、SQLの管理やアプローチを効率化できます。以下では、これらのツールの具体的な活用方法を解説します。
リードスコアリングの自動化
MAツールには、リードの行動や属性に基づいて自動的にスコアリングを行う機能あります。例えば、リードがウェビナーに参加したり、資料をダウンロードした際にスコアが自動で更新され、SQLへの移行判断が効率化されます。手作業でスコアリングを行うと評価にばらつきが生じたり、更新が漏れたりすることがありますが、自動化することでヒューマンエラーを防止し、担当者の労力も軽減できます。
ナーチャリングの自動化
MAツールは、リードの興味や行動に基づいたナーチャリング活動を自動化できます。例えば、リードの興味や行動に基づいた一連のメールキャンペーンを自動化できたり、スコアに基づいてナーチャリングをできたり、購買意欲が高いリードを迅速に営業部門へ通知し、即座にアプローチできる環境を整えます。
顧客データの統合管理
CRMツールを使ってリードの情報を一元管理し、営業部門とマーケティング部門がリアルタイムで同じデータにアクセスできる環境を整えることで、効率的なリード管理が可能になります。例えば、過去のメールのやり取り、ウェブサイト訪問履歴、ダウンロードした資料や参加したウェビナーの履歴などをすべてCRMツールで確認できます。CRMツールを活用することで、両部門が一貫したアプローチを取ることができ、ミーティングや情報共有の時間を短縮することができます。
パーソナライズされたアプローチの重要性
SQLは、マーケティング部門のナーチャリングやインサイドセールスを経て、購買意欲が高いと判断されたリードです。そのため、初期段階のリードとは異なり、リードのニーズや行動に基づいたカスタマイズされたアプローチが効果的です。個別のニーズに応じた対応により、成約率を向上させましょう。
リードの課題に基づいた提案
CRMに保存されているリードの情報を活用し、リードが過去に抱えていた課題や行動を基に、個別の提案を行います。例えば、過去に在庫管理システムや自動化ツールの比較資料請求を行っている企業は、在庫管理のミスが多くコストが増大している可能性があります。このような場合、リードの行動や課題を把握できていれば、「リアルタイムで在庫状況を把握でき、自動発注機能を活用してミスとコスト削減を実現可能な在庫管理システム」の導入を提案できます。
行動履歴に基づいたメールマーケティング
リードがダウンロードした資料や閲覧したページに基づいて、興味のあるトピックにフォーカスしたメールを送信します。例えば、短期間のトライアルや限定オファーを提案し、実際にサービスや製品を試す機会を提供する方法は効果的です。
リードの業種や規模に合わせたアプローチ
リードの業種や規模に応じて、製品やサービスの提案内容を調整します。
例えば、製造業向けにはコスト削減や生産性向上に焦点を当てた提案を、IT業界向けにはセキュリティやデータ管理に関する提案を行うなど、リードのニーズに合った内容を提供すると良いでしょう。あらかじめ業界や規模、購買意思の段階などに応じてテンプレートを作成したり、行動に応じた内容のメールが自動送信されるよう設定したりしておくと効率的なアプローチを継続できます。
SQLにかかわるよくある課題と解決策
SQLの運用において、マーケティングと営業の部門間での衝突、MQLからSQLへの移行の遅れ、SQLの優先順位付けの誤りなど、さまざまな問題が発生します。以下に、営業現場でよく見られる具体的な課題を取り上げ、実務に役立つ解決策を紹介します。
マーケティングと営業の衝突
マーケティング部門と営業部門の間で、コミュニケーション不足が原因で、SQLへ移行の判断や情報共有がうまくいかず、対立が生じるケースは少なくありません。
スコアリング結果に基づきSQLと認定したリードが、実際には、ナーチャリングが不十分であったり、逆に購買意欲が高いリードに対して営業部門が適切なアプローチをせずに成約機会を逃したりすることがあります。
このような場合には、両部門がナーチャリングの進捗状況、SQLへの移行基準、リード情報の共有方法などを擦り合わせるミーティングを定期的に開催しましょう。営業部門からのフィードバックとアプローチの改善点などを共有し、お互いに協力し、最終的に成約率を向上させることを目指しましょう。
MQLからSQLへの移行に時間がかかる
MQLからSQLへの移行がスムーズに進まないケースはよくあります。マーケティング部門のナーチャリングが不足していたり、営業部門が求めるSQLの基準が高すぎることなどが主な原因として挙げられます。
このような場合には、まずSQLに移行するためのスコアリング基準を明確にし、両部門が納得する共通の基準を設定しましょう。基準にはリードの行動(例:ウェビナー参加、製品ページの閲覧回数)や購買意欲の兆候を含め、具体的な数値で評価できるようにします。そのうえで、実行すべきナーチャリングを丁寧に組み立てていきます。リードの購買段階や行動に応じて適切なアプローチを行うのはリードの育成において必須です。
SQLの優先順位が高すぎることによる失敗
SQLの中にも、成約見込みが低いリードが存在するため、すべてのSQLを同じ優先度で扱うと、非効率な営業活動に陥るリスクがあります。
このような場合には、SQLであっても、リードの行動やフィードバックに基づきスコアを定期的に再評価し、優先順位を調整します。成約見込みが下がったリードは、早めにSQLから除外し、他の有望なリードにリソースを割きましょう。また、リードの優先順位を調整する際に、営業部門のフィードバックを活用し、ナーチャリングやアプローチ方法を適宜見直しましょう。