リードスコアリングとは?
リードスコアリングとは、リード(見込み顧客)や既存顧客を客観的な視点でスコア化・ランク付けする手法です。これにより、リードが購買プロセスのどの段階にいるのかをマーケティングや営業担当者が把握することができます。
リードスコアリングは、一般的にリードクオリフィケーションにおける「絞り込み」の段階で活用されます。スコアリングを通じて受注確度の高いリードのみを抽出することで、営業担当者の工数を大幅に削減できます。この手法は、営業における機会損失を避け、売上や利益を最適化するために非常に有効です。
リードスコアリングモデルの作成
リードを評価するための仕組みとして、スコアリングモデルの作成が効果的です。リードスコアリングモデルでは、業界、役職、製品に対する興味関心度など、さまざまな項目を評価し、スコア化・ランク付けします。
リードスコアリングモデルの例
業界:自社製品と相性の良い業界に属するリードには加点、相性の悪い業界に属するリードには減点。
役職:購買決定権を持つ役職にあるリードには加点、決定権がない役職にあるリードには減点。
製品に対する興味関心度:ウェブサイトの訪問回数や特定ページの閲覧時間など、製品に対する興味関心が高いリードには加点、関心が低いリードには減点。
スコアの加点・減点方式や、データにもとづいた具体的なスコアリング方法は次のとおりです。
スコアの加点・減点の仕組み
リードスコアリングでは、特定の要件を満たしているかどうかで評価します。
SFAシステムを提供している企業のスコアリング例
【加点】
- 料金ページの確認: リードがWebサイトにアクセスし、料金ページを確認した場合。
加点: 3ポイント - セミナー参加: リードが同社開催の「SFAの使い方セミナー」に参加した場合。
加点: 10ポイント - ホワイトペーパーのダウンロード: リードが同社公開のホワイトペーパーをダウンロードした場合。
加点: 15ポイント
【減点】
- 採用ページの閲覧: リードがWebサイトにアクセスし、採用ページを見た場合。
減点: 2ポイント - メルマガ配信停止: リードがメルマガの配信停止を行った場合。
減点: 5ポイント - 無反応期間の長さ: リードがホワイトペーパーをダウンロードしてから2週間以上反応がない場合(他のリードと比較して無反応の期間が長い場合)。
減点: 10ポイント
リードが確度の高いアクションを行った場合には加点し、そうでないアクションの場合は減点します。料金ページへのアクセスは3ポイントの加点、ホワイトペーパーのダウンロードは15ポイントの加点など、アクションの確度に応じて付与する点数を変えます。
このように、リードの行動に基づいてスコアを付与することで、リードの購買意欲や関心度を客観的に評価し、営業活動の優先順位を効果的に決定することができます。
行動データと属性データを組み合わせたスコアリング方法
スコアリングモデルの客観性を高めるためには、リードの「行動データ」と「属性データ」の両軸での作成が必要です。行動データとは、Webサイトにアクセスした、メールに反応したなど、リードの具体的な行動を指します。一方、属性データは企業規模や業種、役職など、リード自身に由来する指標です。
BtoB製品を扱うSaaS企業における行動データのサンプル
リードの行動 | 点数 |
メールに記載した製品URLをクリックする | +3p |
Webサイトの料金ページを閲覧する | +5p |
ホワイトペーパーをダウンロードする | +10p |
製品に関するセミナーに参加する | +15p |
BtoB製品を扱うSaaS企業における属性データのサンプル
リードの属性 | 点数 |
企業規模 | 従業員数100人以上+5p |
売上高 | 1億円以上+3p |
業種 | ターゲットとなる業種である+5p |
役職 | 部長以上の役職である+5p |
行動データと属性データを細かくカテゴライズした後、それぞれに適した数値を設定し、その数値を足し合わせます。例えば、行動データでは、料金ページへのアクセスは3ポイント加点、セミナー参加は10ポイント加点、ホワイトペーパーのダウンロードは15ポイント加点とします。また、属性データでは、大企業に属するリードには10ポイント加点、中企業には5ポイント加点、小企業には2ポイント加点、決定権を持つ役職には10ポイント加点、影響力を持つ役職には5ポイント加点などとします。
これらのデータの合計数値を出し、合計スコアに基づいてリードをランク付けします。例えば、「合計20ポイント以上はランクA」、「合計15〜19ポイントはランクB」、「合計10〜14ポイントはランクC」といった具合です。
このように、行動データと属性データの両面からリードを評価することで、リードの購買意欲や関心度を客観的に判断し、営業活動の優先順位を効果的に決定することができます。
セールスへの受け渡し
スコアリングでは、一定以上の数値になったリードをマーケティングから営業に受け渡すケースもありますが、基本的にはクオリフィケーションの最適化に利用します。以下は、基準を「15ポイント」に設定した場合の具体的な受け渡し対象となるリードの例です。
- 従業員数100名の中堅企業の場合: ホワイトペーパーをダウンロード(15ポイント)した時点で受け渡し対象となります。中堅企業の場合、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードといった「課題の解決策を探したい」といったニーズがある時点で、受注確度が高いといえます。
- リードがセミナー参加(15ポイント)をした場合: セミナー参加はリードが製品やサービスに強い関心を持っていることを示すため、その時点で受け渡し対象となります。
- リードが経営者(15ポイント)だった場合: 経営者は決裁権を持っているため、代表者が製品に対して興味関心を抱いていると判断できます。この場合も、その時点で受け渡し対象となります。
このように、リードが一定のスコアに達した時点で営業に受け渡すことで、営業担当者はより確度の高いリードに集中することができ、効率的に営業活動を行うことができます。
チャネルの使い分け
リードスコアリングでは、どのようなチャネルを使ってリードにアプローチするかが重要です。その際、チャネルの種類と使い分け方法について解説します。
チャネルの種類
リードに対するアプローチに使えるチャネルは、大きく「オンライン」と「オフライン」の2つに分類できます。
チャネル | メリット | デメリット | |
オンライン | メール | ・アドレス宛に直接情報を配信できる | ・他のメールに埋もれてしまい開封されない可能性がある |
SNS | ・リードに応じたSNSを選択できる(XやFacebook、Instagramなど) | ・情報を見てもらうためにリードからのフォローが必須 | |
Webサイト | ・配信内容やデザインの自由度が高い | ・ページにアクセスしてもらうための施策を行う必要がある | |
Web広告 | ・リスト以外にも広くアプローチできる | ・費用対効果を高めるために予算やターゲットの緻密な設定が必要 | |
ウェビナー | ・興味関心度合いの高いユーザーにリーチできる | ・ウェビナーに参加してもらうための施策を行う必要がある | |
オフライン | セミナー | ・興味関心度合いの高いユーザーにアプローチできる | ・セミナーに参加してもらうための施策を行う必要がある |
展示会 | ・ターゲットとなる層と効率よく接点をもてる | ・ブースの設置や当日までの準備期間などのコストや工数が大きい | |
電話 | ・ターゲットとなるユーザーと1対1でコミュニケーションを取れる | ・電話対応できる人材のアサインが必要 | |
DM | ・メッセージと併せて資料やサンプルを送付できる | ・サンプル用意や郵送にコストがかかる |
使い分け方法
上記のようにチャネルの種類は豊富です。しかし、クオリフィケーションの進み具合によってチャネルは使い分ける必要があります。
チャネル | 活用シーン | |
オンライン | メール | リードと1対1でのテキストでのやり取りを行う。「メルマガ」として製品紹介やキャンペーン情報を配信する。リードの属性に合わせたセグメント配信も可能 |
SNS | 不特定多数やフォロワーに対して製品情報やキャンペーン情報を配信する。興味関心度の高いユーザーから、まだ高くないユーザーまで広く見てもらえる | |
Webサイト | 初めてサイトに訪問した人から何度か閲覧している人、料金ページを見ている人、採用ページを見ている人など。Webサイトの利用頻度や閲覧内容をクオリフィケーションに役立てられる | |
Web広告 | リードジェネレーションとして有効。インターネット上に広告を出稿し、自社のWebサイトやランディングページに誘導。そこからメルマガやセミナー参加を促し、ナーチャリング、クオリフィケーションへとつなげられる | |
ウェビナー | Webサイトやメールなどを経由してウェビナーに参加。すでに興味関心度が高く、「課題を解決したい」と考えるユーザーが多い | |
オフライン | セミナー | Webサイトやメールなどを経由してセミナーに参加。ウェビナーとは違って「リアル」での参加なので、ホットリード化する可能性が高い |
展示会 | 数十人〜数百人単位の来場者にアプローチできるのでリードジェネレーションとして有効。ホットリード層からコールドリード層まで、リードの温度感はバラバラ | |
電話 | 登録されたリードの電話番号をもとに電話で個別訴求する。1対1で直接アプローチできるため、荷電する担当者の技術次第で受注確度を大幅に高められる | |
DM | 住所が登録されたリードに対して直接サンプルや資料を送れる。クオリフィケーションが浅いリードでも、郵送物を送ることでホットリード化する場合がある |
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