エクセルを使った展示会フォローの管理

エクセルファイルの準備

展示会フォローに必要なエクセルファイルは、展示会を通じて得られた見込み客の情報と、営業担当者側で記入していくステータス情報に大きく分けられます。見込み客ごとにIDを付与し、行に各項目を入力、更新できるようにしましょう。

項目を決める

エクセルに入力する項目例を決めてエクセルの1行目に入力しましょう。データを統合したり、並べ替えたりすることに備えて、展示会の開催年月日や顧客IDといった情報も入力するようにしましょう。さらに、メールツールや郵送物の送付を想定して、氏名を「姓」と「名」に分割したり、住所を都道府県とその他の住所で分割しておくと、後のマーケティング施策の際のデータクレンジングの手間が減ります。

顧客管理用に使いやすく設定する

エクセルは本来表計算をするためのソフトですから、管理表として使うには不便なところがありますす。見込み客の情報を管理、更新していくために便利な設定を紹介します。（お使いのエクセルのバージョンによって操作や画面表示が異なる場合があります）。

1行目の固定

項目名がある1行目（ヘッダー行）をスクロールしても常に表示されるように、行の固定を設定すると便利です。「表示タブ」から設定します。行の固定により、データをスクロールする際にヘッダー情報が常に表示され、見やすさと操作性が向上します。

入力規則

入力規則は、セルに入力できるデータの範囲や形式を制限するための設定です。例えば、都道府県のセルに「東京都」「東京都品川区」「とうきょう」といった情報が混在すると、情報を整理、抽出する際に正しく行えません。設定は「データタブ」から行います。顧客管理でよく使用される入力規則の例としては、以下のものがあります。

保護

見込み客の情報を入力し終わったら、そのセルはよほどのことが無い限り編集することはありません。そのため、営業担当者が入力するセル以外は「保護」しておくとデータの消失を防ぐことができます。設定は2段階です。1段階目で、編集したいセルの範囲を選択肢、右クリックの「セルの書式設定」→「保護」で「ロック」のチェックを外します。2段階目で、「校閲タブ」から「シートの保護」をクリックします。こうすると、ロックのチェックを外したセル以外は編集できなくなります。シートの保護にはパスワードを設定することもできます。

便利な使い方

実際にエクセルを使って展示会フォローしていく際の便利な使い方を紹介します。

フィルター

見込み客数が膨大にあり、かつ、営業担当者も多い場合、何百行のデータから自分が担当する見込み客だけを閲覧することは大変です。その場合、「フィルター」で営業担当者が自身になっているものだけを抽出できるので便利です。全てのセルを選択した状態で、データの「フィルター」を押すとフィルタが適用されます。シートが保護された状態ではフィルターを適用できないため、シートの保護の設定で「オートフィルターの使用」にチェックを入れるか、フィルターの保護を外して使いましょう。

データの並べ替え

フィルターを設定すると、データの並べ替えもできるようになります。例えば、フィルターと組み合わせることで、自身が担当している見込み客を接触日が新しい順に並べ替える、といったことができます。

条件付き書式

情報が膨大な場合、どの見込み客を優先的に対応すべきか見失う可能性があります。その際に役立つのが「条件付き書式」です。例えば、ステータスが「商談日未設定」になった場合はセルの色を黄色にする、などを書式を自動的に変える設定をできます。「ホームタブ」の条件付き書式から設定します。特定の文字列の場合もあれば、数字や日付を条件にすることもできます。

重複チェック

同じ展示会に同じ会社の複数の担当者が来場していた場合や、複数の展示会に同一人物が来場する場合があります。重複を削除しないと、別の担当者がそれぞれ連絡してしまい、先方も自社内も混乱することになりますので、重複をチェックして定期的にデータを整理することが必要です。エクセルでは、条件付き書式を使用して重複データを強調表示することができます。また、重複データを自動的に削除する機能も利用できます。

Microsoft が配布する顧客管理テンプレート

エクセルを開発するMicrosoft はさまざまなテンプレートを配布しており、その中に顧客管理のテンプレートもあります。ゼロから作成するのが面倒な場合は、公式のテンプレートを活用するのもよいでしょう。ただし、条件付き書式などの設定は自身で行う必要があります。

Microsoft が配布する顧客管理テンプレートはこちら

注意点

エクセルは本来、表計算を行うためのソフトですので、表計算以外の用途の場合はさまざまな設定をすることで便利に使えることが分かりました。そのため、エクセルでの展示会フォローの管理のために念頭に置いておくべき注意点をここで確認し、リスクに注意しながらエクセルを活用しましょう。

データの破損

エクセルファイルは、誤った操作やファイルの破損などにより、全データが損失する可能性があります。エクセルファイルの修復機能を活用することで、データの復元を試みることができますが、そうなることを避けるため、注意深く作業を行うことや、定期的にバックアップを取ることが重要です。

データの上書き

エクセルはファイルをコピーできてしまうので、最新版の管理に注意が必要です。どれが最新版が分からなくなるリスクを避けなければなりません。「共有ブック」機能をオンにすると、複数のユーザーが同時に1つのファイルを開いて編集することができますが、共有設定を有効にするとデータの入力規則の追加をはじめ、使えなくなる機能が出てきます。

ファイルサイズ

登録する顧客数や列の情報が増えていくと、ファイルサイズが大きくなる傾向があります。編集したいとおもってファイルを開いても、読み込みに時間がかかったり、上書き保存するのに時間がかかるようになっていきます。展示会フォローの見込み客を1つのファイルで管理するならば、だんだん増えていくため、ファイルのサイズの肥大化は避けられません。

セキュリティ

顧客情報は機密性が高く、適切なセキュリティ対策が必要です。エクセルファイル自体に強力なパスワードを使用し、保存先のフォルダのアクセス権限を設定することも重要です。インターネット上のドライブにアップロードしたり、エクセルが入ったUSBメモリを営業担当者が持ち歩く、といったことはあってはいけません。

共有の限界

エクセルは単一のファイルでの作業に適しており、複数のユーザーが同時に作業する場合には限界があります。セキュリティの観点から気軽にメール添付してはいけませんし、台帳という性質上ファイルの複製も無尽蔵に行うべきではありません。大切なファイルであるからこそ、ファイルを気軽に共有するには限界があることを知っておきましょう。

PCに依存

エクセルはPC向けのソフトウェアであり、スマートフォン上では適切な管理、快適な編集は簡単ではありません。顧客情報をリアルタイムで確認したい、編集したい、といった場合は、PCを持ち歩くことが欠かせません。顧客情報をよく使う営業担当者は外出することもあるため、データがPCに依存する不便さを理解しておく必要があります。