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マーケティング部門のKPIを設定しよう

これまでのレッスンではKPI設定の基礎、及び営業部門でのKPI(重要業績評価指標)設定についてのナレッジについて学びました。今回のレッスンではマーケティング部門のKPI設定をテーマにします。
マーケティング部門におけるKPIの種類、作成のステップや要点、その際に気を付けなければいけない注意点などを、実際に設定できるよう具体的なケースを用いて学びます。

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マーケティング部門のKPIを設定しよう

【はじめに】KPIの設定方法

KPIの設定と振り返り方法

まず、KPIの設定方法の手順をおさらいしておきましょう。

[KPIの設定と振り返り方法まとめ]

  1. KGIとKPIの設定
    a. 目標となるKGIを確認する
    b. KGIと現状ギャップを洗い出し、その関連する指標を洗い出す
    c.KGIに対してKSFとなる要素を吟味し、策定する
    d. SMARTの原則や四則演算、要素の重複などに注意しつつツリーを作成
    e. 重要要素となるKPIを策定する
  2. データを収集できる体制を作る
    a. 属人化させないことが重要
  3. そのデータを基にモニタリングと評価をする
  4. 業務プロセスの改善をする

KPIの設定方法の基本を学びたい方はLesson1 をご覧ください。

今回はこのLesson1 を元に、マーケティング部門のKPI設定のシチュエーションを想定し、進行していきます。

マーケティングKPIの設定時のよくある失敗

前提として、マーケティングにはとても多くの施策が存在し、KPIとなり得る指標も多く存在します。業種や業態、商材などによって重要となるKPIは異なり、データがそろっているか否かでKPIのコントロールできる幅も変わってきます。

ECの場合のKPI例

例えば、ECの場合は「セッション数」「コンバージョン率」「エンゲージメント率」「フォーム誘導率」「F2転換率」などがKPIに用いられ、指標に対してひも付く施策はそれぞれに異なります。

よくあるKPI設定の間違い

よくあるKPI設定の間違い-マーケティング施策を一定終えたベテランBtoC企業

例えば、KGIが「売り上げ**%UP」 で、一定の施策を終えて既存顧客の購買データが十分にたまっている状態である、というケースを想定します。

その際に追いかけるべき指標は「セッション数」ではなく「F2転換」(2回目以降の購入)や「購入頻度」になるでしょう。

なぜなら、「F2転換」した後の3回目以後の購入比率は、初回や2回目よりも高いことが一般的だからです。また、「購入頻度」を指標に設定するとよい理由は、新規顧客の獲得よりもリピート施策の方がコストが大幅に低く済むためです。

しかし、最も収益に寄与する部分を見誤り、「セッション数」の方を追いかけてしまう、というようなことが実際にはよくあります。効果の薄い指標を重要KPIとして選定し、ひも付く施策を実施してしまうのです。

その原因は、どこにあるのでしょうか? 

マーケティングにおける重要KPIを定めるコツとStep

マーケティングにおける重要KPIの定め方のコツをStepで紹介します。

  1. Step1:企業の前提条件を洗い出す
  2. Step2:前提条件を基にステークホルダーとKPIをツリー化、ブレイクダウンする
  3. Step3:マネジメントできる対象を吟味、重要KPIを決定する
  4. Step4:ひも付くマーケティング施策を決定し、ステークホルダーに意図を共有する
  5. Step5:KPIモニタリング体制の確立・KGIの相関関係の検証をする

ここでは各Stepについて詳しく解説します。

Step1:企業の前提条件を洗い出す

マーケティング領域では、商材特性・事業の進行度において重要指標が大幅に異なります。KPI設定を間違える原因は前提条件の洗い出し漏れであることが少なくありません。まずは企業や顧客の現状、前提条件を洗い出しましょう。

マーケティング領域におけるKPI設定時の変数として重要となるのは、以下の3点です。

  • 商材・顧客特性
    a. 商材はBtoB、BtoCどちらか
    b. 顧客は対面での営業が必要であるか、人が介在 することなく収益化可能か
  • ステークホルダー
    c. 営業のコントロール範疇はどこか
    d. マーケティングがコントロールできるのはどこか
  • 事業の進行状態
    e. 既存顧客の購買データや商談、継続データが多数あるか

BtoB事業の場合

BtoB事業の場合は、営業がコントロールする範囲が広く、また初期と後期にてコントロールできる指標が変わってきます。
例えば事業がある程度進むと、データがたまり、既存リードに対してのウェビナー案内や、定期的な状況のヒアリングミーティングの打診メールなどの施策が可能となります。

また、顧客対象が適切か否かといった点や顧客関係性、顧客との定期的な接点が指標として重要です。アプローチ対象がずれていると、いくらWebサイトのUUやセッションを増やしても受注との相関が一致しません。流入の向上と質の双方が問われます。

BtoC事業の場合

一方、BtoCではセッションやUUに応じて、売上も増加しやすくなります。また、BtoBにはない「F2」や「リテンション」などの重要指標も多くあります。

しかしながら、BtoCでも高単価になるとBtoBのような営業連携が必要になり、流入系の指標と収益結果の相関が弱くなることもあります。

また、事業初期の状態なのか、一定の施策やモニタリングが進んだ後なのかで、マーケティング施策におけるKPIのコントロールが及ぶ範囲も、重要度も異なってきます。

そのため、自社の商材・組織・顧客・事業進行度を加味して最適化する必要があり、それぞれの前提条件を考慮しつつ次のKPIツリー作成に挑むことが望ましいでしょう。

その際、前提条件の洗い出しに漏れがあると、以後のStepでのKPI設定時にズレが生じる恐れがあるので、注意が必要です。 

Step2:前提条件を基にステークホルダーと関連指標をツリー化、ブレイクダウンする

それでは、上の前提条件を加味し、KPIツリーを作成していきましょう。

まず第一のポイントとなるのは、上の前提条件で洗い出した、各ステークホルダーを加味することです。どこの指標をどの部署がコントロールしているのか、自分でコントロールできるのはどこなのかを明確にしましょう。

例えば、今回の一連のステップのケースを、

  • 中古車の販売
  • ECの販売チャネルも持ち、店舗でも営業担当の案内が必要な企業

だと想定します。その場合、関連指標とステークホルダーを洗い出すと以下のようになります。

中古車の販売チェーン店のKPIツリー

事業の特性や進行度によってそれぞれの指標の寄与率は変わってくるため、この中から吟味して設定する必要があります。次のステップに移りましょう。

Step3:マネジメントできる対象を吟味、重要KPIを決定する

2つ目は前提にて洗い出したステークホルダーや商材・顧客特性によって重要な指標が変わります。寄与率の高い指標は何になるのか、重要度を見誤らないことが肝要です。

マーケティングのKPIは、部署でコントロールできないものは除外しましょう。そして、どのKPIがKGIに波及効果があるかを見定めて、重要KPIをいくつか設定します。

今回のケースでは一定の施策を実施して既存顧客のデータがたまっています。既存の顧客データがたまっている場合、既存顧客へのリテンションなど、マーケティング施策の範囲が広がり、収益に寄与しやすくなります。要点を加味して、重要となるKPIを設定しましょう。

例えば、今回のケースでは一定の既存リードの母数があるため、収益に寄与しやすい第1KPIを「再来店率」に設定しました。また、セッション数は頭打ちと考えられるので、次に収益に寄与するのは新規獲得における「CVR」であると仮定し、新規と既存の双方でKPIを設定しました。

中古車の販売チェーン店のKPIツリーからKPIを設定

次のStepでは、施策を決定していきます。

Step4:ひも付くマーケティング施策を決定し、ステークホルダーに意図を共有する

KPIツリーを参考にしながら、どのような施策をすべきかを決めていきます。ひも付く施策を洗い出しましょう。この際にも引き続き重要となるのは、事業の進行状態です。

新規参入の場合

新規参入の場合は必然的に、まずは新規の流入を得ることが必要なので、KPIはシンプルに新規リード数の獲得に留まることが一般的です。

データが溜まった後の場合

一方、現状の顧客リストや行動データが一定数、CRM(顧客管理システム)などにたまっている場合、施策を打てる範囲が広がります。ここで言うデータとは、顧客属性や来店率、来店からの販売率、再購入タイミングといったものです。

例えば今回のケースでは、販売した車を乗り換えるタイミングは、ローンの完済時が多いことがわかりました。また、来店したものの成約しなかった顧客に対して何のアクションもしていなかったことが明らかになりました。

中古車の販売チェーン店のKPIツリーから施策を決定

施策としてはまず、完済リストを毎月抽出し、お伺いを立てる施策を実施しました。次に、来店したものの販売にまで至らなかった顧客リストに対し、一定のタイミングで割引キャンペーンを打つなどの施策を行いました。

このように、新規参入の場合と、事業がある程度、進行した場合とでは打てる施策が大幅に異なってきます。

ステーホルダーに意図とタイムラインの共有を

その後、施策決定とともに、営業などのステークホルダーに意図とタイムラインを共有しましょう。マーケティングと営業ではお互いの目的が違うので、背景を事前に共有しないと以後、足並みがそろわない可能性があるためです。

例えば、営業は日々売上目標を達成することに追われており、今月や来月の売上が大事です。一方、マーケティング施策においては短期的にリードを獲得できるもの、中期的に継続して取り組まなければ成果をあげれないものがあり、タイムラインの概念が大幅に異なります。

事前共有がない場合、来月の売上や短期成果のみに意識が集中し、中期的な視点をおざなりにして事業成長の限界自体を止めてしまう、といったケースが発生しかねません。

ステークホルダーにタイムライン、指標KPI、意図を事前に共有し、以後の円滑なコミュニケーションができるようにしましょう。

Step5:KPIモニタリング体制の確立・KGIの相関関係の検証をする

Step5は、マーケティングの施策アクションに対して定めた重要KPIと関連指標を、常に把握できることが成功の要点となります。

進行後、しっかりとした体制を作らないと、数値の棚卸しができず、改善できなくなるためです。

例えば、オンラインで共有できる表計算シートやCRMツールなどを用いてKPI数値の各種をモニタリングする体制を作ることが必要です。

なお、マーケティング領域では短期施策、中期的な施策が存在します。期間としては数カ月程度では最適化できず、判別できないことが多いため、最低でも半年から1年は運用することが望ましいでしょう。

以上のように、ある程度の期間をかけてKGIに及ぼす影響度を観測し、初期の仮説にもとづいたKPIを検証してしていきましょう。仮説と実情がかけ離れていたがあった場合には、施策や重要KPI自体の修正が必要です。

これらのStepをもって、一連のPDCAが回り始めます。

BtoB・BtoCにおけるマーケティングKPI設定のケーススタディ

ここまでは、中古車販売事業のマーケティングKPIと施策実施の例を深掘りしました。こちらの章ではBtoC、BtoB、それぞれの典型ケースをご紹介します。

BtoC事業の場合の共通項

はじめに、BtoC事業のKPI設計のパターンです。共通項として、BtoC事業はBtoBに比べてコントロール幅が大きく、マーケティングの施策や流入KPIが収益に及ぼす影響も大きくなります。

事業体系によっては、すべてがマーケティングのコントロール範疇となる、営業がないECモデルなども存在します。

また、実施歴の長い事業ではコントロールすべきKPIが変わっていきます。

さらに、単価や商材特性により、KGIに対する各指標の寄与の仕方が変わってくる部分にも注意が必要です。例えば、高級車やブランド品などの場合は、店員やカスタマーサポートの接客の質が収益につながりやすい、などの事例があります。

この場合には、KPIツリーがより複雑になってきます。

新規参入企業

BtoB新規参入企業のKPIツリー

新規参入企業のケースでは、BtoCの場合には新規獲得をまず優先する必要があります。そして、CVRや客単価は事業や分析をしばらく継続してからでないと把握できません。そのため、一般的な指標としては、WEB上であればセッションやUUの獲得といったものになります。

事業を継続していくと、流入に対する購買率(CVR)や顧客単価、再購入率などが数値が見えてきますが、初期の段階では、判明していないことが一般的です。

ひも付く施策としては、短期にセッションを増やす場合には各種SNSやWEB広告施策の実施が、中期目線ではSEO対策やオウンドメディア施策などの実施が一般的です。

ベテラン企業

BtoCベテラン企業のKPIツリー

一方、ベテラン企業ではCVRの改善も終わり、流入に関わる領域のマーケティング施策が完了しているケースも多くあります。

その場合、すでに一定のユーザー流入と販売数があるため、最も成果に関わる領域は客単価や購入頻度のコントロールです。この段階になると、新規顧客獲得よりも既存顧客へのリテンションの施策を実施する方が収益効率が高くなります。

BtoB事業の場合の共通項

BtoB事業ではマーケティングがコントロールできる領域は狭まることが一般的です。営業やインサイドセールスなどとの連携が必然的に発生するためです。

事業の初期段階ではコントロールできる範疇がリードの数のみになる場合が多くあります。KPIを定めるStepで解説したように、データ収集がある程度、進んでからでないと、コントロールできない領域が多くあります。

一方、事業実施歴が長く体制が整っている会社は、既存顧客のデータ資産があるため、再来訪接点や継続接点、商談までたどり着けない顧客へのアプローチなど、コントロールできる施策が広がりやすいことが一般的です。

ただし、営業の責任領域と競合することが多いため、各ステークホルダーを吟味し、ツリーを分解して作成する必要があります。

新規参入企業

BtoB新規参入企業のKPIツリーの考え方

BtoBの新規参入企業のケースでは多くの場合、コントロールできる部分がリード数に限られます。また、対象として決裁者を狙わなければいけない業態も多いため、単なる広告投下だけでは効果は薄く、決済者の紹介施策なども同時に並行するのが一般的です。

また、新規参入企業の場合は、各リードチャネルからの商談化率や契約率がまだ分からない状態にあります。よって、仮説のまま施策を走らせなければなりません。

例えば、検索広告・紹介施策・展示会など複数チャネルを並行して施策を打ち、各商談化率を見きわめられるまで継続することが必要になります。

注意点としては、BtoBでは営業の質に起因する要素が強く、そもそもマーケティング投資をしていない会社もあります。長期的なマーケティング活動に理解が示されないこともあります。

短期的に商談につながりやすい施策である、紹介施策などは理解が示されやすいものの、開始から数年後に資産価値を発揮するオウンドメディアなどは、理解が示されない施策の典型です。

現代ではWEBサイトの評価資産(SEOなど)が非常に重要です。その点を軽視し、長期的目線での投資を怠ると、リード母数がなく売り上げが頭打ちになります。

よって、前述のStepにあるように、背景や想定成果のタイムラインなどはステークホルダーとなる営業と密に接点を取り共有しましょう。

ベテラン企業

BtoBベテラン企業のKPIツリーの考え方

一方、施策が実行されてしばらく経ち、モニタリングが進んでくると、大幅にコントロールが可能となります。理由としては2つあります。

まず、適切にモニタリングの体制を組めば、各マーケティング接点からの商談化率、成約率が見えてくるため、流入施策にて注力すべき部分と切り捨てるべき部分が見えてきます。

次に、既存の顧客の行動データ(リードやセミナー参加、商談の情報)がたまるので、それを活用した各種施策が実施可能になります。例えば既存のリードに対して、ナーチャリングを実施して再度の接点を取り商談化率の引き上げが可能です。

このような場合、商談に寄与しやすいのは既存のリードに対してのナーチャリングなので、この商談化率をKPIとすることが一般的です。

同時に、ナーチャリング対象に対する営業の架電の質・タイミングで、商談数が大きく変化します。よって、マーケティングと営業の二人三脚でKPI改善を行う必要が、継続して発生します。連携をおろそかにしないようにしましょう。

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