このレッスンで学べること
このレッスンでは、リードをどの部署で担当するか、定義できるようになります。インサイドセールス部門はマーケティング部門、営業部門(フィールドセールス)と永続的に調整していく部門です。対話のポイントも理解しましょう。
このレッスンで学べること |
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なぜ定義が必要なのか
インサイドセールスは、営業部門から一部の業務を切り出した業務です。小さな組織であれば1人で成約まで完結するような営業活動を、ステップに分けて分業するのです。それぞれの部署のカバー範囲を誰が見ても分かるように分類しておかないと、どの部署もフォローしないままリードを放置してしまったり、逆に、複数の部署が同じリードにアプローチしてしまったりしてしまいます。
しかも、分業することでそれぞれの組織が目標を持って動くことになり、それが売上でなくリード数であったり、商談数であったりさまざまです。担当分の定義がはっきりしないと、成果も正しく測定することができません。そのため、きちんとした定義が必要なのです。
ただし、分業は縦割り組織のはじまりとも言えます。きちんと分業を定義した上で、管理職ならば組織の大きな目標に向かっていく共通認識を忘れてはなりません。
リードの受け渡しに関するよくある問題
リードの受け渡しに関する、代表的なトラブルは以下の通りです。このような問題が起きうる、ということを念頭に置いて整理をすれば大きな問題を防ぐことができます。
リードの受け渡しに関するよくある問題 |
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リードの分類と受け渡すタイミングを決める
リードの分類と、部署間の受け渡しのタイミングを決める流れを、次の4つのステップで理解しましょう。この洗い出しを終えると、自社がどのようにリードを獲得し、どのような段階になったら営業が対応すべきかがはっきりします。大量のリードに対して、限られたリソースをどのように活かしてビジネスにつなげていくかをつかみましょう。
STEP1: リードの種類と行動を洗い出す
はじめに、自社ではどういう経路でリードを獲得しているか、さらにその経路に対してリードがどういう行動を取りうるか、洗い出しましょう。経路とは、最終経路を指します。例えば、Web広告やSNSを積極的に活用していても、最終的に何らかの個人情報を獲得するのがウェビナーであるならば、経路はウェビナーです。また、行動については、リードがとりうる行動パターンの選択肢を全て書き出します。ウェビナーを例に挙げると、「予約して出席した」「予約して欠席した」、といった具合です。この洗い出しをすることで、後に分類漏れを無くすことにつながります。
インサイドセールスをこれから立ち上げたり、今のインサイドセールスを改善していきたいという組織の場合は、「どういう経路でリードを獲得したいか」、という将来像を基にリストアップしましょう。
リード獲得の経路の例 | リードの行動の例 |
展示会 |
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資料ダウンロード |
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ウェビナー |
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問い合わせフォーム |
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架電 |
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外部データベースのリード | ※次の「ハウスリスト以外も忘れずに」参照 |
BDRで調査してリストアップしたリード | ※次の「ハウスリスト以外も忘れずに」参照 |
ハウスリスト以外も忘れない
リードは主に、自社のWebサイト訪問やウェビナー予約などをきっかけに個人情報を獲得するものです。これらは「ハウスリスト」という自社保有のリード情報です。ただし、ハウスリストが十分でない企業は、外部のデータベースを参照してリードにする場合があります。さらに、特定の大手企業に狙いを定めて、CXOに対して提案資料を送ったり、つてをたどって連絡するようなインサイドセールスの手法「BDR(Business Development Representative)」でリスト化するリードもあります。これらは、ハウスリスト以外に含まれ、一定の定義(規模、業種など)で分類します。
STEP2: リードに関わる担当部署を書き出す
次に、リードに関わる担当部署を書き出します。これからインサイドセールス部門を立ち上げたい組織の場合は、ここで追加しましょう。
リードに関わる担当部署の例 |
マーケティング部 |
本社営業本部インサイドセールス部 |
本社営業本部法人営業部 |
大阪支社営業部 |
STEP3: STEP1を確度別に分類
次に、STEP1で書き出したリードの経路と行動のパターンを、確度別に分類しましょう。確度、とは自社の製品やサービスを購入・契約する可能性の高さです。「メール開封よりもウェビナー参加を重視する」など、リードに対して重み付けをするこの作業は、営業担当者ごとの感覚の違いがあったり、異論が出ることもあるでしょう。
ただ、この分類がリードを受け渡す基準として欠かせない作業で、リソースを最適に配分するためには必須のした準備です。STEP1で「予約、出席」「予約、欠席」などと分けたのはこのためです。同じウェビナーという経路であっても、「予約して欠席した」リードと、「予約して出席してアンケートに詳細に記載して『営業担当者から連絡希望』と回答」したリードでは最適な対応部署が異なります。異論が出たとしても、今契約に至っているリードの分析などを行って仮説根拠を持ち一旦決めてスタートするしかありません。実装後、実態に合わせて調整していくことを社内全体で理解する姿勢が重要です。
確度 | 分類の例 |
レベル1 | [展示会]参加、ブース訪問無し |
レベル2 | [資料]ダウンロード用メール開封 |
レベル3 | [ウェビナー]予約、出席 |
レベル4 | [展示会]参加、ブース訪問有り、営業担当者と詳細に会話[ウェビナー]予約、出席、アンケート回答有り、「営業担当者から連絡希望」欄にチェック有り |
STEP4: 担当が変わるべきタイミングを結びつける
最後に、STEP3の表のそれぞれのレベルに対して、STEP2の部署をそれぞれ割り当てます。例えば、展示会に参加して、自社のブースに立ち寄らなかったリード(レベル1)にはマーケティング部門が一斉配信のメルマガを送り、そのリードがメルマガから資料をダウンロードして資料を見たらレベル2に移るため、インサイドセールス部門に担当を変えて営業コールやセグメントメールを送るようにする、といった具合です。自社の営業スタイルや、担当部署の規模を考慮しながら割り当てます。
確度 | 分類の例 | 担当部署割り当ての例 |
レベル1 | [展示会]参加、ブース訪問無し | マーケティング部 |
レベル2 | [資料]ダウンロード用メール開封 | 本社営業本部インサイドセールス部 |
レベル3 | [ウェビナー]予約、出席 | 本社営業本部インサイドセールス部 |
レベル4 | [展示会]参加、ブース訪問有り、営業担当者と詳細に会話[ウェビナー]予約、出席、アンケート回答有り、「営業担当者から連絡希望」欄にチェック有り | 本社営業本部法人営業部(近畿以外のリード)、大阪支社営業部(近畿2府4県のリード) |
他部門と対話するポイントを理解する
責任者となってインサイドセールス部門を立ち上げる場合、STEP3〜4は特に苦労します。理由は、それぞれのKPI(重要業績評価指標)が異なるためです。マーケティング部門はリードの獲得数に目が行きがちですし、営業部門は成約につながる質のいいリードだけに対応したいものです。その間に入るインサイドセールス部門は、営業部門とマーケティング部門と永続的に調整していくことが必要です。その際、細かな変更や認識合わせも必要ですが、ビジネスをいかに大きく成長させるか、という大局的な観点に立つ意識を忘れないでおきましょう。
営業部門との対話のポイント
インサイドセールスと営業部門の対話について、『インサイドセールス』(翔泳社)の茂野明彦氏は、「常に売上を中心に議論する」ことがポイントだと指摘しています。つまり、インサイドセールスが営業部門に受け渡すリードについて、どのくらい売上に貢献しているかを常に確認し合うことが必要、ということです。インサイドセールスは、ともすれば、関心が高まっているだけで、自社の製品・サービスを通じて見込み客のビジネスを成長させることができない「非ターゲット顧客」の商談を獲得してしまう場合があります。しかしこのような見込み客は営業担当者のリソースを削ってしまうだけで、結局売上にはつながりません。どのような商談が営業に受け渡すとまずいのか、定期的に対話を続けていく必要があります。
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マーケティング部門との対話のポイント
マーケティング部門とインサイドセールス部門との関係を考えてみましょう。マーケティング部門はリードを獲得する分母をできるだけ増やし、それをインサイドセールスに受け渡します。ただ、インサイドセールスが架電してみると、「そもそも架電される覚えがない」という反応もありえるのです。マーケティング部門がどのようなルートからリードを獲得しているのか、きちんと検討してくれるような「有効リード数」の推移について認識を合わせていく必要があります。有効リードの割合を高めることは、会社全体で見れば、広告宣伝費の効率を高めることにもつながります。同様の理由で「ユニーク社数」も重要です。例えばリードが10あっても、BtoBの場合、同じ会社の同じ部署の10人ならば生じる商談は1つです。
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