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中小企業におけるDXとの向き合い方

中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、競争力の強化や業務効率の向上につながる重要な取り組みです。しかし、多くの中小企業は、今すぐにでもDXに着手しなくてはと考えている一方、どこから手を付けるべきか迷っているのが現実です。

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中小企業におけるDXとの向き合い方

このような状況の原因の一つが、書籍やセミナーなどで語られるDX戦略や進め方の多くが、大企業や一部のベンチャー企業向けの内容であり、一般的な中小企業にとってはハードルが高いものが多いためです。

本レッスンでは、中小企業がどのようにDXと向き合い、現実的なDX戦略を立案するべきかについて解説します。

なお、具体的なDX戦略の立案の手順は、次のレッスンで詳しく解説します。

DX戦略の立案における大企業と中小企業の違い

中小企業がDX戦略の立案を行う際には、世の中にあふれている大企業のDX成功事例をそのまま参考にしても成功はおぼつきません。以下のような大企業との違いを念頭に置いてDX戦略を立案していく必要があります。

資金力の違い

大企業は、DX推進のために多額の投資を行うことが可能ですが、多くの中小企業にはそのような資金的な余裕がありません。つまり、中小企業においては、コストパフォーマンスを考慮した戦略立案が求められることとなります。

例えば、大企業では、クラウドインフラの導入やAI技術の実装などに巨額の投資を行うことができます。それに対し、中小企業はまずは価格的に手頃で、特定の業務や機能に特化したクラウドサービスを活用し、段階的にデジタル化を進めることが現実的といえます。

組織力の違い

大企業は、専門のDXチームを編成し、プロジェクトごとに専任の担当者を配置することが可能です。一方で、中小企業は多くの場合、限られた人員で複数の業務をこなしているため、DX推進のための専任チームを設けることが難しい状況にあります。つまり、複数の業務を担当しながらDXを推進するための方法論が必要といえます。

例えば、大企業では、プロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、システムエンジニアなどの専門家がチームを組んでDXプロジェクトを推進します。それに対し、中小企業では一人の担当者が複数の役割を兼務することが多いため、段階的なデジタル化の推進や外部パートナーの活用が重要となります。

人材確保の難しさ

DXの推進には、デジタル技術に精通した専門家が必要ですが、中小企業においてはそのような人材を確保するのが難しい現状があります。大企業であれば、高待遇や魅力的なキャリアパスを提示することで優秀な人材を引きつけることができますが、中小企業ではそのような待遇を提供するのが困難であるためです。

中小企業においては、外部パートナーの活用や社員の育成によって、DX推進に必要なスキルを補う方法を検討する必要があります。具体的には、オンライン講座や外部セミナーを活用して社員のスキルアップを図るとともに、フリーランスやコンサルティング企業と提携してプロジェクトごとに専門知識を導入する方法が有効です。

ただし、外部の人材を活用する際には、可能な限りプロジェクトを丸投げするようなやり方を避けることが賢明です。多くのDXプロジェクトが失敗する原因の一つが、自社の強みや具体的な業務を理解しないままツールだけを導入して、活用できずに終わってしまうパターンであるためです。

まずは自分たちができる範囲からデジタル化に着手し、自分たちではできない専門的な分野や経験が必要な部分についてアウトソースするイメージを持ちましょう。

中小企業における現実的なDX戦略

ここまで説明してきたように、中小企業におけるDX戦略の立案では、大企業の成功事例をそのまま踏襲するのではなく、自社の現状やリソースに適した実行可能な戦略を立てることが重要です。理想論にとらわれず、現実的な目標を設定し、段階的にDXを推進していくアプローチが求められます。

例えば、大企業が取り組む全社的なシステムの刷新を伴うような進め方は中小企業には負担が大きすぎるため、まずは特定の業務プロセスに焦点を当てた小規模なシステム導入から始め、徐々に拡大していく戦略が効果的です。

ただし、個別の業務のデジタル化を進める際には、関連する業務プロセスとのデータ連携ができる仕組みを想定しておく必要があります。関連するプロセスとの関係性を意識したデータを作成することで、後に必要となる全社的なデータ統合やデータを起点とした意思決定を行うことにつながっていきます。

企業戦略とDX戦略の関係

企業戦略の重要性

DXはあくまで企業戦略を実現するための手段であり、本来であれば、企業戦略が明確でないとDXの方向性も定まりません。理想的には、企業戦略を定めた上で、その実現手段としてDX戦略を構築するべきだといえます。

もし自社の企業戦略が明確に定まっていない場合には、まずはPEST分析(政治・経済・社会・技術の視点から環境分析を行う手法)、SWOT分析(自社の強み・弱み、機会・脅威を分析する手法)、クロスSWOT分析(SWOT分析の結果を組み合わせて戦略を立案する手法)などを用いて、企業戦略を立案するところから始めることが推奨されます。これにより、企業の外部環境と内部環境を総合的に理解し、DXの目的である競争優位性を確立するための方向性が明確になります。

現実的なDX戦略立案のアプローチ

しかし、中小企業においては、企業戦略が明確に定まっていなかったり、組織内の共通認識として合意形成がされていなかったりといったことも十分にありえます。そのような状況で、ゼロから企業戦略の立案を行おうとすると、それだけで年単位の時間がかかってしまう可能性があります。

本来は最初に企業戦略を立てる必要はありますが、業務改善のスピードを重視する場合には、まずは社内のデジタル化の現状を整理し、改善するところから始めるのが現実的です。

組織内のデジタル化の現状を整理するには、自社内の各業務プロセスをDX対象領域として定め、推進状況をデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つの段階で評価し、優先順位をつけて着手していく方法が有効です。

DXフレームワーク

出典:経済産業省『DXレポート2(中間取りまとめ)』P.34 図5-8

現状が整理出来たら、各業務プロセスのビジネス上の課題を明確化し、その課題を解決するためのデジタル化を検討していきます。デジタル化が進んでいない中小企業においては、まず主要な業務をデジタライゼーションすることで課題の解決を行うことを当面の目標とするのが現実的といえるでしょう。これにより、業務効率の向上やコスト削減といった具体的な効果が期待できます。

デジタイゼーションとデジタライゼーションについては、少しイメージがつかみにくいため、具体例で補足します。

例えば、顧客管理や営業支援領域の業務におけるデジタル化の現状整理を行うことをイメージしてみてください。

アナログ

デジタイゼーション

デジタライゼーション

デジタルトランスフォーメーション

顧客管理

名刺が紙のまま管理されている

  • 名刺情報が各自のExceで管理されている(一部実現)]
  • 名刺情報が データ化され 社内で一元管理されている]

名刺情報の他に顧客の優先順位をつける属性情報や商談情報などが紐づき、いまアプローチするべき顧客がわかる

Web上の行動やサポート状況などのあらゆる情報が顧客に紐づき管理されている。その情報が 営業活動だけでなく、 商品開発や採用、教育などに活かされ、全社的な業務改善に利用され続けている状態

営業支援

営業活動の情報は担当者の手帳にしかない

案件情報がExcelなどで一元管理されている

顧客情報に紐づいた案件情報とその進捗状況が管理され、常に営業マネージャ―が具体的なアドバイスが行える状態になっている

顧客の名刺が紙のまま管理されている場合、デジタイゼーションの手前のアナログ管理が行われている状態です。名刺情報がExcelで管理されている状態は、一部デジタイゼーションが実現できている状態といえます。名刺情報が組織内で一元管理されて初めてデジタイゼーションが実現されたと判断してもよいでしょう。

そこから先のデジタライゼーションにおいては、名刺情報が単なる基礎情報として扱われるだけでは終わりません。顧客の属性情報、過去の商談情報などが紐づいて、顧客の優先順位を判断でき、組織としていまアプローチすべき顧客が明確にわかるレベルにまで達している必要があります。

最終的なデジタルトランスフォーメーションの段階では、顧客情報や社内の商談情報だけでなく、あらゆるデータが一元的に管理されている必要があります。あらゆるデータが営業活動だけでなく、ビジネスモデルの変革や商品開発、人材の採用や研修、組織体制の構築にまで活かされているような状態が求められます。

ここまで説明した内容はあくまで一例ですが、自社にとっての各段階のあるべき姿をイメージしながら、現時点ではどこまで実現できているのかを整理していく必要があります。

次のレッスンでは、具体的に自社内の業務プロセスを洗い出し、デジタル化の状況を整理する具体的な手順を解説していきます。

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