メールキャンペーン戦略の基礎
メールを活用したリードクオリフィケーションは、それほど多くの手間をかけずに多くの見込み客の中から興味関心が高いリードを選別できる手段として有効です。メールを使ったリードクオリフィケーション手法の前に、基本的な
メールキャンペーンの知識を押さえておきましょう。
メールキャンペーンの設計と運用
リードクオリフィケーションにメールを用いる場合、仮説に基づき、送信対象を購入に遠い順から「コールドリード」「ウォームリード」「ホットリード」に分類します。例えば下記のように分けられます。
リード | 定義 | メールの内容 |
商品への理解が浅いコールドリード | 展示会で名刺交換をした | ウェビナー誘致 |
商品に関心があるウォームリード | ホワイトペーパーをダウンロードした | 活用事例 |
商品を購入する可能性が高いホットリード | 具体的な内容を問い合わせした | 割引キャンペーン |
リードの種類によって促す行動が異なるようメールの内容を変えます。
さらに同じウォームリードであっても、属性(業種・企業規模・役職)に応じてメールのコンテンツも書き分けます。例えば、大企業の担当者には大企業に特化した導入事例を紹介するメールを送信し、自分ごと化してもらいやすくします。
セグメンテーションとパーソナライゼーション
セグメンテーションとは、顧客をいくつかのグループに分けることです。先ほど言及した通り、業種や企業規模でのセグメントし、メールを送信することで、受け取った人の自分ごと化を促します。
パーソナライゼーションとは、個々の顧客に合わせたパーソナルなメッセージを送信することです。送信者名を営業担当者の氏名にしたり、宛先に受信者の氏名や会社名を入れたりすることで、より親近感を感じてもらいやすくなります。
メールによる効率的なリードクオリフィケーション手法
メールを活用したリードクオリフィケーションの具体的な方法として、開封率やクリック率、コンバージョン率の分析を通じた評価と、リードの行動・属性に基づくスコアリングが挙げられます。
開封率・クリック率・コンバージョン率の分析
メールキャンペーンのパフォーマンスを分析するためには、主に以下の指標を参考にします。
①メールの開封率
②CTR(クリック率)
③CVR(コンバージョン率)
①メールの開封率
開封されたメールの割合です。受信者にとって件名が魅力的であったかを評価するために役立ちます。
【開封率=開封されたメール数÷配信数×100%】
なお、スパムや迷惑メールに分類され、受信ボックスに届かなかったメールは配信数に含まないように注意してください。
②CTR(クリック率)
CTR(クリック率)は、メール内に記載されたURLをクリックし、製品の詳細ページや目的のページに進んだ割合です。リードの興味や関心度が分析できます。
【CTR率=メール内のURLクリック数 ÷ 配信数× 100】
CTRも、受信ボックスに正しく届かなかったメールは配信数から除外してください。
③CVR(コンバージョン率))
CVR(コンバージョン率)は、「購入」「登録」「ダウンロード」「問い合わせ」などメール内のリンクから発生した具体的な行動で、メールの最終的な成果を示す指標となります。
【CVR=(行動・成果数) ÷ クリック数)× 100】
CVR(コンバージョン率)には、購読解除を求める返信や登録は含みません。
リードの 行動・属性に基づいたスコアリング例
リードクオリフィケーションでは、メール受信者の行動と属性の両軸でスコアリングを行うことで、より客観的で精度の高いリード評価が可能になります。行動データの場合は、例えば「メールを開封した」「特定のページを閲覧した」「資料をダウンロードした」といったリードの行動別に点数を付けます。
リードの行動に基づいたスコアリング例 | |
リードの行動 | 点数 |
メールを開封する | +1p |
メール内のURLをクリックする | +3p |
特定ページを閲覧する | +5p |
資料・カタログ請求する | +8p |
セミナーや相談会に申し込む | +12p |
見積りを依頼する | +15p |
リードの属性については、「企業規模」「売上高」「業種」「役職」などでカテゴライズできます。
リードの属性に基づいたスコアリング例 | |
リードの属性 | 点数 |
企業規模 | 従業員数100人以上:+5p |
売上高 | 1億円以上:+3p |
業種 | ターゲット業種:+5p |
役職 | 部長以上の役職:+5p |
これらのスコアを合計し、20p以上なら【Aランク】、15~19pなら【Bランク】といった具合でリードのランク付けをしましょう。
リードの行動・属性データを細かく分析して数値化することで、営業部門へ引き継ぐ優先順位が分かりやすくなります。
ソーシャルメディアマーケティング戦略の基礎
ソーシャルメディアもメールと同様に、多くのリードに一度にアプローチでき、興味関心の高いリードを絞り込むことができる手段です。ソーシャルメディアを使ったリードクオリフィケーションの手法を学ぶ前に、ソーシャルメディアマーケティングの基礎を押さえておきましょう。
主要なソーシャルメディアプラットフォーム
「ソーシャルメディア」は、いわゆるFacebookや InstagramといったSNSと捉えられる場合が多いですが、実はその範囲は広く、食べログなどの情報サイトや noteなどのブログサイトも「ソーシャルメディア」に含まれます。
ソーシャルメディアの種類 | |
種類 | サービス例 |
SNS | Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LinkedIn |
動画共有サイト | YouTube、TikTok |
メッセージングアプリ | LINE、WhatsApp |
ブログ | アメーバブログ、note |
情報共有サイト | 価格コム、食べログ、クックパッド |
ソーシャルブックマーク | はてなブックマーク |
各ソーシャルメディアプラットフォームには、それぞれ独自の特徴とユーザー属性があります。そのため、どのプラットフォームを選び、何を目的に、どのようなコミュニケーションを行うかという戦略が重要です。
マーケティング活動によく活用される主なソーシャルメディア | |
プラットフォーム | 特徴 |
| |
| |
X | 情報の拡散、自社Webサイトへの誘引に効果的 |
YouTube |
|
LINE | 最新情報やクーポンの配信に効果的 |
一般的に、企業のマーケティングに活用されるのは、Facebook 、Instagram、 XなどのSNSが中心でリアルな消費者の声や口コミをブランディングや販促に活かすことができます。
例えば、化粧品業界ではInstagramを中心に、使用者による口コミやレビューが多く投稿されています。多くのユーザーがこれらの情報を参考に商品を購入しており、SNSで話題になり商品が爆発的に売れるケースも珍しくありません。
また、InstagramやXはGoogleなどの検索エンジンと同様に情報検索に利用されているため、情報収集から購買までの導線を設計しやすいです。これにより、自社商品の認知拡大やブランドイメージの向上、そして売上アップが期待できます。
さらに、SNSの分析ツールを使用すれば、「いいね」や「シェア」、「コメント」などのユーザー行動を追跡でき、これを基に購入の可能性が高いリードを抽出することが可能です。
ソーシャルメディアの投稿設計と運用
さまざまなサービスが提供されている中でも、Facebook、Instagram、Xは投稿データによるリードスコアリングが容易で、リードクオリフィケーションに適したソーシャルメディアプラットフォームです。
各SNSの特徴 | |||
X | |||
ユーザー層 |
| 10代〜30代の | 20代〜40代 |
特徴 |
|
|
|
投稿に向いている主なコンテンツ |
|
|
|
投稿内容と | 長文テキスト、 | 写真や動画が中心 。 | 短文テキスト(140文字以内)、 |
リンクの投稿 | ◯ | × | ◯ |
いいね | ◯ | ◯ | ◯ |
シェア | ◯ | × | ◯ |
リポスト | ◯ | ◯ | ◯ |
コメント | ◯ | ◯ | ◯ |
拡散の範囲 | 友達の友達 | フォロワーのみ | 無制限 |
更新頻度の目安 |
※ビジネスマンが働いている平日の朝8時~18時頃がおすすめ |
※毎日投稿する場合はストーリー機能の活用もおすすめ |
※タイムラインの流れが早いため、何回投稿しても問題ない |
それぞれに特徴があり、投稿に対する反応を得るための「機能」にも違いがあるので、 マーケティングの目的に応じて適切に使い分けることがポイントです。例えば、化粧品会社がInstagramを活用する場合、商品の写真や動画を統一感のあるデザインで投稿することで、視覚的にアプローチし、ブランドイメージや世界観を構築します。
一方、Xでは情報の拡散や認知拡大を目的として、フォロー&リツイートキャンペーンなどのプロモーションを行います。このように、それぞれのプラットフォームの特徴に合わせた投稿設計と運用を行うことが重要です。
ソーシャルメディアにおけるクオリフィケーションの手法
ソーシャルメディアを活用したリードクオリフィケーションは、FacebookやInstagram、Xなどのプラットフォームを使って、リードの質や状態を判断する方法です。ソーシャルリスニングやエンゲージメント分析で、対象となるリードのSNS上での行動データやプロフィールなどの属性から相対的に評価をします。
投稿のエンゲージメント分析
投稿のエンゲージメントを分析する方法には、複数の手法があります。数値による定量的な分析や、投稿内容、キーワード、アカウントなどの定性的な分析を目的によって使い分けます。リード発掘を目的とする場合は、投稿に対するエンゲージメント(反応)とアカウントの分析が中心になります。
基本的な分析項目
- 数値分析
いいね、シェア、コメントの数、リーチ数などエンゲージメントを分析します。投稿内容や反応のポジティブ・ネガティブ割合も確認できます。数値分析では、大まかな動向を把握することができます。 - キーワード分析
分析したい特定のキーワードとセットで投稿されている別のキーワードを探し、何らかの関連性を持っているかどうか分析します。これにより、新たなニーズを発見できます。 - 投稿・アカウント分析
自社の商品について投稿したユーザーがどのような発言をし、どのような反応をしたのかを具体的に調べます。投稿者のフォロワー数やリーチなどの影響力を調べることで、インフルエンサーの特定も可能です。 - セグメント分析
数値分析と投稿・アカウント分析で得られた結果をさらに細かく分析することで、商品への「関心度」や「購入」などで投稿者を分類できます。例えば、購入者と未購入者が使っているキーワードや投稿内容の違いを分析することができます。
ソーシャルリスニングとリード発掘
ソーシャルリスニングは、Facebookや Instagram、XなどのSNS上に投稿された消費者の幅広い声を収集・分析することです。SNSに限らず、ブログやレビューサイトなどの情報もソーシャルリスニングの対象になります。この手法をリードクオリフィケーションに役立てることができます。
- ブランド調査ができる
- トレンド調査ができる
- リードの発掘やリードクオリフィケーションに活かせる
ソーシャルメディア上で自社の商品やサービスがどれだけ言及されているか、どのような評価(ポジティブまたはネガティブ)がされているかなどブランドイメージの調査を行えます。
また、特定のキーワードを探ることで、業界の動向、競合他社の動き、消費者のニーズなどを幅広く読み取ることができます。そして、自社商品へのコメントや反応から購入可能性のあるリードの発掘まで行えるのが最大のメリットです。
なお、SNSによっては匿名で利用する人が多いものがあり、次のリードナーチャリング(育成)やリードクオリフィケーション(分類)へつなげるためには、属性や連絡先情報を取得していくことが不可欠です。
行動データ・属性データに基づいたスコアリング例
ソーシャルリスニングによって抽出されたリードのSNS上の発言や投稿に対するリアクション(反応)などの行動データに基づいてスコアリングすることができます。
例えば、いいね+2p、シェア+4p、「画像」や「動画」のクリック+5p、コメント・返信+10pなどです。
これにフォローアップで取得した属性データを組み合わせることで、より精度の高いクオリフィケーションを行うことが可能になります。
SNS上での行動データに基づいたスコアリング例 |
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リード獲得で取得した属性に基づいたスコアリング例 |
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