CRM/SFAとは
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。CRMツールとは、顧客情報を一元管理するツールを指します。一方、SFAは「Sales Force Automation」の略で「営業支援自動化」と訳されます。SFAツールとは、営業活動の効率化を担うツールを指します。CRM、SFA、という単語がツールそのものを意味することもあります。
CRM、SFAという名称は米国で生まれ、製品が増えるにつれて定義が分かれてきていますが、顧客情報をマーケティングや営業活動に活用する、というルーツは同じです。
ExcelとCRM/SFAとの違い
ExcelとCRM/SFAとの決定的な違いとは、Excelは表計算ソフトであり、CRM/SFAはデータベースである、という点に尽きます。Excelは、表に入力された数字を計算したり表やグラフに出力するのが基本です。一方、CRM/SFAは、数字、担当者情報、日付、メールなど顧客に関連するさまざまなデータを蓄積し、さらにそのデータを営業部門やマーケティング部門が業務に役立てやすいようにするところまでを担います。
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CRM/SFAの基本機能
CRM/SFAの基本的な機能は、顧客管理、商談管理、売上をはじめとした営業部門のレポートの作成はもちろん、自動メール機能や営業関連の文書の管理機能など、営業・マーケティング領域でカバー範囲が広いです。その根底には、CRM/SFAは蓄積したデータをビジネスに活かす、という考え方があるためです。データの分析・見える化はExcelで可能ですが、ビジネスでの活用を想定した機能がそもそも組み込まれているのがCRM/SFAなのです。
〈動画:CRMの基本的な機能〉

目次
- 0:00 オープニング
- 0:18 顧客管理機能
- 1:34 商談管理機能
- 2:44 ドキュメント管理機能
- 3:18 レポート作成機能
- 3:33 ダッシュボード作成機能
- 3:52 自動送信機能
- 4:14 まとめ
Excelよりも楽にできること
CRM/SFAは、顧客情報の登録の際に、必須項目や値の重複の禁止、といった条件の設定を手軽に行うことができます。複数人が同時に情報を編集する場合も、Excelにあった「共同編集」または「ブックの共有」、といった設定をしなくても共有されるようになっています。
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顧客データの保護や漏洩防止については、Excelではファイルの保存場所に気を付けたり、セルやブックの「保護」の設定が必要でした。一方CRM/SFAは、「権限」という考え方に基づいて、表示できるか、作成できるか、編集できるか、削除できるかを個人や役職別にコントロールできます。
設定画面も直感的で、かつ、細やかな設定が可能です。例えば、営業部門でないユーザーは、顧客データを表示できるが追加や削除、ダウンロードができない、といった調整も簡単です。

データの集計については、Excelの場合、データを指定して表やグラフ化をそれぞれ設定する必要がありました。一方CRM/SFAは、売上、見込み客数、商談数など重要なデータの見える化が標準搭載されています。グラフや集計の定義を変更する際も、関数を駆使する必要はありません。
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マクロ・VBAを使わずにできること
マクロ・VBAはExcelを使った定型業務を自動化するときに大きな力を発揮する機能です。Lesson 5でも、シート内の重複をボタン1つで見つけ出すマクロを紹介しました。一方で、CRM/SFAは上記に示した通り、データ入力の時点で重複を避けられる機能があり、重複確認作業自体を別途行う必要がありません。CRM/SFAを使うことで、自動化すべき業務が無くなったり、簡単に自動化できたりします。自動化する際にも、プログラミングの知識は必要ありません。
マクロ・VBAが得意とする業務の自動化のほとんどはCRM/SFAが基本的な機能として備えていることが多いため、プログラミングという属人化のリスクを避けることも簡単です。
Excelのマクロが得意とする業務の自動化のうちCRM/SFAが標準機能として備えている例 |
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Power Queryを使わずにできること
ExcelのPower Queryは、ExcelファイルやCSVファイルに散らばったデータを集約、整形するのに力を発揮する機能です。Lesson 6では展示会リードと顧客管理Excelのデータを付き合わせて、展示会リードのうち何件が受注につながっているか情報を把握する自動化の例を紹介しました。
この例をCRM/SFAに当てはめると、CRM/SFAはそもそもデータベースであるため、展示会リードなどもデータの形をそろえてCRM/SFAに取り込めるため、別で管理する必要がありません。さらに、販促活動を登録するキャンペーン管理機能があるため、その展示会リードから何件受注できたかはもちろん、会場費も含めた費用対効果をリアルタイムで確認することができます。
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また、外部データを取得する場合、選択肢はExcelのPower Queryよりも幅広いです。その理由は、拡張機能とAPIです。CRM/SFAにさまざまなツールのデータと連携する拡張機能をインストールすれば、グループウエアや会計システム、電話サービス、名刺管理システム、SNSなど多彩な外部ツールの情報をCRM/SFAに取り込むことができます。メールをCRM/SFA上で送受信し、その履歴がCRM/SFAに残る、といったことも基本的な機能です。
API(Application Programming Interface)は、異なるソフトウェア同士やプログラム、Webサービスをつなぐインターフェースのことです。Zoho CRM は、APIによって他ツールと連携を構築することができます。

CRM/SFAは情報をビジネスに活かすことが前提
かつての顧客管理システムは、主に大企業が開発に莫大なコストをかけて自社サーバーで自社仕様に作ることがほとんどでした。そのため、小規模企業のちょっとした顧客名簿の管理は、PCに標準装備されているExcelでも十分でした。
しかし、インターネット経由で利用するクラウド型ツールが安価になり、セキュリティ基準も満たし、時代に合わせた機能が次々に追加されるようになってきました。その進化は加速しています。企業側からすると、自社で時代に合わせて開発し直したり、最新のサイバー対策をしたりするよりも、クラウド型のCRM/SFAを使う方が費用対効果が高くなってきたのです。
CRM/SFAの進化によって、システムの開発費が十分で無い中小企業も、大企業が使っているものと遜色ないツールが使えるようになりました。手軽なExcelをまずはうまく活用しながらも、目的や企業の成長に応じた顧客情報の活用・保護を意識しましょう。
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