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中小企業が着手すべきDX領域:営業DX

Lesson 6では、中小企業が早い段階で着手するべきDX(デジタルトランスフォーメーション)領域として、多くの中小企業が抱えるさまざまな課題を解決する打ち手となるマーケティングDXについて解説しました。ここからは、中小企業が着手するべきもう一つのDX領域として、営業プロセスを改善し、効率的に業績を向上させ得る営業DXについて解説していきます。マーケティング活動と営業活動の切り分けは難しいですが、今回のレッスンでは、主に商談が始まったあとに営業担当者が営業活動を行う領域を営業DXとして定義して解説します。

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中小企業が着手すべきDX領域:営業DX

営業DXの必要性

DXは、中小企業がデジタル技術を活用してビジネスを変革し、競争力を高めるプロセスですが、組織内でDXを推進するためには、データドリブン思考と顧客理解を深めることが必要不可欠です。

しかし、営業活動領域においては、営業担当者と顧客の人対人のコミュニケーションが必要です。顧客ごとに必要な対応が異なることもあり、非常に属人性の高い業務領域といえます。そのため、組織としてどのような情報を蓄積すれば、データを活かして個別の案件を受注に近づけられるのかを判断することが難しく、デジタル化が遅れがちな領域です。

一方、営業活動は、見込み客や既存顧客と濃密なコミュニケーションを取れる唯一の手段といえます。顧客が抱える課題や求めている解決策などについて情報収集を進め、組織内にフィードバックすることで顧客理解を深めるのに欠かせない活動です。

これらのことから、顧客理解を深め、顧客志向の活動を通して業績向上につなげるためにも、早い段階で中小企業が着手するべきDX領域として、営業DXが候補に挙がってきます。

現代の営業組織における課題

現在の日本のビジネス環境では、人材の確保が難しく、特に賃上げや十分な社員教育を行うことが難しい中小企業ではさまざまな業種で人材不足が大きな課題となっています。

2024年版「中小企業白書」(中小企業庁)の「第3章:中小企業・小規模事業者の現状」によると、日本国内の生産年齢人口は長期的に減少傾向にあるものの、近年は女性や高齢者の就業により就業者数を維持してきました。

しかし、2019年ごろから女性の就業者数は横ばいとなり、高齢者の就業数は減少に転じ、就業者数は減少に転じることが予想されています。

2024年版「中小企業白書」第1-3-8図「生産年齢人口・生産年齢人口(女性)・65~69 歳人口における就業率の推移」

出典:2024年版「中小企業白書」第1-3-8図「生産年齢人口・生産年齢人口(女性)・65~69 歳人口における就業率の推移」

さらに、IT化が遅れがちな中小企業では、デジタルツールの導入・活用が進まないことが原因で、デジタルネイティブ世代の若手人材の定着が実現できず、さらにデジタルツールの活用が遅れるという悪循環が起こっています。

営業担当者には、顧客や業界に関する知識、顧客課題や解決策に関する知識、自社の商品・サービスに関する専門知識、質問力やプレゼン力などをはじめとしたコミュニケーション能力など高度なスキルが必要です。

営業人材の採用や定着化が進まない状況では、じっくりと営業担当者を育てる余裕がなくなってくることから、短期間で営業担当者を即戦力化することが求められ、そのために、属人性を極力排除した組織的な取り組みにより営業DXの推進が必要とされています。

営業DXがもたらすメリット

営業DXの推進は中小企業にとって多くのメリットをもたらします。代表的なメリットを紹介していきます。

顧客情報の一元化による業務効率化

営業DXを推進することで、顧客情報や商談内容、契約状況などをデジタルツールで一元管理できるようになります。

従来の紙ベースや個別のファイル管理では、情報が散逸したり重複したりするリスクがありましたが、CRM(顧客関係管理)/SFA(営業支援)ツールを活用することで、これらの問題を解消できます。

情報が一元管理されることで、営業担当者は必要なデータに迅速にアクセスでき、無駄な検索や確認作業が減少します。また、情報が正確かつ最新の状態で保たれるため、営業チーム全体でのコミュニケーションもスムーズになります。

このような効果により、業務効率が向上し、営業活動にかかる時間や手間を削減することが可能です。さらに、デジタル化された情報は、部門間での共有も容易になるため、営業部門以外の部署とも円滑な連携が可能になります。

営業プロセスの標準化による属人性の排除

従来の営業活動では、営業担当者個人のスキルや経験に依存することが多く、属人性が高いという問題がありました。

しかし、営業DXを推進することで、営業プロセスの標準化が進み、誰でも一定の品質で営業活動を行えるようになります。

具体的には、CRM/SFAツールを活用することで、営業活動の進捗状況や行うべきタスクがシステム上で可視化され、マネージャ―や他のメンバーが状況を把握しやすくなります。

これにより、個別に進んでいる案件が標準プロセスにおいてどの段階にあり、適切な行動が行われてるかが分かるようになり、マネージャ―は必要に応じた支援やアドバイスを行うことができるようになります。このような活動の結果、営業活動の属人性が排除され、新人や未経験者でも効率的に営業活動を行うことが可能になります。

また、営業プロセスが標準化されることで、個々の営業担当者の業務パフォーマンスのばらつきが減少し、組織全体としての営業成果が安定します。さらに、担当者の交代や異動があっても、引き継ぎがスムーズに行えるため、業務に与える影響を最小限に抑えることができます。

データ活用による顧客理解の深化による業績向上

営業DXの推進により、顧客データの蓄積と分析が容易になり、顧客理解が深まります。

具体的には、顧客の購買履歴や問い合わせ内容、ウェブサイトの行動履歴などのデータを活用することで、個々の顧客のニーズや嗜好をより正確に把握したり、契約につながりやすい顧客を判別し、適切な優先順位をつけることができるようになります。

個別の案件においては、顧客に合った適切な提案やサービスを提供することが可能になり、顧客満足度が向上します。また、顧客のライフサイクルに応じたフォローアップや、クロスセル、アップセルの機会も捉えやすくなり、売上向上に寄与します。

さらに、営業DXによって得られたデータを分析することで、商談の傾向や成功パターンを見出し、より効果的な営業戦略を策定することも可能です。結果として、データドリブンな営業活動が実現し、持続的な成長が期待できるようになります。

中小企業が行うべき営業DX

ここまでを踏まえて、中小企業が取り組むべき営業DXの具体的な内容について解説していきます。

営業プロセスの標準化・可視化

営業DXを進める際に、最初に中小企業が取り組むべきなのは、営業プロセスの標準化と可視化です。

営業組織が案件管理を行う上で問題となるのが、商談の進捗状況に対する営業担当者の認識のずれです。

営業プロセスの例

営業プロセスの例

例えば、同じように提案書を提出した状況でも、顧客のニーズを正しく把握し、そのニーズを解決できる商品を提案していることもあれば、ニーズもほとんど確認できていないのに、お仕着せの提案書を名前を変えて出しているような状況もあり得ます。

営業担当者が営業の進捗を正しく把握しながら活動・報告していなければ、マネージャーからは商談の進捗が同じように見えても、本来行うべきアドバイスには大きな違いが出てしまいます。

そのような状況にならないために、案件管理においては、自社の営業活動を管理するために適切なプロセスを定義し、各営業担当者が正しく活動を行った上でデータ入力を行って、状況を可視化する必要があります。

まずは、営業部内で標準的な営業プロセスを定義することから営業DXを進めていきましょう。

日報ではない営業活動の可視化

日本企業においては、営業活動の状況を把握するために、営業担当者が1日の活動を文章でまとめて報告を行ういわゆる「営業日報」が中心となることが多く、主観的な報告に頼る状況が発生しています。

しかし、営業DXを進める上では、営業日報のような定性的なデータだけでなく、定量的なデータに基づく営業活動の把握と可視化も求められます。

具体的には、展示会参加者へのフォロー活動の実施数やカバー率、顧客への架電数やアポイント獲得数、面談実施数といった具体的な活動を記録・共有し、営業担当者の行動をデータとして把握することが重要です。

このような活動情報と顧客情報・案件の進捗状況を組み合わせることで、優先順位の高い顧客に活動時間を割くことができているのか、フォローすべきリストの対応漏れがないのか、案件の進捗に応じた適切な活動を行えているのかなどを客観的に判断することでできるようになります。

このようなデータに基づく営業活動の把握ができれば、マネージャーはリアルタイムかつ担当者のレベルに応じた適切なアドバイスを行うことができ、業績向上や営業担当者に育成に活かすことができます。

営業マネジメントの改革

営業DXの成功には、営業マネジメントの改革が不可欠です。

従来の営業マネジメントは、営業マネージャーの経験や勘に基づく判断が多く、成果が出るかどうかは個々の担当者の力量に依存していました。

しかし、営業DXではデータを活用し、科学的なアプローチに基づくマネジメントが求められます。

これまで解説してきた通り、各営業担当者の案件の進捗や活動のパフォーマンスを可視化し、分析することが可能な環境を作ることで、誰がどの部分でつまずいているのか、どの商談が重要なポイントに差し掛かっているのかが明確になり、適切なタイミングでサポートや指導が行えるようになります。

また、データに基づく改善点の提示やフィードバックが行えるため、指導を受ける側も納得感をもって、アドバイスの内容を実行することができます。

このように、営業DXによるマネジメント改革は、組織全体の営業力を底上げし、持続的な成長を可能にします。組織的な取り組みを行うために、日々の活動をデータ化し、データに基づくマネジメントを実行することを意識することからに取り組んでいきましょう。

営業DX推進の課題と解決策

中小企業が営業DXを進める上では、その阻害要因となりうる課題が存在します。

営業プロセスの標準化の難しさ

営業DXを進める際に、まず取り組むべきは営業プロセスの標準化ですが、組織としての意見を統一化することは容易ではありません。

営業活動は担当者ごとに異なるスタイルや方法があるため、全員が同じプロセスで営業を行うことに抵抗感を持つケースが多く、特に、ベテラン営業担当者が自身のやり方に固執することが、標準化の障害となり得ます。

解決策としては、まず現行の営業プロセスを徹底的に分析し、様々な案件や扱う商材に共通したプロセスを定義することが重要です。商談の種類や商材ごとにプロセスを細かく分割しすぎると管理も煩雑で、標準化の意義が薄れてしまう可能性が高いため注意しましょう。

また、標準化されたプロセスについて、机上の説明を行うだけでなく、実際の案件管理やアドバイスを通じて、プロセス管理の意義を徐々に浸透させていくことも重要です。

そのような取り組みを行うために、早い段階でCRM/SFAツールなどを活用し、営業フローを視覚的に管理できる仕組みを整備し、プロセス管理の重要性を理解してもらう環境を用意することを検討しましょう。

データが適切に入力されない

営業DXを推進するためには、データの入力が適切に行われることが必要ですが、多くの営業担当者は日常業務に追われてデータの入力を怠ったり、入力内容が不十分だったりするケースがしばしば発生します。これにより、営業活動の全体像を把握することが困難になり、正確な分析やマネジメントが行えなくなります。

この問題を解決するためには、まずはデータ入力の重要性を徹底的に教育することが求められます。営業担当者に対して、入力データが企業全体にどのように活用されるのか、その結果としてどのようなメリットがあるのかを理解してもらうことが重要です。

さらに、データを簡単に入力できる環境を用意することも重要です。営業担当者にとって、データ入力が手軽なものであれば、データの質と量は自然と向上します。

営業担当者がにとって、入力作業が負担にならず、データの入力の自動化やテキスト入力が必要な項目を最小限にすることで、入力ミスや漏れを防ぐことができるツールの選択を検討しましょう。

無駄の多い営業会議

営業会議は多くの組織で行われていますが、しばしば内容が非効率的で、案件の受注に結びつかないケースが見られます。

特に、日報の確認や個々の商談報告に時間が取られ、会議そのものが形骸化していることが課題といえます。このような無駄な会議は、営業チームのモチベーションを下げ、生産性を低下させる要因となりえます。

営業会議の生産性を向上させ受注につながる活動を行うためには、営業会議の目的を明確化し、議論の焦点を定めることが重要です。

まず、会議の前にCRM/SFAツールなどを用いて進捗状況やデータを共有し、会議の時間を報告ではなく、課題解決や戦略の策定に充てるようにします。さらに、データを基にした議論を行うことで、感覚的な意見ではなく、事実に基づいた有益な議論ができるようになります。これにより、営業会議が実効性を持ち、現場に即した改善策を導き出せる場へと変わります。

営業DXの事例3選

ここまで営業DXのメリットや取り組むべき内容、課題と解決策などについて解説してきました。

本レッスンの最後に、より具体的な営業DXをイメージするために、Zoho サービスを活用した営業DXの成功事例を3つ紹介します。

営業DX事例①:顧客情報の属人管理を解消。営業活動をリアルタイムに追跡し、業務を効率化

tajimaroofinglogo

週報による営業マネジメントから脱却し、営業プロセスの標準化による業務効率化につなげた、田島ルーフィング株式会社の営業DXの事例です。

「以前は電話をかけないと追えなかった業者間での情報が、手に取るように分かるようになった」と営業企画部販売支援課係長・佐藤健祐氏は語っています。

田島ルーフィング株式会社の事例について詳細はこちら →

営業DX事例②:Zoho CRM で「営業DX化」に成功。営業リードタイム、報告書の作成時間を1/3に短縮

mitsubalogo

メールでの営業報告から案件・活動データの管理に移行して、業務効率化を実現し、営業DXの足がかりとした株式会社ミツバの事例です。

二輪・汎用営業部でチームリーダーを務める鈴木顕太氏は「Zoho CRM の導入により、1日1時間ほどかけていた営業活動の報告業務を、1/3程度に短縮化できました。この業務効率化の効果は驚異的です」と語っています。

株式会社ミツバの事例について詳細はこちら →

営業DX事例③:営業活動の属人化が解消。「受注型」から「獲得型」へ転換し、提案力を強化

imuratologo

営業活動の可視化と標準化により、組織としてのパフォーマンスを高め、お客さまからの引き合いが中心だった受注型の営業活動から、お客さまの課題解決を主眼とする獲得型の営業活動への転換を進めている株式会社イムラ封筒の事例です。

メーリングソリューション事業部長の田村哲也氏は「DM支援事業を拡大するうえで、獲得型の営業への転換が欠かせませんでした。その実現をZoho CRM が後押ししています」と語っています。

株式会社イムラ封筒の事例について詳細はこちら →

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