営業会議のゴール
営業部門には売上目標を達成することが求められています。それでは、営業会議のゴールとは何でしょうか。『世界で一番やさしい会議の教科書』(日経BP社)では、会議終了の判断基準として、「どうなったら会議を終了と言えるのか?」を明確にすることが強調されています。
営業会議で言うならば、「部門の目標に対しての進捗を共有し、打ち手が意思決定され誰がいつまでにやるかも明確になった状態」が会議の終了条件です。
つまり、目標と現状のギャップについて数字を確認し合うことはもちろん必要です。さらに、どのような打ち手でギャップを埋めるのか、誰かの責任にするのではなく部門全体で意思決定する必要があります。打ち手については、誰がいつまでにやるのかという明確なアクションプランも決定済み、ということが会議の終了条件と言えるでしょう。
会議前のチェックリスト
会議前に以下のチェックリストを用意し、各項目を確認することで、会議をスムーズに進行させましょう。
1 | 会議の目的 | 会議の目的を明確にし、参加者全員に周知する。 |
2 | アジェンダ作成・共有 | 会議の日時、場所、主催者の連絡先を含めたアジェンダを作成し、参加メンバーに共有する。 |
3 | 会議資料 | 必要な資料が人数分あるか、不備がないか、データが十] |
4 | 配信や投影用の機材 | パソコン、プロジェクター、マイクなどの機材を準備し、動作確認を行う。 |
5 | 記録するもの | ホワイトボードやホワイトボードマーカー、議事録ツールなど、会議記録に必要なものを用意する。 |
6 | 会議室の予約 | テーブル、人数分のイス、案内板など、会議室の準備を確実に行う。 |
7 | ファシリテーター・書記 | 会議の進行役と議事録担当者を決める。 |
なお、『世界で一番やさしい会議の教科書』(日経BP)に「会議Prepシート」が用意されており、これを活用しても良いでしょう。ファシリテーターが会議をコントロールすることを前提として作られた準備シートですが、会議のポイントを見失わないように整理するために役立ちます。
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参加者の役割分担
営業会議では、各参加者に明確な役割を割り当てることで、効率的に進行することができます。以下のように役割分担を行うことでスムーズな会議が実現します。
進行役(ファシリテーター) | 会議の進行を担当し、時間管理も行う。営業マネージャーか、現場や担当者を把握するリーダークラスが担う。 |
データ管理者 | 会議で使用するデータやレポートを管理し、必要な情報を迅速に提供する。CRM/SFAツールの管理者がこの役割を担当する。 |
議事録作成者 | 出席者の発言や打ち手を記録し、後で共有できるようにする。論点や誰が打ち手を行うかも漏れなく記録する。 |
各営業担当者 | 自分の担当エリアの進捗を報告し、議論に参加する。目標とのギャップを埋めるための打ち手を提案する。 |
アジェンダの作成
意味のある営業会議にするためには、ゴールから逆算したアジェンダを作成することが重要です。各議題の時間配分を設定し、優先順位をつけることで、重要な議題を時間内に終えられるようにします。
以下は、アジェンダの作成で押さえておくべきポイントや文例などを紹介します。
アジェンダで押さえるポイント
アジェンダの作成に際して、以下のとおりいくつか押さえるべきポイントがあります。
- 目的を明確にする
会議の目的を明確にし、達成すべきゴールを設定します。これにより、参加者全員が共通の理解を持ち、会議の進行がスムーズになります。 - 時間配分を設定する
各議題に対して適切な時間配分を設定し、会議が長引かないようにします。例えば、売上進捗報告に30分、新規案件のディスカッションに20分といった具合です。 - 優先順位を付ける
重要な議題から順にアジェンダに組み込みます。これにより、時間が足りなくなった場合でも、重要事項がカバーされます。 - 担当者を明確にする
各議題の担当者を事前に決めておき、責任の所在を明確にします。これにより、議論が円滑に進行します。 - 資料を準備する
必要な資料を事前に準備し、参加者全員に共有します。これにより、会議中の混乱を防ぎ、効率的に議論を進めることができます。 - 参加者へのアジェンダの事前共有
会議前にアジェンダを参加者全員に共有し、内容を把握してもらうことで、会議当日の進行をスムーズにします。
これらのポイントを踏まえた上で、実際にアジェンダを作成する際には、先ほど紹介した「会議Prepシート」を活用すると良いでしょう。
手順 | 議題(終了条件に向けて何を議論するのか?) | 議論の進め方(具体的にどう議論を進めるのか?) | 必要なモノ(何を用意しておくか?) | ④時間配分 |
導入 | 目的の共有 | 終了状態と進め方を確認する |
| 5分 |
6月進捗状況の報告 | 各営業担当者が、月次売上目標に対する進捗を報告 | 各担当者が月次売上目標に対する進捗状況を報告し、前月の売上データと比較し、目標達成の進捗を確認 | 管理管理・顧客管理シート | 30分 |
7月の売上目標に向けた打ち手 | 売上目標、KPI、行動計画の確認と打ち手の決定 | 売上目標、KPI、行動計画を確認し、具体的なアクションを決定 | 管理管理・顧客管理シート | 30分 |
市場動向と顧客情報の共有 | 市場動向と顧客に関する最新情報を共有し、今後の施策に活かす情報を提供 | 最新の市場動向や顧客情報を共有し、今後の施策に活かす情報を提供 | 市場動向や顧客に関する資料・データ | 20分 |
質疑応答 | 会議に関する質疑応答を行い、各担当者の意見や質問について討議 | 会議に関する質疑応答を行い、各担当者の意見や質問について討議 | 管理管理・顧客管理シート | 30分 |
まとめ | 決定事項の確認 | 決定事項を確認する | なし | 5分 |
アジェンダの共有
会議Prepシートを基に作成した具体的なアジェンダを全体に展開する文例は以下の通りです。
【会議名】営業進捗会議
【日時】 2024年7月10日(水) 10:00~12:00
【場所】 第1会議室
【目的】
・6月の売上実績の確認と課題の特定
・7月の売上目標と行動計画の策定
・市場動向と競合情報の共有
【議題】
1. 目的の共有(5分)
担当者:田中
2. 6月の売上実績報告(30分)
担当者:各担当者
各営業担当者が、月次売上目標に対する進捗状況を報告します。
前月の売上データと比較し、目標達成の進捗を確認します。
3. 7月の売上目標と行動計画(30分)
担当者:田中
内容: 売上目標、KPI、行動計画について説明し、具体的なアクションを決定します。
4. 市場動向と競合情報の共有(20分)
担当者:鈴木
内容: 最新の市場動向や競合情報を共有し、今後の戦略に活かす情報を提供します。
5.質疑応答とディスカッション(30分)
担当者: 全員
内容: 各議題に関する質疑応答と意見交換を行い、問題点や改善策について議論します。
6. まとめと次回の予定(5分)
担当者: 田中
会議の内容をまとめ、次回の会議日程を確認します。
【参加者】鈴木部長、佐藤、吉田、田中、木村、井上
・配布資料:レジュメ
・備考:本ミーティングに関するお問い合わせは、田中までお願いいたします。
このように具体的なアジェンダを準備することで、会議の進行がスムーズになり、効果的な議論を行うことができます。
参加者の準備の促進
アジェンダは会議の2日前までに共有しましょう。事前に共有することで、参加者が議題について深く考える時間を確保できます。
アジェンダは紙媒体、メール、チャットツールなどを用いて共有できますが、いずれの方法を選ぶにしても、全員に確実に伝わるように配慮します。
参加者が事前に議題について準備できるよう、アジェンダには具体的な議題の詳細とともに、事前に考えてもらいたい事項(宿題)を明記しておくと良いでしょう。こうすることで、参加者が会議に向けて必要なデータや情報を集め、深く考えることができ、会議当日により効果的な議論が行えます。
資料・データの準備
営業会議で効果的な議論を行うためには、議論の前提となる資料やデータをしっかり準備しておくことが重要です。
必要な資料
会議で使用する資料は、パワーポイントで作成することが一般的です。パワーポイントを活用することで、視覚的に「見える化」し、情報を分かりやすく伝えることができます。
とはいえ、資料作成に手間をかけず、効率的に進めたいという方も多いでしょう。その場合、オンラインプレゼンテーション作成ツール「Canva」などを活用することもできます。下記はツールのフォーマットです。
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データの準備
営業会議では基本的に、予算、売上、商談、タスクに関するデータが必要です。社内の販売管理システムや営業支援ツール(SFA)、経営管理システム(ERP)、BIツール、エクセルなどからデータを取得し、集計してパワーポイントにまとめます。以下のポイントに注意して、データを準備しましょう。
- 予算と売上のデータ
予算と実際の売上の比較データを用意します。これにより、目標達成度を確認し、必要な対策を講じることができます。 - 商談データ
現在進行中の商談の状況を一覧で確認できるデータを準備します。これにより、商談の進捗や問題点を把握し、次のステップを明確にすることができます。 - タスクデータ
各担当者のタスクの進捗状況を示すデータを用意します。これにより、タスクの遅延を防ぎ、円滑なプロジェクト進行を支援します。
以下は、営業の顧客管理や商談管理に役立つ無料のテンプレートです。これを活用することで、データの管理が容易になり、会議準備がスムーズに進みます。
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資料・データの準備は手間がかかりますが、この作業をしっかり行うことで会議がより効果的に進行し、成果を上げることができるでしょう。CRM/SFAツールやBIツールでは、わざわざ営業会議用の資料を作成しなくとも、重要なデータがあらかじめまとまっていて、リアルタイムで把握することもできます。営業会議に有効活用しましょう。
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