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カスタマーサクセスで売上を伸ばす6つのポイント

Lesson 3では、カスタマーサクセス(CS)チームの立ち上げと体制整備について触れ、CSチームの実践的な運営方法を学びました。このレッスンでは、チームのKPI(重要業績評価指標)となるクロスセル・アップセルによる「売上」をどのように伸ばすか、売上向上のための6つのポイントとその方法について、具体的に説明します。

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カスタマーサクセスで売上を伸ばす6つのポイント

1. 顧客データで売上に直結する顧客を見極める

売上を伸ばすためには、優先してアプローチすべき顧客の特定をまずは行います。限られたリソースで最大の成果を得るには、すべての顧客に同じ対応を取るのではなく、売上への影響を大きく与える優先度の高い顧客へ率先して、戦略的なアプローチを取ることが必要です。

アプローチすべき顧客を特定するには顧客データを活用し、分析した上でどの顧客を強化すべきか定義し、優先順位を付けます。実際にどのような顧客データを収集し分析すべきか、また優先順位を付ける方法を説明します。

顧客データを収集し優先順位を判断する

まず、顧客データの収集にはCRM(顧客関係管理)/SFA(営業支援)ツールを使用します。もちろん、独自のシステムなどでも顧客データを収集することはできます。ただ、顧客に関する複合的なデータを一元的に収集し、その優先順位付けまでカバーするには、はじめからその機能を持っているCRM/SFAツールを活用する方が手間がかかりません。顧客の購買履歴やウェブサイトの閲覧履歴、メール開封率、クリック率などの顧客の期待値や成長の可能性を判断できるあらゆるデータを測定します。収集すべきデータは、例えば以下の4つが挙げられます。

1. 購買履歴

顧客のこれまでの購買履歴を測定します。顧客の購買内容、時期、頻度、金額などのデータを蓄積し、確認します。これまでの取引の規模を分析し、規模の大きい順で優先順位を決めることもできます。

また購入時期を確認し、購入パターンも分析してみましょう。例えば、頻繁にかつ定期的に購入している顧客の購入時期を分析するとします。分析の結果、顧客の期末(決算期末)のタイミングに頻繁に購入されていることが分かれば、顧客が業績を確定させるために、予算の消化や新規契約の締結、アップセル・クロスセルなどの戦略的な決定を下すタイミングであるという想定ができます。ここから、CSチームは期末のタイミングに合わせたアプローチを計画する、という施策の計画も立てられるでしょう。

2. ウェブサイト閲覧履歴

顧客がどのウェブサイトのページを訪れたのか、どのコンテンツに関心を示しているのかを把握できる閲覧履歴データを収集し、これらの情報から顧客のニーズや興味を分析します。

例えば、ある顧客が高価格なソフトウェアライセンスの詳細ページを複数回訪問している場合、この商品への関心が高いことが想定できます。この顧客の購入の可能性を高めることができれば成果に繋がりますので、CSが優先的にアプローチすべき顧客と判断できるでしょう。

3. メールコンテンツのクリック率

メール内の各種コンテンツのクリック率を分析することで、顧客がどのような情報に興味があるのか、エンゲージメント度を測ることができます。

例えば、顧客がメール内でクロスセル商品である新しいオプション機能に関するリンクを何度もクリックしている場合、その機能に強い興味を持っている可能性があります。この場合、次のCS側のステップとしてその機能の詳細デモを提案したり、無料トライアルを提供するという行動を積極的に行えれば、さらに関心を引き出し、導入につなげられる可能性を高められるかもしれません。

4. 顧客とのコミュニケーション履歴

顧客とのコミュニケーション履歴の分析も大事です。CSチームは通常、電話やメール、チャットなどで顧客対応しますが、頻繁にやり取りを行う顧客は、製品やサービスに強い関心を持っている可能性が高く、CSチームが適切な対応を行うことで、信頼関係をさらに強化し、クロスセルやアップセルの機会を生み出せる可能性が高いと考えられます。

オフラインで行われる電話は追跡が不可ですが、オンライン上で行われる、メールやチャットでの顧客との接触履歴はデータ追跡が可能です。

例えば、サービスの使用方法や機能に問題を抱えてCSチームへ問い合わせしてくる顧客がいるとします。CSは顧客に対して、サポートを強化することで問題を早期に解決できれば顧客満足度を向上させると同時に、対話を通じて顧客との関係を強化できれば新しい機能や追加サービスのアップセル提案を行う機会を得やすいかもしれません。

優先順位を付けるための基準を定義する

次に、売上につながりやすい顧客という考えから、優先順位付けを行います。

優先度「高」:高額・頻繁な購買顧客

最も高いのは「高額な商品を購入する顧客」「頻繁に購買行動を行う顧客」です。

過去に高い金額を定期的に購入している顧客は、自社製品やサービスの信頼性が高く、サービスが顧客組織に浸透しているなどで依存度が高い、また今後の購買行動の期待度も高いため最優先したい顧客と位置付けできます。

活用データは「購買履歴」の中でも、「総購入金額」と「購買規模の増加」を確認します。顧客が過去にどれだけの金額を支払ったか、また過去数回の取引で購入金額が増加しているか、を分析します。高額な取引を行っている顧客は、売上に大きなビジネスインパクトを持つ可能性が高いですし、過去数回の取引で購入金額が増加している顧客の場合、さらに大きな契約を結ぶ可能性が高いと判断できます。

優先度「中」:興味・関心が高い顧客

優先度が「中」となる顧客は、現在の購買行動が高額・頻繁ではないものの、自社製品やサービスに対して強い関心を示している顧客です。

前述したウェブサイト閲覧履歴やメールのクリック率に基づいて、今後の購買意欲が高いと判断される顧客が該当します。このような顧客の場合、まだ購買行動には至っていないものの、情報収集や検討段階にいることが多く、適切なフォローや提案を行うことで購買に至る可能性があるため優先度としては中程度を位置します。

優先度「中」の顧客をさらに優劣付けるならば、価格の高い<低い特定商品ページとそのページへの訪問回数でも判断できます。価格が高いページに訪問回数が多い、顧客をさらに優先度高くアプローチすることで売上貢献につながりやすくなります。

優先度「低」:サポートニーズが高い顧客

優先度が「低」である顧客は、現在の購買行動や関心度が高くないものの、サポートや問い合わせが多い顧客です。前述した顧客データの「コミュニケーション履歴」の多い顧客に該当します。

この顧客は、主に製品やサービスに対して何らかの問題を抱えている状況にあり、使い方に困っている可能性が高いです。今すぐに大きなビジネスインパクトを持つわけではないという意味合いで優先度は低いですが、だからと言って対応をスルーするわけではありません。CSチームが適切なサポートを行うことで、将来的には購買行動が促進される可能性はありますから、問題解決を最優先に対応を行うことが大事です。

2. パーソナライズされた顧客体験を提供する

個々の顧客に対し最適化した対応を行い、パーソナライズされた顧客体験を提供することは、売上を伸ばす上での重要なポイントです。顧客が自身のニーズに合った提案やサポートを受けることで、関心が高まり、クロスセルやアップセルのチャンスが広がり、収益向上につながります。パーソナライズの第一歩は、顧客データに基づいてセグメント化し、顧客を明確にターゲット化することです。前章で区分けした「優先度高・中・低」に基づいて顧客を分類し、それぞれに応じたアプローチを設計します。

優先度高・中・低の各セグメントに対する、パーソナルなアップセル・クロスセルのアプローチ方法をソフトウェア企業の場合を例に挙げます。

セグメント①優先度「高」:高額・頻繁な購買顧客

ソフトウェアの標準プランを使用している顧客を更にセグメント化し、より多くの機能を含むプレミアムプランをCRMツールの一斉メール配信機能で提案。

具体的に、「プレミアムプランを活用することで、さらに業務効率が向上し、コスト削減が可能」といった訴求を行う。

セグメント②優先度「中」:興味・関心が高い顧客

ウェブサイトの閲覧履歴やメールのクリックデータを基に、興味のある製品や機能を特定。高機能ソフトのデータ分析機能に関心を示している顧客に対し、「この機能で貴社のデータ処理がさらにスムーズに」といった具体的な提案を個別に行う。

セグメント③優先度「低」:サポートニーズが高い顧客

特定の機能が使いこなせていない顧客を割り出し、個別トレーニングやフォローアップウェビナーの提案をメール配信を介して行い、問題解決に努める。「こちらのサポートが必要でしょうか?お困りの点を解消しましょう」といったメール内容で顧客に対しピンポイントなサポート提案を行う。

各セグメントに対し、顧客それぞれの状況に応じた最適な対応を行い、顧客のニーズに応じた体験を提供することで、関係構築が深まり、購買行動の機会が増加され売上の向上を目指すことができます。

3. 定期的なフィードバックを収集する

顧客が抱える問題や期待を定期的に確認し、素早く対応することで、解約リスクを減少させることができます。そのためにも、顧客から定期的なフィードバックを収集し、ニーズや不満をいち早く把握、また改善策を講じるようにしましょう。フィードバックの収集は、CRMツールを活用することで、データを効率的に収集し、改善に役立てることができます。

例えば、ソフトウェア企業の場合、ツール利用のためのトレーニングを実施した直後にアンケートを配信します。トレーニング終了後に自動的配信されるようにシナリオを組むことで、且つタイムリーに顧客の意見を集めることが可能です。また、CRMは顧客とのやり取りやサポート履歴を記録できるため、フィードバックを一元管理し、顧客ごとのニーズや問題点を把握しやすくなります。フィードバックを内容ごとにタグ付けを行い、セグメント化することで特定の問題や要望に対する傾向の抽出もできます。

このようにCRMツールを利用し、収集したフィードバックをリアルタイムで可視化させ、改善点を明確にした上で迅速に対応策を講じることができれば、顧客満足度の向上、売上の向上のための提案にもつながりやすくなります。

4. アップセル・クロスセルのタイミングを定義する

顧客の購買意欲が高まる瞬間を逃さず、最も効果的にアップセルやクロスセルを行うためにも、顧客にとっての適切なタイミングの見極めが重要です。タイミングを定め、チームへ共有することにより、CSチームメンバーの提案の質が統一され、一貫性と効率が向上することも期待できます。

最適なタイミングとは、顧客が最も価値を感じる瞬間のことを指します。最適なタイミングを定義するのに、顧客の特定行動や契約データを活用し、定めましょう。

また、タイミングを定義した後の管理方法はできる限り自動化しましょう。顧客の動向が頻繁に変化する中で、手動で管理するのは大変非効率です。人的な確認は、機会を逃す可能性もありますので、CRM/SFAツールに搭載されたトリガー設定の機能でタイムリーなアクションを行うことも重要になります。ここでは、最適なタイミングを図るために活用したいデータ2つとトリガー設定例をご紹介します。

契約更新時期

過去にアップセル・クロスセルに至った契約中の顧客のデータを確認し、総合的に見て、どのタイミングでアップセル・クロスセルに至ったか、契約更新時期より何カ月前にアップセル・クロスセル提案を行うと通りやすかったか、といった過去のデータから算出し最適なタイミングを定めます。一般的には契約更新の2~4カ月前は、クロスセルやアップセルの絶好のタイミングです。顧客がサービスを十分に活用し、サービスの価値を理解している可能性が高いです。より高いレベルのサービスや追加機能に対する関心が高まる時期だからこそ、アップセルやクロスセルを行うことで、顧客に「次の段階の価値」を感じさせることができ、契約更新時に上位プランや追加サービスに移行させやすくなります。

トリガーは、契約終了前の数カ月前に自動的にアラート(お知らせメール)がCSチーム宛に配信されるよう設定し、優先順位の高い顧客に対してはメンバーが個別対応を行うのを忘れないようにするといった工夫を施します。優先順位中〜低顧客に対しては、例えばメールが自動配信され、「プレミアムプランへのアップグレードで、さらに多くの機能が使えます」といった形で、契約更新を見据えた提案を送信するなども良いでしょう。

顧客とのコミュニケーション履歴

顧客からの問い合わせが増えるタイミングも、アップセルやクロスセルを行う最適な時期と考えられます。問い合わせの増加は、サービスや製品の利用頻度が高まっていることを示唆しており、この時期に、より充実したサポートプランや追加トレーニングといったオプションサービスを提案することで、顧客のニーズに合った提案が受け入れられやすくなる可能性があります。

トリガーの設定は、顧客との問い合わせ量を測定し、一定回数を超えた場合にトリガーが発動し「専任サポートチームや追加トレーニングをご利用いただけます」といったメールが自動配信される工夫を行えると良いでしょう。

5. 解約防止施策を実施する

顧客の解約は、売上減少や長期的な顧客関係の喪失につながりますので早めにその前兆に気づき、対策を講じることが重要です。顧客が解約を決断する前には必ず兆候が顧客行動に現れるものですので、顧客の行動データを定期的にモニタリングし、その前兆を示すデータを分析し、防止できるようにしましょう。モニタリングすべきデータは以下の2つです。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)

NPSは、顧客がどれだけ自社の製品やサービスを他人に推奨するかをアンケート等を実施し測定する指標です。スコアの低下=顧客の不満度が高い、スコアが高い=満足度が高い推奨者とされます。スコアが低い場合には期待を下回っている可能性がありますので、すぐに原因を特定し、問題解決に向けた対応が必要です。

利用頻度の減少

サービスや製品の利用頻度の低下は、顧客がサービスに対する関心を失いつつある兆候です。定期的に利用状況をモニタリングし、急激な利用頻度の減少が確認された場合は対応策を取る必要があります。例えば、利用が減少している顧客には、顧客が再び価値を感じさせるよう、活用方法の再提案や、製品の新機能の紹介などを行うと効果的です。

6. 成功事例を共有する

CSチーム内で積極的に成功事例を共有し合い、他社や社内の事例から学びを得ましょう。同様の施策を自社やチームに適用することで、現状改善にさらにに効率的に成果を挙げられるようになるかもしれません。

自社が直面している課題を明確にし、その課題に沿った事例を選択してみましょう。成功事例は必ず、データに基づいて評価されるべきです。アップセルやクロスセルの売上向上などの成果であれば、成果が具体的に数字で示されている事例を選び、その手法が自社に展開できるかを検討しましょう。実際に数値的な効果を発揮した戦略を導入することで、再現性が高い施策を自社に適用することができます。

他社で成功した事例だからといって、自社でも同じ成果を得られるとは限りませんのでその点は注意が必要です。市場環境や顧客ニーズ、自社の組織構造などの違いを理解し、事例を鵜呑みにせず、適切にカスタマイズするとより良いでしょう。

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