BtoBコンテンツマーケティングにCRMが必要な2つの理由
法人向けであるBtoBのコンテンツマーケティングは、BtoC向けと異なり、複雑かつ長期的なBtoBの購買プロセスに対応する必要があります。このため、やみくもにコンテンツマーケティングを行うのではなく、顧客情報をうまく使って展開することが成功の鍵となります。顧客情報を使う、という点で役立つのがCRM(顧客関係管理)ツールです。なぜCRMが必要なのか、理由は2つあります。
理由1: 複雑なBtoB購買プロセスへの対応が可能
BtoBコンテンツマーケティングの場合は、企業の担当者がコンテンツを見て、商品・サービスに興味を持ってから受注・契約までのプロセスがかなり複雑です。一般的には、担当者→担当者の上司→意思決定者(経営層)といった具合に、商品・サービスの必要性やメリットを説得していく必要があります。
現場と意思決定者が異なる購買プロセスでは、各フェーズごとに必要なアプローチ手法や訴求するコンテンツが異なります。
CRMの営業プロセスを管理する機能を使い、商談の進捗状況を細かく管理しつつ、アプローチ先に合わせたコンテンツや資料を提供しましょう。CRMを使えば商談の進捗を誰もが閲覧できるため、担当者が最適なアプローチができていない時には、管理職や他のメンバーがフォローできる体制が整います。
理由2: 顧客との長期的な関係構築が可能
BtoBビジネスの多くは、顧客が商品・サービスを購入するまでの検討期間が長いため、検討期間中も関係性が切れないように継続的なアプローチをし続ける必要があります。
検討期間が長いということは、検討期間中に競合企業からのアプローチを受ける可能性も高まるため、最後の最後で経営層が競合企業を選んで失注するということも考えられます。
CRMを使えば、どのコンテンツ経由で見込み客を獲得したかや、営業担当者とどのようなメールのやりとりをしたかなど、あらゆる履歴を記録し続けることができます。初めは確度の低いチャネルから流入したとしても、CRMを使ってナーチャリングコンテンツを自動的・定期的に送信することで、営業担当者の手間をかけずに育成することもできます。
CRMの活用ステップ
ここからは、BtoBコンテンツマーケティングにCRMを活用するための具体的な方法を7つのステップで学びます。
ステップ 1:リード情報の登録 - リード情報をCRMに集約
BtoBコンテンツマーケティングでは、CTAとしてウェビナーやホワイトペーパー、問い合わせなど多様なチャネルを用意してリード情報を集めます。
CRMのフォーム機能を使えば、フォームに入力された社名やメールアドレスなどの情報をそのままCRMに格納することができます。リードの獲得経路の情報もCRMに登録でき、いつでも確認できます。
ステップ 2:リード情報の管理 - チームメンバーにリード情報を共有
コンテンツマーケティングなどを通じてCRMの記録される情報は、CRMのアクセス権限を与えられた全メンバーに共有されます。
誰がどの見込み客を担当しているか、どれくらいの商談を進めているか、売上見込みはいくらで、いつ商談がクローズする予定なのかも分かります。データを表やグラフで見える化する機能があるので、商談進捗や売上について会社の全体像を把握することもできます。
また、メールや電話といった営業活動を記録できる機能もあるため、各営業担当者がリードにいつどういうアクションを起こしているかを確認できます。これにより、管理職は、メンバーの商談状況を逐一把握しながら、指示を出せます。
ステップ 3:タスク管理を効率化 - 検討期間が長い商談でも売上を最大化
BtoBビジネスの中には、リードとの商談が発生してから受注までの検討期間が1年以上かかる場合もあります。商談が長期化する場合には、担当者の熱が冷めないように、定期的なコンテンツ配信やアプローチが必要です。
CRMの商談管理機能を使うことで、競合他社の情報をチームメンバーに共有可能です。さらに、商談にタスクを追加することで、事前に決めたタイミングでCRM上に通知を出し、次に取るべきアクションを忘れずに実施できるようになります。
ステップ 4:スコアリングとセグメント化 - 成果につながるコンテンツ配信のための準備
大量に見込み客を獲得するビジネスモデルの場合は、全てのリードに営業担当者がアクションを起こすことは困難です。
このような場合、記録したリード情報を基にCRMを使ってスコアリングとセグメント化を行うことで、対応すべきリードの優先順位を付けられます。
スコアリング
業種や業務内容によりリードのスコアリング方法は異なります。リードの業種や起こしたアクションでスコアリングすることで、売上向上につなげられる可能性が高まります。
リードに付与するスコアは、以下の図のように「顧客の属性」と「顧客の行動」に分けて考えることが一般的です。
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■顧客の属性
例えば、リードの社員数が100名以上の場合は+10、担当者が決済権限を持つ課長以上であれば+5など、受注・契約した場合の売上が高いと期待できる場合や、受注・契約確度が高いと期待できる場合に加点をしていきます。
ただし、加点するだけでなく、リードがすでに自社の競合に当たるツールを導入している場合は-10というように、受注・契約確度が低い場合には減点します。
■顧客の行動
例えば、資料請求数や問い合わせフォームの送信数など、リードがカスタマージャーニーを進めた際にも加点します。
このようなリードの行動から自社製品・サービスへの関心度合いを把握することで、リードのステージにあった最適なコンテンツ配信が可能となります。
セグメント化
CRMのセグメント機能を使えば、リードの属性(地域、業界など)や商談の進捗(商材や売上高など)により、リードを分類できます。
■セグメント化の基準となるRFM指標
リードをセグメント化する際に、最もよく使われる指標が「RFM指標」です。RFM指標では、以下の3点を基準にセグメント化します。
- 顧客の最新購入日(Recency)
- 購入頻度(Frequency)
- 購入金額(Monetary)
RFM指標のスコアリングとセグメント化の例は以下の通りです。
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■セグメントラベルの例
RFM指標の振り分けが完了したら、RFM指標のスコアごとにセグメントのラベル分けを行います。
ラベルの例は以下の通りです。
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リードの重要度合いや優先順位をセグメントで見える化することで、以下のような営業戦略やコンテンツマーケティング施策を効果的に打てます。
- 最重要のリード:フィールドセールス部隊が直接訪問する
- 最新のリード:事例や比較コンテンツを送り、ナーチャリングを行う
- 休眠間近のリード:インサイドセールス部隊が状況を確認する
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ステップ 5:ナーチャリングの実施 - 自動でリードを育成し顧客へと転換
スコアリングとセグメント化により、効果的なコンテンツ配信を行う環境が整ったら、ナーチャリングを実施しましょう。
CRMには自動化機能があり、リードが起こしたアクションを基点としたルールを設定をすることで、ルールによる条件分岐が可能となり、自動でさまざまなアプローチが可能となります。
■自動化の例
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例えば、スコアによる条件分岐の基準を「スコア50」に設定したと仮定すると、スコア50以上のリードは受注確度が高いと判断し、購入を後押しするケーススタディーや比較コンテンツを自動配信します。その後、問い合わせを待ったり営業担当者から個別にアプローチをかけたりします。
一方でスコアが50未満のリードは受注確度が低いと判断し、メルマガ配信やSNSでブログ記事やニュース記事に誘導したり、ホワイトペーパーのダウンロードやセミナーへの参加を案内して、スコアが増えるまで自動でコンテンツを送りましょう。
ステップ 6:商談機会の創出 - 育成したリードを商談化
顧客育成が進んだら、いよいよマーケティング部門から営業部門へリードを引き継ぎ、商談へつなげていきます。
さらに、CRMの通知機能を使うことで、メールや電話というアプローチをより効率的に実施できるようになります。
例えば、CRMのメール機能を使って送ったメールに反応があったリードにのみ電話をかけるという場合、CRMの通知機能を使うことで、リードがメールを開封/クリックした時点で、通知を受け取る設定が可能です。
CRMの通知機能の中でも、メールの開封やクリックを確認できる機能や、Webセミナーへの登録の有無を確認できる通知機能をオンにしておくと良いでしょう。
ステップ 7:効果測定と分析 - データに基づいた改善でさらなる成果
リードが商談に至った際には、コンテンツマーケティングの全体像のうち、どのコンテンツが効果的だったかをデータを基に分析することで、次回以降のコンテンツマーケティングに活かせます。
具体的には、コンテンツごとの流入経路を事前に計測しておき、その後、流入経路ごとに商談の進捗状況を分析します。
■コンテンツごと効果計測の分析方法
ステップ1で触れたように、各コンテンツのコンバージョンポイントとして設定するホワイトペーパーのダウンロードフォームのオプション機能を使い「リード情報のデータ元」を取得する設定をしておきます。
流入経路や商談の進捗状況、受注件数などを分析することで、コンテンツごとの効果測定が可能となります。
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