このレッスンで学べること
CRM/SFAツールでのリードマネジメントを、「リードマネジメントの準備を整える」「CRM/SFAでリードマネジメントを仕組み化する」「リードマネジメントを最適化する」の3段階に分けます。
このレッスンでは、「リードマネジメントを最適化する」を扱います。具体的には、CRM/SFAツールでワークフローを設定し、メールの自動返信、フォローアップ、営業担当者へのリマインドなどを、手動での管理を減らし自動化する方法を学びます。
※CRM/SFAツールの例として、Zoho CRM の画面が登場します。
このレッスンで学べること | |
リードマネジメントを最適化する | 1.Zoho CRM を活用したリードナーチャリングの自動化
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想定シナリオ
レッスン7に引き続き、東京都内の中小老舗ソフトウェア企業A社でのリード管理を例に解説します。A社は法人向け業務効率化ソフトウェアの開発・販売を行っており、従業員数100名の企業です。A社では現在、リード管理にいくつかの課題を抱えており、これらを解決するためにCRM/SFAツールを導入しようとしています。
A社のプロフィール
項目 | 内容 |
従業員数 | 100名 |
事業内容 | 法人向け業務効率化ソフトウェアの開発・販売 |
抱えている課題 |
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株式会社A社の田中さんは、これまでWebサイトから「法人向け業務効率化ツール導入ガイド」をダウンロードしたリードに対して、手作業でメール返信を行っていました。しかし、ダウンロード数の増加に伴い、対応に時間がかかるようになり、リードに迅速に対応をすることが難しくなってきました。
そこで、Zoho CRM を活用し、ワークフローを設定することで、以下の業務を自動化することにしました。
- ダウンロード後のお礼メール送信
- リードスコアが基準値に達した際の営業担当者への自動通知
- 営業担当者が見やすいようリード情報のカスタマイズ
- 商談日決定後のリードへのフォローアップメール送信
- 商談日決定後の営業担当者へのリマインダー通知
ワークフロー設定でリードナーチャリングを自動化
リードナーチャリングの効果を最大限に引き出すためには、タイムリーかつ一貫したコミュニケーションが不可欠です。しかし、手作業での対応には限界があり、重要なリードへの迅速な対応やフォローアップが遅れてしまうことがあります。そこで、ワークフロー機能を活用することで、これらの定型業務を自動化し、リード管理を効率化しましょう。
ここでは、A社の田中さんの業務を例に、リードナーチャリングの自動化の方法について学びます。
ワークフローとは
Zoho CRM のワークフロー機能は、これまで手作業で行っていたメール送信、タスク作成、通知、データ更新などを自動化することで、担当者の負担を軽減し、業務効率を大幅に向上させることができます。ワークフローを設定することで、「特定の条件を満たしたときに、自動的に処理を実行する」 仕組みを構築します。ワークフローを設定することで、以下の業務を自動化できます。
項目 | 内容 |
リードナーチャリング |
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顧客管理 |
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営業支援 |
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マーケティング活動 |
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その他 |
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資料ダウンロード後の自動返信メール設定
まず、Webサイトから資料をダウンロードした見込み客に対し、自動でお礼メールを送信するワークフローを設定しましょう。
資料をダウンロードしたリードは、A社の製品やサービスにある程度の関心を持っていると考えられます。しかし、関心を持っているだけでは商談につながりません。実際に商談に進むためには、追加の情報提供やコミュニケーションが必要です。
そこで、資料ダウンロード後すぐに自動でメールを送信することで、リードとの接点を維持し、購買意欲を高められます。
設定のポイント
レッスン7では、「見込み客のスコアリング」ルールとして「従業員数が300名以下の場合」や「職位が経営者/役員の場合」の設定を行っていました。今回は、これらの条件に加え、業界が製造業の場合に5ポイント、資料ダウンロード時に5ポイントを加点するルールを追加します。
条件 | スコア |
従業員数が300名以下の場合 | +10p |
職位が「経営者/役員」の場合 | +10p |
業界が製造業の場合 | +5p |
資料ダウンロードされた場合 | +5p |
このように、新規リードに対して、従業員数が300名以下であり、業界が製造業で、資料ダウンロードがあった場合、合計で20ポイントが加算されるようにスコアを設定します。20ポイントに達した際にワークフローが自動的に起動し、フォローアップメールが送信されます。
今回の設定内容
項目 | 内容 |
トリガー |
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アクション |
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それでは、Zoho CRM を用いて、資料ダウンロード後の自動返信メール設定を行っていきましょう。
手順は以下の通りです。
- スコアリングルールの追加
- ワークフロールールの作成
- メールテンプレート作成
- 新規リードの作成とワークフロー処理の確認
スコアリングルールの追加
まずは、レッスン7で作成した[見込み客のスコアリング]に対し、新たに2つのスコアリングルールを追加します。
条件 | スコア |
業界が製造業の場合 | +5p |
資料ダウンロードされた場合 | +5p |
手順は以下の通りです。まず、[設定]→[自動化]→[スコアリングルール] に進み、[見込み客のスコアリング]で[条件を追加する] を押下します。

[条件を選択] で、「業界」「次の値と等しい」を選択ます。しかし、Zoho CRM の初期設定では、業界のリストに「製造業界」がないため、新たに作成する必要があります。
[設定]→[カスタマイズ]→[タブと項目]→[見込み客]→[項目]に進み、右上の[項目の作成と編集]ボタンを押下します。
[見込み客の項目の作成と編集] 画面では、[見込み客] タブで表示されるリード情報の表示レイアウトや項目を作成・編集できます。初期設定のままでは、自社のビジネスに完全に合致しない場合があるため、項目をカスタマイズすることで必要な情報を効率的に管理し、より効果的な営業活動を行えます。
[見込み客情報]セクションで[業界]項目の右にある[・・・]を押下し、[プロパティの編集]を選択します。
選択リストの値]セクションで[+]をクリックし、新たに[製造業界]を追加します。
「製造業界」を設定後、業界が「製造業界」の場合、+5ポイントが加点されるようにスコアリングルールを設定します。
続いて、資料ダウンロードをトリガーとするスコアリングルールを追加します。レッスン6で設定した「Webからのダウンロード」というタグを活用し、資料をダウンロードしたリードには+5ポイントが加点されるように設定します。
2つのルールを追加したら、[保存する]を押下し、[以前のデータを更新する]を選択すれば完了です。
ワークフロールールの作成
まず、リードのスコアが合計20ポイント以上に達した際に、ワークフロー機能を使って「ダウンロードへのお礼と、A社の製品紹介を含むメール」を自動送信する設定を行います。この設定により、ホットリードに迅速にアプローチでき、商談化の可能性を高めることが可能です。以下の手順に従って設定を進めましょう。
[設定]→[自動化]→[ワークフロールール] に進み、[+ルールを作成する]を押下します。
今回は、商談になりやすいホットリードに対し、ワークフローを設定するため、[タブ]は「見込み客」、[ルール名]は「資料ダウンロード後の自動返信メール - 法人向け業務効率化ツール導入ガイド」とします。詳細情報には、このワークフローの内容を誰が見てもわかりやすい説明を入力し、[次へ]を押下します。
データスコアが変化したときにワークフローが実行されるように設定します。[このワークフローの実行条件]で[データのスコア]を選択し、次に[このルールの適用対象]で、設定したいスコアリングルールを選択します。今回は、[見込み客のスコアリング]ルールを選択します。作成済みのスコアリングルールが複数ある場合は、適切なものを選びましょう。
また、スコアが増加した時か減少した時にワークフローを実行するかを指定します。今回は、スコアが増加した場合にワークフローを実行されるよう、[増加]を選択します。
次に、[条件:1]に、「スコアが20以上になったときにワークフローを実行する」と設定し、[次へ]を押下します。
続いて、メール通知の設定を行います。[すぐに実行する処理] → [通知] → [メール経由] を選択しますl。メール通知の設定は以下の通りです。
メール通知の設定:
項目 | 内容 |
名前 | [名前] 欄にメール通知の設定名を入力します。例えば、「資料ダウンロードのお礼メール通知」のように分かりやすい名前を付けましょう。後でワークフローを管理したり、編集したりする際に役立ちます。 |
宛先 | メール通知の送信先を選択します。ドロップダウンリストには、対象のタブに関連付けられている人やメールアドレスの項目が表示されます。 例えば、「メール」を選択すればリードに、「担当者」を選択すればリードの担当者に通知メールが送信されます。必要に応じて、[追加の受信者] 欄に他の受信者のメールアドレスを追加することもできます。 |
テンプレート | 新規・既存のテンプレートを選択できます。 |

今回は、レッスン7で作成したテンプレートを複製し、内容を一部修正して作成します。
まず、[テンプレート]→[+テンプレートを作成する]を押下し、別タブで[テンプレートのギャラリー]が表示されます。画面左上の「←テンプレートのギャラリー」を押下して[テンプレート]画面に遷移します。
次に、レッスン7で作成した[従業員数300名以下企業向け_業務効率化ツール導入ガイド]を開き、[複製する]ボタンを押下してテンプレートを複製します。複製したテンプレート名を「資料ダウンロード後の自動返信メール - 法人向け業務効率化ツール導入ガイド」に変更します。

以下のメール本文を参考にメールテンプレートのテキスト欄に入力しましょう。
メール本文 |
メール本文 |

メール本文の入力が完了したら、テンプレート画面右上の[保存する]→[今すぐ保存する]→[保存先]を「共有メールテンプレート」を選択し、[保存する]を押下します。
その後、ワークフローのメールテンプレート選択画面に戻り、作成したテンプレートを選択します。差出人へ返信先に間違いがないかを確認し、[保存して関連付ける]を押下し、ワークフロー画面で[保存する]を押下すれば完了です。


新規リードの作成とワークフロー処理
設定したワークフローが正しく動作するかを確認するため、テスト用のリードを作成します。今回は、以下の条件を満たすリードを作成し、資料ダウンロード後の自動返信メールが送信されるか確認します。
- 従業員数:300名以下 (+10ポイント)
- 業界:製造業界 (+5ポイント)
- タグ:Webからのダウンロード (+5ポイント)
これらの条件を満たすことで、リードの合計スコアが20ポイントになり、ワークフローのトリガー条件を満たします。
[見込み客] タブ→[見込み客を作成]ボタンを押し、テスト用のリード情報を入力して[保存する]を押下します。しかし、Webフォームから入力を行っていないため、「Webからのダウンロード」タグが自動付与されず、「従業員数:300名以下 (+10ポイント)」と「業界:製造業界 (+5ポイント)」を合わせた合計15ポイントになっています。
そのため、手動で「Webからのダウンロード」タグを付与し、ワークフローを処理します。[見込み客]タブでテストリードを選択し、[タグ]→[タグを追加する]を選択して「Webからのダウンロード」タグを選択し、[選択したデータの既存のタグを上記のタグで上書きします。]にチェックを入れ、[保存する]ボタンを押下します。これで、テストリードのスコアが20になったことを確認できます。
最後に、リード情報の [メール] セクションを確認して、資料ダウンロード後の自動返信メールが送信されていることを確認します。
リードスコア到達時の営業担当者への自動通知設定
次に、リードスコアが一定値に達した際に、営業担当者に自動でタスクを割り当て、通知を送信するワークフローを設定します。
Zoho CRM のタスク機能は、営業担当者が行うべき具体的な業務を登録できる機能です。例えば、「見込み客に電話する」「提案資料を送付する」「商談のアポイントを設定する」といった行動をタスクとして設定します。
タスク設定の活用例
今回は、「資料ダウンロード後の自動返信メール設定」でリードスコアが20ポイント以上に達した場合に、営業担当者に「リードスコアが20以上に達したリードに電話する」というタスクを自動で割り当てるワークフローを設定します。ホットリードに迅速にアプローチすることで、成約率を高めることが期待できます。
営業担当者が多くのリードに対応する際に、ワークフローでタスクを自動的に割り当てることで、対応漏れを防ぎ、タイムリーな営業活動を促進できます。
設定手順
[設定]→[自動化]→[ワークフロールール]で [資料ダウンロードの自動返信メール - 法人向け業務効率化ツール導入ガイド]を開きます。
[すぐに実行する処理]→[+処理]→[活動]→[タスクを追加する]を選択し、[+新しいタスク]ボタンを押下します。
各項目に以下の情報を設定します。
項目
内容
設定値
件名
具体的な内容がわかるようにタスクの件名を入力します。
ホットリードへの架電
期限
タスクの期限を設定します。
「実行日」「プラス」「1」
ステータス
「開始前」「遅延」「進行中」「完了「確認待ち」などからタスクのステータスを選択します。初期状態では「開始前」が選択されています。
開始前
優先度
タスクの優先度を選択します。優先度が高いほど、重要なタスクであることを示します。
高
担当者
タスクを割り当てるユーザーを選択します。タスクを割り当てるユーザーを指定しない場合、タスクは自動的にデータの担当者に割り当てられます。
ブランク(ユーザーを指定しない)
担当者に通知する
タスクを割り当てた際に、担当者に通知するかどうかを選択します。
チェックを入れる
リマインダーを送信する
タスクの期限前に、担当者にリマインダーを送信するかどうかを選択します。
チェックしない
詳細情報
タスクの詳細情報を入力します。
設定した後、[保存して関連付ける]→[保存する]を押下します。
ワークフローのテスト
ワークフロー処理を確認するため、[見込み客]タブのリードでスコアが15ポイントである「伊藤美咲」さんに対し、「Webからのダウンロード」タグを手動で付与し、20ポイントにします。
タグの付与に関する操作手順は、「 新規リードの作成とワークフロー処理」を参照してください。

「伊藤美咲」さんに対し、[リード今後の活動]セクションに[10 21ホットリードへの架電]タスクが追加されました。また、[タスク]タブの[開始前]セクションにもタスクが追加され、ワークフロー処理が実行完了していることが確認できます。

商談前日フォローアップ&リマインダー設定
商談が設定した後も、見込み客への継続的なフォローアップは重要です。商談の前日にフォローアップメールを自動送信し、営業担当者にリマインダーを送ることで、顧客への丁寧な対応と商談準備をスムーズに進めることができます。ここでは、そのためのワークフロー設定を行います。
ワークフローの設定
[設定] → [自動化] → [ワークフローのルール] で、[+ルールを作成する] を押下します。商談タスクの期限に基づて処理を実行するため、[タブ] は「タスク」を選択し、[ルール名] を「商談前日のフォローアップと営業担当へのリマインド」と設定し、[次へ] を押下します。
ワークフローの実行タイミングを設定します。
項目
内容
設定値
このワークフローの実行条件
ワークフローを実行する条件を指定します。
日付 / 日時の項目
ルールの実行タイミングの基準にする日付項目
ワークフロー実行の基準となる日付項目を指定します。
期限
実行日
基準日からの日数を指定します。
1日前
実行時刻
ワークフローを実行する時刻を指定します。
08:00 AM
繰り返し
ワークフローの繰り返し実行を設定します。
一度のみ
次に、[条件:1] で、すべてのタスクに対してワークフローを実行するため、[すべてのタスク] を選択し、[次へ] を押下します。[すぐに実行する処理] では、リードにメールでフォローアップを行うため、[通知] → [メール経由] を選択します。
設定画面では以下の情報を入力します。
- 名前:任意の通知名を入力します。(例:商談前日フォローアップメール)
- 宛先:商談相手である連絡先にフォローアップメールを送信するため、 [連絡先] の [メール] を選択し、担当者(営業担当者)も設定します。
- メールテンプレートは、先で説明した「資料ダウンロード後の自動返信メール設定」を参照に同様に作成し、[保存して関連付ける]→[保存する]ボタンを押下すれば完了です。

このレッスンで学んだことを活用することで、リードナーチャリングを自動化し、効率的かつ効果的にリードを顧客へと育成できます。
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