アカウント営業とは
アカウント営業とは、アプローチする顧客を絞り、特定の顧客と長期的な信頼関係を築きながら、継続的に課題解決を提供していく営業手法です。単発の取引にとどまらず、顧客の課題を深く理解し、適切なソリューションを提案することで、顧客のビジネスの成長や売上向上に貢献し、長期的なリレーションシップを築くことを目指します。ここでの「アカウント」とは「企業」を指し、顧客の戦略的パートナーとしての立場で営業活動を行うのがアカウント営業の特徴です。
ソリューション営業との違い
ソリューション営業は、顧客が抱える課題に対し、特定の製品やサービスを提案する営業手法です。関係性は短期的なことも多く、即座に成果を求められるケースが多く、複数の商材の中から最適な提案をすることが一般的です。一方、アカウント営業は、顧客ごとにカスタマイズされた提案を行い、時間をかけて信頼関係を構築しながら、長期的なビジネス機会を創出することを重視します。ソリューション営業が「課題解決」に焦点を当てるのに対し、アカウント営業は「関係性構築」と「双方にとっての価値創出」を重視する点が大きな違いです。
ルート営業との違い
ルート営業は、すでに取引がある顧客に対し、定期的な訪問や提案を行い、信頼関係を強化する営業手法です。ルーチンワークが多く、既存製品の提案や在庫確認、アフターフォローが中心になるため、比較的シンプルな取引が多い傾向があります。これに対し、アカウント営業は、新規の見込み顧客に対するアプローチも含み、顧客のビジネス全体を理解し、課題に応じて包括的な解決策を提案します。また、顧客の状況に応じた柔軟な対応や新しいニーズへの対応が不可欠であり、顧客ごとに戦略を立てる対応が求められます。
アカウント営業の重要性
アカウント営業は、自社のみならず顧客の成長にも貢献する営業手法です。長期的な視点で安定した利益に結びつきやすく、その重要性はますます増しています。
自社にとって、アカウント営業は収益の安定化に寄与します。単発な取引に頼るのではなく、長期的なパートナーシップを築くことで、継続的な売上の確保が可能です。このプロセスにより、顧客の信頼が深まり、他社への乗り換えや解約リスクを減らすことができます。こうして顧客ロイヤリティが向上し、長期にわたる関係を通じてクロスセル・アップセルの機会が増え、売上拡大にもつながります。また、安定した関係性を維持することで、新規顧客獲得にかかるコストを抑えられるというメリットも得られます。
顧客にとっては、自社のニーズに合わせた個別の対応や提案を受けられる利点があります。ソリューションありきの提案ではなく、自社を知り尽くした営業担当者から提案を受けられるため、売上拡大につながりやすく、商談もスムーズに進み安くなります。
営業担当者にとっても、受注率向上というメリットがあります。顧客のビジネスや課題を深く理解することで、自信を持って価値提案を行えるようになり、提案の説得力が増します。顧客にとって魅力的な提案ができることで、交渉力が高まり、商談の進行がスムーズになります。また、コミュニケーションスキル以外にもアカウント営業には幅広い技術が求められるため、営業スキルも向上します。
アカウント営業を行うメリット
アカウント営業は、顧客との長期的な関係を築き、顧客のビジネスを深く理解した上で提案を行うため、自社と顧客双方に価値をもたらします。ここでは、アカウント営業を通じて得られるメリットについて解説します。
受注率の向上
アカウント営業の最大の特徴の一つは、顧客のビジネスモデルや課題に深く寄り添ったソリューション提供が可能な点です。単に製品やサービスを売り込むのではなく、顧客の抱える課題や目標に合わせてカスタマイズした提案を行うため、顧客からの評価も高まりやすく、他社と差別化を図れます。また、顧客が求めている具体的な価値を伝えることで、価格競争に巻き込まれることなく、付加価値を理解してもらい、受注率の向上につながります。
クロスセル・アップセルの機会増加
アカウント営業によって、顧客との信頼関係が深まると、顧客が抱えるビジネス上の新たなニーズや課題をより把握できるようになります。顧客のビジネスが成長するタイミングや変化にこうじたクロスセル(関連製品を提案)やアップセル(上位サービスを提案)を行いやすくなります。長期的な視点で、LTV(顧客生涯価値)向上につながります。LTVとは「Life Time Value」の頭文字を取った略称で、取引開始から終了までに顧客がどれくらいの利益をもたらすかを表す指標です。継続的な取引により、大きな利益につながる可能性があります。
深い顧客理解に基づくアプローチの実現
アカウント営業では、さまざまな情報源からデータを入手し、リサーチを繰り返します。他の営業手法に比べて商談回数も多くなり、顧客のビジネスモデルや課題、ニーズへの理解度が深まります。その結果、顧客すら気づいていない潜在的な課題に対する解決策を提示できるようになります。いわゆる御用聞きのような営業や製品・ソリューション提案中心の営業だと、表面的な課題解決しかできないケースが多く見受けられますが、アカウント営業では提案の精度が上がり受注につながりやすくなります。
営業ノウハウの横展開が可能
アカウント営業を進める中で行ったリサーチや提案内容は、社内に蓄積され、大きな財産になります。蓄積された営業ノウハウを他の顧客にも活用できる点は大きなメリットです。同じ業界や類似した業態の顧客に対し、過去の成功事例や提案内容をもとに新たな提案を行うことができます。また、ノウハウを社内で共有し、体系化することで、全社的な営業レベルの底上げが図れ、営業効率の向上にもつながります。
アカウント営業を行う際の注意点
アカウント営業は企業にとっても顧客にとってもメリットが多いものですが、進める際に注意すべき点もあります。
属人化しやすい
アカウント営業は、特定の営業担当者が専任で顧客対応を行うケースが多いため、属人化のリスクがあります。営業担当者が離職したり、他の部署に異動したりする場合、顧客との関係性が切れてしまうかもしれません。
また、顧客が特定の営業担当者に信頼を寄せている場合、上手に引き継ぎを行っても、いちから関係性を構築しなければならないケースも考えられます。
属人化を防ぐためには、組織全体で顧客情報を共有する仕組みを整えることが重要です。顧客との面談に上長も参加させるなど、複数のリレーションシップを構築しておく方法もあります。
受注まで時間がかかる
アカウント営業は、顧客とのリレーションシップを構築するまでに時間がかかるため、短期間での成果を求めにくい営業手法です。営業部門に短期的な売上を求めるような企業には不向きといえます。
特に、新規顧客の場合、まずは信頼関係を築き、顧客のニーズや課題を十分に理解したうえで提案を行うため、受注までの期間が長くなることがあります。組織やチームに対し、アカウント営業への理解を促すことが必要です。
他社流出の影響が大きい
アカウント営業は、従来の営業手法より「質」が求められるため、必然的に取引先の数も少なくなり、売上全体に対する顧客1社の比率が高くなります。他社に取引が移った際の影響が大きくなる点がデメリットです。
競合優位性を保ち続けるためには、顧客のニーズや市場の変化、トレンドに敏感であることが必要です。関係性に慢心せず、常に情報収集を行い、競争力のある提案を続ける必要があります。
アカウント営業の実施手順
アカウント営業を成功させるためには、手順を踏んで計画的に実行することが重要です。従来の営業手法と異なる点も多いため、きちんと理解して進めましょう。
顧客アカウントの優先順位を設定
まず、顧客となりうる企業をピックアップし、優先順位を設定します。アカウント営業では継続的な販売機会の最大化を目指すため、期待できるLTVが高い企業の優先度を上げましょう。
例えば、新規顧客の中でも売上成長率が高く、自社製品やサービスと親和性が高いと見込める企業を優先すると良いでしょう。一方、既存顧客であっても取引が減少している場合や組織変更などでやりとりを続けることが難しい企業は優先順位を下げる判断をする方がよいでしょう。ターゲット企業を絞り込むことで、1人あたりの営業が担当する顧客数が減り、より深い商談ができます。
顧客のビジネス環境の理解と分析
顧客のビジネス環境を理解するためには、徹底したリサーチが不可欠です。IR情報、四季報、などをもとに、顧客の財務状況や経営戦略、ビジョン、業界トレンド、競合状況を入手し、分析を進めましょう。顧客に関するあらゆる情報を把握することで、より具体的かつ的確な提案ができます。また、顧客の財務状況や事業拡大計画を分析することで、将来的なニーズを予測し、先回りした提案を行うことも可能です。
顧客組織と意思決定プロセスの把握
アカウント営業では、顧客の組織構造と意思決定プロセスを深く理解することが重要です。単に顧客の代表者や窓口担当者と関係を築くだけではなく、各部門のキーパーソン(意思決定に影響を与える人物)を特定し、それぞれの役割や関心を把握する必要があります。
サービス導入の最終決定は経営陣によって行われるものの、その前段階で技術部門や生産管理部門が詳細な評価を行うといった場合、技術部門向けにはコスト効果を強調し、生産管理部門には効率向上の具体例を示すなど、部門ごとのニーズに合った提案を行う必要性があります。各部門の期待に応えることで組織全体の合意形成がスムーズになり、商談が前進しやすくなります。
関係構築と信頼の醸成
アカウント営業において、顧客との長期的な信頼関係の構築は不可欠です。信頼は一朝一夕で築けるものではなく、顧客のニーズに対する深い理解と、一貫した高品質なサービス提供によって時間をかけて育まれるものです。
顧客との定期的なコミュニケーションを行い、顧客のビジネス成長に寄与する情報提供を行うことが効果的です。信頼関係が深まるほど、提案が受け入れられやすくなり、クロスセルやアップセルの機会も増加します。
戦略立案と提案
顧客についてのリサーチ結果とヒアリングした情報から、顧客の課題を仮説立てし、提案のシナリオを立案します。顧客課題への理解が深まるほど、提案内容は具体的になり、顧客の興味を引けます。競合との差別化も図りやすいでしょう。
アカウント営業では、顧客の立場に立った具体的な提案が信頼を築く要素となります。自社製品・サービスを売り込むことばかり考えてしまうと、せっかく築いた信頼関係が崩れてしまいかねません。顧客のことを第一に考え、型化されたものではなく、オーダーメイドした具体的な提案をすることが望ましいといえます。
また、提案の際には、単なる機能やサービスの説明にとどまらず、顧客が抱える問題を自社がどのように解決するのかを具体的に示すことが求められます。
結果の分析と改善活動
提案が終わったら、必ず結果を振り返ります。提案が受け入れられなかった場合、「解決策がずれていたのか」「競合他社に負けたのか」「キーパーソンを納得させられなかったのか」など、可能な限り具体的に分析し、次回に活かします。
提案が受け入れられ、取引が開始してからも、取引によって顧客にどのような成果をもたらしたか継続的にレビューを行いましょう。定期的に顧客とコミュニケーションを取り、フィードバックをもらうことも重要です。期待通りの効果を発揮しているかを確認し、必要に応じて新たな提案を行います。
例えば、導入したソフトウェアによって提案以上に業務を効率化できた場合、さらなる機能拡張や別部門への提案が可能です。反対に、思ったほどの効果が出ていない場合は、原因を分析し、改善策を提示することで信頼を維持しつつ次の取引につなげられます。
アカウント営業に必要なスキル
質の高い提案を行うアカウント営業では、さまざまなスキルが求められます。ここでは、アカウント営業に欠かせない重要なスキルを解説します。
情報収集力
情報収集力とは、あらゆる情報の中から、信頼性が高く有益な情報を見極めて抽出するスキルです。アカウント営業では、特に顧客のビジネスや市場動向、業界トレンドに関する情報を迅速かつ的確に収集する能力が求められます。公開されている財務情報や業界レポートを活用し、顧客の現在の経営状況や課題を予測するといった場面は少なくありません。また、顧客とのコミュニケーションを通じて、非公式な情報を得ることも必要です。商談中に重要な情報を見極め、商談後に記録に残すことで後々役立ちます。競合優位性の確保にも寄与するでしょう。
データ分析
収集した情報から価値ある洞察を導くデータ分析力も必要です。分析の目的を明確にし、どの情報を集めるか、どの情報を組み合わせるかを検討したうえで分析結果を出す力ともいえるでしょう。データ分析力があれば、顧客の購買履歴データと市場動向データを組み合わせて分析し、顧客のニーズを予測するといったことができます。データに基づいた提案は顧客の信頼を得やすく、競合との差別化にもつながります。
コミュニケーション力
アカウント営業では、顧客との良好な関係性を構築するためのコミュニケーションスキルが必要不可欠です。単に製品やサービスを売り込むのではなく、顧客の課題を的確に把握するヒアリング能力や、解決策を提示するプレゼンテーションスキルも求められます。また、異なる部門や役職の担当者と話す際には、それぞれの立場や関心を理解した上でのコミュニケーションが重要です。
仮説構築力
顧客の課題を見極める仮説構築力も重要です。仮説とは「証明されていないが、最も正確だろうと思われる答え」を指します。間違っていても構わないので、仮説立てすることでアプローチの筋道を立てられ、検証をスピーディーに進められます。
アカウント営業では、顕在化していない課題を掘り下げることが成果に繋がる場合が少なくありません。リサーチを徹底し、さまざまな情報を集め、分析して仮説を構築する力が求められます。
提案力
最終的に顧客に提案を受け入れてもらうためには、提案力が必要です。提案力とは、単に製品やサービスの説明を行うだけでなく、顧客に対して具体的な価値を感じてもらうためのプレゼンテーション技術です。自社の強みや特徴をわかりやすく伝える力とも言い換えられます。
話し上手な人が、提案力が高いというわけではありません。自社・顧客双方の視点で提案内容を検討する力、成功事例や数値などのエビデンスで説得力をもたせる力、相手に伝わりやすい言葉を選ぶ力など、複合的なスキルといえます。
アカウント営業の効果を高めるためのポイント
アカウント営業の効果を最大限に引き出すための重要なポイントを解説します。
顧客理解を深める
アカウント営業で成功するためには、顧客を徹底的に理解することが重要です。顧客のビジネスモデルや競合環境、業界動向を調査し、直面する課題や目指している目標に合わせた提案を行います。顧客のビジネスや業界についての理解が深ければ深いほど、提案の精度が上がり、信頼関係の強化につながります。
顧客を戦略的に分析する
アカウント営業では、顧客を戦略的に分析し、優先順位をつけて対応することが求められます。現在大口の取引がある顧客でも、今後の成長が見込めない場合は、リソースの投入を控え、一方で、海外進出を目指す中小規模の顧客に対しては、今後大きな取引が期待できるため積極的にアプローチするなど、対応を行うことが効果的です。売上規模や将来の成長可能性、競合状況などをもとに顧客分析を行うと、リソースを効率的に活用でき、営業効率を改善できるでしょう。
関係構築を強化する
関係性を強化するためには、日々の小さな積み重ねが重要です。一度購入してもらったら終わりではなく、継続的にコミュニケーションを取る必要があります。訪問やオンライン商談、メール、電話とあらゆる方法を用いて接点を持ち、関係性を深めましょう。
その際、顧客の成功を第一に考え、利益追求だけではなく、顧客の成長をサポートする姿勢を示すことで、より強固なパートナーシップを築くことができます。
データ活用と分析により提案を最適化する
顧客の行動データや統計調査を活用して、提案内容を最適化することも重要です。社内に蓄積された顧客の購買履歴や問い合わせ内容などを分析し、求めているサービスやサポートを提供します。顧客の先を見越し、潜在ニーズに対する提案をすることで他社との差別化が期待できます。
顧客の課題に対応する価値を提案する
顧客が抱える明示的な課題だけでなく、将来的に影響を与えるであろう問題や潜在ニーズに対しても価値提供することで、顧客との信頼関係がより強固になります。
顧客が、デジタル化に伴いサイバーセキュリティ・リスク管理に問題を抱えているとします。解決策としてセキュリティシステムの導入提案が考えられますが、実際は管理組織の体制に課題があるかもしれません。
顧客の課題を深堀りすることはもちろん、自社が価値提供できることは何かを柔軟に考え、最適なソリューションを提案することが大切です。
顧客管理の重要性
アカウント営業において、顧客管理は極めて重要です。顧客管理とは、顧客の企業規模や営業担当者の氏名といった基本情報から、面談履歴、取引履歴などを管理することです。広義では顧客との関係性を管理するという意味合いもあります。
アカウント営業は、担当者の属人化が進みやすいというデメリットがあります。長期的な関係性を築くことが前提になるため、専任の担当者が情報やノウハウを溜め込みやすくなりますこのような属人化を防ぐためにも、顧客管理を徹底し、情報を組織全体で共有することが重要です。
顧客管理を行うと、顧客情報が一元的に管理され、営業担当者や他部門と共有できるようになります。情報の抜け漏れを防止でき、担当者が不在でも顧客への対応がスムーズに進みます。担当変更が発生した場合でも、過去の取引履歴、問い合わせ内容、商談履歴などのデータが蓄積されていれば、顧客との関係性を壊さずにスムーズに引き継げます。
また、顧客管理を適切に行うことで、提案内容の最適化にも効果的です。過去の受注・失注データを分析して相性のよい業種・業態を見つける、どういったアプローチ方法が効果的かを探るといったように、全社的な営業効率改善にも役立ちます。
顧客管理の最終的な目的は、顧客情報を蓄積することでニーズや課題を的確に理解し、LTVを高めることにあります。そのため、従来の営業手法に比べ、アカウント営業の方が顧客管理の重要性は高いといえます。
顧客管理のポイント
顧客管理を効果的に行うためには、いくつかの重要なポイントがあります。下記のポイントを押さえることで、顧客との関係性を深め、ビジネスチャンスを最大限に活かせるでしょう。
顧客のビジネス全体像を把握すること
顧客のビジネスの全体像を把握することは、単なる取引の枠を超えたパートナーシップを築くために不可欠です。例えば、商談中の部署が物流部門でも、食料品やSaaSなど他事業を展開している場合は調査します。ビジネスモデルや製品・サービスすべてについて理解を深めましょう。顧客の企業戦略や目標を理解することで、より的確な提案が可能となります。インターネットやIR情報を利用して情報を収集するほか、顧客管理ツール(CRM)を活用するのも効果的です。営業だけでなく、サービスチーム、マーケティングチームなど、各チームの情報を集約でき、効果的です。
顧客組織のキーパーソンを特定すること
意思決定に関わるキーパーソンを特定することは非常に重要です。経営陣や部門長が最終的な決定権を持っている場合が多いですが、実際に営業活動で頻繁にやり取りを行うのは中間管理職や担当者であることが一般的です。
まずは担当者と関係性を深め、信頼性を築きながらキーパーソンの情報を聞き出しましょう。氏名や所属部門、役職、重視している考えなど、ささいな情報でも、少しずつデータを蓄積していくことで、スムーズに商談を進行できるようになります。担当者との関係性が深ければ、キーパーソンを紹介してもらう方法も有効です。
継続的かつ一貫したフォローアップを行うこと
顧客管理のもうひとつの重要なポイントは、継続的かつ一貫したフォローアップです。一度の商談や契約で終わるのではなく、取引後も定期的にコミュニケーションを取り続けることで、顧客満足度を高められます。新しい製品やサービスの情報提供、業界ニュースの共有、定期的な成果レビューなどを通じて、顧客との接点を持ち続けることが重要です。
最後の面談から1ヶ月後にアラートを出す、製品購入者全員に新機能リリースのお知らせメールを送るといったように、あらゆるチャネルで接点を持ち続けることが効果的です。
顧客の課題とニーズに合わせた提案を行うこと
アカウント営業では、顧客ごとに異なる課題やニーズに対して、カスタマイズされた提案を行います。顧客管理を徹底することで、情報が蓄積され、的確に課題をつかめるようになります。また、顧客が自身のニーズに気づいていない場合でも、潜在的な課題を発見し、その解決策を提案することで、新たなビジネスチャンスを創出することも可能です。
長期的な関係構築を意識する
新規顧客、既存顧客ともに、接点を持ち続けることが重要です。定期的に接点を持つことで、顧客ロイヤリティが高まり、継続的な関係性を見込めます。例えば、金融商品を購入した顧客に対し、投資先の財務状況やマーケット情報を定期的に報告するなどのフォローアップが考えられます。この結果、顧客との信頼性が高まり、将来的な取引拡大につながります。
CRM/SFAツールを活用する
顧客管理を効果的に行うために、CRM(顧客関係管理)ツールやSFA(営業支援)ツールの活用は欠かせません。
CRMとは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った略称です。顧客関係管理のためのツールで、顧客情報を収集し、コミュニケーションを強化するために利用します。営業部門だけでなく、マーケティング部門などあらゆる組織で利用されます。
SFAとは「Sales Force Automation」の頭文字を取った略称です。営業支援システムを指し、CRMに蓄積された顧客情報を活用し、営業活動の進捗管理などを行います。営業活動の効率改善につながるツールで、基本的には営業部門のみが利用します。
CRM/SFAツールを導入する主な目的は、顧客情報を一元管理し、顧客に対するアプローチを効率化・高度化することです。特に、顧客情報を蓄積・分析することで、個別のニーズに対する適切な対応が可能となり、提案の精度を向上させることができます。分析ツールが充実しているものもあり、顧客理解や取るべきアクションをスムーズに把握できます。
また、商談の進捗や受注確率などを視覚的に把握できるため、マネジメント層も営業戦略をタイムリーに調整することが可能です。CRM/SFAツールを活用することで、顧客情報が見える化され、各営業担当者が持つ情報を全社で共有しやすくなります。例えば、マーケティングチームが閲覧し、サービス開発に活かすことも可能です。情報の属人化を防ぎ、会社全体の資産として活用できるでしょう。
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