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営業組織が抱える課題とSFAによる解決

Lesson 1では、SFAの基本的な機能や活用法について学習しました。このLesson 2では、営業組織が抱える課題を挙げ、SFAでどのように解決できるのかを解説します。

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営業組織が抱える課題とSFAによる解決

営業マネージャーには営業組織のリソースを活用して活動を最適化し、売上や利益を向上させることが求められています。多くの営業マネージャーは、過去の経験や他社事例などをもとに組織の改善に取り組みますが、問題を把握せずにやみくもに改善施策を行っても効果はなかなか上がりません。

こうした状況を解決するには、顧客の状態や営業担当者それぞれの活動、商談の状況などをしっかりと把握して優先順位や問題点を明確にすることが重要です。そのためには、パイプラインマネジメントによるマーケティング・営業プロセスの可視化を行い、どのプロセスにおいて、どのような問題が発生しているのかを把握することから始める必要があります。

可視化された情報をもとに問題を解決するのがSFAを活用したマネジメントであり、SFAが導入され、適切にデータが入力されていれば営業プロセスごと、担当者ごとの問題点を洗い出すことができ、適切なタイミングでの指導や改善が可能となります。

ここからは、営業組織が抱えがちな3つの課題を現場のシーンを交えて紹介し、SFAを活用した具体的な解決方法を解説していきます。

課題1:営業組織の課題を把握できていない

営業組織の課題

営業マネージャーには営業組織としての活動を最適化し、売上や利益を向上させることが求められています。

しかし、いざ営業組織の改革や改善を行おうと思っても、どこに問題があるのかが分からず、他社の成功事例などを参考として効果がありそうな施策を手当たり次第に打っているような状況が起こります。

そのような状況は、業績が上がらないだけでなく、方針が頻繁に変わることによる営業担当者の疲弊につながり、離職率が上がってしまうなど、さまざまな問題を引き起こす原因ともなります。

そのような状況に陥らないために、組織上の問題と具体的な打ち手である施策が上手くかみ合わないとどのような問題が起こるのかについて、営業現場でよく発生するシーンを紹介しながら、SFAを使った解決策まで解説していきます。

シーン1:受注率改善のために、営業担当者にプレゼン研修を実施する

商談における受注率が上がらない原因が営業担当者のスキル不足にあると考え、プレゼンテーション力向上のための研修を実施してスキルアップを図るパターンです。

営業担当者にとってプレゼンテーション能力は必須のスキルですが、受注率が低い原因は営業担当者のスキル不足とは限らず、商材と顧客がマッチしていない、競合と比べて商品力が低いなど、さまざまな原因が存在します。

そのため、研修自体が無駄になることはありませんが、研修実施が必ずしも業績向上につながるとは限りません。

また、研修を実施するにしても、商談のどの段階で問題が発生しているかを把握できていなければ、適切な受講内容を選択することはできません。

例えば、初回訪問から次の段階になかなか進めないような場合、プレゼンテーション能力だけでなく、顧客の課題を的確に把握するためのヒアリング力が足りないことも考えられます。

このように、具体的な問題点を把握せずに研修を実施しても、忙しい営業担当者全員の時間を使った挙げ句に、業績向上につながらない可能性も高く、営業担当者のスキルアップに対するモチベーションを下げてしまうことにもなりかねません。

シーン2:前年の営業戦略が業績向上につながらなかったので、新たな戦略を立案する

前年の営業戦略では効果が出なかったため、新しい戦略を立て組織に展開しようとすることも、営業現場でよく見られるシーンです。

しかし、営業戦略の効果が上がらない原因としては、

  • 戦略自体が間違っている
  • 戦略が現場に正しく伝わっておらず、実行されない
  • 戦略が現場に正しく伝わっているが、営業担当者が忙しく実行しきれていない
  • 戦略が現場に正しく伝わっているが、営業現場にその戦略を実行するだけのスキルがない

など、さまざまな理由が考えられます。

こうした要因を正確に把握しないままで、業績向上につながらなかったからといって安易に営業戦略を変更しても、成果が出るとは限りません。

例えば、営業担当者が既存の顧客のフォローで手いっぱいになっているような場合には、業務の効率化を図ったり人員を増やしたりするなどの対策を取り、決定した戦略を実行できるだけの人的リソースを確保する必要があります。

ご紹介した2つのシーンのように、どのような施策を行うかよりも、問題点そのものと、問題が発生している真の原因を明確にすることが重要で、それに見合った対処をしないと目的を達成することはできません。

具体的な解決策:SFAの活用によるパイプラインマネジメントの実施

パイプラインマネジメント

これまで説明してきたような組織上の問題と施策の不一致を防ぐには、SFAを活用したパイプラインマネジメントの実施が有効です。

パイプラインマネジメントとは、見込み客の獲得からリピート受注・アフターフォロー活動までの、マーケティング・営業活動における一連の業務の流れを1つのパイプに見立てて可視化し、分析や改善を行うマネジメント手法です。(パイプラインマネジメントの定義としては、営業活動プロセスのみにフォーカスすることもあります)

営業マネージャーが組織の問題点を把握し、適切な施策を実施するには、パイプラインマネジメントにより、マーケティング・営業プロセスのどこに問題(ボトルネック)があるかを見極めることが重要です。

SFAを活用すれば各プロセスを数字やグラフにより可視化し、問題のあるプロセスを特定でき、改善に向けて動けるようになります。
また、担当者ごとの商談進捗状況や結果のデータから、それぞれの得意分野や苦手分野を把握した上で的確な行動の指示ができ、組織全体の底上げも実現できます。

注意点としては、パイプラインマネジメントで把握できるのは、「定量的なボトルネックであり、どのプロセスに問題が起きているのかまで」であることが挙げられます。なぜそのプロセスで問題が起きているのかは、営業現場を観察したり、各担当者にヒアリングを行うなどして原因を特定する必要があり、解決のための仮説立案は営業マネージャー自身が行わなければなりません。

状況2:マネージャーが営業担当者に適切な指導が行えない

営業マネージャーには、売上や利益の向上だけでなく、部下である営業担当者に適切な指導を行い、各営業担当者のパフォーマンスを向上させることも求められています。

しかし、すべての商談や活動に営業マネージャーが付きっきりになることは難しいため、現場で起こっていることや、本来指導すべきポイントが把握できずに、自身の経験や想像をもとに的外れな指導を行ってしまうこともよく起こります。

そのような状況は、営業担当者のパフォーマンスが上がらないだけでなく、繰り返された的外れな指導により、営業マネージャーに従わない営業組織が形づくられ、組織としてまともに機能しないことにもつながりかねません。

ここでは、営業マネージャーが各担当者に適切な指導が行えないとどのような問題が出るのかを、営業現場でよく発生するシーンを紹介しながら解説していきます。

シーン1:営業担当者に対して商談中の問題点だけを指導する

営業マネージャーが個別の商談に同行し、商談中の問題点として、質問の仕方やプレゼンの内容だけを指導してしまうパターンです。

同行による指導は大変有効ではあるものの、実は同行した商談先がそもそも適切なアプローチ先ではないという可能性もあります。このような場合、商談中のふるまいが問題なのではなく、営業担当者がアプローチしている顧客の情報を把握して、適切な優先順位を付けられてないことが問題となっています。

業績の上がっていない営業担当者は、アポイントがとりやすかったり、話を聞いてくれる顧客とのコミュニケーションを取りがちで、本来アプローチすべき顧客を後回しにしてしまっている状況もよく起こります。

適切なアプローチ先に対する活動が行えていない営業担当者に対しては、営業組織・担当者の受注状況によって変化する優先順位のつけ方、受注につながらない顧客の見極め方、見極めるための情報収集の仕方などを指導する必要があります。

シーン2:自分の経験やノウハウだけで指導してしまう

営業担当者を指導するときに、マネージャーが自分の過去の経験に基づく主観的な指導をしてしまうこともありがちなパターンです。

経験則や精神論が有効な場面はありますが、それだけで指導をしても、時代が違うと受け入れてもらえないこともありますし、時代と共に顧客側の行動や価値観が変わっていることから適切な指導につながらないこともあります。

例えば、業績が上がっていない営業担当者がいた場合、営業マネージャーは過去の経験から、顧客に会わないと始まらないからと、オフィスにいる営業担当者にとにかく顧客とのアポイントをとるように指導するような状況です。

顧客に会わないと始まらないという考え方は正しい一面もありますが、具体的な提案や有用な情報もないのにアポイントを取ろうとしても、忙しい顧客は会ってくれません。また、簡単にアポイントが取れるような時間に余裕のある顧客とばかり話しても、具体的な商談につながる可能性は低いかもしれません。

業績が上がっていない営業担当者に指導を行う場合には、各担当者の活動状況を把握した上で、客観的な数値などに基づく指導を行うことが効果的です。

業績を上げている担当者よりも成績が低い原因が活動量が少ないことなのであれば、まずは活動量を増やす指導をしなければ意味がありません。活動量を増やすと言っても、担当者それぞれのスキルや行動力などが異なるため、それぞれの力量に合わせたやり方を指導する必要もあります。

さらに、納得感のある指導ができないために、営業担当がなかなか行動を起こしてくれない状況もさまざまな組織で発生しています。

営業マネージャーは、「営業担当者が指示したことを行ってくれない」と嘆く前に、自身の指導が適切で、指示通りに行動すれば成果につながると思えるような内容になっているかを振り返る必要があります。

具体的な解決策:SFAによる営業活動管理・顧客管理の実施

営業担当者を指導する上で発生する課題を解決するには、SFAを活用した担当者ごとの活動管理に基づく業務の最適化や顧客管理による優先順位付けを行うことが効果的です。

解決策1:営業活動管理の徹底

SFAにより、商談の進捗状況ごとの打ち合わせや架電などの行動を数値として把握できると、営業担当者に客観的な行動量やタイミングに基づく指導ができるようになります。

例えば、初回訪問してから次の訪問を2週間以内に行わないと商談継続率が下がるというデータが分かっていれば、今フォローすべき顧客や商談を具体的に指示できます。

このような状況では、「初回訪問後の顧客のフォローを忘れないようにしよう」というあいまいな指示ではなく、「初回訪問後の次回のアポイントが取れてない商談が5件あるので、今週中に顧客に連絡し、次回の営業会議までに進捗を報告して欲しい」といった具体的な指示が必要です。

SFAを活用して営業活動や顧客の状況などを分析しながら、それぞれの営業担当者が抱えている顧客や商談に対する問題点を改善できるような具体的な指導を行いましょう。

なお、単に顧客をフォローしてアポイントを取れと指導を行っても、営業担当者は思ったようには行動をしてくれません。

なかなか行動できない営業担当者に対しては、丸投げするだけでなく、顧客のアポイントが取れない状況が発生している原因を特定し、対応を行うことが求められます。その原因がもし顧客に会いにいくためのネタがないことであれば、フォローの上手い他の担当者のやり方を真似してもらったり、アポイントを取りやすくするための資料を用意するなど、組織としての対応を意識する必要があります。

解決策2:顧客管理に基づく活動の優先順位付け

SFAに登録された情報で、顧客企業や担当者ごとのニーズや課題、既存の取引量などの実績、売上規模や従業員数などの属性情報による想定ポテンシャルが明確になれば、営業担当者に対して、注力すべき顧客についての具体的な指導ができるようになります。

例えば、フォローすべきリストを上から順に対応していくような雑な進め方ではなく、既存取引金額が多かったり、企業規模から見て今後のポテンシャルが高かったりする取引先のように、優先順位の高い顧客や商談に集中して時間を割くように指導することが効果的です。

なお、営業組織における顧客や商談の優先順位は常に変化していきます。
今期の売上目標の達成が危ぶまれるような状況であれば、今期中に受注可能な商談や既存顧客への活動の優先度が高くなりますし、逆に目標達成が見えている状況では、来期に向けた種まきを行う活動の優先順位が高くなります。

変化する優先順位を営業担当者に周知し、常に営業組織が直面している状況にあった行動を取れる環境を整えるのも営業マネージャーの仕事です。

課題3:営業担当者が注力すべき活動に専念できない

営業担当者は、売上に直結する業務以外の仕事も行わなければなりません。特に比較的小さな組織で、営業アシスタントや営業事務担当者などを配置できない場合、月末・月初の事務作業が多く発生するタイミングでは、1日がいわゆるノンコア業務だけで終わってしまうこともあるでしょう。

このように、営業担当者が社内報告や会議、資料作成といった、売上には直結しないノンコア業務に時間を割かれ、本来注力すべき営業活動が行えていないといった課題もよく聞かれます。

営業担当者が売上や利益に直結するコア業務に注力できなければ、組織全体の営業力や生産性の低下を招くことになります。

このような問題は営業活動を可視化する活動管理を行っていても、その他の業務の時間としてまとめられてしまうことが原因で、可視化されづらい問題となるため注意が必要です。

ここでは、営業担当者が貴重な時間を使ってしまいがちな主なノンコア業務を挙げて、SFAを使ってどのように効率化が可能なのかを解説します。

シーン:請求書作成や営業会議向けの資料作成に時間を取られ商談ができていない

営業担当者が行うべきノンコア業務には、以下のような顧客に提示する資料や契約書・見積書・請求書といった書類の作成、社内会議の準備、交通費の精算など多くの事務作業も含まれます。

営業担当者が行うノンコア業務の例

営業会議用の資料の作成

定期的に営業部内で実施される営業会議用の資料を作成する業務です。自身の担当する案件の進捗状況や見込み受注額や確度などを集計したり、コメントを記載したりします。毎回同じようなコメントを表現を変えて記載したり、担当者によって入力されるデータの精度が異なり、分析やマネージャーからの指導につなげられないなど、時間がかかる割には作成された資料が十分に活用されないことも多い作業です。

営業フォローリストの管理

展示会などで取得した見込み客の情報などをもとにフォロー状況を管理する業務です。営業担当者が自身の活動状況を個別に入力しますが、最新版のファイルの所在が分からなかったり、何を入力すればよいかがはっきりしないことなどが原因でだんだん更新されなくなります。最終的には、誰も状況を把握できないままコストをかけて取得した顧客資産が活かされないといった状況も起こりがちです。

見積書や請求書の作成

見積書や請求書など顧客との取引に必要な書類を作成する業務です。作成自体はすぐに出来ても忙しい上司の承認が終わらず、顧客を待たせてしまうといったことが起こりがちです。何らかの付加価値を生む作業ではありませんが、ミスがあるとトラブルに発展し、顧客からの信頼を失う可能性もあります。

各ノンコア業務を進めるための準備時間

ノンコア業務を行うために必要な顧客とのコミュニケーション履歴や提出済みの見積書などの過去の情報をメールやファイルサーバーから探す時間です。準備自体は業務ではないものの、営業担当者が調べ物をするために多くの時間を使っているため、ノンコア業務の一例として挙げています。最新の情報がわからなかったり、取引の経緯などが漏れてしまうと、営業担当者の引継ぎの際にも問題が発生します。

こうしたノンコア業務に時間や労力を取られ、商談や顧客とのコミュニケーションといった本来の営業活動に時間を割けないといった問題が発生します。このようなノンコア業務は、誰かが実施しなければならない必要な作業であるため、事務担当者の採用や配置による営業担当者の負担減少が難しい場合には、ITツールなどによる業務の効率化が必要となります。

具体的な解決策:SFAによるノンコア業務の効率化・自動化

SFAを導入・活用してもノンコア業務を完全になくすことはできませんが、効率化や自動化により、営業担当者がコア業務に集中しやすい環境を提供できるようになります。

具体的には、データの一元化、業務の自動化・ワークフロー化、レポート出力といった機能を使って、ノンコア業務の効率化を実現できます。

それぞれの機能がどのように業務効率化を実現できるのかをご紹介していきます。

SFAによるノンコア業務の効率化・自動化

データの一元化

SFAによりツール上で顧客や商談情報を管理し、見積書や提案書、メールの履歴情報などを紐づけることで、顧客にまつわるあらゆるデータを一元化することができます。データが一元化されることで、情報を探す時間を短縮したり、誤った情報をもとに見積書を提出してしまうようなミスを削減することができます。
また、作成した見積書を請求書に変換する機能などを活用すれば、同じデータを何度も入力する作業を減らすことで業務効率化につながります。

業務の自動化・ワークフロー化

SFAには、見積書や請求書を作成する機能や見積書の承認や承認されたデータの自動メール送信など、業務の流れを最適化・省力化する機能を持つものもあります。このような機能を使って、個別の業務だけでなく営業活動全体の効率化を実現できます。
また、外部ツールとの連携機能を利用することで、データの転記などの手作業をなくすことも可能です。

レポートやダッシュボードなどのデータ集計・加工機能

SFAは、営業担当者が入力したデータをさまざまな形で集計したり、加工してレポートを出力する機能を持っています。そのため、営業会議のために新たな資料を作成する必要がなく、常に最新の状態に基づいて営業会議を開催したり、展示会などのフォロー状況を確認して、適切な指示を出すことができます。

このようにSFAのさまざまな機能を活用してノンコア業務を効率化し、コア業務に時間を割ける環境を提供することで、業績の向上や営業担当者の業務に対する満足度を上げることに繋がります。

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