リードとは?マーケティングにおける定義と基礎知識・管理方法のポイントとは?
リードとは
リードとは、企業が提供する製品やサービスに対して関心を示しているが、まだ購入に至っていない、または購入意志が明確でない「見込み客」のことです。リードは将来的に製品・サービスを購入する可能性がある人物であり、マーケティングや営業活動において非常に重要な存在です。
リードの具体例
どのような人物がリードに含まれるのか、具体例を紹介します。例えば、展示会やセミナー、交流会などで名刺交換を行った人物、Webサイトや外部メディアからの問い合わせ、資料請求、見積もり依頼を送信した人物などがリードに該当します。通常、リードとされるのは、氏名や連絡先などの基本的な連絡手段を有する人物です。しかし、匿名のWebサイト訪問者も、その行動データを通じて潜在的なリード(匿名リード)として扱われることがあります。
マーケティングにおける定義
マーケティングにおいては、「マーケティング・クオリファイド・リード(MQL:Marketing Qualified Lead)」という言葉が一般的に使われます。これは、マーケティング活動を通じて獲得されたリードの中で、一定の基準を満たし、営業部門がアプローチする価値があると判断された見込み客を指します。MQLは通常、特定の行動(例えば、重要な資料のダウンロードや特定のWebページの閲覧)を通じて、その関心が明確になったリードです。
営業における定義
営業部門では、「セールス・クオリファイド・リード(SQL:Sales Qualified Lead)」という言葉が一般的です。SQLは、マーケティング部門から引き継がれたリードで、営業部門による直接的なコンタクトや確認を経て、具体的な商談や契約に結びつく可能性が高いと判断された段階にある見込み客を指します。SQLは、購買意欲が高く、営業部門が実際にアプローチを開始する準備が整ったリードです。
購買意欲によるリードの分類
リードは、購買意欲や興味関心の度合いに応じて、「ホットリード」、「ウォームリード」、「コールドリード」の3つに分類されます。これらの分類は、リードに対するアプローチの優先順位を決めるために非常に重要です。
ホットリード
ホットリードとは、製品やサービスに対して強い興味関心を持ち、購入まであと少しの段階にいるリードのことです。例えば、頻繁にセミナーに参加している人、料金ページや事例ページを頻繁に閲覧し情報を収集している人など、積極的にアクションを起こしている人がホットリードに該当します。このようなリードは、「今すぐ客」とも呼ばれ、すぐに営業アプローチを行うべき対象です。企業によっては、リードの属性情報やWebサイト上の行動、メールへの反応、イベントへの参加回数などに基づいて点数化する「リードスコアリング」を行い、スコアの高いリードをホットリードと定義することがあります。ホットリードは非常に強い興味・関心を持っているため、あと一押しで購入に至る可能性が高いです。
ウォームリード
ウォームリードとは、ホットリードほどではないもの、製品やサービスに一定の興味関心を抱いているリードのことです。ホットリードとコールドリードの中間に位置し、「そのうち客」とも呼ばれます。例えば、特定の製品ページを数回閲覧したり、資料請求を行ったりしたが、購入には至っていない人がウォームリードとして扱われることがあります。ウォームリードは、適切なコンテンツ提供やイベント案内を通じて育成(リードナーチャリン」)することで、興味・関心の高いホットリードへと引き上げることが可能です。具体的には、サイト内の行動履歴をもとに、興味を持ちそうなコンテンツをメールで提供したり、ウェビナーやセミナーに招待したりすることで、徐々に購買意欲を高めます。
コールドリード
コールドリードとは、製品やサービスに関する興味・関心が薄く、購買意欲が低いリードのことです。例えば、展示会の来場者の多くが情報収集を目的としているため、そこで名刺交換を行った人々はコールドリードに該当することが多いです。コールドリードをウォームリードやホットリードに引き上げるためには、継続的に電話やメールなどを使ったアプローチが有効です。同じ企業内の別の部門や担当者からのアプローチを通じて、その企業との接点を増やすことも効果的な方法です。
(( Point )) コールド/ウォームリードをホットリードに育てる活動
「リードナーチャリング(見込み客の育成)」について
コールドリードやウォームリードを「ホットリード」に育てるための活動を、
リードナーチャリング(見込み客の育成)と呼びます。
リードナーチャリングは、将来的に引き合いや購入に発展するようにリードの購買意欲を高めるアプローチを行うこと。メールやコンテンツ、ウェビナーなどを活用してリードと定期的にコンタクトを取り、興味関心を育てます。
リードという言葉とともによく使われる言葉なので覚えておくと良いでしょう。
フェーズによるリードの分類
リードは、マーケティングや営業の各フェーズによっても分類できます。各フェーズにおけるリードについて、ひとつずつ詳しく解説していきます。
マーケティングフェーズにおけるリード
ML(Marketing Lead)
自社の製品やサービスに興味を持っているマーケティング段階の見込み客を指します。具体的には、ホワイトペーパーのダウンロード、ウェビナーへの参加、イベントでの名刺交換などが該当します。
MAL(Marketing Accepted Lead)
MLの中から、ターゲット企業の役職、業界、会社規模などの基準を満たし、マーケティング部門がアプローチする価値があると判断されたものをMALと呼ぶことがあります。これは、競合会社やパートナー関係を除いたリードで、次のステップに進む可能性があると判断された段階です。
MQL(Marketing Qualified Lead)
MALの中から、マーケティングオートメーションツールやリードスコアリングシステムによって評価され、特に興味関心が高いと判断されたリードをMQLと呼びます。MQLは、営業部門に引き渡され、優先的にアプローチが行われるリードです。
セールスフェーズにおけるリード
SAL(Sales Accepted Lead)
SALとは、営業部門が正式に受け入れたリードのことです。SALは、マーケティング部門から引き継がれ、実際に営業活動が行われます。この段階で商談が進まない場合、再度マーケティング部門に戻され、再フォローが行われることがあります。
SQL(Sales Qualified Lead)
SQLは、営業部門が商談を進めた結果、成約の可能性が極めて高いと判断されたリードです。SQLは、営業が最終的なクロージングに向けて重点的にアプローチを行うリードで、成約に至る可能性が非常に高い段階にあります。
リード管理とは
リード管理とは、リードとの最初の接点から購買に至るまでの各ステージを把握し、最適なアプローチを行うことで、リードを効果的に育成するプロセスです。マーケティング部門と営業部門が連携し、リードごとの購買意欲やフェーズに応じた適切なアプローチを実施することで、リードを育成し、最終的に購買へと導くことが可能になります。
リード管理のメリット
リード管理を行うことで得られる具体的なメリットには、売上の向上、営業の効率化、顧客満足度の向上などがあります。
売上向上につながる
リードをフェーズごとに分類し、各フェーズに応じた適切な部門が効果的にアプローチを行うことで、リードが購買に至る可能性が高まり、結果的に売上向上につながります。リード管理を通じて、リードの育成プロセスが最適化され、収益増加を実現することができます。
営業の効率化ができる
リード管理を行うことで、受注の可能性が高く、成約につながりやすいリードに優先的に営業アプローチをかけることができます。この結果、営業の時間や労力を節約でき、効率的にリードにアプローチできるようになります。また、リードを放置することで機会損失を生むリスクも減らせるため、全体的な営業効率が向上します。
顧客をフォローし満足度を上げられる
リード管理では、リードの段階やフェーズに応じて、顧客の状態や購買意欲に合わせた情報提供やコミュニケーションを行うことが重要です。Web訪問履歴やメール、商談履歴などのリード情報を一元管理することで、各見込み客に合ったアプローチが可能となり、結果として顧客満足度を向上させることができます。適切なフォローアップにより、顧客との関係が強化され、長期的な信頼関係の構築にも寄与します。
リード管理の流れ
リード管理の流れは主に3つに分けられます。リード管理では、この3つの流れに沿って管理していくことが重要です。
リードジェネレーション(リードの獲得)
リードジェネレーションでは、リードを獲得する方法としてインバウンド型とアウトバウンド型の2種類があります。
インバウンド型のリード獲得
企業の意思決定者や担当者が自発的に自社の製品やサービスに興味を持つように誘導する方法です。例えば、ホワイトペーパーや業界レポートの提供、WEB記事の執筆、ウェビナーやオンラインセミナーの開催などを通じて、リードを企業のWEBサイトに誘導し、資料請求や問い合わせを促します。長期的な視点でリードを獲得することが特徴です。
アウトバウンド型のリード獲得
自社から積極的にリードを獲得する方法です。展示会への参加や広告、ダイレクトメール(DM)などを通じて、迅速にリードを集めることを目指します。短期間でリードを獲得するためのマーケティング施策を行います。
リードナーチャリング(リードの育成)
リードナーチャリングでは、獲得したリードを成約に結びつけるために育成します。継続的に情報提供やアプローチを行い、リードの興味を高めていくことで、最終的に自社製品やサービスの購買に導くことを目指します。
リードオリフィケーション(リードの選別)
リードクオリフィケーションでは、リードナーチャリングを通じて育成されたリードの中から、購買意欲が特に高いリードを選別します。これには、メールの開封率、資料請求の頻度、ウェブサイトでの行動履歴などを数値化し、リードのスコアリングを行います。こうして選別されたリードは、営業チームによって優先的にアプローチされ、購買や成約に結びつける流れです。
リード管理方法のポイント
リード管理では、リードを放置すると将来的に顧客になる可能性が大幅に低下します。そのため、リードの興味を引き続け、関係性を維持しながら育成していくことが重要です。リード管理ツールを活用し、効率的にリードを管理することで、営業活動を効果的に進めることができます。また、BtoCとBtoBでは、リードの管理方法に違いがあるため、それぞれに適したアプローチが必要です
BtoC企業でのリード管理方法
BtoC企業においてリード管理は、下記のようにマーケティング担当者と営業担当者の2者で分担する例が多いでしょう。マーケティング部門がリードの獲得からリードの選別までを行うため、営業部門はスムーズに商談を進めやすくなります。
リード管理の一例:
リードの区分 | 担当者 |
リードジェネレーション | マーケティング担当 |
リードナーチャリング | |
リードオリフィケーション | |
商談 | 営業担当者 |
BtoB企業でのリード管理方法
BtoB企業のリード管理は、BtoC企業のリード管理と異なります。BtoBでは、購入が個人の判断だけで決定されるわけではなく、成約に至るまでに複数の意思決定者が関与し、購買が決まるまでに時間がかかることが多いです。そのため、リードを細かく分類し、フェーズごとに管理することが重要です。BtoBでは、多くのフェーズが存在するため、それぞれの担当者が効率的に管理できるように役割を分担することが大切です。
リード管理の一例:
リードの区分 | 担当者 |
ML(Marketing Lead) | マーケティング担当 |
MAL(Marketing Accepted Lead) | |
MQL(Marketing Qualified Lead ) | |
SAL(Sales Accepted Lead) | インサイドセールス担当/営業担当者 |
SQL(Sales Qualified Lead) | 営業担当者 |
商談 | 営業担当者 |
リードの管理方法
リード管理に利用されるツールと、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。
①エクセルで管理
リード管理ツールとしては、「手軽で使いやすい」「リードが少ない場合はエクセルでも管理しやすい」という理由などで、エクセルでリード情報を管理している企業もあります。
エクセルで管理するメリット
エクセルで管理するメリットは、「安く、手軽に始められる」という点です。Microsoft OfficeをインストールされているPCなら追加コストなしで利用できます。また、多くの人が基本的な操作に慣れているため、事前の研修がなくてもリード管理を開始しやすい点もメリットです。
エクセルで管理するデメリット
エクセルは使いやすく誰でも操作できる一方、リードの管理には注意が必要です。例えば、エクセルでリード情報を管理すると以下のような弊害が発生します。
ヒューマンエラーが発生しやすい
手作業でデータの入力や更新を行うため、誤った情報が入力されるリスクがあります。例えば、入力する会社名に誤りがあったり、セルの位置を間違えたり、表記揺れが発生したりするなど、手作業での簡易ミスが起こりやすくなります。複数人でファイルを編集する場合には重要な数式が意図せず削除される可能性もあります。
複数の情報管理がしづらい
リード管理には、商談履歴、メールや電話でのコミュニケーション履歴、Webサイトの閲覧履歴など、さまざまな情報が含まれます。エクセルでも簡易的なコミュニケーション履歴の記録は可能ですが、Webサイトの閲覧履歴やメルマガ開封などのデータを管理することは不可能です。リードと定期的にコミュニケーションを取る場合も、詳細な履歴を管理することは難しくなります。
複数ファイルに情報が分散し、検索性が低い
エクセルは誰でも簡単にファイルを作成できるため、展示会別やセミナー別などにファイルが分散しがちです。同一顧客の情報を複数のファイルに分散していると、情報が重複したり、データ検索や分析に時間がかかることがあります。このため、大量のデータを扱う際にはエクセルでは限界を感じることがあります。
エクセルは手軽にリード管理を始められる一方で、情報が増えるにつれて管理の難易度が上がり、専用ツールが必要になることがあります。特に、複雑な情報を一元的に管理する必要がある場合や、大量のデータを効率的に活用したい場合には、専用のリード管理ツールの導入を検討することが重要です。
②リード管理に特化したCRMツールやMAツールで管理
リード情報を適切に管理したい場合は、顧客管理システム(CRM)やマーケティングオートメーション(MA)などの専用のツールを利用する方法もあります。
CRMツールやMAツールで管理するメリット
CRMツールやMAツールを利用するメリットは、リード情報を一元管理し、リードの状況をリアルタイムで把握できる点です。CRMツールでは、リードの基本情報(属性、氏名、連絡先など)、誰がいつ、どのような対応をしたのか、どのような対応をしたのか、それに対してリードがどのように反応したのかといったコミュニケーション履歴、さらにはリードからの苦情や問い合わせ履歴など、さまざまな情報を集約して管理できます。リードに関するあらゆる情報を集約管理することで、リードの現在の状況を「見える化」でき、一人一人に合わせたアプローチが可能です。
CRMツールやMAツールで管理するデメリット
デメリットは、コストと導入の手間が挙げられます。CRMやMAツールの利用には月額運用費がかかり、さらに自社の業務環境に合わせてツールの設定を作り込む場合、初期費用がかかる場合があります。また、新しいツールを導入後、社内での運用が定着するまでに時間がかかることもあり、従業員に対するトレーニングが必要になる場合があります。ただし、ツール選定の際に自社のニーズに合ったものを選ぶことで、これらのデメリットを軽減することが可能です。たとえば、導入時のサポートやトレーニングが充実しているツールを選ぶと、スムーズな導入が期待できるでしょう。また、長期的にはコストを回収し、さらに利益を上げることができる可能性が高いため、慎重に検討する価値があります。
関連用語:顧客管理システム(CRM)
顧客管理システム(CRM)は、顧客との関係性を管理するのに特化したツールのこと。リードの氏名や連絡先などの基本情報から過去の取引履歴、顧客からの問い合わせ内容等を管理するのに役立つツール。
関連用語:マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは、リード情報の収集や分類、育成など、リードを育てて営業担当へ引き渡しを行うまでのマーケティング活動を自動化・最適化するためのツール。