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Zoho CRMの導入で美容皮膚科の売上が2倍に
新型コロナへの対策としてZoho One を活用し、
オンライン診療を低コストかつ迅速に実現

福岡県福津市にて1985年より皮膚科を営み、地域のクリニックとして市内のみならず他県からも多くの患者さんを迎える日野皮フ科医院。現在では皮膚科のみならず、美容皮膚科の診療、美容相談も行っており、老若男女を問わずさまざまな皮膚に関する病気や悩みに日々、親身になって対応している。

同医院では2017年に、Zohoのクラウド型アプリケーションスイート「Zoho One」を導入。クラウド型顧客管理システム「Zoho CRM」の活用を中心に患者満足度向上やリピート率増加などで売上が2倍になる効果を上げてきた。
そして今回、新型コロナウイルス感染拡大への対策として、オンラインミーティングシステム「Zoho Meeting」などZoho Oneのアプリケーションを活用することでオンライン診療を実現させた。
日野皮フ科医院は、Zoho Oneをどのように活用し、新型コロナウイルス感染拡大の中で患者さんに医療を提供しているのか。オンライン診療の提供に踏み出した背景とその実現、効果について、日野 亮介院長にお話を伺った。

「Zoho One のおかげで、新型コロナウイルス対策に向けたオンライン診療にいち早く踏み出せました」

医療法人 日野皮フ科医院 
院長 日野 亮介氏

患者さんの生活をより良いものにするための治療を提供

―日野皮フ科医院についてご紹介をお願いします。

日野氏:日野皮フ科医院は1985年に設立されました。皮膚科、美容皮膚科の診療を行うクリニックで、私は2014年に二代目の院長に就任しました。医院として掲げている理念は2つあります。1つは、「すべての人が健やかな皮膚であるためのお手伝いをすること」です。患者さんが抱える皮膚に関する病気や悩みを解消し、健やかな社会生活を送ってもらえるよう取り組んでいます。もう1つの理念が、「日本一患者思いの皮膚科医院であること」です。患者さんにとって真に有効となる治療を常に模索し続け、治療を通じて明るく実りある人生を歩んで頂くための手助けをとことんやり抜いていく、という想いを込めています。

―日々、どのくらいの患者さんが来院されているのでしょうか。

日野氏:老若男女を問わず、月に2,000名以上の患者さんが来院されています。また、美容に関する治療も月に200名ほど受診されています。

新型コロナウイルスへの対策が急務
Zoho Oneを活用したオンライン診療を開始

―オンライン診療を開始した理由について教えてください。

日野氏:最大の理由は、新型コロナウイルス感染拡大への対応です。日々、多くの患者さんや相談者を迎える中で、万が一、院内感染が発生しクラスター化することは絶対に避けなければならないと、危機感を抱えていました。しかし、皮膚に関する病気や悩みで苦しんでいる方々がいる中で、診療を行わないわけにはいきません。そこで、患者さんが来院せずとも治療を行えるようにしたいと考えました。厚生労働省の規制緩和もあり以前より検討していたオンライン診療に踏み出すことができました。

―オンライン診療にZoho Oneを活用した理由とシステム構築にかかった時間についてをお聞かせください。

日野氏:当院では、患者さんとの絆を深めさらなる顧客満足度向上を目的に2017年から顧客管理システム「Zoho CRM」など、さまざまアプリケーションが一体となった「Zoho One」を活用し成果を上げていました。
感染が深刻になりはじめた3月中旬頃、Zoho Oneの導入をサポートしてくれた、カイト合同会社(以下カイト社)に相談したところ、直ちに、カイト社に業務設計と初期のセットアップを実施してもらい、以降、自分自身で個別にアレンジを加えすぐにリリースできました。
決済用のPayPal アカウントの取得に数日かかったのが唯一、手間がかかった点でした。ITエンジニアのような特別なスキルもいらず、既存のアプリケーションを組み合わせるだけで容易にシステムを構築できることも、Zoho Oneの大きなメリットであると改めて実感しました。

―オンライン診療システムの概要についてお聞かせください。

日野氏:厚生労働省からの時限措置で初診でもオンライン診療は可能ですが、今のところは再診の患者さんだけを対象にしています。オンライン診療システムの申し込みフォームをクラウド型アンケートシステム「Zoho Survey」 で作成し、名前や診察ID、メールアドレスなどの情報を入力してもらいます。
それらの情報はZoho CRM のデータベース内の情報と関連付けられており、実際の診療日が決まればオンライン診療のスケジュールが登録され、患者さんにはメールで日時やアクセス先のURLが自動送信されます。Zoho CRMの機能を利用して当日のリマインダーも自動送信しています。
診療の当日はオンラインWeb会議システム「Zoho Meeting」を通じて診療を行います。患者さんはPCであればブラウザで、スマホであればZoho Meeting のアプリをダウンロードしてもらい、オンラインで診療を受けてもらっています。
なお、診療後の薬の受け取りですが、薬局にFAXで処方箋を送信し、患者さんに薬局に取りに行ってもらっています。また、診療費はPayPal アカウントと患者さんの情報をZoho One で連携させており、クラウド型会計システム「Zoho Books」で請求書を発行し、PayPal を通じて支払いが行われています。

患者さんからも好評なオンライン診療
感染リスク抑制に向け、さらなる活用を推進

―オンライン診療の利用状況はいかがでしょうか。

日野氏:4月6日の開始当日から現在まで、毎日、利用者を迎えています。オンライン診療の開始の告知を見て、すぐに予約された方もいらっしゃいました。1人でも感染リスクを減らしていけるよう、もっとオンライン診療を利用してほしい、と考えています。そのためにホームページやSNSを通じて告知したり、院内ではオンライン診療のQRコードを記載したチラシを配布したりしています。

―患者さんからの評判はいかがでしょうか。

日野氏:今回、特に喜んでくれているのは、乳幼児や小さいお子さん連れのお母さんです。「子供を連れて外に出るのは怖いけれども、病院に行かなければならない」といった悩みや不安を抱えていた方々にはとても喜ばれています。遠方から通院されている方からも好評をいただいています。
ただし、高齢の方など、ビデオ会議に不慣れだったり、スマホアプリでの設定に対して、「難しい」と思われているケースもあります。実際に使っていただければそれほど難しくはないので、そうした方々にも利用していただけるようにすることが、今後の課題です。
また、より詳しく患部を見るためには、高精細な映像が必要となりますが、端末の解像度や通信環境の制約などにより難しい面もあります。そのため、事前に患部をカメラで撮影し送ってもらうといった手立ても考えています。

―Zoho One への評価とオンライン診療を検討されている医療機関の方々にメッセージはありますか。

日野氏:今回、Zoho One のおかげでこの非常事態の中でオンライン診療を短期間で開始することができました。Zoho One を導入していて本当に良かったと実感しました。オンライン診療システムは導入や月額の費用が高額なものが多く、コスト面から導入に踏み切れない先生も少なくありません。しかし、Zoho One であればオンライン診療システムを容易にかつ低コストで構築できます。世の中にはこのようなITツールシステムもあるので、必要性に応じて、どんどんオンライン診療に踏み出してほしいですね。

患者さんとの絆を深め、さらなる顧客満足度向上を目指し
Zoho Oneの導入を決断

―Zoho One の導入と活用に至った経緯を教えてください

日野氏:以前から、患者さんたちが抱える悩みや診療に対する要望を詳しく知ることで顧客満足度を高めたり、患者さんとの絆を深めたりするための手立てを模索していました。そうした要望を叶えられるようなITシステムの導入を検討していたところ、Zoho サービスを導入し成果を上げていた知人からすすめられました。「まずは使ってみよう」と考え、Zoho One を2017年に導入。手始めに美容皮膚科の患者さんの満足度向上を目指し、Zoho CRM を中心に活用をスタートしました。

―Zoho One を選んだ理由をお聞かせください。

日野氏:他社のサービスと比較してアプリケーションが豊富で、しかも月額のランニングコストがとても安価だったことです。また、カスタマイズが容易に行えることも魅力に感じました。

―患者さんの満足度向上のために、Zoho CRM をどのように活用されていますか。

日野氏:特に活用しているのが「ワークフロー機能」です。例えば、患者さんの治療日をスケジュールに登録し、診察の前日になったら患者さんにリマインドのメールを送ったり、治療してから数日後に皮膚の状態に関する心配事をケアするためのフォローメールを送っています。さらに、継続した治療が必要な患者さんには、1か月後に再診を促すメールを送っています。患者さんの情報はZoho CRM のデータベースに登録されており、スケジュールやワークフローと連携させているので、メール送信もすべて自動化されています。このほかにも患者さんのリピート率や、問い合わせや診療内容に基づいた来院の傾向分析なども行っています。

Zoho CRM の活用で売上2倍増を達成
Zoho One の多彩なツールシステムを活用し院内業務も効率化

―Zoho CRM の活用で得られた効果をお聞かせください。

日野氏:患者さんへのサービス向上と顧客満足度向上に確実につながっており、リピート率の増加に大きく貢献しています。患者さんからは「リマインドメールをもらえるので、予定を忘れずに済み助かっています」といった声が数多く寄せられていますし、当日のキャンセルも減っています。これまで患者さん1人ひとりの症状やお悩みに応じたフォローメールなどを含めたきめ細かいケアはほぼ不可能でしたが、Zoho CRM の活用により個別化したアフターケアが行えるようになり、かつ、その業務を自動化できています。これらの施策を進めた結果、美容皮膚科ではZoho CRM の活用前と比べて2倍以上の売上を実現できています。

―他のアプリケーションはどのような用途で使っていますか。

日野氏:例えば「Zoho Survey」で問診票を作成しています。症状ごとに特化した問診票を作成し、事前に詳細な情報を把握して診察効率を向上させています。また、患者さんの満足度調査などのアンケートにも活用しています。ソーシャル運用管理システム「Zoho Social」ではTwitter やFacebook、Instagram などのSNSと連携させ、医院からのお知らせを自動投稿したり、SNSを介したお問い合わせをZoho CRM に見込み客として自動登録したりしています。院内スタッフへの連絡事項のやり取りには社内コミュニケーションシステム「Zoho Connect」を利用しています。

―最後に、Zoho One の活用について、今後の展望をお聞かせください。

日野氏:Zoho One にはZoho CRM をはじめ医院経営にも有効なアプリケーションが豊富に備わっています。私自身、Zoho One を利用している中で、カイト社から提案を色々もらい、「こんなこともできるのか」「こんな機能もあるのか」と毎回驚かされています。今後もZoho One を積極的に活用していきたいですし、患者さんとの絆を深め、ひとりひとりのQuality of Lifeを高めることに貢献してくれると期待しています。

医療法人 日野皮フ科医院