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リードの営業受け渡しと評価

レッスン6では、CRM/SFAツールを設定し、リードクオリフィケーションを実践するための環境構築方法を学びました。
このレッスンでは、設定したCRM/SFAツールの環境を活用して、リードクオリフィケーションを実践します。具体的にはスコアリング方法、スコアに基づくリードの分類とそれぞれへのアプローチ、アプローチ結果の分析方法などについて学びます。
※CRM/SFAツールの例としてZoho CRM が登場します。

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リードの営業受け渡しと評価

リードを絞り込むスコアリング設定

まず、リードクオリフィケーションにおける「絞り込み」の段階で活用する手法の一つであるリードスコアリングの設定を行います。

リードスコアリングとは、リード(見込み客)を客観的な視点でスコア化・ランク付けする手法です。この手法は、特にリードが一定数以上あり、インサイドセールスや営業担当者のリソースが限られている状況で、商談につながる可能性が高いリードから優先的にアプローチしたい場合に有効です。

また、リソースに余裕がある状態でも、どのチャネルからのリードが商談に繋がりやすいかなどの仮説を立てた上でアプローチし、仮説が正しいかを検証する際にも役立ちます。リードに対してスコアをつける際には、「属性によるスコアリング」と「行動によるスコアリング」がありますが、今回はZoho CRM の環境で、両方のスコアリングを活用する設定方法を学びます。

スコアリングルールの考え方

スコアリングには、リードの静的な属性情報をもとに行う「属性によるスコアリング」と、リードの行動に基づく「行動によるスコアリング」があります。「属性によるスコアリング」は顧客の基礎情報を元に行われるため、基本的な絞り込みに適しています。これに「行動によるスコアリング」を組み合わせることで、絞り込んだリードの中から、商談につながる可能性の高いホットなリードを見つけ出すことができます。

Zoho CRM では両方のスコアリングに対応しているため、今回はシンプルなスコアリングの設定を行いましょう。以下のようなルールに基づき、スコアリング設定を行います。

属性データによるスコアリングルールの例

例えば、自社の商談を想定した際に、従業員数が一定以上で複雑な製品やサービスを扱っている企業では、導入の意思決定が主に事業部長クラスで行われ、商談化や受注の可能性が高いとが考えられます。こうした条件に基づくスコアリングの例を以下に示します。

リードの属性

点数

企業規模

従業員数100人以上+3p
従業員数500人以上+5p
従業員数1,000人以上+10p

業種

ネットワーク関連企業+3p
独立系ソフトウェアベンダー+5p
システムインテグレーター+10p

役職

一般+3p
部長クラス+5p
事業部長クラス+10p

このルールでは、3つの属性で最大30点となり、25点以上は最優先でのアプローチ対象、15点~24点はやや優先度が下がり、14点以下は様子見といった区別をつけることができます。

行動データによるスコアリングルールの例

例えば、見込み客とのコミュニケーションを行うチャネルがメールとX(旧Twitter)だった場合、以下のようなスコアリングルールが考えられます。

リード行動性

点数

メール

送信したメールの開封+1p
メールに記載されたURLのクリック+3p

X(旧Twitter)

自社のアカウントへのメンションつきコメント+5p
自社のアカウントへのメッセージ送信 +5p

このルールでは、より能動的なアクションを取った場合に点数が高く、継続的に行動を起こすたびに点数が蓄積されます。例えば、メールの開封で10回、URLのクリックで4回、SNSでのメッセージ等で2回のアクションを取ると10点が貯まるため、10点を超えたら一度アプローチをする、といった運用が考えられます。

属性や行動データに基づいて示したルールはあくまでサンプルです。自社の見込み客に対する適切なスコアリングルールは、業界や顧客の特性、自社のコミュニケーションチャネルの運用状況などにも応じて決める必要があります。仮にルールを設定して運用した場合でも、試行錯誤しながら徐々に精度を高めていくことが重要です。

スコアリングルールの設定

それでは、前述のルールを実際に設定してみましょう。Zoho CRM では、データを管理する単位である[タブ]ごとにスコアリングルールを設定できます。今回は見込み客に対してスコアリングを行うため、[見込み客]タブでスルールの設定を行います。

スコアリングルールの設定は以下の通りです。

  1. Zoho CRM 右上の歯車マークの[設定]をクリック
  2. [自動化]のセクションの[スコアリングルール]をクリック
  3. [新しいスコアリングルール]をクリック
  4. ポップアップ画面で必要情報を入力して[次へ]をクリック
  5. 属性スコアリングとして、[見込み客の項目]を設定
  6. 行動スコアリングとして、チャネルごとのアクションを
  7. [スコアリングルールの項目]を設定
  8. [保存する]をクリック
  9. 既存データにもスコアを反映する場合「以前のデータを更新する」をクリック
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動画では、属性スコアが30点、行動スコアがメールの開封とクリックで4点となっている見込み客データは確認できます。この例では、トータルのスコアが34点、行動スコアが4点で集計されていることが確認できます。

スコアに基づくリスト作成

ここからは、設定したスコアに基づいてリードの絞り込みを行います。

Zoho CRM では、レポート機能を使ってリストを作成することも可能ですが、直接のメール送信や架電などのアクションを行い、アプローチ結果を各リード情報に入力するには、タブで設定できるカスタムビューの利用が便利です。カスタムビューでは、タブ内のデータを一覧表示する際の抽出条件や表示項目を自由に設定できるため、目的に応じたリストを作成できます。

カスタムビューの作成

それでは、実際にカスタムビューを作成して、スコアが付与されたリードをスコア順に並べて表示してみましょう。今回は、スコアが1点以上付与されているリード情報を一覧表示できるビューを作成します。

[見込み客]タブへのカスタムビューを追加する手順は以下の通りです。

  1. メニューから[見込み客]タブをクリック
  2. 左上のビューの一覧のプルダウンから[新しいカスタムビューをクリック
  3. [名称]、[条件]、[表示項目]を設定
  4. [保存する]をクリック
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動画では、カスタムビューでリードスコアが0以上の見込み客の一覧を、スコアに関連する項目やアプローチに必要な項目と合わせて表示し、スコアの高い順に並び替えています。

リードクオリフィケーションの運用では、このようなビューを使い、スコアの高いリード情報の詳細を確認し、[見込み客のステータス]を更新することで、営業に受け渡すリードを明らかにします。また、スコアは高いものの情報が不足しているリードには、追加でコミュニケーションを行うといったアプローチを行うこともあります。

ステータスとスコアを使ったクオリフィケーション

ここまでで、リードクオリフィケーションを行うために必要な設定が完了しました。ここからは、クオリフィケーション業務をどのように運用するかの例を見ていきましょう。

基本的な流れとして、スコアをアプローチを開始するきっかけとし、リードの状況を確認できた時点でステータスを更新し、一定以上のステータスになったら、営業担当者に受け渡します。

スコアを利用したステータスの見極め

先ほど設定したカスタムビューでは、[見込み客のステータス]と[リードスコア](属性スコアと行動スコアの合計値)、[リード行動スコア]を表示しています。この情報をもとに、ステータスを見極め、ステータスを適切に更新していくのがクオリフィケーションの運用です。

リードスコア一覧カスタムビュー

今回は、ステータスを[コールド][ウォーム][ホット]の3種類としていますが、名称だけでなく、以下のような基準に基づいてステータスを変更する運用ルールを定めます。

ステータスの基準・運用ルールの例

ステータスの基準

  • コールド:状況が未確認のリード、スコアが低いリード、またはスコアは高いが商談化まで時間がかかるリード
  • ウォーム:商談化の可能性が見えてきたリード、属性スコアが高く行動スコアも一定数以上あるリード
  • ホット:具体的な商談が始まる可能性が高いリード、属性スコアと行動スコアがともに高いリード

運用ルール

上記の基準に達している、または達する可能性があるリードに対して、マーケティングやインサイドセールス担当者がメールや電話でアプローチを行い、ステータスの見極めを行って、ステータスを更新します。

※スコアに関しては、具体的な基準値を定める必要があります。

※直接の見極めを行わずスコアのみでステータスを自動で更新するような運用も可能です。

営業担当者への受け渡し

リードのステータスを見極め方法を定める際には、どのステータスになったら営業に受け渡しを行うかを決めておく必要があります。

例えば、ステータスが[ホット]になった時点で営業担当者に引き渡す運用とした場合、営業担当者は割り振られたリードのうち、ステータスが[ホット]となっているリードをスコアの高い順に優先してアプローチします。このような運用を定めておくことで、属人的な判断に頼らず、商談化の可能性が高いリードに効果的にアプローチできるようになります。

Zoho CRM では、商談化する段階でリードを[見込み客]タブから[連絡先][取引先]に変換し、移行後は営業担当者が主体となって、アプローチやフォローを行う運用が想定されています。

ステータスの変更や営業担当者への引き渡しタイミング、営業が引き受けた後の運用方法などを定めることで、営業の引き渡し状況を正しく把握できるようになります。

[見込み客]タブに登録されているリード情報の変換は以下の手順で行います。

  1. メニューから[見込み客]タブをクリック
  2. 対象となる[見込み客]をクリック
  3. [次のステップへ]をクリック
  4. [この取引先に新しい商談を作成する]にチェックを入れる
  5. [総額][商談名][完了予定日][ステージ]などの必要事項を入力する
  6. [次のステップへ]をクリック
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動では、リードの変換後、[見込み客]タブからリード情報が非表示となり、[連絡先]、[取引先]、および[商談]が作成されていることが確認できます。

クオリフィケーション業務の状況把握

ここまでで、リードクオリフィケーション業務を行うためのルールと、そのルールを実行する環境が整いました。ここからは、クオリフィケーション業務の状況を把握し、より効果的な運用を実現するためにデータを可視化していきます。

多くのCRM/SFAツールでは、登録された情報をレポートやダッシュボードで可視化する機能があり、Zoho CRM ではも導入時点でサンプルレポートやダッシュボードが用意されています。今回は、あらかじめ用意されているダッシュボードをカスタマイズして、運用ルールに適したダッシュボードを作成します。

ダッシュボードのカスタマイズ

Zoho CRM のダッシュボード機能は、各タブに登録された情報を基に状況判断や分析のためのデータを可視化するための機能です。今回は、あらかじめ用意されているダッシュボード[見込み客の分析]をカスタマイズして、クオリフィケーション業務の状況を把握していきます。

ダッシュボードのカスタマイズ手順は以下の通りです。

  • メニューから[アナリティクス]タブをクリック
  • 左側のダッシュボード一覧から[見込み客の分析]をクリック
  • [・・・]ボタンをクリック
  • [複製する]をクリック
  • 各要素の条件変更や追加、並び替えなどを実施
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動画では、本会計年度内に作成されたリードの総件数、コールド、ウォーム、ホットごとのリード件数、クオリフィケーション中の件数、営業に引き渡されリードが変換された件数や変換率を確認できるダッシュボードを作成しています。

ダッシュボード

上記のようなカスタマイズを行うことで、全体の件数や変換率だけでなく、リードの取得元である[見込み客のデータ元]ごとに営業受け入れ率にどのような違いがあるかなどを把握することができるようになります。

この情報を基に、現時点で取るべきマーケティング上のアクションや注力すべきリード獲得メディアを明らかにすることができます。

また、会計年度別、四半期別、月別などの単位でダッシュボードを用意しておけば、短期から中長期にわたる状況把握も行えます

このレッスンでご紹介したスコアリング設定、スコアとステータスを併用した顧客の絞り込み方法、状況把握のためのダッシュボードを活用し、効率的なクオリフィケーション業務を実現しましょう。

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