案件管理とは?
案件管理とは
案件管理とは、案件を獲得してから受注(契約)に至るまでの一連のプロセスを管理することです。営業担当者が、いつ誰(顧客)と会い、どのような会話をしたのか、次にどのようなアクションを取る予定なのかを管理します。案件管理を行うと、チーム全体の案件の進捗が可視化されるため、情報共有や適切なフォローアップを行えます。案件管理によって蓄積されたデータを活用することで、改善点や課題を見つけやすくなります。これにより、成約に向けた戦略やアプローチを、データに基づいて立てることができます。
案件管理の基本項目
主な案件管理の項目について、以下の表にまとめました。
項目 | 概要 |
開始日 | 案件を開始した日のこと。開始日を記録しておくことで、案件がいつ開始したのかを把握できるので、遅延や停滞の有無を確認する時に役立つ。 |
案件の担当者 | 案件を担当している社員の名前。担当者を明記することで、担当者不明という事態を防ぎ、案件の責任者が明確になる。各担当者のパフォーマンスや成果を後で確認する時にも役立つ。 |
商品名 | 顧客に提案中の商品(またはサービス)のこと。商品ごとの受注額や成約率の確認も容易になる。 |
案件内容 | 案件の中で顧客とどのようなやり取りを行ったかを記録する。予算や決裁権の有無なども記録しておくと、案件がうまく進まない理由またはうまく進んでいる理由をフィードバックする場合にも役立つ。 |
案件ステージ | 案件の進捗状況を把握するために必要な情報。進捗状況を記載することで、受注予定日や売上を予測しやすくなる。完了予定日が近いのに進捗が悪い場合など、スケジュールと照らし合わせながら軌道修正する際も役に立つ。 |
受注確度 | 自社の商品(サービス)を購入または契約する可能性を判断する基準。BANT条件を元に定義したり、案件ステージを元に定義したりする。案件の優先順位付けが可能になる。 |
完了(受注)予定日 | 案件の受注予定日のこと。期末の最終日に設定する担当者が大半だが、正確な日程を入力することで受注率や売上予測の精度に差が出るため、案件を進める中で受注目処が立ち次第、随時更新することが推奨される。 |
次のアクション | この項目は、備考のような役割を果たす。案件を終えた後の気付きや、次の案件までに済ませておくべきタスク、担当者が変わる場合は後任者に伝えたいメッセージなどを記入する。活用することで、引き継ぎがあった場合でもプロセスを中断することなくスムーズに進められる。 |
企業によっては、業種・業界固有の要件などがあるため、追加したり省略したりする項目もあります。例えば製造業の案件管理では、仕様や納期に関する項目が必要なケースや、場合によっては受注から納品するまでの工程までを管理する必要もあるかもしれません。
重要なのは、案件管理を成約率の向上や営業活動の改善に役立てることです。これを軸に、何を管理すべきかどうかを検討します。
案件管理の方法
案件管理に用いる代表的なツールは、米Microsoft製「エクセル」(Excel)と「SFAなどの案件管理に特化したツール」です。
エクセルを使った案件管理
一般的な案件管理といえば、エクセルを使った方法です。案件を管理する上で把握しておきたい情報を一覧化できます。ビジネスにおいて馴染みのあるツールであるため、誰でも操作しやすいというメリットもあります。
ファイルの扱い方は企業によって異なりますが、社内サーバーなどに格納されている共通ファイルをチーム全員で共同編集するのが一般的です。
エクセルを使った案件管理の様式には特に決まりはありませんが、情報の見やすさを意識しつつ、管理が必要な項目を漏れなく盛り込む点には留意しましょう。案件管理用のシートを新しく作成する際は、有料/無料で公開されているテンプレートを使う、または参考にするといいでしょう
エクセルならではの便利な機能を活用すると、より管理しやすくなります。
例えば、条件付き書式を使うと、あらかじめ指定した条件を満たすセルの書式を変更できます。完了予定日を超過している案件を赤字でマークしたり、対応の優先度に応じて色分けしたりするといいでしょう。
その他にも、リンク機能を利用して関連するファイルや共有フォルダなどにすぐにアクセスもできます。
一見扱いやすいエクセルですが、「複数の人が同時に編集することはできない」「外出時は確認作業が難しい」「データが増え、ファイルが重くなり破損する」などの制限があります。
管理する案件数が少ない場合や、数名程度の少人数で運用する場合に、エクセルを使った案件管理はおすすめです。
SFAなどの案件管理に特化したツールを使った管理
エクセルの他に、近年はSFA(営業支援システム)などの案件管理に特化したITツールを使って案件を管理する企業が増えています。一般的にSFAなどのITツールは、分析機能が充実しており、Webブラウザ上で情報の閲覧・編集ができるため、外出先でも操作しやすいといった特長があります。
案件管理に用いられている主なITツールは、以下の2つです。
- SFA(営業支援システム)*1
- CRM(顧客管理システム)*2
利用ツールによって機能は異なりますが、案件管理に限っていえば、案件の「基本情報」(相手先企業や金額、進捗状況など)と、案件に対する「活動情報」(タスクや打ち合わせなど)を記録できます。データを蓄積することで、それを基にしたレポートの自動作成や、各データの推移をグラフなどのダッシュボード形式で可視化することもできます。
下記は、CRM/SFAツールの案件画面の一例です。エクセルなどの表計算ソフトとは異なり、蓄積データを見やすく表示していることが分かります。
(参考:Zoho CRM の案件一覧画面)
ただ、CRM/SFAツールは利便性と引き換えに、エクセルとは異なり導入・運用コストがかかります。操作に慣れるまでは、一定期間必要な場合もあります。導入ツールを選定する際は、使用したい機能があるかや、社員が使いこなせるかといった点を考慮しながら、利用を検討しましょう。
*1 関連用語 - 「SFA(営業支援システム)」
SFA(営業支援システム)は、営業活動を効率化するのに特化したツールのこと。CRMシステムに記録されたデータベースに基づいて、見積書を作成する、案件を割り当てる、メールを送信するといったアクションを自動で行うことで営業・営業支援の業務効率化に役立つツール。
*2 関連用語「CRM(顧客管理システム)」
CRM(顧客管理システム)は、顧客との関係性を管理するのに特化したツールのこと。リードの氏名や連絡先などの基本情報から過去の取引履歴、顧客からの問い合わせ内容等を管理するのに役立つツール。