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【BtoBマーケ】アップセルとクロスセルの手法・評価・改善

本レッスンは、アップセルとクロスセルの手法や評価、どう改善していくかについて、法人向けであるBtoBビジネスのマーケティング活動に焦点を当てて解説します。例に挙げる法人向けのPC販売会社のマーケティング施策を参考に、自社の法人向けビジネスのアップセル・クロスセルに活かしましょう。

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【BtoBマーケ】アップセルとクロスセルの手法・評価・改善

このレッスンで学べること

このレッスンで学べること

Lesson 5とLesson 6は法人向けビジネス(BtoBビジネス)のアップセル・クロスセルを取り上げます。Lesson 5は多くのターゲットにアプローチするマーケティング活動、Lesson 6は個別の営業活動にそれぞれ焦点を当てます。法人向けPC販売会社のアップセル・クロスセルという具体例を通じて、どのような施策を行い、評価し、改善していくかを学びます。

このレッスンの例:法人向けPC販売会社

法人向けPC販売会社でアップセルやクロスセルを成功させるために、マーケティング部門で以下の手法を活用する、という前提で順に解説します。

  • メール:安価なPCを購入希望の会社に対し高性能なPCをアップセル
  • 郵送DM:PCを購入した企業に対し情報セキュリティ研修や情報漏洩リスク診断をクロスセル
  • セミナー:PC購入希望の会社に対し補助金を活用しPCを含めたITシステムの整備をアップセル

アップセル施策:メール

一般社団法人日本ビジネスメール協会の調査によると、仕事上のコミュニケーション手段としてメールを使用している人の割合は98.35%に上ります。これは、BtoBでメールがいかに重要かを示しているデータと言えます。法人向けのマーケティング活動にはメールが欠かせません。

出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会|ビジネスメール実態調査2023

メールの設計

安価なPCを購入希望の会社に対し高性能なPCをアップセルするメールを送信する、という前提で解説します。

1. 目的・目標を設定

まず、目的と目標を設定します。これを言語化していないと、送信後に結果を正しく評価できず、やりっぱなしになってしまうリスクがあります。

目的

安価なPCを購入希望の企業に対し、クリエイティブ部門の業務効率アップにつながる高解像度ディスプレイや強力なグラフィックカードを搭載したPCを提案し、アップセルを促す。

目標

下記のような数値目標を設定します。何を目安に決めていいか分からない場合は、通常のマーケティング活動のメールに関する数値を仮置きしましょう。

開封率

50%

クリック率

20%

返信率

10%

問い合わせ件数

10件

アップセル件数

5件

2. ターゲット・ペルソナ設定

アップセルを成功させるため、顧客のペルソナを設定します。

業種

マーケティング会社

役職

クリエイティブ部門のマネージャー
40代 男性

ビジネスの課題やインサイト

会社からは備品や設備に関するコストを抑えるよう求められているが、業務量が多い部門の生産性が上がることを強く意識している。人材の獲得競争が激しい業界のため、若い世代にアピールできるよう働く環境などが最先端であることが必要だと感じている

ペルソナを設定したら、アプローチを具体的に決めます。

メールの内容

ペルソナが直面している具体的な課題に直接対応する提案を含める

提案する製品

高解像度ディスプレイや強力なグラフィックカードを搭載したPC

ベネフィットの強調

業務効率の向上、クオリティの向上、コストパフォーマンスの改善

3. シナリオ設計

目標達成には、コンテンツ配信の適切なタイミングとストーリーラインの設計が必要です。ターゲットの行動に合わせて、次のステップをどう展開するかを計画します。

以下は、4つのステップに分けてメールを送信する、という流れでメールシナリオを設計した例です。4つのステップであることが重要ではなく、タイミングや目的を考慮した上でメールを設計する、ということを忘れないようにしましょう。

ステップ

件名

内容

タイミング

期待されるアクション

1. 興味喚起

「【ご案内】デザイン業務を効率化する高性能PCのご提案」

現在の業務課題を解決する高性能PCの紹介(高解像度ディスプレイ、強力なグラフィックカード)

新製品発表直後

製品に関する詳細情報のリクエスト

2.詳細情報の提供

「高性能PCで業務効率を向上させませんか?」

製品の詳細と導入メリットを具体的に説明

初回メールから1週間後

製品デモやトライアルの申し込み

3.社会的証明の提供

「【成功事例】高性能PCでデザイン業務が劇的に変わりました」

他社の成功事例や顧客の声を紹介

情報提供メールから2週間後

商談の設定や見積もりのリクエスト

4.購入促進

高性能PCアップグレードの特別価格ご案内

特別価格の紹介

事例紹介メールから1週間後

製品の購入

4. メールの作成

効果的かつ分析可能なメールの構成を考えます。

①あいさつと導入文

  • 丁寧なあいさつと、メールの目的や背景を簡単に説明
  • 現在の業務課題を提示し、それに対する解決策を示唆

②製品の紹介

  • 提案する高性能PCの特徴とメリットを具体的に説明
  • ベネフィットとして、製品導入による業務効率の向上や品質改善のポイントを強調

③アクションへの誘導

  • 詳細情報へのリンククリックを促す明確なCTA(コール トゥ アクション)の設置

以下は、上記の構成に基づいて作成した「興味喚起」のメール例です。

件名: クリエイティブ業務を効率化する高性能PCのご案内
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつもお世話になっております。株式会社○○ソリューションです。

現在、 クリエイティブ部門が日々の業務で直面している課題に対して、 弊社では高性能PC の導入を推奨しております。特に、高解像度ディスプレイや強力なグラフィックカードを搭載したPCは、クリエイティブ作業fの効率とクオリティを劇的に向上させます。

新しい高性能PCの主な特徴は以下の通りです。
高解像度ディスプレイ: 細部までくっきりと表示され、 クリエイティブの精度が向上します。
強力なグラフィックカード: 大規模なグラフィック処理もスムーズに行えます。
高速プロセッサ: 複雑な作業でもストレスなく対応できます。

これにより、 業務効率が大幅に向上し、より高品質なクリエイティブを提供することが可能となり ます。

詳しい情報はこちらからご覧ください:
詳しい情報はこちら (URL)

もしご不明な点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
何卒よろしくお願い申し上げます。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
株式会社○○ソリューション

このメールは、安価なPCを購入したい企業に対し、部門に特化したPCを用意する需要を引き出すことを目的としています。マーケティング部門が広範囲にアプローチし、信頼関係を築きながら具体的な課題に対する解決策を提示することで、高性能PCのアップセルを促進します。

なお、URLで【詳しい情報はこちら】といった明確なCTAを設置することで、次の行動を促します。マーケティングメールはHTMLで作成し、かつ、計測機能が付いたツールで送信しましょう。ツールを使うことで、開封やクリックといった受信者の行動情報を取得できます。

PDCAサイクルの実施

メールマーケティングの成功には、継続的な評価と改善が不可欠です。Plan(計画)とDo(実行)は上記の通りに進めた、という前提で評価と改善について説明します。

Check(評価)

安価なPCを購入希望の会社に対し高性能なPCをアップセルする、という目的で送信したメールに対し、メールの開封率、クリック率、問い合わせ件数を追跡する、という前提で評価します。

例えば、このキャンペーンでは開封率が22%、クリック率が8%、問い合わせ件数が8件だったとします。これらのデータを基に分析を行い、開封率とクリック率が目標にわずかに届かなかったこと、特にクリエイティブ部門からの反応が良かったが、更なる訴求力向上が必要であることが判明した、という整理をします。

Act(改善)

改善段階では、分析結果を基に次のアクションプランを策定します。
具体的な改善策は、以下の通りです。

  1. 件名の最適化
    具体的な数値を添えより魅力的な件名に変更。例えば、「【クリエイティブ●%効率化】高性能PCのご提案」にする。

  2. タイミングの調整
    送信時間を最適化し、クリエイティブ部門が最も関心を持つ時期を狙って送信する。

  3. フォローアップメール
    反応のあった顧客には詳細な製品情報を送信したり、問い合わせフォームに誘導して営業部門につなぐなどアップセルのルートに確実に誘導する。

PDCAサイクルを通じて、メールマーケティングを継続的に改善し、ターゲットへの訴求力を高め、アップセルの成功率を向上させます。

クロスセル施策:郵送DM

郵送DMは、アップセルやクロスセルにつながる情報を顧客に物理的に届けることができる手法です。コストはかかりますが、手元に届く、という点でメールよりも確実に見てもらえる可能性が高いです。ビジュアルを活かした具体的なケーススタディや成功事例を取り入れることもでき、信頼性と説得力を向上させることが重要です。

郵送DMの設計

ここでは、既にPCを購入した企業に対して、情報セキュリティ研修や情報漏洩リスク診断といったサービスをクロスセルする郵送DMを送るという前提で解説します。

1. 目的・目標を設定

まず、目的と目標を明確に設定します。
目的は、情報セキュリティ研修や情報漏洩リスク診断といったサービスをクロスセルすることです。
目標は、クロスセルの件数を設定します。例えば、情報セキュリティ研修パッケージ1つあたりの粗利益が50万円、DM総費用が150万円の場合、単純計算の損益分岐点は以下のようになります。

150万円(DM総費用)÷50万円(研修1パッケージの粗利益)=3件

この計算により、少なくとも3件の研修パッケージを獲得することが求められます。ただ人件費などを加味して目標とする必要があるため、年度内に8件成約する、などと粒度を上げて定めます。最終目標以外にも、目安となる下記のような中間目標を設定してもよいでしょう。

目標1

情報セキュリティ研修の申し込み数を20件獲得する

目標2

情報漏洩リスク診断の問い合わせ数を30件獲得する

目標3

DMの反応率を2%に設定する

2. ターゲットの選定

郵送DMはメールよりもコストがかかるため、ターゲットを適切に選定しなければ費用対効果が悪化します。今回は、PCを購入した企業の中で、需要がありそうな企業を対象とします。ターゲットの選定には、営業担当者からのヒアリングや、過去に情報セキュリティ研修や情報漏洩リスク診断を契約した企業の属性を参照して仮説を立てます。

  • PCを継続購入している小規模企業
  • 社員増加を背景にPCを購入した企業
  • セキュリティに関する問い合わせを過去に行った企業

仮説と予算を照らし合わせて、送付数を最終決定します。

3. 郵送DMの内容設計

郵送DMの内容を具体的に設計します。クロスセルを成功させるには、メリットが分かりやすく、次のアクションが明確であることが必要です。

  • 教育的情報提供
    情報セキュリティ研修やリスク診断の重要性を説明し、これらのサービスがどのように企業のセキュリティを強化できるかを紹介する。

  • 事例の紹介
    実際にサービスを利用して問題を解決した企業の具体的な事例を紹介。研修受講後の改善例やリスク診断での成功事例を詳述し、サービスの効果と信頼性を強調する。

  • 具体的なサービス内容
    研修や診断の具体的な内容、期間、料金の目安などを説明する。

  • アクションの提供
    反応を把握するためにも、郵送DMを特定できるキャンペーンコードや問い合わせ窓口を用意する。

4. 媒体とデザインの選定

郵送DMといっても、葉書、封書など選択肢があり、サイズもさまざまです。一目で分かってもらうには、大判の圧着葉書やデザイン性の高い封書などを使い、開封されないリスクを避けましょう。

5. 発送時期の設定

DMの効果を最大化するために、発送のタイミングにも気を配る必要があります。発送タイミングは、企業の予算策定時期や情報セキュリティに関心が高まる時期(例:新年度の開始時期)など、ターゲットが最も検討したくなる時期を狙いましょう。

PDCAサイクルの実施

コストのかかる郵送DMは、そもそも継続実施すべきか、という点も含めて厳しく評価します。Plan(計画)とDo(実行)は上記の通りに進めた、という前提で評価と改善について説明します。

Check(評価)

反応率の追跡するため、郵送DM固有の問い合わせフォームやキャンペーンコードなどを付与しておきます。さらに送付したDMの不達が分かるサービスもあるので、計測に活用しましょう。DMのリストが1000件、不達を除くと990件、特定の問い合わせフォームから18件連絡があった、などと実態を把握します。

問い合わせがあれば、すぐに営業部門に引き継げる体制を準備しておきます。

Act(改善)

評価結果を基に、次回のキャンペーンでの改善点を検討します。例えば以下のような分析と対応が考えられます。

  1. 特典の追加:
    想定よりも反応数が大きく下回り、かつ、同時期に公式Webサイトからの問い合わせが増えたことが郵送DM由来のものなのか分析できない事態が発生した。郵送DM固有のフォームから申し込むと割引する、といった特典を用意して、計測しやすい体制を整える。
  2. 期限の追加:
    郵送DMを送ってから半年後にすでに提供が終わった研修について問い合わせたが来たケースがあった。特典には期限を設け、早くアクションを起こしてもらうような内容にする。

アップセル施策:セミナー

アップセル・クロスセルの施策として、セミナーも有効な手法です。BtoBビジネスのターゲットは、社内の稟議や報告義務がある点で慎重に検討します。そのため、一定の時間をかけて説明できるセミナーは有効です。法人向けPC販売会社がセミナーを活用する際には、製品や最新技術の展示、顧客との関係強化、新規リード獲得、既存顧客のリテンション期間延長を主な目的としてセミナーを開催できます。

セミナーの設計

ここでは、PCの購入を希望する企業に対し、政府の補助金の説明会を開催し、さまざまな商品をアップセルを目指す、という前提で解説します。

1. 目的・目標を設定

セミナーには会場費や人件費といった大きなコストかかります。開催後に結果を振り返るためにも、下記のように目的・目標を明確にします。

政府の補助金を周知し、補助金を活用したアップセルを年度内に20件受注する。

2. ターゲットを設定

セミナーの目的に応じてターゲットを設定します。会場の広さが限られているため、受注の可能性が高いターゲットに絞ります。今回は、以下をターゲットと設定します。

  • 設備投資を十分にできない小規模企業
  • システムの更新を控えている企業
  • 技術革新に積極的な企業

3. コンテンツ企画

ターゲットの関心に応じて、セミナーで提供するコンテンツを計画します。

補助金情報の提供

補助金の適用条件、申請プロセス、有効期限などの詳細を説明する

製品紹介

補助金対象製品の基本情報とともに、高機能モデルや追加オプション製品のデモンストレーションを行い、機能と価格に応じたアップセルの選択肢を提示する

事例紹介

補助金を利用して高性能製品にアップグレードし、業務効率化やコスト削減を実現した企業の事例を紹介する

4. セミナーの会場・日時・人数の選定

以下は、セミナーの会場などに関する情報を簡潔にまとめたものです。

会場の選定

ターゲット層にとってアクセスしやすい場所を選ぶ

日時の設定

参加者の出席が可能な日時を考慮して決める。時間帯はターゲットの業務時間や生活リズムに合わせる

参加者数

キャパシティに応じて人数を設定する。上限に達し次第締め切る

5. 集客

集客手段は、コストとのバランスを考えて選定します。会場に限りがあることから、関心が高いと想定されるターゲットを集めます。既存顧客はもちろん、商工会議所や業界団体などと連携することで、受注確度の高い参加者を集める工夫をしてもよいでしょう。

招待状の送付

契約企業に向けてセミナーの価値を強調する

パートナーシップ活用

業界団体やビジネスネットワークを通じて関連企業を招待し、専門的な参加者を集める

6. フォローアップ

参加者全員がセミナー直後に製品やサービスを購入するわけではなく、通常、購入に至るのは少数です。そのため、セミナー後の継続的なフォローアップが必要です。

具体的な方法は以下のとおりです。

フォローアップ活動

目的

方法

個別相談会の提供

参加者がセミナーで学んだ情報を基に製品を選定し、アップセルの機会を提案する

セミナー後に設けられる、製品選定や購入プロセスを支援する個別の相談会を実施する

製品選定と購入プロセスの支援

顧客が最適な製品を選び、購入までサポートする

製品の技術的詳細や費用対効果を顧客に説明し、購入意欲を促進しする

フィードバックの収集

セミナーの質を向上させ、参加者の満足度を高めるための洞察を得る

セミナー終了後にフィードバックフォームを配布し、参加者からの意見を収集する

PDCAサイクルの実施

セミナーはコストがかかります。しっかり評価して継続実施するかどうかも含めて検討しましょう。Plan(計画)とDo(実行)は上記の通りに進めた、という前提で評価と改善について説明します。

Check(評価)

セミナーの効果を測定し、目標達成度を評価します。参加企業数、参加者のアンケート結果を収集します。セミナーで関心を示した企業や参加者を営業部門に引き継ぎ、迅速にフォローアップを行ってもらうようにします。

特定の期限で、どれだけ受注につながったかを確認し、コストと見比べて費用対効果を評価します。客層が営業部門のイメージしたものに近かったかどうか、営業部門からもヒアリングします。

Act(改善)

評価結果を基に、次回のセミナーでの改善策を決めます。例えば以下のような例です。

  • 手続きに関する質問コーナーを会場に設ける

    質疑応答が白熱して質問できずに帰った顧客がおり満足度が高くなかった。手続きに関する質問コーナーを設ける

  • 補助金申請のサービスを追加する

    「金額は高くなるが補助金申請までサポートする競合企業に決めた」という顧客について営業担当者から後日ヒアリングした。マーケティング部門としても補助金申請のサービスはアピールが強いため事業部長に提案して補助金申請のサービスを追加してもらうよう働きかける

セミナーを開催することでアップセルに本当につながったか、という点を正確に分析して、次回の開催に活かすことが必要です。

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